計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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オペアンプ(おぺあんぷ)

(Operation Amplifier)2つの入力と1つの出力がある増幅器で、2入力端子間の電圧差を増幅する。出力端子を抵抗を介して入力端子に反転入力(NF:ネガティブ・フィードバック)すると、抵抗の値から増幅率を設定できるので、電子回路では多用されている。積分回路、発信回路、コンパレータなど様々に応用される。日本語は「演算増幅器」だが、オペアンプという表記や呼び方のほうが圧倒的に多く使われる。「OPアンプ」という表記もみかける。

OPアンプ(おぺあんぷ)

(operational amplifier)電子回路で使われる増幅器(アンプ)の1種。「オペアンプ」や「OPアンプ」という表記がされる。現在では集積回路になった半導体(電子部品)である。日本語訳は「演算増幅器」だが、この表記はほとんど使われない。微積分や加減算などのアナログ演算を電子回路で行う目的で開発されたのが演算増幅器(オペアンプ)の語源といわれる。 つくっているデバイスメーカはAnalog Devices(アナログ・デバイセズ)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、略記:TI)など海外メーカが有名だが、東芝デバイス&ストレージや日清紡マイクロデバイスなどの国産もある。Liner Technology(リニアテクノロジー)やMaxim Japan(マキシム・ジャパン)はアナログ・デバイセズに買収された。 OPアンプは電子回路で最も多く使われる半導体なので、アナログ・デバイセズは電子回路のエンジニアなら誰でも知っている有名なデバイスメーカである。

オムニエース(おむにえーす)

(omniace) エー・アンド・デイ社(の工業計測機器部門)のメモリレコーダの通称。ペーパレスが記録計の主流となり、メモリレコーダの主要メーカである日置電機や横河計測のモデルは紙に印刷する機能を主眼にしていない。グラフテックのレコーダも印字できる機種が廃止になっている中で、オムニエースは唯一、印刷機能にこだわっている。鉄道などの業種が主なユーザで、その意向を強く反映していると推定される。 omniは「すべての」、「あらゆる」の意味。aceは第一人者の意味(野球の主戦投手など)。omniaceは「あらゆるもののエース」。オムニというと、OmniBER(オムニバー)、「すべてのBER(誤り率)測定器」という名前のモデルが1990年代にhp(現キーサイト・テクノロジー)にあった。 オムニエースは記録計(レコーダ)の老舗計測器メーカの三栄測器がつくった。三栄測器はNECが資本参加して、非接触温度計(サーモグラフィ)メーカのアビオニクスと統合しNECアビオニクス(日本アビオニクス)になり、レコーダやアンプなどの計測器(元の三栄測器の機種群)は分離されて、エー・アンド・デイ(体重計などの家庭用健康機器や天びんなどの計量機器、自動車検査用の試験機などのメーカ)に吸収され、現在は同社の工業計測機器部門が設計・製造・販売している。

OmniBER(おむにばー)

1990年代のHP(Hewlett-Packard、ヒューレット パッカード、現キーサイト・テクノロジー)のSDH/SONETアナライザの名称(形名や品名ではなく通称と思われる)。 Omniは「すべての」、「あらゆる」の意味。BERはBERT(バート)などと同じBit Error Rate(ビット誤り率)のこと。発売当時のSDH/SONETアナライザは大型で送信部と受信部の2筐体だったが、OmniBERはポータブル型の1筐体なので、「これ1台ですべてのエラーレート測定に対応」とでもいうネーミングと想像する(SDH/SONETとBERは厳密には違う測定器なのだが)。37718A OmniBER コミュニケーション・パフォーマンス・アナライザは可搬型の1筐体で2.5Gbps (OC-48/STM-16) まで対応していた。

音響イメージャー(おんきょういめーじゃー)

産業用超音波カメラ Fluke ii900の2モデル目として2020年発売の「ii910」の品名。競合は国産のJFEアドバンテック。

音響インテンシティ(おんきょういんてんしてぃ)

SI(Sound intensity)または AI(Acoustic intensity)のこと。音場のある点を含む単位断面積を単位時間内に通過する音のエネルギーで、その点の音圧(時間の関数) と粒子速度 の積の時間平均で定義されるベクトル量。SI測定法の応用例をいくつかあげる。(1) 音源のパワーレベル測定:音源を中心とする半球面で、球面と直交する方向にて、分割された面積における音響インテンシティの測定から、音響パワーが算出される。(2) 遮音測定:SI法によって部位ごとに透過パワーを測定することにより、複数の部位からなる壁の遮音性能や隙間からの漏音の程度を定量的に測定できるので、現場での遮音測定に有効である。(3) 音場解析:SI値はベクトル量であるから、音の伝播方向と大きさを2次元、もしくは3次元表示することにより、音のエネルギー流を視覚化して捉えることができる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器HPを参照)

