計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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水分(すいぶん)

[水分用語]水の形態を問わず液体の水または水蒸気を表わすために通常用いられる。「水分」は、また、物質に吸収、あるいは結合している水の意味で特に用いられる用語でもある。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)

水分活性(すいぶんかっせい)

(water activity)[水分用語]物質の水分活性(略記:Aw)とは、吸湿性の物質(例えば食物のようなもの)が置かれている密閉空間において究極的に到達される相対湿度のこと。これは0%~100%の代わりに無次元の0から1のスケール(単位なし)で表されることを除けば、平衡相対湿度(%RH)と同じである。水分活性は特に食物の原料に関連して用いられる。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)

水分含有量(すいぶんがんゆうりつ)

[水分用語]液体あるいは固体中に保持される水の比率を表す用語。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)

水分計(すいぶんけい)

水の含有率を測定する機器。科学分析機器の1種。原理によって電気の特性を利用するものと、光を利用するものがある。前者は電気抵抗値や電気容量を測定して水分に置き換える。後者は光の吸収度合いを調べる。測定対象によって、材木用、穀物用、紙用などがある。通販で購入できる小型・安価なものから据え置き型の測定器まで様々。ケット科学、アズワン、島津製作所などがつくっている。固体の水分量を測定するのが水分計で、気体中の水分量の測定は露点計で行う。同じ水分測定でも対象物やアプリケーションによって使う測定器は異なる。水分の測定ならすべて水分計ではない。このあたりが素人には難しい測定器の世界である。

水平確度(すいへいかくど)

オシロスコープの横軸(時間軸)の確度のこと。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)には「水平確度(時間軸):水平システムが信号のタイミングをどれだけ正確に表示できるかを示し、通常、パーセント誤差で表す。」と説明されている。

水平軸掃引(すいへいじくそういん)

波形を描くための水平システムの動作のこと。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

水平システム(すいへいしすてむ)

信号発生器内の水平軸を制御するシステム。サンプル・レートを制御することにより、出力信号の周波数を定義する。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

水平分解能(すいへいぶんかいのう)

非接触温度計のサーモグラフィカメラ(熱画像計測器)の用語としては、「熱画像上で水平方向に識別し得る縦縞の本数で表したもの(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)」。

水平軸分解能(すいへいぶんかいのう)

信号発生器で、波形の生成に使用できる最小の時間間隔。エッジ、サイクル時間、パルス幅をその分量だけ変更できる時間の最小間隔。別名:時間分解能。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

水冷エアーパージ(すいれいえあーぱーじ)

非接触温度計(放射温度計、サーモグラフィー)の検出部を、高温や粉塵煙などの悪環境下で使用する場合、装着するオプション。冷却は冷却水の循環により行い、粉塵は清浄なエアーの吹き出しにより除去する。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

ズーム機能(ずーむきのう)

(zooming function) 小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。通常のFFT解析では、0から周波数レンジまでの範囲をライン数分(例えば800ライン)解析するが、任意の中心周波数で、ある周波数スパンで分析する機能をズーム機能とよぶ。この機能を使うことにより、高い周波数帯域でも高周波数分解能(⊿fが小さい)の分析が可能となる。このときデータの取り込み点数はズーム倍率分必要になるので時間がかかる。 現在、スイッチング方式の直流安定化電源の主力機種群となったワイドレンジ電源は1990年代に高砂製作所が発明した。同社は「ズーム機能がある、広い出力範囲の電源」(ズーム電源)と銘打ってリリースした。同社のワイドレンジ電源の品名はズーム電源(ズーム機能がある電源)である。

ズーム電源(ずーむでんげん)

