計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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Typhoon HIL(たいふーんひる)

パワーエレクトロニクス関連の大手メーカであるMywayプラスが販売しているHILS。汎用HILSは多くのメーカがつくっているが、パワエレに特化した(パワエレ技術者向けの)HILS(たとえば自動車向けのHILSはエー・アンド・デイやdSPACEがつくっている)。 Typhoon HILは米国のHILS専業メーカの会社名だが、Mywayプラスは製品名にしている。2017年頃に日本の販売店を探していたTyphoon HIL社は、東京都立大学の清水先生の紹介でMywayプラスと契約した。同社がパワエレ用の回路シミュレータ PSIM(ピーシム)で大きな実績があったことが紹介の背景にあると推測される。同社が取り扱いを開始した2017年と、数年の販売実績を経た2つの展示会取材(以下)を比較すると面白い。 Mywayプラスの事業は大きく3つあり、開発ツール(PSIMや、モデルベース開発のツールであるTyphoon HILなど)、試験用電源・バッテリ充放電試験システム(電力回生型双方向電源のAPL2やpCUBEなど)、モータやインバータの評価システム(インバータエミュレータ pMOTION、リアクトル評価装置、モータエミュレータ)である。

タイプコード(たいぷこーど)

(TYPE CODE)アルゴリズムソフトウェア内に記述されているデバイス(書込み方式、サイズ)を特定する5桁のコード。ROMプログラマの「ROM TYPE」設定時にこのタイプコードを設定することで、対象デバイスに対応した書込みが可能となる。使用するデバイスがROMプログラマに対応しているかどうかはROMライタメーカのデバイスリストで確認が必要。(東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーの「書込みやプログラマに関する用語集」より)

ダイポールアンテナ(だいぽーるあんてな)

(dipole antenna) 導線をT型にしたアンテナ。ケーブルの先の給電点からT字に2本の直線状の導線(エレメント)を左右対称に伸ばした形状をしている。 線状アンテナの基本となる、最も構造が簡単なアンテナ。送受信したい電波の波長の1/2の長さの導線を垂直に設置した時に、水平方向の電波の送受信ができる。ダイポールアンテナを複数本組み合わせて利得を高めているのが、TV放送受信用に使われる八木・宇田アンテナである。 計測器情報:品名に「ダイポール」がつく製品の例

タイムインターバルアナライザ(たいむいんたーぱるあならいざ)

(time interval analyzer)周波数の時間的な変化を観測する機器。ディスプレイには横軸:時間、縦軸:周波数の波形が表示され、信号源のジッタ観測や、PLL(Phase Locked Loop)の応答時間の観測などに使用される。計測器の分類としては、時間測定器の内のエレクトリック・カウンタ(略してカウンタ)の1種。連続する波形の時間情報の測定と記録を行い、統計処理をした結果やトレンドを本体画面に表示することができるため、通信、レーダ、光ディスク、レーザプリンタの開発に使われていたが、現在では高性能なユニバーサルカウンタの一部の機能となっている。1990年代から2000年代にDVDが進化した時代に、カウンタをラインアップしていた横河電機はタイムインターバルアナライザTAシリーズ(TA220、TA520、TA720など)を販売していた。菊水電子工業にはDVDに加えCDジッタ 測定もできるタイムインターバルジッタメータKJM6765Sがあった。

ダイヤトーン(だいやとーん)

(Diatone)三菱電機のオーディオ(映像)機器の登録商標。スピーカーのブランドとして有名。1946年に初めて使用された。1970年頃のオーディオブームではFM放送の音楽番組のスポンサーとなりCMを流していた。一般的に個人のオーディオ機器としてのスピーカはPIONEER(パイオニア)が知られているが、放送局や録音スタジオなどの業務用スピーカとしてYAMAHA(ヤマハ)やDIATONEはブランドだった。三菱の「ダイヤ」と「音」から作ったネーミング。

ダイヤモンド半導体(だいやもんどはんどうたい)

