計測関連用語集

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ソニーマグネスケール(そにーまぐねすけーる)

(Sony Magnescale) ソニーは1969年に磁気式計測器事業の子会社「ソニーマグネスケール株式会社」を設立(1996年に社名変更したので、27年間の会社名)。ソニーは磁気テープとそれを使った記録機器(オーディオのテープレコーダ、コンピュータ用の磁気テープ式記録装置など)の代表的なメーカである。その技術を計測器に活用して、磁気テープを使った長時間の記録計であるデータレコーダをつくり、ティアック(TEAC)とSONYはデータレコーダの2大ブランドだった。SONYのデータレコーダのメーカがソニーマグネスケールである。ただし、TEACと違い、ソニーのデータレコーダはグループ内の再編で何度も会社名が変わり、2010年頃にはデータレコーダから撤退している。以下にデータレコーダに関係する沿革を述べる。 1981年、ソニーマグネスケールは神奈川県伊勢原市に伊勢原事業所を設立。データレコーダの製造拠点となった。PC200Axシリーズのデータレコーダはオーディオ用のカセットテープとほぼ同サイズの記録媒体(SONY製DG60Msなど)が使える(1999年発行の製品カタログより)など、多くのデータレコーダを発売した。 1996年、「ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社」に社名変更。同社の会社概要には「精密計測機器、精密記録機器の製造・販売」とある。データレコーダ(精密記録計)以外の計測器(精密計測機器)もつくっていた。直線移動量を検出する機器をマグネスケールと呼び、たとえば0.2mmピッチで磁気目盛りを記録したスケールの磁束を多数のギャップを持つヘッドによって検出する製品が1999年頃にWebに紹介されている。直線移動量だけでなく回転動作角度を検出できるモデルもあり、ソニーマグネスケール(ソニー・プレシジョン・テクノロジー)は測長器の会社でもあった。 2004年、ソニーマニュファクチュアリングシステムズ株式会社(Sony Manufacturing Systems Corporation)」に合併し、社名変更。同社はソニーグループの製造会社で「CD、DVD、Blu-ray Discなどの次世代光ディスクの量産や、デジタルカメラ/携帯電話の液晶画面のバックライトの製造に欠かせない生産精密機器や実装関連機器、測長器などを製造」している。ソニーのデータレコーダは製造子会社が担当する、という位置づけになったことが伺える。データレコーダは2000年代に生産中止(撤退)して、保守サービスだけ行っていたと筆者は記憶している(資料が残っていないので時期は不正確)。 2010年、計測器事業(伊勢原事業所)を森精機製作所(現・DMG森精機)の新設子会社である株式会社マグネスケールに譲渡(データレコーダは同社には移管されていない)。2023年現在、株式会社マグネスケールは磁気とレーザ光を検出原理とした高精度位置検出システムをつくっている。 2012年、「ソニーイーエムシーエス株式会社」を存続会社として合併。 2016年、ソニーから調達・物流・品質管理などの実務機能を移管され、「ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社」へ社名変更。 SONYのデータレコーダといえば1970年~2000年代まで、TEACと共に自動車や重電などの顧客に重宝されたが、メーカ名は「ソニーマグネスケール」と「ソニー・プレシジョン」で、ソニーの製造会社である「ソニーイーエムシーエス」になったときにはすでにデータレコーダから撤退していた。ソニーのデータレコーダの最終会社名は「ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ」で、データレコーダの修理を受付けていたが、ほぼそれも終了している(2023年5月現在)。 ソニーとティアックのデータレコーダはそれぞれ顧客をすみ分けていて、市場を2分していた。ソニーはAITテープに記録するSIR-1000シリーズや、HDDオプションがあるSIR-3000シリーズを最後に生産終了した(このときの会社名はSony Manufacturing Systems Corporation)。TEACもテープ式のデータレコーダから撤退したが、2012年12月にSSDを使うWX-7000を発売した(2023年現在も現役)。「SONY SIR1000 リプレース情報」と題して「テストと計測で幅広く使用されているSIR1000との置き換えがWX-7000で可能。テープメディア(AIT)に代わる収録メディアを提案」とTEACは発表した。ソニーのデータレコーダがそれなりに市場で使われていたことを物語っている。

ソフィアシステムズ(そふぃあしすてむず)

