計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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スター型(すたーがた)

ネットワークトポロジー(ネットワークの構成形態、配線の構造)で、すべての機器(ノード)が1つの集線装置につながっている形態。どれかのノードや集線装置までの経路で問題が発生しても通信可能(通信は維持される)だが、集線装置が停止した時は全ての通信が停止するリスクがある。他のトポロジーにバス型、リング型がある。資料によってはデイジーチェイン型を含めている場合もある。参考記事:車載ネットワークの歴史と規格概要~CANからLIN、FlexRay、CAN FDまでネットワークトポロジーの図解が図4にある。

スタック型計測器(すたっくがたけいそくき)

英語のstack(スタック)は、「物をまとめる」、「積み重なる」、「身動きが取れなくなる」ことを表現し、使われる業界によって様々な意味になる。計測器でスタックは「物をまとめる/積み重なる」から派生して、ユニット式の計測器を積み重なるように接続する構造を指す。DAQで、ユニット式の製品には、箱にユニットを納める(メインフレームにユニットを装着する)のではなく、ユニット同士をくっつけて接続し、積み重なるように拡張していくタイプがある。それを「スタックしていく」や「スタック型」と呼称する。 たとえば、グラフテックのDATA PLATFORM GL7000は本体の横に測定ユニットをつけて伸ばしていく構造をしている。横河電機のプロセス向けのデータ集録機器、SMARTDAC+™データアクイジション システム GMもスタック型である。これらはユーザが使いたい機能のユニットだけをスタック(積み重ねて接続)できるので、自分が必要な機能だけを最小限のサイズで実現できる。 リオンの多チャンネル型振動計(チャージアンプ)UV-15やUV-16もスタック型で、測定ユニットはこの2製品のみだが、スタックして入力チャンネル数を増やすことができる。1980年頃から2000年頃までICEのトップベンダーだったソフィアシステムズにはMultiSTAC(マルチスタック)などの製品があったが、英語の綴りがstackではないので、ここで説明したスタックと語源が同じかは不明である。 コンピュータ/ネットワーク分野の仮想化技術で、一台のスイッチを他のスイッチに接続して一つのユニットとして連携させることをスタックと呼び、信頼性向上、冗長性の確保、増設と交換の簡素化などを実現している。この例は計測器のスタックと意味が似ているが、冒頭で述べたようにスタックはそれ以外の色々な意味で使われている。 計測器情報: グラフテックのGL7000の製品例、 横河電機のGMの製品例、 リオンの多チャンネル式振動計の製品例

スタンドアロン(すたんどあろん)

(standalone)IT用語でネットワークにつながっていない機器のことを指す(独立・孤立しているという意味)。計測器の分類の1つに、機器の動作の形態(他の機器との接続状態など)による表現がある。スタンドアロン型とモジュール型、PC接続型などである。計測器のスタンドアロンは、単体で動作するということで、通常は箱型をしていて、操作部と表示部がある。モジュール型はメインフレームとモジュールの組み合わせで使用され、単体の計測器では動作しない。測定器本体がただの箱で(操作部や表示部がなく)PCなどを接続して操作(制御)する外部制御タイプがPC接続型である。たとえばUSBタイプの計測器がこれに該当し、最近は増えている。コンピュータによる計測器の自動計測もPC接続型の1種である。スタンドアロンは、モジュール型や、PC接続型、自動計測と対比して区別するときに使われることば。「スタンドアローン」とも表記される。計測器はほとんどがスタンドアロンである。IA/FA用途のレコーダ(データロガー)でネットワークでデータ転送して使うことを主眼にした機種でも、単体(スタンドアロン)で使うことも十分可能である。計測器をスタンドアロンで使わない使用例は(台数などの)比率でいうと大変少ないといえる。

スタンドアロンモード(すたんどあろんもーど)

計測器を単体で(完結して)使用するモードのこと。もう一つ、PCにつなぎ、PCから操作して使う「PCリモートモード」がある。ほとんどの計測器はスタンドアロンモードで使うことが多く、またこのモードしかないモデルも多い。PCリモートモードは従来は「自動計測」といわれてきた。USBインタフェースの普及などによって、多くの機種がPCリモートモードを持つようになった(以前はGP-IBなどを使い、限られた高機能モデルだけが可能であった)。スタンドアロンとPCリモートの両方の機能があるモデル、どちらかの機能しかないモデルの2種類がある。東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーの「書込みやプログラマに関する用語集」には次にようにある。PCを使用せずROMプログラマ単体で書込み等を行うことができる機能。操作は専用キーボードや本体のキーボタンで行う。同一データの連続書込みやPCを使用できない場所での書込みに便利。

