計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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スプリアス信号(すぷりあすしんごう)

(Spurious signal) 不要信号と呼ばれ、一般的には目的信号以外の信号を指す。受信機ではイメージ信号や局部発振の高調波によって受信される信号のほか,受信機内部で使用するほかの発振器の周波数やその高調波の信号もスプリアス信号である。また,送信機では目的信号以外に発射される信号をスプリアス信号と呼んでいる。

スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ(すぷりあすふりーだいなみっくれんじ)

信号発生器で出力できる最大信号レベルと、その信号にともなう最大のスプリアスまたはノイズとの比率。略記:SFDR。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

スペアナ(すぺあな)

スペクトラムアナライザ(spectrum analyzer)の略称。略記:SA。

スペクトラムアナライザ(すぺくとらむあならいざ)

(spectrum analyzer) 信号が持つ成分を周波数毎に分解し、横軸を周波数、縦軸をレベルとして表示する測定器。主に高周波信号の解析に使用される。略称:スペアナ。RFなどの無線の最も代表的な基本測定器。時間軸(タイムドメイン)の波形を表示する観測器であるオシロスコープ同様に、(無線の世界は周波数軸で評価するため)スペアナは「無線の基本測定器」である。 同じく周波数軸の波形測定器にFFTアナライザがあるが、用途は振動解析など直流~低周波で使われるので、スペアナとはアプリケーションが異なる。周波数を測定する製品としての仕様はFFTアナライザとスペアナで重複する部分もある。 DCから高周波まで幅広いラインアップのキーサイト・テクノロジーは以前はFFTアナライザをつくっていたが、現在はスペアナに注力し、スペアナの世界No.1メーカである。国産のアンリツとドイツのローデ・シュワルツの3社が、スペアナを含む無線の3大計測器メーカといわれる。 デジタルの携帯電話が世界的に普及し(3G以降)、デジタル変調信号の解析に優れたスペアナが多く発売され、現在のスペアナの品名はシグナルアナライザも多くなった。また、EMC用途に特化したスペアナ(電波測定器)をEMIレシーバと呼び、ローデ・シュワルツの代名詞となっている。 スペアナの基本仕様は、まず測定できる周波数範囲で、次が周波数の分解能である分解能帯域幅である。

Spectrum Master(すぺくとらむますた)

通信計測器の専業メーカであるアンリツは、特に無線通信用測定器のラインアップが多く、日本の無線通信インフラの進歩・発展を支え、通信インフラと共に歩んできた。同社のハンドヘルドのスペクトラムアナライザの通称がSpectrum Master。モデル(形名/品名)はMS27xx/スペクトラムマスタである(2022年7月現在)。品名はスペクトラムアナラザではなく「スペクトラムマスタ」である。キーサイト・テクノロジーのハンドヘルドRF製品の通称はField Fox(フィールドフォックス)だが、こちらは品名ではないので、製品自体にはその名前の表記(印刷)はない。

スペクトル(すぺくとる)

(spectrum) 2つの意味がある。 1. 光を分光器で分解して波長の順に並べたもの。光スペクトルの略。(虹のように)光が7色に分離されることは良く知られている。 2.複雑な組成を分解し強度(パワー)の順に並べたもの。一般に光学や分析の分野ではスペクトルと呼んで、ある物理量を横軸に、その強度の変化を縦軸に示したグラフを指す。周波数ごとの大きさ(f特)の波形(グラフ)を「周波数スペクトル」と呼ぶ。横軸に波長、縦軸に強度のグラフは「波長スペクトル」という。 ただし、電気計測や通信の分野では「スぺクトラム」と呼んでいる。スペクトルもスペクトラムも英語は同じSPECTRUMである。無線通信測定器で電波の強度を測定し、周波数成分ごとのパワーを表示するのはスペクトラムアナライザといわれる。同様に光通信測定器で、横軸が波長のものに光スペクトラムアナライがある。なぜスペクトルでなくスペクトラムといったのかは不明。日本語の物理用語としてはスペクトラムよりもスペクトルのほうが一般的である。計測器は一般的ではなく特殊な言い方をする例といえる。計測器では横軸は周波数や波長のため、強度の順では並んでいない。周波数や波長の小さい方から大きい方へ(左から右へ)パワーを表示する。 別の角度からの解説を以下に箇条書きで述べる。 ・スペクトルとは電磁波(電気信号や光など)を成分ごとに分解して、成分の大小(強度やパワー)を見やすく配列した図(グラフ)のこと。 ・分光や電気計測では成分(横軸)は波長や周波数で、測定結果(表示画面)のグラフはエンベロープの最大値(連続したスペクトル)が表示される。 ・試料の化学的な組成を調べる(計測して分析する)科学分析計では連続のグラフではなく、元素などが線で表示される(連続スペクトルではなく線スペクトル)。分析装置の画面に表示された大きな縦線を見た使用者は、「これは○○(元素など)が多く含まれていることを表している」と語る(科学分析機器の使用者はその縦線が何を意味するかを理解する知識を持っている)。 ・分光では横軸は波長、縦軸は強度(intensity)である。電波(スペクトラムアナライザ)では横軸は周波数(Hz、ヘルツ)、縦軸はパワー(電力、dB)である。光通信やDVD(光を使った記憶媒体)で使われる光スペクトラムアナライザの横軸は波長で、縦軸はパワー(電力、dB)である。

spectrum(すぺくとる)

