計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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高周波モデル電力計(こうしゅうはもでるでんりょくけい)

電力計の中で、計測器の主流であるデジタルパワーメータやパワーアナライザの老舗である横河電機(現横河計測)は、自社の電力計のラインアップの中で、1991年発売の形名2532以降のモデル、PZ4000、PX8000などを、自らの製品開発の歴史の中で「高周波モデル」と呼称している。参考記事:電力計の基礎と概要 (第3回)の3ページ目 【インタビュー】横河計測の電力計事業への取り組み・・横河計測が今までに開発した電子式ベンチトップ型電力計の図がある。 計測器情報:PZ4000の製品情報、PX8000の製品情報

校正(こうせい)

(calibration) 計測器が正常であるか否かを試験すること。ユーザ(使用者・管理者)が決めた校正周期に従って定期校正を行うことによって、計測器の品質管理の根拠となる。日本産業規格のJIS Z 8103 : 2000では、「計器(又は測定系)の示す値、もしくは実量器(又は標準物質)の表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業」とある。近年は「不確かさ」という考え方の導入が進み、校正対象の機器と標準器の値に差があっても、単にその値を校正データシート(校正作業の結果を証明するエビデンスのシート)に表記するのではなく不確かさを表記する例も増えている。 校正とは、標準器と測定器(校正対象)の値に差があったら測定器の値を標準器に合わせて変更する(つまり調整する)、と思われがちだが、校正には、計器を調整して誤差を修正することは含まない(上記のJISの規定は、被校正器と標準器の「関係を確定する」であり、被校正器の値を標準器と同じになるように合わせる、とは一言もいっていない)。そのようなことをしたら、その計測器がどのように精度を変化させていったかの履歴(経年変化)がわからない。標準器とはどれだけ差があるかをそのまま、記録していくことに意味がある(むろん、あまりにも精度を外れた測定値になれば、調整や修理の必要が出る場合もある)。使用者は校正データシート(別名:試験成績書)を見て、自分が使う測定器にはそのような差があることを理解することが大事である。定期校正を実施した測定器が精度が良くなって戻ってくると思ったら大間違いで、初心者は誤解しやすい。校正対象の測定器の測定値を標準器と同じ値になるように合わせてほしいなら、「校正と調整」を依頼する必要がある。 校正だけでなく調整をするかどうかは、その会社の計測器の精度維持管理の方針による。計測器は定期校正が必要だが、どんな規定に基づいて校正するか、使用する使用者、管理者が決めることが肝要になる。JISがいっているのは「関係の確定」であり、確定した関係によってどのような作業をするかはユーザの決め事である(調整をするな、とはいっていない)。 校正は古くは「較正」(こうせい)と書かれた(現在でも較正と表記している場合もある)。校正の英語であるcalibrationを日本語にした「キャリブレーション」という言い方も良くされている。両者はほぼ同義に使われていることが多いが、「校正は調整を含まないがキャリブレーションは調整を含む」、という解説もあるので、使用時に注意がいる。キャリブレータは「キャリブレーションするもの」なので校正器を連想するが、計装で使われるプロセスキャリブレータのことを指していることが多い(つまり、一般的な校正の機器ではなく、限られた特定の計測器を指している)。校正とか、キャリブレータとか、計測は独特の世界(村社会)である。 参考用語: 校正証明書、トレーサビリティ、トレーサビリティ証明書、 較正、ISO、JCSS、産総研、 ガードバンド、マルチキャリブレータ、コンパクトキャル 計測の校正(calibration)ではなく、一般に校正(proofreading)とは、文章の誤り(誤記)や、記載内容の不具合(不適切)を指摘し、原稿の修正案を作成することを意味する。こちらの意味の方がメジャーである。出版業界では、原稿が印刷された紙に赤ペンで修正指示を書き加えている。新聞社の編集部では毎日、何回も校正が行われ、執筆者が作成した原稿が印刷されて公に公開されるまでの重要な工程の1つが校正である。朱字(あかじ)修正、朱記(しゅき)訂正、などの表現もある。文章だけでなく、字句や記号の、体裁(サイズ、上付き文字など)、色彩までも含む。校正に似た熟語に校閲や査読がある。本稿は計測の用語集なので、文章の校正、校閲、査読の違については解説しない。

