計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ZAX(ざっくす)

1980年代~1990年代にあったICEメーカ(計測器メーカではなく、ICE専業メーカ)。製品に印刷されている表記は「ZAX Corporation」、日本語の正式な会社名は今では不明。 ロゴは「ZAX」で、コアなファンがいた。製品の名称は以下のような命名。IN-CIRCUIT DEBUGGER(ICD) 178 for i8048、ICD 178 FOR Z80、ICD 278 FOR Z80 Emulatable up to 8MHz、ICD 378 FOR 68000/68010、IN CIRCUIT EMULATOR PROBE ERX318P FOR 80186/80188、IN CIRCUIT EMULATOR PROBE ERX318P FOR 68000/68010。本体(ICD)の形名は178、278、などがあるが、対象CPU(インテルの8048、ザイログのZ80、モトローラの68000など)ごとにERX318Pなどのプローブがあった。当時のICE(フルICE)は本体とCPUごとにつくられたオプション(ポッドやプローブと呼称)で構成された。ZAXの本体外観はただの箱で、操作部や表示部は無いので、PCにつないで制御した。それまでのICEは本体に表示画面やボタンがあるスタンドアロン型が主流だったため、ZAXは早くからPC制御モデル(PC接続型)を開発したといえる。計測器メーカとして早くからICE(形名AE-4132B/4133Cなど)を手掛けていた安藤電気は、1990年頃にZAXと提携していた時期がある。安藤電気はZAXと似たようなコンセプトの新シリーズICEを発売したが、ヒットしなかった。 同時期の1990年に横河電機が横河デジタルコンピュータにICE事業を移管してadviceシリーズを発表した。ICEは計測器メーカではなく、ICE専業メーカが主流となり、ベンチャー企業のソフィアシステムズのMultiSTAC、UniSTACとadviceが2強として競う時代になっていった。ZAXも安藤電気も2000年頃にはICEを生産中止(消滅)している。ZAXより後発ながら、大手電機メーカに採用されていたICEに岩崎技研のPROICE(プロアイス)があるが、ZAX同様にもう会社は無い。他にBITRAN(ビットラン)社もユニークな製品をつくっていた(同社の現在の主力は画像処理などの映像関連機器だが、JTAG製品の現役モデルが2022年現在もある)。

SAT(さっと)

(Scanning Acoustic Tomograh) 超音波映像装置。超音波で物体を走査し、内部を映像化する装置。非破壊検査(NDI)機器の1種で、超音波探傷検査(UT)を応用した検査機器。

差動(さどう)

(differential) 電気信号の伝送方式には大きくシングルエンドと差動(ディファレンシャル)がある。信号線が1本で、グランドとの電位差によって信号を伝送しているのがシングルエンド(single-ended signalling、最後まで1本で伝送する方式)。2本の信号線を使い、1本にはプラスの信号を、もう1本にはマイナスの信号を送り、差分で1か0を表現するのが「差動」。2本の信号線はどちらも接地されない(信号がグランドレベルに左右されない)ため、シングルエンドに比べてノイズに強く、長距離、高速通信に向いている。具体的にはシリアル通信のRS-422、RS-485などの規格がある。技術の進歩によって従来より低い電圧で伝送が可能になり、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)のような省エネの低電圧差動伝送が普及した。 オシロスコープのプローブも大変良く「差動」という用語を使っているが、有線通信の分野では平衡とも呼ばれる(1本には伝送したい信号を、もう1本にはその信号の逆位相信号を送ると、信号が平衡関係にあるため)。1本の信号線は平衡していないので不平衡(unbalance)と呼ばれる(つまりシングルエンド=不平衡)。差動(differential)=平衡(balance)で、両方は全く同じことを違う表現をしている。「(2本の)差動(差分で送る)」と「シングル(1本で)エンド(最後まで伝送)」という表現が差動とシングルエンドの語源である。見方を変えると「(2本の線が)平衡(している)」、「(1本なので平衡していない、つまり)不平衡」という表現になる。 平衡、不平衡はまだわかりやすいが、差動、シングルエンドはもっと違う表現が無かったのだろうか(元の英語に原因があり、日本語への翻訳が問題ではない)。原理を正確に理解していないとこの2語が対になっていることは全く想像できない。オシロスコープメーカの資料には(何の前置きや注釈も無く)「シングルエンド」や「差動」という単語が出てくる(そんな単語は知っていて当然というか、知っていることを前提に説明が進む)。たとえば「1本伝送」、「2本伝送」という言い方で、有線通信もオシロスコープも統一してくれたら、計測入門者(初心者)にはどれだけわかりやすいことか。計測は知識のある人でないと理解が難しい、同じ知識を共有している人たちのニッチな村社会である(逆に言うと、限られた人たちのツウな世界)。

差動出力(さどうしゅつりょく)

信号発生器の出力で、振幅が同じで位相が180°ずれた同一の信号を伝送する出力。振幅はグランドに対してではなく、お互いを基準として測定される。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

差動増幅器(さどうぞうふくき)

2つの信号間の電位差を増幅する機器。

差動プローブ(さどうぷろーぶ)