スタンバイモード(すたんばいもーど)

(Stanby Mode)日本アビオニクス株式会社の非接触温度計(サーモグラフィー)で、バッテリパックの容量を節約するために使うモードの名称。スタンバイモードでは、赤外検出器の温度安定制御機構のみの作動なので、消費電力を低く押さえることができる。(同社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

ステアバイワイヤー(すてあばいわいやー)

(Steer-by-wire)自動車の運転制御システムの一種。従来の機械式制御に代わり電線(ワイヤ)の電気信号でステアリングを制御する。

ステップアッテネータ(すてっぷあってねーた)

(step attenuator) キーサイト・テクノロジーの可変抵抗減衰器の品名など、RFの可変抵抗器にこの名称が多い。

ステップ電圧(すてっぷでんあつ)

(Step Voltage、SV)絶縁物に欠陥がある測定物の場合、印加電圧を上げるにつれて、抵抗値が下がる現象が見られる。ステップ電圧試験はこのような現象を確認するための機能。設定時間ごとに5回、等しいステップで印加電圧を増加させて絶縁抵抗値を測定する。印加電圧の増加により絶縁抵抗値に低下が見られるときは、測定物の絶縁劣化が考えられる。(共立電気計器株式会社の用語集より)

ステップ波(すてっぷは)

電圧が突然変化する波形。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

ストップウォッチ(すとっぷうぉっち)

(stopwatch) 時間を測定する機器。計測器ではないが、ノギスやマイクロメータなどの寸法計測器(精密長さ測定器)とともに原子力発電所(原発)などのプラントの施工・保守で定期的に使用される。そのため、計測器レンタル会社は(ストップウォッチは計測器ではないが、他の多くの計測器と共に定検で使用されるため)保有している場合がある。 計測器情報:ストップウォッチの製品例

Streamline(すとりーむらいん)

キーサイト・テクノロジーの「コンパクトUSB計測器」と称されるPCとUSB接続して使用する測定器群の通称(愛称)。2010年代後半に発売され、IQ信号任意波形発生器、オシロスコープ、ベクトル・ネットワーク・アナライザなどのラインアップがある(2021年4月現在)。特に2018年以降ネットワークアナライザの機種数が増えた。「Windows 7 または 10(64ビット)の PCとUSB3.0で接続するだけで、ベンチトップ型の計測器相当の高性能を省スペースで実現できる」ことが売りである(同社製品カタログ5992-2994JAJP 0000-08cSより) 。

ストリング(すとりんぐ)

(string) 複数枚の太陽光パネル(セルが集まったモジュール)を接続して構成した直列のブロックのこと。複数ストリングを並列にした単位がアレイ。セルやモジュールは電池で良く使う用語だが、ストリング、アレイは太陽光発電特有の用語。参考記事:【展示会レポート】JECA FAIR 2019(第67回電設工業展)。戸上電機製作所の太陽電池パネルの故障箇所を特定する測定器、ストリングトレーサ SPST-A/B 、セルラインチェッカ SPLC-Aを取材。

ストレインアンプ(すとれいんあんぷ)

(strain amp)ひずみゲージからの抵抗変化を電圧信号に変換し増幅する増幅器。センサであるひずみゲージの微弱な信号をデータロガーなどで記録できるように増幅する。strain:ひずみ。エー・アンド・デイ(旧三栄測器、NECアビオニクス)は「ストレンアンプ」と表記している。またシグナルコンディショナと呼ばれることもある。共和電業はひずみゲージの電源が交流ブリッジ方式のストレインアンプを「動ひずみ測定器」と呼んで、直流方式と区別している。エー・アンド・デイはどちらもストレンアンプ(またはシグナルコンデイショナ)と呼んでいる。

ストレインゲージ(すとれいんげーじ)

荷重、ひずみを測定するための力学的センサー。(=ひずみゲージ)

ストレー電流(すとれーでんあつ)

耐電圧試験器など、高電圧交流を取り扱う際、計測用配線の静電容量を通して電流が流れ、測定誤差が発生してしまう。この静電容量を通じて流れる電流を「ストレー電流」という。高性能の耐電圧試験器では、ご差分をキャンセルする、オフセットキャンセル機能を搭載している。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

ストロボフラッシュ(すとろぼふらっしゅ)

高速運動物体の撮影時や夜間の道路を遠距離照射する照明。

sniffer(すにふぁー)