較正(こうせい)

(calibration) 計測器で行われている校正のこと。「較」(カクではなくコウ)は常用漢字の音訓表にない読みのため、「校正」と表記されることが多いが、校正のことを較正と表現している場合も多い。日本の法令の例を2つ示す。 計量法では「計量器の校正」を規定している。電波法ではTELEC(テレコムエンジニアリングセンター、旧MKK:無線設備検査検定協会)などが指定較正機関になっている。高周波電力計やスペクトラムアナライザなどのRF測定器の較正を担っている(総務省の関東総合通信局は、無線局の登録点検事業者制度を運用していて、各無線局のRF測定器はTELECなどで較正を実施する)。 このように、電波法では「較正」、計量法では「校正」と呼称(表記)している。

校正器(こうせいき)

(calibrator) 計測器を校正する基準器、標準器のこと。 日本語の校正は、英語ではcalibrationとproofreadingの2つがある。前者が計測器などの電気機器の品質の概念(精度・維持管理の手法)で、日本語でも「キャリブレータ(校正をする機器)」や「キャリブレーションキット(校正器のセット)」などのことばがある。proofreadingは文章などの文字の校閲・修正のことで、新聞社や編集部では原稿から記事をつくるための、重要な工程の1つである。一般に「校正」というとこちらをイメージする。 TechEyesOnline編集部は出版社として創業してはいないので、業界用語の「校正」ではなく、一般的な「校閲」や「査読」ということばを部内では使っている。出版業界では「原稿を校閲して正す」ことを、校正という専門用語にしている。電気や計測器よりも新聞のほうがメジャーなので、その業界で使われる専門用語である「校正」が庶民にも知られている。計測器の校正も同じように業界用語であるが、出版業界に比べたらマイナー(ニッチな用語)である。 キャリブレーションには「較正(こうせい)」という表記もあり、同じ業界でも分野によって「校正」と使い分けられている。テクニカルターム(technical term、専門用語)は細分化されていて難しい。

校正キット(こうせいきっと)

ネットワークアナライザで使用するアクセサリ。(=キャリブレーションキット)

校正機能(こうせいきのう)

(Calibration Function)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。別名:EU機能 (EU Function)。測定値は電圧値として読み取られるが、測定対象の加速度、圧力、音、などの信号の基準値が決まっていれば、電圧値を基準値に校正することにより物理量で読み取ることができる。例1:加速度ピックアップの感度が1m/s2 のとき100mVなら0.1V/EU(得られた電圧値を10倍)、単位を m/s2 にする。例2:マイクと音響校正器、騒音計の校正の場合は、パワースペクトルデータでオーバーオール(dB値)を校正値になるようにする。

校正係数(こうせいけいすう)

(Calibration factor) 高周波電力の測定に使用されるパワーメータ(高周波電力計)の周波数特性を補正する係数(K)で、通常[%]で表示され下式で与えられる。ここで、Pi : パワーメータへの入力電力[mW]、Pd : パワーメータが表示した電力[mW] である。

校正室(こうせいしつ)

(calibration room) 計測器の精度維持・管理をして品質を保つ行為である校正を行う施設(部屋)のこと。校正に使用される標準器が常設されているので、標準室や電気標準室、標準器室などとも呼ばれる。校正室にある標準器(計測器)は校正器と呼ばれる。 校正の結果は試験成績書(別名:データシート、校正のエビデンス)として保管される。不確かさによる校正( ISO/IEC 17025)では書類は校正証明書に集約されるため、試験成績書はつくられない。 校正器の世界的な計測器メーカとしては、フルーク(フルーク・キャリブレーション)が有名。校正室には同社の計測器がたくさん並んでいる。

校正周期(こうせいしゅうき)