(diamond semiconductor) 人工ダイヤモンド(合成ダイヤモンド)を使った半導体。パワー半導体として普及し始めたSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)、UWBG(酸化ガリウム)に比べて、放熱性、耐電圧性が優れているため、次の世代のパワーデバイスとして実用化が進められている。ダイヤモンドは炭素原子が強固に結合しているため、放射線を浴びても現在主流の半導体(シリコン)のように損傷することがないので、人口衛星などへの採用も期待されている。宇宙空間では石(ソリッドステート)ではなくいまだに球(真空管)を使っているので、ダイヤモンド半導体によって小型化、省エネ化が実現する。小型で大電力を扱えることだけでなく、発熱量が少ないので処理速度を高速化できる。Beyond 5Gや6Gでのダイヤモンド半導体の導入も視野に入っている。 シリコンに代わる材料(元素)として人工ダイヤモンド(炭素)を使った半導体は米国と日本で研究されてきた。特に日本は1990年代からメーカや大学などで研究されてきた。ダイヤモンドはそのままでは絶縁体で、他の物質を混ぜないと半導体にはならないが、どんな分子を吸着させると良いかわからなかった。ダイヤモンドを空気中に晒しておくと電気が流れることが知られていた(特に朝と夕方に顕著だった)。その理由は自動車などの排気ガス(二酸化窒素)であることが近年、佐賀大学の研究で明らかになった。また、ダイヤモンドの基板は大変小さいサイズだったが、4mm角の基板作成に成功し、二酸化窒素を吸着させて半導体を作り、従来より大きな電流を流すことに成功した。成果は論文として世界中に知られ、ダイヤモンド半導体の実用化が前進した。まだ課題はあるが、数年後には実用化できる見込みも示されている。 ダイヤモンド半導体は従来のシリコンのものより、理論的には約20倍の電流が流せるといわれているため、SiCなどより性能が良い。(現在は)中国ではなく日本がリードしている半導体の分野である。別名:ダイヤ半導体とも呼称される。

ダイヤル式可変抵抗器(だいやるしきかへんていこうき)

可変抵抗器の1種で、ダイヤルで抵抗値を設定する測定器。桁ごとにダイヤルが並び、0~9の内から選択して抵抗値を設定する、デジタル値で抵抗を設定する方式。レバーの位置によって抵抗値を調整してアナログ的に可変できるものを摺動抵抗という。製品名は「ダイヤル形可変抵抗器」や「デジタル式精密可変抵抗器」。6桁設定できる6ダイヤル可変抵抗器が有名。 計測器情報:可変抵抗器の製品例

ダイレクト測定(だいれくとそくてい)

ひずみ測定器メーカである株式会社東京測器研究所のデータロガーには、測定値の処理方法として3つの測定モード(イニシャル測定、メジャー測定、ダイレクト測定)がある。ダイレクト測定:測定した値(初期不平衡値を含む値で、ダイレクト値と言う)をそのまま測定して出力すること(同社の「測定器の概要と主な用語」より)。

ダイレクトメモリアクセス(だいれくとめもりあくせす)

(Direct Memory Access)CPUのプログラムを介することなくデバイスからメモリ(またはその逆)へのデータ転送をハードウェアの機能によって行なう方法。DMAと略記されたり、「DMA転送(DMA transfer)」などと呼ばれる。シングルチップマイコンでは、この機能をCPUの内蔵IOとして実装している場合がある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

ダウンコンバータ(だうんこんばーた)

(down converter) スペクトラムアナライザ(スペアナ)の周辺機器の1つ。次世代の無線通信の研究やレーダの設計ではミリ波(30GHz~300GHz)の信号を取り扱うため、現在の携帯電話などの周波数帯で普及しているスペアナで測定するには周波数を変換するダウンコンバータが必要となる。ダウンコンバータによって低い周波数に変換された信号をスペアナで測定する。

打音検査(だおんけんさ)

非破壊検査の1種。構造物をハンマーで叩き、音の違いによって内部の欠陥を発見する手法。鉄筋コンクリートなどの内部劣化の検査に行われる。高速道路などの安全を維持する重要インフラでは、現在も人による打音検査が多く行われている。