1980年~2000年代にかけて、ICEのトップベンダーだった企業。正式会社名:株式会社ソフィアシステムズ。1975年設立、2013年に株式会社Sohwa&Sophia Technologiesに統合され、2021年9月に標準品のICE(Universal Probe Blue)を販売終了(つまりICEから撤退)している。1980年という早い時期に安藤電気や岩崎通信機などの計測器メーカに先駆けてICEを開発した。モデル名は、in-Ⅱ、in-Ⅲ、SA2000、SA3000、SA98などがあり、高性能ICEのMultiSTAC(1982年発売)、UniSTAC(1996年発売)やJTAG ICE「UniSTAC/J」シリーズ(1998年発売)などで、横河デジタルコンピュータ(現DTSインサイト)のadviceシリーズと競った。1990年頃はICE(いわゆるフルICE)の黄金時代で、ZAX(ザックス)、岩崎技研、BITRAN(ビットラン)など(計測器メーカではない)ICEメーカがひしめいていた。ICEは1980年頃に計測器メーカとともにベンチャーの専業メーカがつくりはじめた。成長著しい情報機器分野の最先端技術製品として脚光を浴び、計測器メーカ以外からも参入が多かった。ソフィアシステムズは専業メーカの草分けだった。計測器メーカは1990年代に各社が撤退し、ICE専業メーカの時代になっていった。東陽テクニカは海外製のICEを取り扱っていたが、すでにやめている。海外製品では日本ロータバッハ社がLAUTERBACH製品を販売している。JTAGなどのオンチップデバッグツールが台頭し2000年代に価格が大幅に下落した。2000年頃は日本に携帯電話メーカが10社以上あったが、2010年頃には国産メーカほとんどなくなった。オンチップエミュレータの普及と国産携帯電話メーカ消滅によってICE市場は激減し、ソフィアシステムズはICE専業ではいられなくなり、2009年にソーワコーポレーションの子会社となり、2021年にICEを販売終了した。ICEはデジタル系の計測器として1980年代から1990年代に非計測器系メーカによって活況を呈したが、組込みシステムの開発手法が洗練される過程でメーカが淘汰されていった。ソフィアシステムズはICEビジネスの興亡を象徴する国産ベンチャー企業である。 参考用語:Embedded

ソフトスイッチング(そふとすいっちんぐ)

株式会社高砂製作所の用語集には次のようにある。ソフトスイッチングは高周波共振現象を利用しスイッチング素子の印加電圧が0Vあるいは導通電流が0Aになってから、スイッチ素子のON/OFFを行うスイッチング方式。スイッチング損失、電磁干渉(EMI)ノイズの低減などで、従来のハードスイッチング方式に比べ数々の優れた特徴がある。また同社の「交流電源」用語解説にはこうも記載されている。PWM方式スイッチングの諸問題を低減する技術で、スイッチ素子のターンオン・ターンオフの時期に電圧波形と電流波形の重なりを共振動作などを用いて最適化し、スイッチ素子の導通ロスを低減するように設計されたスイッチング方式で、スイッチング損失やスイッチングノイズを低減する全く新しい方式。

ソフトスイッチング方式(そふとすいっちんぐほうしき)

スイッチング電源で、パワーデバイスのスイッチング時、共振現象を巧みに利用して電圧または電流がゼロとなった状態でスイッチングを行う電源回路方式。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

ソフトスタート(そふとすたーと)

計測用電源で、起動時に電源機器や負荷のストレスを軽減するために、出力電圧または電流を徐々に最終値へ達するように変化させる機能のこと。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

ソフトスタート機能(そふとすたーときのう)

電子負荷に装備されているON/OFFスイッチではなく、電子負荷に接続された外付けスイッチ(電源なら電源SW、バッテリーなら出力端子、コネクターなど負荷配線間に挿入したスイッチなど)に対応した電流オーバシュート防止機能。LOAD ON状態でも負荷電流量はカットオフされ、動作開始電圧以上になった時点で、設定されたスルーレートで負荷電流が立ち上がる。(株式会社高砂製作所の「電子負荷」用語解説より)

ソフトスタート/ストップ機能(そふとすたーとすとっぷきのう)

モーター等やコイルの励磁電流など、ONするときやOFFするときにスロープを持たせる機能。(株式会社高砂製作所の「交流電源」用語解説より)

SOM(そむ)

(Self-Organizing Map)自己組織化マップ。ディープラーニング(深層学習)と同じように脳をモデルにしたAI(人工知能)の1種。ディープラーニングは教えないと学習できないが、SOMは自分で学習していく。

空飛ぶクルマ(そらとぶくるま)

eVTOL(イーヴイトール)などの垂直に離着陸する、電動の飛行する機体。小型飛行機やヘリコプター、ドローンに近いが、急速に普及しているEV(電動車)が飛行する、という解釈で、自動車が飛行するという意味の「空飛ぶクルマ」が流行り言葉として定着している。2019年以降の自動車の展示会には、「空飛ぶクルマ」をテーマに掲げた出展が多くある。参考用語:バーティポート

ソリッドステート(そりっどすてーと)

(solid state)トランジスタに代表される、現在の半導体素子のこと。トランジスタ以前の代表的な電子部品である真空管に対して使われることば。真空管は管の中の空間で電気信号を制御するが、現在の半導体はトランジスタを筆頭に固体の中で電子を制御する。solid stateとは「固体の状態」ということで、元々はこの後に色々な単語が続いたが、略されて「ソリッドステート」と呼称される。半導体を象徴することばである。