スペクトルとは、ある物理量の数値ごとの大きさのこと。たとえば周波数ごとの数値を示したグラフである「周波数スペクトル」はf特(周波数特性)のことである。 無線信号などの周波数スペクトルを表示する測定器は(スペクトルアナライザではなく)スペクトラムアナライザと呼ばれている。日本語のスペクトルもスペクトラムも英語は同じspectrumである。

スペクトログラム(すぺくとろぐらむ)

テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」では「周波数がX軸、時間がY軸で表される周波数対時間対振幅表示。パワー・レベルは色別で表示。」とある。時間軸と周波数軸を持つユニークな測定器としてデジタル変調解析の標準器だったキーサイト・テクノロジーのベクトルシグナルアナライザ(Vector Signal Analyzer、VSA)89600シリーズもスペクトログラム表示ができる。

すべり抵抗器(すべりていこうき)

陶器製絶縁枠上に絶縁性外皮を施した抵抗線を巻き、これに摺動するブラシを備え、連続的に抵抗を加減する抵抗器。別名:摺動抵抗ともよばれる。

スマートグラス(すまーとぐらす)

目の前に映像を表示する携帯機器。スマートフォンに続く次世代情報端末と期待される1つ。

SMARTDAC+(すまーとだっくぷらす)

計装、IA(インダストリー・オートメーション)メーカである横河電機のデータロガーの通称(愛称)。モジュールを選択して組み合わせてチャンネル数や測定項目をユーザが選択できるデータロガー(表示画面が無く、PCで制御)や、パソコンがなくても設定や記録結果の表示ができるタッチパネル式など各種のモデルがある。データロガーをData Acquisition(データ・アクイジション)の頭文字からDAQ(ダック)と表記することは多いが、この名称のネーミングは「SmartなDAC」とQではなくCを使っている(DACはD/Aコンバータの略記で使われることが多い)。以下の記事に構造が概説されている。技術情報・レポート/原理・基礎の「記録計・データロガーの基礎と概要」https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-02/

スマートビット(すまーとびっと)

(SmartBits) スパイレントのIP負荷試験装置の名称。正確には、Spirent Communications社(略称:スパイレント、東陽テクニカが総代理店)のIP負荷試験装置の通称(品名はマルチポートネットワークデバイステスタやポータブルスマートビットテストシステムなど)。形名SMB600などのモデルが2000年代のインターネット(IP網)の普及時に発売され、IP負荷試験機の代名詞となった。競合製品には同じく海外のIXIA(イクシア)社のモデルがあった。後発で国産メーカも参入した。安藤電気(当時はすでに横河電機)やアンリツ、富士通九州ネットワークテクノロジーズが同等製品を発売した。 負荷試験というと、通信測定器の中の1カテゴリー(機種群)である。通常は、電圧をかけて耐性を調べる、耐電圧試験(耐圧試験や過負荷試験)が思いうかぶが、負荷試験機というと通信の分野の測定器を指していて、耐圧(耐電圧)試験ではない。 計測器情報:スマートビットの製品例

SmartBits(すまーとびっと)

米国スパイレント(SPIRENT Communications Inc、スパイレントコミュニケーションズ)社の通信計測器 である負荷試験機 の名称。インターネットの普及、ルータやサーバなどのネットワーク機器の増加によって、IP通信網の負荷試験装置は2000年代に重宝された。スパイレントのスマートビット (略称:スマビ)とIXIA(イクシア)社のモデルが有名。安藤電気(現横河計測)などの国産メーカもラインアップがあったが、現在はその役目は終えてほとんど生産終了(アンリツにはネットワークパフォーマンステスタというモデルがまだある)。現在のスパイレントのラインアップにはSmartBitsは無い。同社は現在はサイバー攻撃などのセキュリティ関連製品に軸足を置いている。IXIAのラインアップも負荷試験(計測器)からネットワーク機器に移り、2017年にIXIAはキーサイト・テクノロジーに買収され、現在はキーサイトの社内カンパニーとして、セキュリティのソリューション提案に注力している。 スパイレントはまったく通信計測器から撤退したわけではなく、ギガビット Ethernetに対応した負荷試験装置(トラフィックジェネレータ)としては、次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」という製品を販売している。需要のある分野では負荷試験の技術を使って計測器をつくっている。電動化、ネットワーク化が進む自動車では車載Ethernet(100G/1000Gなど)の導入が進んでいる。日本での販売は従来から東陽テクニカが取り扱っている。 計測器情報:スマートビットの製品例