計測器が正常であるか否かを試験することを校正というが、定期的な周期(=校正周期)を設定し、正常であることを確認する。これを定期校正とよぶ。「校正周期が過ぎた=機器が異常である」ということではない。一般的には製造販売元(メーカ)が推奨する期間を使用する。この期間は比較的短めに設定されているため、使用者(ユーザ)によってはメーカ推奨期間より長めに設定している製品もある。校正及び校正周期は任意であり、使用頻度が少ない製品を使っているユーザは自分で周期を長く設定している場合もある。つまり、校正をどう行うか、周期を製品ごとにどう設定するかはユーザが決めることで、あるメーカのモデルの校正周期がすべてのユーザで同じではない。 メーカや製品によっては、推奨校正周期について仕様に記載されている。たとえばローデ・シュワルツのZVH4、ZVH8のメーカ推奨の校正周期は1年。データシートに「Recommended calibration interval 1year」とある。具体的な校正周期と、その根拠について当サイトのお問い合わせにも質問が寄せられるが、たとえば以下のように回答している。「メーカの推奨校正周期は1年と記載されていますが、あくまで推奨です。基本的に校正周期については、使用方法、使用頻度、使用環境などを勘案して、お客さま自身で決めていただくことになります。メーカに問い合わせても根拠が示される確証はありません。ご参考までに、計測器メーカのほとんどのモデルは1年周期が多いです。6か月周期や2年(または3年)周期を推奨している機種も時々みうけられますが、その場合には理由があるようです。メーカの品質保証部門が精度維持管理の観点から決めているケースがございます。」 校正周期が1年(12か月)の場合、2000年1月1日に校正を実施したら、2000年12月31日で校正期限であるが、計測器本体に貼られる校正シールには通常は校正期限「2000年12月」が記載される。ただし、2001年1月末日までを校正期限として規定している場合もあり、それはユーザの決め事である。また校正シールには校正実施月を明記する場合もある。これもユーザが自ら決める規定による。

校正証明書(こうせいしょうめいしょ)

(calibration certificate) 1.ISO 9001(一般校正)の場合。 計測器が正常であるか否かを試験する校正を実施したことを証明するための書類。校正結果が国家標準にトレーサブルであることを、校正した事業者(責任者)が宣言する文書。通常はA4サイズの1枚に、メーカ名、品名(計測器の名称)、形名(計測器のモデル名、型名、型式)、製造番号、試験年月日、お客様名(JCSSなどの校正事業者が校正を実施した場合、依頼元の会社からの要望に応じた会社名を記載する)、使用した標準器、トレーサビリティ証明の宣言文、などが記載される。 校正関連の書類には他に、試験成績書(校正データシート)やトレーサビリティ証明書(体系図)がある。校正証明書は校正したことを証明するもので、具体的な校正の結果(測定値や合否判定)は試験成績書を見ないとわからない。 国内の計測器メーカでは、校正証明書、試験成績書、トレーサビリティ証明書を「校正(書類)3点セット」と呼称している。通常は書類の提供は有料だが、メーカによっては校正証明書を(無料で)製品に標準添付している場合もある。校正証明書は無くて、検査合格票などの名称の書類を標準添付していて、「これを無料で添付しているので校正証明書の代わりにして」というメーカもある。校正関係の書類として何が(どんな項目の記載がある書類が)必要かは、ユーザが決める(社内規定を作成する)ことなので、ISO9000(品質マネージメントシステム)の認証取得のための社内規定をつくるときに、計測器のユーザは留意する必要がある。 トレーサビリティ証明書は日本独自の書類のため、海外の計測器メーカはこの書類は準備していない。つまり校正3点セットは日本国内メーカだけの話である。 2.ISO/IEC 17025(不確かさ付校正)の場合。 ISO 17025校正で作成される唯一の書類。ISO 9001の場合の3つの書類の役割(情報)が1つの書類に集約される。ただし、メーカ名、品名(名称)、形名(モデル名)、製造番号、試験年月日、お客様名などの情報はISO 17025の規格の要求事項に従い記述される。また校正の結果は、測定値と不確かさが記載され、合否判定はない。「判定はユーザが実施する」という大原則で運用される。ユーザから判定の要望があってもほとんどの校正機関は現状では対応していない。