(DC power supply with zoom function) 広い出力範囲を持つ計測用DC電源の名称。主に高砂製作所の製品の品名になっている。 一般的な直流安定化電源は単一のレンジを持ち、出力できる範囲を電流と電圧で規定している。たとえば高砂製作所のGPシリーズの「GP035-5」は「出力電圧0~35V、出力電流0~5A」で、電圧/電流を最大35V/5Aまでの範囲で自由に設定できる。つまり35V/5Aレンジの製品である。ユーザが望む(使いたい)電圧と電流の組み合わせは多様なので、計測用電源メーカは同じシリーズ(たとえばGPシリーズ)でも多くのモデル(電圧/電流の組み合わせ)をラインアップしている。これは大きなレンジのモデルが小さなレンジのモデルの代わりにはならない(大は小を兼ねない)ことを意味する。ユーザは何種類もの電源を用意するため、電気エンジニアの実験室には多くのDC電源が保有されている。 最新の計測用電源を率先して開発・リリースしてきた高砂製作所は「一定範囲の中で焦点を合わせられるカメラのズーム機能のように、ある程度の電圧・電流範囲を1台でカバーする広い出力の電源があれば、従来の単一レンジの複数台を1台にでき、資産がスリム化され顧客に喜ばれる」と考えた。電圧・電流の最大値でなく電力(容量)で仕様を規定した、新しいコンセプトの「ズーム電源」EXシリーズを1991年に発売した。機能を進化したエンハンスド・モデルやシリーズ化を進めて、EX Ⅱ、HX、ZXなどを発売し、現在はZX-S、KX-Sの2シリーズをラインアップしている(2023年6月現在)。 ズーム電源の登場によって、同業の菊水電子工業やテクシオ・テクノロジーなどが同しコンセプトの電源を「ワイドレンジ電源」の名称で発売した。「電力で規定したスイッチング方式の直流安定化電源」は2010年代には各社の主力製品となった。「ワイドレンジ」(キーサイトは「オートレンジ」と呼称)はDC電源の新しいカテゴリーとして確立した(ズームと呼称しているのは高砂製作所だけで他社はワイドレンジが多いため、当サイトでは「ワイドレンジ」と呼ぶ)。 計測器情報:ズーム電源の例

据え置き型(すえおきがた)

計測器の分類で、形状によるもの。大きく据え置き型と可搬型の2つがある。多くの計測器は据え置き型で、実験室や標準室に設置して、移動させずに使用する。計測器が精密機器であるゆえんである。据え置き型はベンチトップとほぼ同義。据置型とも表記される。対する可搬型は屋外での使用を前提に電気作業員が可搬して測定をする形状のもの。メガー(絶縁抵抗計)などは可搬型だけで据え置き型はない(安全規格の絶縁測定器は据え置き型)。可搬型はハンドヘルドとほぼ同義。

SCSI(すかじー)

Small Computer System Interface の頭の文字をとった言葉。パソコン本体と周辺機器の接続方法の取り決めのことで、ANSI(アメリカ規格協会、または米国国家規格協会、アンシーと呼称)によって規格化されている。HDDやCD-ROMなどとPCの通信インタフェースの規格として1986年~1992年にいくつかの名称の規格が制定されている。 計測器情報:SCSIが品名につく製品の例

スカラネットワークアナライザ(すからねっとわーくあならいざ)

振幅のみを測定する安価なネットワークアナライザ。

SCPI(すきっぴー)

(Standard Commands for Programmable Instruments)自動計測に使用される計測器のコマンドを統一して1990年に制定された。1999 年改訂のIEEE488.2-1999 規格に含まれている。計測器メーカが集まり策定された、測定器を制御するコマンド言語である。

スキャナ(すきゃな)

(scanner) 計測器でスキャナとは、切り替え器、マルチプレクサなどの製品群を指す。カテゴリーはデータ集録機器(データロガーなど)で、キーサイト・テクノロジーのスイッチ/コントロールユニットなどがある。エーディーシーも古くから(アドバンテストの時代から)、多チャンネル温度測定&記録の機種群でスキャナをラインアップしている。同様に多チャンネルの測定・記録をする測定器として、ひずみ測定器がある。東京測器研究所や共和電業にスキャナ製品がある。耐電圧試験でも高電圧スキャナや高圧スキャナという品名の製品がある。菊水電子工業の製品総合カタログ(安全機器に関する用語)には、「スキャナ:耐電圧試験器などで、複数点の測定を行えるように、測定点を切換できる機器。高圧リレーなどで構成される。たとえばTOS9220シリーズ。」とある。