差動入力型の電圧プローブ。オシロスコープ本体によっては電源が必要となる。

サブサーフェスイメージング(さぶさーふぇすいめーじんぐ)

(subsurface imaging) subsurface(表面の下、地下)の内部構造をimaging(画像化、映像化)する技術の総称。その分野で画期的なシステムである磁気イメージング装置を神戸大学の木村教授が開発している(神戸大学の大学ベンチャー企業、IGS:Integral Geometry Science Inc.が商品化)。動作中の電子部品内部の電流経路の高分解能映像を実現して、リチウムイオン2次電池の研究開発などに導入されている。非破壊検査だけでなく、医療画像診断などにもこの技術は応用されている。 磁気を使った非破壊検査では渦流探傷(渦電流探傷)があるが、金属表面の傷の検査が主目的である。

三栄測器(さんえいそっき)

1948年に創業し、1983年まであった老舗の計測器メーカ。正式な会社名は三栄測器株式会社。「レコーダのサンエイ」として有名で、東京都小平市(天神町など)に工場があった。計測器(記録計など)とME機器(医療機器)の事業をしていた。計測器はレコーダとアンプ(絶縁アンプやひずみアンプ、シグナルコンディショナ)があり、横河電機製作所(YEW)の計測器と似たラインアップである。計測器の代表的な機種群である記録計の主要なメーカは、1970年代までは横河電機、三栄測器、渡辺測器(現グラフテック)の3社である(日置電機がメモリハイコーダの初号器8801を発表したのは1983年)。3社のレコーダには各社特長があるが、3社ともに「レコーダの老舗で、わが社の歴史がレコーダの王道(当時としてはオシロスコープと並ぶ計測器の主要機種)」という自負が伺える。三栄測器のレコーダはオムニエースの通称(形名RT1000~RT3000、RA1000など)で普及した。鉄道関係に強く、たとえばひずみアンプAS1803Rは対ノイズ性能が高く、新幹線の応力測定で採用されている。 自動車メーカが多く採用していたDEWETRON(デュートロン)社のデータロガーの販売代理店を1990年代にしている。2007年頃に販売契約は無くなり、三栄測器(当時はNECが資本参加して社名は「NEC三栄」)はDEWETRONと競合するモデルを開発している。NEC三栄でDEWETRONを販売していた部署(特販部)は独立してデユートロン・ジャパンになった(現在はデュージャパン株式会社で、DEWETRONから分離したDEWEsoftを取り扱っている)。 NEC三栄は非接触温度計(サーモグラフィ)もラインアップしていた。同じくNEC系列でサーモグラフィをつくっているNECアビオニクスに、NEC三栄の計測器部門は吸収された(同社のME機器はNECの医療部門に統合吸収されている)。後にサーモグラフィ以外の計測器(レコーダやアンプ)は株式会社エー・アンド・デイ(秤などの計量器のメーカ)に譲渡された。結果だけ見れば、NECの事業再編によって、サーモグラフィをNECグループ内に強化し、それ以外の三栄測器の創業からの計測器は売却された。レコーダやアンプはエー・アンド・デイの工業計測機器として現在もラインアップが健在で、2020年3月にはデータアクイジション装置RA3100を発売している。 三栄測器の計測器は社名変更が多いので、以下に概要を述べる。1971年11月にNECが資本参加。1983年4月にNEC三栄株式会社に社名変更。2006年6月に日本アビオニクスがNEC三栄を子会社化。2008年4月に社名をNEC Avio赤外線テクノロジー株式会社に変更(計測の老舗である三栄の名前は消滅)。2012年10月に日本アビオニクスがNEC Avio赤外線テクノロジーを吸収合併。2013年4月に三栄インスツルメンツ株式会社設立(旧三栄測器の営業マンが日本アビオニクスから独立)。2015年7月に株式会社エー・アンド・デイに計測事業(レコーダやアンプ)を譲渡。2021年4月にエー・アンド・デイは三栄インスツルメンツを吸収合併。こうして、三栄測器の計測器はエー・アンド・デイの工業計測機器として存続している。 参考用語:動ひずみ測定器、 計測器情報:レコーダ(オムニエース)の製品例、ACストレインアンプASシリーズ、チャージアンプAG3103

酸化還元電位差計(さんかかんげんでんいさけい)

酸化体と還元体の活量比(濃度比)を測定する機器。別名:ORP計。ORP(Oxidation-Reduction Potential)の日本語は「酸化還元電位」。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】IIFES(アイアイフェス)2022の3ページ目・・東亜ディーケーケーの水質計(ORPに対応)を取材。 計測器情報:ORPが名前に付く製品の例、東亜ディーケーケーの水質計

三角波(さんかくは)

(triangular wave) 数値が大きくなる傾きと小さくなる傾きが同じで、山のように頂点を持ち、三角形をした信号のこと。上昇時と下降時の傾きが違うと「のこぎり波」と呼ばれる。三角波やのこぎり波、方形波などの(正弦波を含む)各種の信号をつくれるのがファンクションジェネレータ(略記:FG)である(AWGでも可能)。 台風のときに海上では進行方向の異なる二つ以上の波が衝突して、波高が尖った三角形の波ができることがある(choppy sea、波立つ海)。これを三角波(さんかくなみ)と呼ぶ。電気の世界では「三角波」は「さんかくは」と呼んでいる。

