計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

92

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

温度測定器(おんどそくていき)

分類の仕方は様々で、デジタル式、光ファイバ式、温湿度計、などたくさんある。大きく温度センサによる接触型の温度計(ハンディ型が多い)と非接触型の放射温度計(赤外線の放射熱を利用)がある。温度計は計測器のデジタル化・コンピュータ化によって記録機能を装備し、記録容量も増し、「温度ロガー」が1つの大きな機種群となっている。ティアンドデイ(T&D Corporation)は「おんどとり」の通称で小型温度ロガーの老舗。放射温度計は赤外線で非接触に温度を計測するが、温度分布を測定し色画像で表示するものをサーモグラフィ(熱画像計測装置)と呼ぶ。サーモグラフィはセンサの進歩などにより、この10年で形状の小型化、精度の向上、低価格化して、普及が進んだ。最近はSARS(サーズ)や新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により、人の顔の表面温度を測定して、空港や会場の入口で検査を行う機材の設置が増えた。監視カメラに温度センサを組込んでソフトウェアによって体表面温度を計測・表示する「サーマルカメラ」と呼ばれる製品群がベンチャー企業などから多く発売されている。温度計の計測器メーカとしてはガラスの棒状温度計をつくる佐藤計量器製作所やファイバ式温度計をラインアップする安立計器が、温度計専業メーカとして有名。非接触型では堀場製作所、チノー、日本アビオニクスがある(堀場は放射温度計だけでサーモグラフィは無い)。放射温度計、サーモグラフィではFLIR(フリアー)が世界的に高シェアだが、Flukeもラインアップが多い(工業分野に強いRaytek社製品はFluke Process Instruments社の扱いとなった)。日本の医療・計量・計測メーカであるエー・アンド・デイも「サーマルイメージカメラ」や「赤外線放射温度計」という品名のモデルがある。現場・環境測定器のtesto(テストー)にも赤外放射温度計がある。センサが豊富なキーエンスには「デジタル放射温度センサ」がある。温度の正確な計測にはセンサが欠かせないとして、「温度のチノー」を自称している株式会社チノーはセンサ開発に注力している。株式会社東亜計器製作所 には「日本薬局方温度計」や「JIS規格温度計」がある。このように温度測定器は大変広範である。

おんどとり(おんどとり)

株式会社ティアンドデイ(T&D Corporation)の小型温度ロガーの通称。温度計がデジタル化すると、メモリを内蔵しデータ収集する機能を持った。つまり温度計とデータロガーが一体化した温度ロガーという機種群が生まれた。温度ロガーは物理量測定器の中の温度計に分類される。記録計・レコーダのカテゴリのデータロガーは熱電対などのセンサ入力が可能で温度測定できる製品が多い。おんどとりは温度ロガーと測定できる項目は同じだが、一般にデータロガーは測定速度が遅い温度ではなく、電圧を測定するのが主な機能である(低速の温度や、高速の振動・歪を測定できるデータロガーもある)。 温度ロガーは温度を測定することに特化した製品である。温度計の計測器メーカがつくっていた温度ロガーは今よりも大型であった。そんな時代の1994年におんどとりの初号機、「Thermo Recorderおんどとり」型式TR-71が発売された。独自の測定方式、省電力設計による電池駆動など、当時は画期的な小型製品だった。翌年TR-72をリリースするなどラインアップを増やし、1999年には無線モデルでシェアを伸ばし、おんどとりは小型温度ロガーの代名詞となった。現在は従来の計測器メーカが同等品を後発で発売している(温度計の安立計器やチノー、データロガーの日置電機など)。 無線式の小型温度ロガーとしては2015年にアドバンテストの(計測器部門ではなく)新企画商品開発室が、まったく別のコンセプトでユニークな製品で参入している(AirLogger WM1000/2000シリーズ)。おんどとりの出現、普及によって新しい小型温度ロガーという機種群が生まれ、市場ニーズがあるために各計測器メーカが参入した。今後も各社がラインアップの更新をして機種群がブラッシュアップしていくことと思われる。

温度ドリフト(おんどどりふと)

(temperature drift) 外部の温度が変化することに影響されて機器の出力などが変動すること。計測器は精密機器なので、使用環境の温度変化に敏感である。driftは「漂う、流される」という意味。 周囲温度が変化することにより生じる出力の変動分(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)。 放射温度計やサーモグラフィでは温度ドリフトを補正することを環境温度補正と呼んでいる。つまり環境温度による機器の動作状況の変動(環境温度の影響によるドリフト)が「温度ドリフト」である。

温度幅(おんどはば)

非接触温度計のサーモグラフィカメラ(熱画像計測器)の用語としては、「一画面内に熱画像として表示される温度の範囲。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)」

温度補償範囲(おんどほしょうはんい)

(temperature compensation range)ひずみ測定関連で紹介されている解説例を2つ示す。定格出力と零バランスが、仕様を越えないように補償されている温度範囲(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)。自己温度補償ゲージで、熱出力が規定を満たす温度の範囲(株式会社東京測器研究所の「ひずみゲージの基礎知識」より)。参考用語:自己温度補償ゲージ

温度ロガー(おんどろがー)