高精度DMM(こうせいどでぃーえむえむ)

通常のベンチトップ型のデジタルマルチメータ(DMM)の表示桁数は5.5桁か6.5桁だが、桁数が8.5桁の高精度・高確度モデルがあり、通常のDMMを校正するための標準器として使用される。一番のスタンダードモデルはキーサイト・テクノロジーの3458Aで、1989年に発売されてから現在も現役である(2022年5月現在)。校正用の多くの測定器をラインアップするフルークも1980年代初頭から発売していて、2019年に2回目のモデルチェンジを行い、8558Aと8588Aの2機種をラインアップしている。国産の計測器メーカであるエーディーシー(アドバンテストの一部の計測器を継承、旧タケダ理研工業)も以前から7.5桁モデルがあり、2019年に8.5桁の7481を発売している。さらに、2023年1月に7481の上位モデル7482(AC測定機能あり)をリリースした。 3458Aは、計測器を保有する会社の標準室(校正室)を筆頭に、多くの分野で使われている。8558A/8588Aや7481/4782は3458Aのシェアを取るべく健闘している。 計測器情報:3458A、8558A/8588A、7481

高精度モデル電力計(こうせいどもでるでんりょくけい)

電力計の中で、計測器の主流であるデジタルパワーメータやパワーアナライザの老舗である横河電機(現横河計測)は、自社の電力計のラインアップの中で、1970年発売の形名2885-15(アナログ式)以降のWT3000、WT5000などを、自らの製品開発の歴史の中で「高精度モデル」と呼称している。参考記事:電力計の基礎と概要 (第3回)の3ページ目 【インタビュー】横河計測の電力計事業への取り組み・・横河計測が今までに開発した電子式ベンチトップ型電力計の図がある。 計測器情報:WT3000の製品情報、WT5000の製品情報

校正用加振器(こうせいようかしんき)

加速度ピックアップを校正する機器。(=加速度ピックアップ校正器)

鉱石ラジオ(こうせきらじお)

(Crystal Radio)鉱石検波を使ったラジオ。真空管やトランジスタのような能動素子を使わないので、電源を供給する必要が無い。受信した電波のエネルギーでラジオ放送を復調しているともいえる。出力が弱いので普通のラジオのようにスピーカを鳴らすことはできず、イヤホンで聞く。半世紀くらい前は子供の学習教材があった。

高速オシロスコープ(こうそくおしろすこーぷ)