スキャンツール(すきゃんつーる)

自動車の故障診断の仕組みであるOBD(On Board Diagnostics)で使われる計測器の1つ。OBDコネクタ(DLC)に接続しECUやDTC内部の情報を読み出す。株式会社アルティアはタブレット型スキャンツール SSS-T2+ (スリーエス-ティーツー プラス)などを販売している。参考記事:技術情報・レポート/市場動向レポート/「自動車の品質をより良くするために~リコール制度について」https://www.techeyesonline.com/tech-eyes/detail/TechnologyTrends-2111/

スコープ(すこーぷ)

(scope)翻訳すると、「目で見える範囲、視野」のことだが、計測器では「見る機器」、「観察・観測するもの」という意味で使われる。計測器の代表であるオシロスコープ(oscilloscope)は「発振(oscillation)の観測器(scope)」の造語といわれる(発振器の信号波形、周波数の観測をすることが語源という説がある)。telescopeは遠く(tele)を見る機器(scope)なので望遠鏡、逆にマイクロスコープ(microscope)は小さい(micro)範囲を見る機器で、顕微鏡のことである。periscopeは(潜水艦の)潜望鏡や(塹壕で使う)展望鏡のこと(periは周辺の意味)。 計測器でスコープの代表はオシロスコープとマイクロスコープである。正確にはスコープはテスタやメータのような「数値を計測する」ものとは違い、「観察、観測」する機器である。オシロスコープは電圧の時間変化を波形表示する。横軸の時間は大変精度が良いが、A/Dコンバータの分解能はハンドヘルドのDMMよりも劣っていて、デジタル表示された電圧値は2桁までしか信用できない(最近の高分解能オシロスコープはこの点が改善された)。 そんなに精度が悪くて良いのかというと、波形を観測・観察するスコープであって、(数値を測定するものではないので)それで良い。高速AD変換器を使ったデジタルオシロスコープの誕生から約30年、分解能がずっと8ビットだったのは、ビット数を増やす必要(需要)が無かったからである。その意味では最近(2012年以降)の高分解能オシロスコープは精度よく電圧が測定できるので、オシロメータ(オシロテスタ)である。高分解能モデルの登場によって、やっとオシロスコープは電圧を正確に測定できる、正式な計測器の仲間入りをしたといえる。 microscopeを日本語にすると顕微鏡だが、日本語のマイクロスコープを英語にするとmicroscopeである。日本では「顕微鏡」というと通常は光学顕微鏡(optical microscope)を指し、接眼レンズと対物レンズで微小な物体を拡大して観察する機器のことである。光源としてレーザーを利用するレーザー顕微鏡もあるが、一般には可視光を利用しているものを指し、実体顕微鏡も含まれる。マイクロスコープは対物レンズのみで、接眼レンズに相当する部分がデジタルカメラになる(「デジタルマイクロスコープ」と呼称するメーカも多く、デジタルカメラを搭載した顕微鏡がデジタルマイクロスコープともいえる)。 またマイクロスコープは通常、観察対象をモニターに映す(顕微鏡のように筒を覗かない)。そのためマイクロスコープを「モニタースコープ」と呼称する場合もある(ハンドヘルドの工業用内視鏡をモニター付きスコープ、ということでモニタースコープと呼称している例もある)。試料に電子線を当てる電子顕微鏡(SEM、セムと呼称)は原子レベルまで拡大した観察ができる(水平分解能:約1nm)。その次に倍率が高いのがレーザー顕微鏡とデジタルマイクロスコープといわれる(数10nm~1mm)が、マイクロスコープはより光学顕微鏡に近い性能、という解説もある。これらの○○顕微鏡やマイクロスコープは用途によって使い分けられている。英語はmicroscopeだが、日本では顕微鏡とマイクロスコープは別の製品である。 テレメータ(telemeter)は遠隔地の測定データを測定する機器で、データロガーと同じデータ集録機器の1種である(遠くを見るテレスコープではなく、遠くを計測するのがテレメータ)。