濁度計(だくどけい)

液体の濁度を測定する機器。濁度(Turbidity)は水の濁り具合のこと。東亜DKKには「上下水用測定器」として数機種の濁度計がある。理化学機器を幅広く取り扱うアズワン(国内メーカ)やセントラル科学もつくっている。富士電機や明電舎は「水質計測器」の項目で濁度計をラインアップしている。横河電機は「環境機器・分析計」の1つに濁度計がある。当サイトではカテゴリー「科学分析機器」の中の水質分析器に分類している。

タケダ理研工業(たけだりけんこうぎょう)

1954~1985年に存在した老舗計測器メーカ。1954年に武田郁夫(当時30歳)が「タケダ理研工業株式会社」を創業。通信省電気試験所に勤務していた武田氏は、大手電機メーカが出がけない計測の分野に着目し、研究開発型ベンチャー企業を設立した。1960年代までに周波数カウンタやデジタルマルチメータ(DMM)など、現在では基本測定器と呼ばれる製品を開発した。同社の企業ロゴはタケダのTと理研のRをデザインした「TR」で、計測器の形名の頭もTRだった。TR5211、TR5151などのカウンタの中古品はいまだにネットに出展されている(つまり市場に多く出回った売れたモデルである)。同社のDC~低周波のラインアップはブリッジなどを早くから手掛けたYEW(現横河計測)と競合している。汎用計測器(基本測定器)ではタケダ理研と横河電機はコンペチタだった。 1970年代にはRF分野のスペクトラムアナライザ(スペアナ)や、半導体製造装置のメモリ・テスト・システム、光通信測定器を開発した。日本のデバイスメーカがメモリ(DRAM)で世界シェアを独占するのに伴い、同社のメモリテスタは世界一になっていった。1976年に富士通の資本参加があり、1985年に社名をアドバンテストに変更。創業からのタケダの名前は消えた。 1990年代の携帯電話の普及期にはローデ&シュワルツの代理店としてCMUシリーズ無線機テスタなどを販売した。アンリツや安藤電気のような電電ファミリー(NTTに光通信計測器を納めるメーカ)ではないが、光ファイバの評価測定器を開発してOPMなどの光通信計測器に参入し、「光の3A(スリーエー、アンリツ、安藤電気、アドバンテストの頭文字がいずれもAのため)」と呼ばれた。2003年にはRF(高周波)以外の機種群を株式会社エーディーシーに移管し、後に高周波のモデル(スペアナやネットワークアナライザ)もやめて計測器から撤退した。 1970年頃から埼玉県行田に主力工場があり、東京都大田区蒲田に本社があるNEC系列の半導体テスタメーカの安藤電気とは、1980年頃には競合だった。1982年に安藤電気に入社した営業マンで、タケダ理研に入社希望で訪問したが、「文系の学生は応募していない(つまり営業職も全員、理工系で採用する)」と断られ、競合を聞いて安藤電気に入社した人がいる。アドバンテストはタケダ理研創業の計測器から撤退したが、2015年に無線式の温度ロガー(AirLogger)を発売するなど、新規事業としてあらたに計測関連製品を模索している。 タケダ理研は、戦後の1950年代に創業したベンチャー計測器メーカが、計測器を別会社に移管して成長した例である。横河電機もコアビジネスではなくなった計測器を別会社(横河計測株式会社)に分離している。アドバンテストは半導体テスタの、横河電機は計装(プロセス)の世界的なメーカである。 タケダ理研で使われる用語の例:デジボル、DVM、VIG

タコ足配線(たこあしはいせん)

テーブルタップに何本もの電源コードをつないでいること。テーブルタップには流せる電流(定格電流)が表示されており、その表示以上の電流が流れるとコードが過熱して火災の原因にもなる。

タコメータ(たこめーた)

(tachometer) 軸の回転数を測定する機器。 回転計の別名。エンジン、電動機、発電機などの回転数(回転速度)を表示する計器を指す。自動車のインパネ(ダッシュボード)にある速度メータのことを「タコメータ」と呼称することを良く耳にする。 ギリシャ語の「takhos(意味は速度)」が「meter(メータ)」と合体し、米国で「tachometer(タコメータ)」となり、日本では大正時代に使われるようになったらしい。なので、語源は「速度計」だが、日本語では回転計と呼称している。