従来のオシロスコープ(オシロ)と、2005年以降に発売された広帯域オシロスコープを区別するために、(従来の)一般的なオシロを汎用オシロ、広帯域オシロを高速オシロと便宜的に呼ぶ。周波数帯域2GHzまでを汎用オシロ(OSはメーカ独自が多い)、それ以上を高速オシロ(OSはwindowsが多い)とするメーカが多い。正式には広帯域オシロだが、高速デジタル回路の評価用途のため、高速オシロスコープとも呼ばれる(以下の参考記事「オシロスコープの動向と、最新1GHz帯域モデルの各社比較」に周波数帯域別の主要モデルを掲載)。 2000年代初頭のオシロの主流はミッドクラスの周波数帯域100MHz~500MHzモデル(いわゆるミドルクラスと呼称されている)で、1GHzモデルは高級器、最高機種は4GHzモデルだった。技術の進歩によってシリアル通信の規格は高速化され、勃興する新情報家電の製品群に搭載されていった。これらの高速伝送インタフェースの評価向けに、キーサイト・テクノロジーが新しいコンセプトの6GHz帯域のモデル54855Aを2005年に発売した。これが広帯域オシロ(高速伝送評価用アナライザ)で、以降テクトロニクス、レクロイ(現テレダイン・レクロイ )のオシロ3社による最高周波数モデルの開発競争が激化し、周波数帯域は10GHz、30GHzと高くなっていった。2018年にはキーサイト・テクノロジーから110GHzのモデル(価格約1億円)が発売されている(以下の参考記事「キーサイト・ワールド2018」で、世界初公開を取材)。 2018年にローデ・シュワルツが高速オシロに参入し、現在は海外の4社がラインアップしている。国産では唯一、岩崎通信機が1GHzのDS-8000シリーズを販売している。DLシリーズでデジタルオシロに参入して日本市場ではテクトロニクスに次ぐシェアの横河計測は500MHzまでしかラインアップがなく、高速オシロはつくっていない。つまり、高速オシロは海外メーカの独壇場である。RFなどの高周波の測定器の要素技術があるメーカにしかつくれない高周波の計測器といえる。たとえば国産のアンリツには高周波技術があるが、同社は自動車市場を新しいターゲットにして高砂製作所を2022年に傘下にするなど、更なる通信分野(高速オシロ)に参入する意向は感じられない。 高速オシロは構造はオシロ(機種群はオシロ)だが、汎用オシロ(いわゆる一般的なオシロ)とは使い方が全く異なる。汎用オシロの上位機種ということではなく、スペクトラムアナライザ(スペアナ)のような高周波のアナライザといえる。オシロという名前なので誤解されるが、特定用途向けの通信アナライザである(サンプリングオシロスコープが周波数帯域が広いために、アイパターン測定で通信の伝送品質の評価に使われたのに似ている)。 オプションとして各種の規格の解析ソフトウェアやメモリ増設が用意されている。次々と規定される新しい規格の評価をすることが主眼である点は移動体通信用の測定器やプロトコルアナライザと同様で、製品寿命が長くない専用器である。ユーザはオプションを適切に選択しないと目的にあう仕様にはならない。そのため、良く使う解析ソフトウェアやメモリ増設などをバンドルしたアナライザタイプが用意されている(DSAオシロスコープ)。 オシロの形名は頭のアルファベット3文字と次の数字がシリーズを表し、下3桁の数字が周波数と入力チャンネル数を示していることが多いが(以下の参考記事「計測器の形名が詳しい)、以前のアナライザタイプは頭のアルファベットがシリーズのアルファベットと全く違い、同じシリーズだと判別しにくかったが、現在はわかりやすいように改善された。たとえば2008年発売のキーサイト・テクノロジーDSO90000AシリーズのアナライザタイプはDSA90000Aだった。DSOはDigital Storage Oscilloscopeが由来の形名、DSAは「DSOのアナライザタイプ」とでもいう意味。 計測器メーカは高速オシロや汎用オシロという分類(表現)をしていない。下位モデルから、ハンドヘルド、ベンチトップのローエンドとミドルクラス(通常はこの2つが汎用オシロに相当)、ハイエンド(これが高速オシロに相当)などの分類である。広帯域オシロという呼称も各オシロスコープメーカの品名にはほとんど使われていないが、「広帯域オシロスコープ入門」(2015年出版、CQ出版社、トランジスタ技術の増刊、RFワールドNo.29)では高速オシロで最高周波数帯域の競争をした前述3社が記事を満載している。そのため広帯域オシロという呼称は各社に認知されている公式な用語といえる。 [オシロの分類(種類の表記)の例] ローデ・シュワルツはベンチ、高性能などである。 高速オシロに本格参入 (R&S RTP ハイパフォーマンス・オシロスコープ発表会) キーサイト・テクノロジーの6000Xシリーズは十分に高速オシロの周波数帯域だが、下のモデル(InfiniiVisionシリーズ)に分類されている。 キーサイト・テクノロジーの“見える”オシロ InfiniiVision 3000T Xシリーズ

高速デジタル(こうそくでじたる)