1990年頃に使われていたLANプロトコルアナライザの通称。当時はLANの導入・普及期で、各種のLAN機器が多くのメーカから発売され、LANのプロアナは重宝された。米国のNetwork General社が1986年にSnifferをリリース。1987年には東陽テクニカが国内の代理店権を獲得しSnifferの国内販売を開始。1989年に東陽テクニカは日本語化したラップトップモデルの販売を開始し、ネットワークの基礎からトレーニングを行う「Sniffer University(1996年から)」も好評で、国内で多くの販売実績を残した。LANのプロアナは国内の通信計測器メーカである安藤電気やアンリツもつくったがほとんど売れずに、LANプロアナといえばSnifferというくらい普及した。当時のSnifferはその時代の最先端のPCにソフトウェアを内蔵した構成で、外観はまったく可搬型のパソコンだった。そのためPCの変遷に合わせてモデルが毎年のように変わった。とうとう最後はハードウェアは無くなり、CDなどのメデイア媒体でソフトウェアを提供し、ユーザの保有するPCがLANプロアナになるという形態になった。その後、LANの普及が進むとオンラインモニタができるフリーソフトが出てきて(LANも円熟したのでプロトコル解析の需要は減少して少なくなり)、LANプロアナは計測器としては終焉した。 Network General社は現在はClearSight Networks社として100ギガビットイーサネットに対応するSynesisなど、「より高速のネットワークに対応するパケットキャプチャ装置」に注力している(プロアナの2極化、低速のラインモニタと高速のプロトコル解析機器の例といえる)。販売は引き続き東陽テクニカがしている。 ネットワーク機器の仕事を経験した年配の技術者は、いまでもLANプロアナのことを「スニファー」という。逆にスニファーと聞いて「1980年後半から1990年代に活躍したLANプロアナ」だと、瞬時に理解できないと、この年配技術者との会話は成立しない。このように計測器の通称を知っていることが、計測器業界(村社会)で粛々と仕事をこなすための基礎知識・スキルである。 参考用語:ギガビットLAN 参考記事:東陽テクニカ自社開発の大容量パケットキャプチャ/解析システム「Synesis」100GbE回線対応モデル・・ClearSight Networks社の100ギガビットイーサネット製品を取材。

スニファー(すにふぁー)

(sniffer)1980年後半から1990年代に普及したLANプロトコルアナライザの代表モデルの通称。LAN プロアナといえばスニファー、CANバスアナライザといえば Canalyzer (キャナライザ―)、というように、計測器の機種群(カテゴリー)を代表する名称として、特定メーカの通称が計測器のカテゴリー名のように呼称された例である。 一般にはsnifferは「においをかぐこと」で、 「嗅覚性探知機」などの説明もある。LANアナライザのsnifferがLANのデータをかぎまわって明らかにすることをイメージして命名したかは不明である。 参考用語:sniffer 参考記事:東陽テクニカ自社開発の大容量パケットキャプチャ/解析システム「Synesis」100GbE回線対応モデル・・snifferをつくった米国のNetwork General社の現在の主力製品。

SPICEシミュレータ(すぱいすしみゅれーた)

SPICEは1970年頃に米国カリフォルニア大学バークレー校で、ICの設計検証を目的として開発された回路シミュレーション・プログラム(電子回路シミュレータ)。Simulation Program with Integrated Circuit Emphasisの略で、「集積回路に重点をおいたシミュレーション・プログラム」という意味。SPICEはソースコードが公開されているため、1980年代後半には各種の改良が加えられた商用SPICEが複数のベンダから発売され始めた(Spiceシミュレータと呼ばれる)。パソコン用に商用化されたのがPSpice(ピースパイス)で、米国の半導体開発用ソフトウェア(EDA)企業であるケイデンス社などがつくっている。LTspice(エルティースパイス)はAnalog Devices(アナログ・デバイセズ)社が開発したSpiceシミュレータで、スイッチング・レギュレータのシミュレーションでは通常のSpiceシミュレータより高速といわれている。リニアテクノロジー社にはLTspiceⅣ(エルティースパイス4)というモデルがある。アナログ・デバイセズやリニアテクノロジーというアナログ半導体メーカがつくっているということは、「SPICE(Spice)は、電子回路のアナログ動作をシミュレーションするソフトウェア」といえる。 趣味の電子工作の月刊誌「トランジスタ技術」の2021年10月号の見出しは「無償PSpice・LTspice回路動作フル解析ツール」である。

スピードガン(すぴーどがん)

球速を測定する機器。速度計の1種。