産業用超音波カメラ(さんぎょうようちょうおんぱかめら)

2019年5月にフルークが発売した、気体漏れ箇所を可視化するii900の品名。64個のマイクを装備し、SoundSight™ テクノロジーで漏れの大きさを紫から赤までの色で表現し、音の発生場所を直観的に認識できる。2020年には2モデル目のii910音響イメージャーを発売している。ii900と基本性能がほぼ同じものが2016年に国内の計量・計測器メーカ、JFEアドバンテックからMK-750エアリークビューアーとして発売されている。

3軸プローブ(さんじくぷろーぶ)

ガウスメータと一緒に使用する3方向用センサー。

三次元空間測定器(さんじげんくうかんそくていき)

プローブが互いに直角なX軸・Y軸・Z軸の各軸方向に移動し、空間座標を読み取って、形状の複雑な製品の直角度・同軸度等を測定する機器。

3出力電源(さんしゅつりょくでんげん)

1台で出力数3chの多出力直流電源。

産総研(さんそうけん)

(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology ) 「国立研究開発法人産業技術総合研究所」の通称。産業技術総合研究所は、独立行政法人として設置された経済産業省所管の公的研究機関。日本に3組織しかない特定国立研究開発法人の一つ(※)で、1982年設立。英語を略記したAISTや産総研の表記が多い。特に会話では「産総研」と呼称されている。 物理量のトレーサビリティは日本の国家標準である産総研につながっている。産総研は質量の基準であるキログラム原器など、多くの標準器を保管している。 (※)日本にある87の独立行政法人の内、国立研究開発法人は27、特定研究開発法人は3しかない。

三相3線式(さんそうさんせんしき)

電力会社から電気を引込む方式の1つで、三相電力の配線方法には3線式と、三相4線式がある。三相3線はその名の通り3本の配線でつなぐ。電圧はAC200V(または400V)で、建物は店舗、ビル、工場(一般家庭ではない)、用途はモータ、ポンプ、三相エアコンのような工業用電気装置である。参考用語:単相2線式、単相3線式

三相4線式(さんそうよんせんしき)

電力会社から電気を引込む方式の1つで、三相電力の配線方法には4線式と、三相3線式がある。三相4線はその名の通り4本の配線でつなぐ。電圧はAC240Vや460Vなどで、建物は大型ビル、工場店舗(一般家庭ではない)、用途は電灯や、モータ、ポンプのような工業用電気装置である。参考用語:単相2線式、単相3線式

酸素濃度計(さんそのうどけい)

大気中に含まれる酸素(O2)の濃度を測定する機器。(=O2計)

3端子法(さんたんしほう)

(three-terminal method)一般にテスタなどで抵抗を測定する場合は2本の線で測定対象(DUT)に接続する。これを2端子法と呼ぶ。2端子法の配線にシールドを加えてシールド導体はガード端子に接続したのが3端子法である。浮遊容量の影響が抑えられて、10MΩまでの高インピーダンス測定ができる。ただし接触抵抗や配線の直列インピーダンスが残るため10Ω以下の低インピーダンスの測定には向かない。3端子法を「シールデッド2端子法」(シールドされた2端子法)と表現している文献もある。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。

3P-2P変換アダプタ(さんぴんにぴんへんかんあだぷた)

(3P-2P conversion adapter) 3Pの電源プラグを2Pの電源プラグ(一般家庭用コンセントの形状)に変換するもの。3P/2P変換アダプタ、2P-3P変換アダプタ、3P-2P変換プラグ、NEMAプラグなどの呼称(表記)もある。計測器などの精密機器はアース線がある3線(3芯)の電源ケーブルを採用している。商用電源の3ピンACコンセントにつないで計測器に電源供給することを想定している。ただし家庭のACコンセントは通常は2P(2穴)のため、計測器に付属している電源ケーブルの先を3Pから2Pに変換するアダプタが必要になる。 欧米などでは、一般家庭用の電圧が200V以上のことが多いため、感電防止の観点から、プラグに接地極を備えた3Pプラグの機器が普及している。日本は100Vのため、通常の家庭のACコンセントは2極(2穴)である。コンセントの3つ目の穴は、感電防止だけでなく電磁波を生む原因となる電場を抑えるために使われる。工場などのノイズが多い環境では機器に3Pで電源供給するのは基本となる。計測器を使う場合も2Pでなく3Pで使用することが望ましい。つまり、2PのACコンセントではなく3Pのコンセントが設備された場所(部屋)で使うことが推奨される。 企業のオフィスにPCが普及するのに伴い、ACコンセントは3Pが標準になった。IT機器用の電源タップ(電源の延長コード)も3P(アース線がある3穴)が多い。3P-2P変換アダプタはサンワサプライやamazonなどで販売している。