(high speed digital) 「高速デジタル信号」、「高速デジタル伝送」、「高速デジタル信号伝送」などの略記。NTT東/西日本とNTTコミュニケーションズが提供する64k~6Mビット/秒のデジタル信号を伝送する専用回線を「高速デジタル専用線」、この回線の使用プランの名称を「高速デジタル伝送サービス」という。 オシロスコープ(オシロ)のトップベンダであるテクトロニクスはオシロの解説書などで「高速デジタル信号の解析には広帯域オシロスコープを使い」などの表現がある。キーサイト・テクノロジーが2023年に開催したKeysight World(プライベートショー)の2日目のタイトルは「高速デジタル 光電融合トラック」で、高速デジタルに該当する展示コーナは「PCI Expressのプロトコル試験」、「Rx試験 ケーブル試験」、「Tx試験 電源ノイズ評価」、「送信波形評価」、「BER特性評価」、「高分解能TDR測定環境」などがあった。展示された計測器は高速オシロスコープ(周波数帯域33G~110GHz)、サンプリングオシロスコープ、BERT(PAM4/64G baud)、AWG(256G S/s)などである。すべて高速デジタル信号の評価に関係するモデルである。 このように、大手計測器メーカのキーワードに「高速デジタル」は頻繁に使われる用語である。 高速デジタル信号とは具体的な数値で、何bpsの信号速度を指すのか、は説明が難しい(時代とともに、現在のホットな最先端の高速デジタルの仕様が話題となる)。高周波とは何Hz以上の周波数を指すのかを示すのが困難(説明者や内容によって「高周波」と表現している周波数の値が異なる)ことと似ている。技術用語は、あるレベル以上の知識がある人たちで共有され、理解されているので、まったくの素人に説明することが難しい。

高速電力増幅器(こうそくでんりょくぞうふくき)

高速信号を扱う電力増幅器。

高速度カメラ(こうそくどかめら)

(high speed camera) 一般に1秒間に1000枚以上の撮影ができるカメラの総称(通常のカメラは30~60枚/秒)。別名:ハイスピードカメラ。自動車の衝撃試験や、電子機器の落下試験など用途は広い。実態はカメラだが高額な計測機器(試験装置の1種)として、各メーカでの導入が進んだ。 メーカは国産のナックイメージテクノロジー(nac)が老舗。同じく国産の株式会社フォトロン(Photron)も横河電機のオシロスコープと協業するなど、シェアを伸ばしている。上記の国産2社が国内ではシェアを競っている。「国内市場は飽和しているのでハードウェアのみの販売はもう伸びない」としてフォトロンはアプリケーションの開発に注力している。米国のVision Research社(Ametekグループ)が最速・超高感度の世界的トップブランドで、別格(ハイエンド)である(日本の総代理店は株式会社ノビテック)。それに次ぐ領域を国産のフォトロン、ナックイメージテクノロジーがラインアップしている。 低速域の高速度カメラもあり、株式会社ディテクトが高シェア。同社は2000年頃に(低速域の高速度カメラ)市場に参入し、ラインアップを増やした。同社の上位モデルは前述3社の下位モデルと基本仕様は同じだが、価格が大変安価で、競合という感じではない。シナノケンシも生産ライン向けの低速域のモデルがある。

高速バイポーラ電源(こうそくばいぽーらでんげん)

(highspeed bipolar amplifier) バイポーラ電源の中で、周波数応答性能が100kHz以上ある、広帯域モデルを指す。広帯域とは、入力信号に高速で出力信号が追従するので、波形の立ち上がりなどが速いため、高速と呼んでいる。リアクタンス成分のある負荷を高周波で駆動する用途で使用される。ちなみにバイポーラ電源は英語ではBipolar Amplifierで、増幅器(アンプ)であり、電源(Source)ではない。 国産ではエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)が1980年代に初めて商品化したといわれ、「高速バイポーラ電源とは、エヌエフの電力増幅器の品名」だった。ただし近年は松正プレシジョンなどの計測用電源メーカも高速バイポーラ電源を商品化している。汎用的な信号発生器であるファンクションジェネレータ(FG)の出力電圧はだいたい5V程度なので、バイポーラ電源を併用するともっと高電圧にすることができる。FGのNo.1メーカでもあるエヌエフは高速バイポーラ電源とFGを使った、圧電素子の高周波駆動のアプリケーションで2000年頃に売上を伸ばしている。 電子回路の高速化・高周波化の需要に対応して、新しい電子部品・素子が開発されると、高速バイポーラ電源による評価が行われる。

高速ビデオ(こうそくびでお)

高速で動作する機械や装置の挙動解析・工業製品や部品の破壊現象の解析・生産現場での加工・組立機械の動作解析等を行うためのビデオ。