スマートポール(すまーとぽーる)

移動体通信の基地局を含む多種類の機器を搭載できる多機能基盤のこと。外観は電柱。東京都は西新宿エリアに5Gの基地局を搭載可能なスマートポールを20基、2021年度中に増設し、自動配送ロボットの運用実験に活用すると公表した。「基地局」は計測器ではないが、移動体通信用計測器では基本中の基本の用語である。

スマートメータ(すまーとめーた)

各家庭の使用電力量を計測している積算電力計の最近の呼び名。広義にはガスメータや水道メータも含まれる。電力の使用履歴やトレンドをデマンドと呼ぶ。電力の使用量をリアルタイムで監視し、その需要を予測することは電力会社の重要な仕事である。通信技術を使い、各家庭の電力量データを(人が検針して回るのではなく)収集することを目指し、2010年代に各電力会社は積算電力計のスマートメータへの置き換えを始めた。2021年現在、東京都内の23特別区はほぼスマートメーカ化が完了している。スマートメータの開発には、従来の電力関連計測器以外に、通信計測器も活用された。スマートメータのメーカは大崎電気工業、東光東芝メーターシステムズ、GE富士電機メーター、三菱電機、エネゲートなど。

スマビ(すまび)

米国SPIRENT(スパイレント)社のIP負荷試験装置、スマートビット(SmartBit)の略称。SmattBitsは品名や形名ではなく通称。インターネット、IPネットワークの普及によって負荷試験装置は必須の測定器となり、2000年代にはスマビはその代表モデルとして重宝された。 計測器情報:スマートビットの製品例

スミスチャート(すみすちゃーと)

(Smith chart) 複素インピーダンスを示す円形(極座標)の図表。左図がアドミッタンスチャート、右図がインピーダンスチャート。スミスチャートは、反射係数チャート・インピーダンスチャート・アドミッタンスチャートからなる図表の総称であり、高周波回路の複素インピーダンスを総括的・直感的にわかるかたちで示す方法として、非常に有用な方法である。伝送線路上における回路要素の測定結果の表示や回路解析等でよく用いられる。

スモークメータ(すもーくめーた)

自動車排ガス中のスモークを測定する機器。

スライダック(すらいだっく)

(slidac) 単巻きトランスを応用した変圧器製品(電圧調整器)。出力電圧を変換できるため、電圧調整に使われる。外観は円筒形で、上部に回せるダイヤルがあり、右回転すると出力電圧を高くできる。たとえば、照明装置の入力電圧側につないで、舞台照明の明るさを可変する。電子機器の入力(駆動)電圧と商用電源の電圧が異なるときに、ACコンセントと電子機器の間に入れて電圧を調整することも可能。 「スライダック」は株式会社東芝の商標という説があるが、現在同社HPを検索してもその名前は無い。同社はすでにスライダックを生産中止で、中古販売サイトには「東芝 スライダック モデル〇〇」というような表記が多くある。同社と同じ形状・仕様の製品一般を指す機器の用語として定着している。電源の周辺機器(カテゴリー電源の中の1製品群)である。 電源機器の総合メーカである山菱電機株式会社の「電圧調整器」として、摺動方式のV/S/S3Pシリーズなどがあり、形状・仕様はスライダックである。同社HPではボルトスライダー(リング状鉄芯の外周一列に絶縁銅線を巻きその上端面をカーボンブラシで摺動させることにより 任意の出力電圧を取り出すことができる、山菱電機の「摺動型単巻変圧器」の登録商標 )とある。産業用電源装置の株式会社松永製作所は「摺動電圧調整器(商品名:SLIDE REGULATORS/スライドレギュレーター)」があり、ケース入り製品はここでいうスライダックとほぼ同じである。 volt-sliderは電圧(volt)を摺動(slid)式に調整するもの、slid regulatorsは摺動式の制御/調整の機器(regulator)、というネーミングと推定されるので、スライダック(slidac)は摺動(slid)式の交流(ac)電圧調整器、が語源かもしれない(あくまで推測なので正解かは不明)。

3GPP(すりーじーぴーぴー)

(3rd Generation Partnership Project ) 第3世代(3G)移動体通信システムの標準化プロジェクト。また、同プロジェクトによる移動体通信システムの標準規格。3Gが運用開始されてからは、移動通信関連の標準化団体として世界統一規格を策定している。2022年には5Gのリリース17で、RedCapなどのセルラーIoT規格が策定されている。