多治見コネクタ(たじみこねくた)

ひずみ測定器に標準的に使われるNDIのコネクタを「多治見のコネクタ」と呼称している。多治見無線電機の多ピン丸形コネクタである。 多治見無線電機がNDIコネクタの代表的なメーカだからで、D-subコネクタをアンフェノールと呼ぶのに似ている。 非破壊検査の規格のコネクタをひずみ計測では標準で使っているのである。このことは、共和電業などのひずみ計測(や、環境計測のリオンなど)が、電気計測器(横河や日置、アンリツ、テクトロニクスなど)とは少し毛色が異なる(市場が違う)ことが伺える。

タスク(たすく)

(task)オペレーティングシステム(OS)のプログラムの実行単位の一つ。一度に1つのタスクしか実行できないOSをシングルタスクOSと呼ぶ。また、複数のタスクがあたかも平行に実行できているように見えるものを、マルチタスクOSと呼ぶ。ITRONではタスクと呼ぶが、Linuxではプロセスと呼ぶ。Windowsなどのように実行単位がスレッドである場合はタスク=スレッドともいえる。そのため現在ではマルチタスクよりもマルチスレッド、マルチプロセスといった用語が使われる場合が多い。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)現在では人が行う仕事や業務のことをタスクと呼び、会社の業務の進捗管理にタスクということばが普通に使われるようになった。参考用語:TRON

ダストサンプラ(だすとさんぷら)

大気中に浮遊する塵や埃を吸引し、分析用試料を得る機器。

立ち上がりエッジ(たちあがりえっじ)

(rising edge、leading edge) デジタル信号の電位がLowレベルからHighレベルへ遷移することを言う。反対の用語としては立ち下がりエッジがある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より) 現在の電子回路はデジタル信号が多く使われている。0と1(HIGHとLOW)のパルス列(方形波)では、信号の立ち上がりや立ち下がりを捉えて処理を行うことは基本である。パルスの値が遷移する時間は短く、パルス波形の端(はじ)やふちなのでedge(エッジ)と呼ばれる。立ち上がりエッジや立ち下がりエッジは、電子機器が動作を行うときの電子回路の合図に使われる。

立ち上がり時間(たちあがりじかん)

(rise time、leading edge time) 立ち上がり時間は電気の基礎用語で、オシロスコープや電源、信号発生器など、計測器に共通で定義されている。逆の時間を立ち下がり時間という。計測器メーカ2社の解説を紹介する。 計測用電源のメーカ、高砂製作所の総合製品カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には「入力電源を投入、または出力をONにした後で、出力電圧が10%から90%に変化するのに要する時間」とある。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「パルスが低い電圧から高い電圧に移動するまでの時間で、通常、パルス振幅の10%から90%までの部分」とある。オシロスコープの立ち上がり時間とは、振幅が10%から90%に移る時間(下図のTr)を指す。 パルス用語としては、JIS C 0161(EMCに関するIEV用語)では次のように定義されている。 「パルスの瞬時値が最初に規定した下限値に到達し、その後規定された上限値に到達するまでの時間間隔。特に規定されていない場合、下限・上限値はピーク値の10%及び90%に固定とする。」 下限値と上限値は10%、90%に決まっているわけではなく、場合によっては違う値にすることもできる。たとえばオシロスコープの「 立ち上がり/立ち下がり時間トリガ」では、オシロスコープの使用者が下限値と上限値を設定してトリガをかけることができる。 方形波で、立ち上がり時間が短い信号は高い周波数の成分を多く含んでいる。逆に低い周波数帯域の信号は立ち上がり時間が長くなる。高速なデジタル通信に使われるパルス列にはシステムを十分に正常に動作させる、立ち上がり時間が短い、高速信号(高周波成分を多く含んだ信号)が使われている。 表記は「立上り」、「立ち上り」などもあり、不統一。