スコープコーダ(すこーぷこーだ)

(scope coder) 横河計測のメモリレコーダ(現在のレコーダの主流の、メモリに蓄積して表示するデジタル式のレコーダ)の品名。通称(現在の同社では形名)は同社のオシロスコープ(オシロ)と同じDL。実体はレコーダだが、オシロと同じ名称をつけたのにはメーカ内部の深い事情が推察される。横河には2系統のレコーダがある。 まずは工業計器のセンサとして主に温度を記録するもの。横河電機はIA(インダストリー・オートメーション)/FA(ファクトリー・オートメーション)の会社なので、プラントや工場の温度を記録する目的のレコーダをソリューション部門がラインアップしている。特長はペーパーレスで、離れた場所の中央監視室(制御室)にデータを送る。本体や表示画面は無く、入力信号の種類別のモジュールを電源モジュールなどにスタック(横に重ねて付けて伸ばしていく)ようなタイプもある。工場内のデータ集録を第一の主眼にしている。同業者の代表メーカはチノーなどで、いわゆる電気計測器メーカではない。 次が計測器の主流であるレコーダ。日置電機のメモリハイコーダや、エー・アンド・デイ (旧三栄測器)のオムニエースのような、計測器としての記録計の王道の機種群。ここに位置するのがスコープコーダで、横河電機の計測器事業部だった現横河計測がつくった。横河のレコーダというと前述の工業計器のレコーダ(μRやDARWIN)が一番に連想されるので、そうではなく計測器事業部が作った(計測器としての)レコーダである、と計測器事業部の看板商品のDLの名前を付けたと筆者は推測している。そのため、レコーダなのに、オシロです、という体をしていた。 あるレンタル会社はDLという名前に配慮して、オシロのページにスコープコーダを掲載していた。ところが横河計測のホームページでは「オシロ/波形測定器」ではなく「データロガー/データ収集(DAQ)」の項目に「高速データロガー」の注釈で掲載されていた(2023年2月現在)。スコープコーダは「レコーダのようなオシロ」(つまりレコーダではなくオシロであるという主張)で登場したはずなのに、一体いつオシロからレコーダに豹変したのか!と筆者は驚いたが、2023年10月現在、オシロとデータロガーの両方のページに掲載されている。つまりオシロでもありレコーダでもある(両方のいいとこどりをした、中間の仕様の製品)という趣旨である。 スコープコーダの前身の1種にオシログラフィックレコーダ(OR1400など)というオシロのような品名のレコーダがあった。このように横河の計測器部門にはレコーダとオシロの混血のような品名が登場する。「スコープコーダはAR(アナライジングレコーダ)の後継である」とメーカはその出自を説明している(参考記事を参照)。 当サイトのカテゴリー(機種分類)では、オシロの中に「レコーダオシロ」という分類をつくり、スコープコーダを掲載している(DLという名称やメーカの趣旨に沿って、特別にこの分類を作成した)。 2010年代にオシロの3大メーカ(テクトロニクス、キーサイト・テクノロジー、レクロイ)はADコンバータが8ビット以上の高分解能オシロスコープを発売したが、横河計測には12ビット分解能のスコープコーダがあるので、同社は前3社と同様な高分解能オシロスコープをラインアップしていない(参考記事の8チャンネルオシロを参照)。ただし、2023年5月に初めての8ビット以上のモデルDLM5000HD(12ビット分解能)を発売した。高分解能モデルと同様に2017年~2020年にかけて多チャンネルオシロの発売が続いた(前述3メーカは横河計測がオンリーワンだった8chモデル市場に参入した)。横河計測は8chの最新モデルDLM5000を2020年8月に発売したが、アナログオシロ時代の老舗、岩崎通信機は同年11月に12ビットの8chモデル、DS-8000を発売した。前述3メーカの8chモデルも同様に10~12ビットの高分解能で、唯一横河計測だけが従来の8ビットだった。テクトロニクスはミドルクラスのオシロのラインアップは高分解能(8ビット以上)が標準である(2023年現在)。つまりオシロの主流は知らない間に高分解能になっていた。