温度計に記録機能(ロガー)が付いた測定器。メーカによっては品名は「温度記録計」である。部屋の温度を長時間にわたりロール紙に記録する、設置型の温度記録計は昔からあり、現在も標準室などの温度管理が必要な部屋で使われている。「温度記録計」というと、このタイプを指すことが多い。温度計にはアナログ出力などで測定データを外部機器(レコーダなど)に記録できるモデルが多いが、最近の温度計はデジタル式になり、メモリを内蔵して、測定器自身に記録機能がある。そのようなモデルは温度記録計(または温度ロガー)といえるので、温度計と温度記録計の堺は曖昧ともいえる。 温度測定器のトップメーカである安立計器には温度計、温度記録計など多くの温度測定の製品群がラインアップされている。1994年にティーアンドデイは小型の温度データロガー、品名「おんどとり」を発売した。今までにない斬新なコンセプト(小型・軽量・安価、校正対象外(当時))であった。工場などの多くの場所に設置して温度を記録し、温度測定のデータ収集を効率良く行えるため大変重宝で、1999年には無線で測定データを送るモデルも発売された。温泉の浴槽におんどとりが使われている例もある。現在、「温度ロガー」というとこのおんどとり(か他社同等製品)をまず指すようになった。最近では計測器大手の日置電機もおんどとりとほぼ同じコンセプトの温度ロガーを発売している。老舗の安立計器は2019年に多チャンネル温度ロガーのシリーズ(有線と無線の2方式)を発売している。 無線式の多チャンネル温度ロガーとしては、おんどとりとはコンセプトが違うモデルを、アドバンテストの新事業企画部門が2015年に発売した。PCのUSB端子に装着する通信ユニットと、目的に応じた測定ユニット(小型の箱)で構成され、同等品が無いユニークな製品である。2017年には温度以外に電圧、ひずみも測定できるモデルをラインアップに加え自動車市場などで無線式ロガーとしてシェアを伸ばしている(AirLogger WM1000/2000シリーズ)。自動車業界向けの計測器が多い小野測器は2022年に「無線温度計測システムWC-1000 / WT-1000シリーズ」を発売したが、製品構成はアドバンテストのAirLoggerとほぼ同じである(競合の登場によってAirLoggerはオンリーワンではなくなった)。

温熱環境計(おんねつかんきょうけい)

温熱環境を測定する機器。

オンボードチャージャ(おんぼーどちゃーじゃ)

(On Board Charger)日本語では「車載用充電器」。EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)のバッテリを、住宅などの商用電源を使って充電するためのもの。充電のために「プラグイン」が必要な自動車の内部に設置されている。単相(または三相の)AC電源に対応し、交流を整流しバッテリに適した充電電圧に変換する(400V、あるいは最近では800V)ことで、最速の充電を行うAC/DCコンバータである。OBCと略記される。 参考記事:電動化の進展~カーボンニュートラルに向けた動向・・充電の規格や、充電スタンドについて説明。

オンボードプログラマ(おんぼーどぷろぐらま)

プリント基板上に実装されたメモリに書き込むためのROMライタ。ROMライタの国内トップベンダーである東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーには形名AF9101などの機種がある。同社の「書込みやプログラマに関する用語集」では次のように説明されている。Flashメモリ、Flash内蔵マイコンを実装済みの基板にデータを書込むための書込みツール。各種シリアル通信で書込みを行う。通信方式:SPI(データモード)1,2,4,8 、UART、I2C、JTAG、SWD、CLK同期など。同義語:オンボードライタ、インサーキットプログラマ、シリアルプログラマ。

オンラインビデオ会議(おんらいんびでおかいぎ)

ネットワークを使ったオンラインの会議システムは、2020年初からの新型コロナウイルスの蔓延(コロナ禍)によってテレワークが広がったことも普及を促進した。通信を使った会議システムとしては以前は「TV会議」の名称で、大画面のモニタやカメラ、マイク、スピーカと画像装置や通信機器を組み合わせた製品群が、企業の拠点間に配備され活用されていたが、つなぐ拠点間の数の制約など、インフラの進歩によるシステムの陳腐化があった。PCにカメラやマイク、スピーカが完備されたことで、各人が保有するPCをインターネットに接続し、ツールをインストールするだけで(特殊なハードウェア不要で)、ビデオ会議が簡便に実現できるようになった。 ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(米)が提供するビデオ会議のツールZoomが、コンシューマユースではシェアが高いとされる。Zoom以外には、マイクロソフトのteamsやCisco(シスコ)のWebex(ウエベックス)などが企業で導入されている。国内計測器メーカはteamsやZoomの使用実績が多いが、海外計測器メーカはWebexの導入例がある。

オンラインモニタ(おんらいんもにた)

(online monitor) プロトコルアナライザ(プロアナ)の別称、または1種。プロアナには2つの機能がある。1つは通信ラインに流れているデータをモニタすること。2つめは通信を行う装置の代わりになってシミュレーションをすること。 1つめの機能があるモデルをオンラインモニタといったり、モニタ機能が多く使われるのでプロアナのことをオンラインモニタといったりする。低速のRS-232C用の機器が多いので、「RS-233Cラインモニタ」や「ラインモニタ」と呼んだりする。低速用プロアナの代表的メーカであるLINEYE(ラインアイ)社のプロアナはラインモニタが品名だったが、現在は「プロトコルアナライザ―」が品名になった。ただし、製品の説明ではラインモニタという表現が使われている。

音量計(おんりょうけい)

騒音計の1種。自動車の車検などで使われる騒音計を音量計と呼んでいる。自動車整備の分野で使われている騒音計の名称。株式会社アルティアの警音器・排気騒音計測用の「音量計IM2801-A000」のキャッチコピーは「年一度の日本自動車機械工具協会の校正が、その他の車検機器と同時に受けられる。国土交通大臣が定める技術基準に適合」である。