音響校正器(おんきょうこうせいき)

マイクロホンの校正をする機器。(=ピストンホン)

温湿度計(おんしつどけい)

温度や湿度を測定する機器の総称。一般には温度と湿度の両方を測定できる機器を意味する。温度だけを測定する温度計には多くの種類があり、また測定後の記録ができる温度ロガーのようなモデルも含んで、「温度計」と呼ぶ大きな機種群(カテゴリー)を形成している。温湿度計と温度計を総称して「温湿度計」と表現していたり、温度・湿度を検知するセンサーを「温湿度計」と呼んでいるときもある。形状は可搬型の測定器本体とプローブ(センサー)で構成される。本体が箱型で設置型のものもある。測定値を表示画面にデジタル表示するモデルが多い。温湿度データを電圧値にして出力するので「温湿度変換器」の品名で呼ぶメーカもある。気象観測・産業用計測機器メーカーのVAISALA(ヴァイサラ、本社:フィンランド)の温湿度変換器は有名。PA(プロセスオートメーション)などの計測・制御機器の大手メーカであるチノーには温湿度計の多くのラインアップがある。小型の温湿度計を工場などの各場所に設置しておいて、測定値を通信で収集することで温度測定の大幅な効率化を実現したのがティーアンドデイの「温湿度記録計」、愛称「おんどとり」である。各場所に設置された測定器を子機として、親機に無線で測定値を送るモデルが普及し、現在は日置電機など大手計測器メーカも同等製品を発売している。このような記録計(データロガー)は、場合によって「温度計」か「温湿度計」のどちらかに分類されている。このように「温湿度計」の意味する範囲は大変広い。

温湿度センサ(おんしつどせんさ)

温度や湿度を検出するセンサ。温度センサとしては熱電対や側温抵抗体がある。温湿度計と組合せて使用される。

温湿度変換器(おんしつどへんかんき)

温度や湿度を電圧(または電流)に変換する機器。工業分野で、気体の水分測定に使える高精度の湿度計は、フィンランドのヴァイサラが世界的にNo.1で、日本でもシェアが高い。同社の製品名に温湿度変換器というモデルが多くある。 参考用語:湿度

オンチップエミュレータ(おんちっぷえみゅれーた)

(on-chip emulator)CPUチップに内蔵したデバッグ回路を使うエミュレータ(ICE)のこと。従来、ICEはターゲットのCPU実装部にICEをつなぎ、ICE内のデバッグ回路を使うが、ターゲットにCPUを実装した状態(On Chip)で、デバッグ用インタフェースにICEをつなぐ。歴史的には簡易検査用のインタフェースであるJTAG(ジェイタグ)がその走りで、オンチップデバッグ機能やオンチップエミュレータと呼ばれた。2000年以降にこの方式がデバッガ(ICE)の主流になり、従来のICEをフルエミュレータ(オンチップエミュレータでは実現できないフルのICE機能がある、という意味)やフルICEと呼び、区別するようになった。デバイスメーカによってはJTAGという名称を使っていないなど、統一されていない。現在の主流はJTAG ICEなのは間違いないが、顧客のターゲットのCPUによっては、 JTAG をデバッガのインターフェースとして利用しない製品もある(たとえばDAPなど)。そのためICEメーカのlauterbach(ローターバッハ)は「JTAG ICE」とは記載せずに「デバッガ/トレース」と表現している。あえてインターフェースを記載する場合は「JTAG/DAP デバッガ」のように「どちらのインターフェースにも対応している」ことがわかるような表記にしている。ICEはマイクロプロセッサという日進月歩の世界の話なので、時代とともに今も変化していて、最先端の現役のICE製品群については、(数少なくなってはいるが)全ICEメーカ、と各デバイスメーカの情報を精査しないと正確な説明は難しい。当サイトのカテゴリー(機種分類)ではJTAGエミュレータという表現はせずオンチップデバッグツールとしている。

オンチップデバッガ(おんちっぷでばっが)

(On Chip Debugger)測定対象の機器の基板上にマイクロプロセッサ(MPU/CPU)を実装した状態 (On Chip) でデバッグを行うことのできるICE(エミュレータ、開発支援装置)のこと。別名:オンチップエミュレータ。JTAG(ジェイタグ)など、現在のICEの主流の方式。On Chip以前のICEを対比して、フルエミュレータやフルICEと呼ぶ。

オンチップデバッグ機能(おんちっぷでばっぐきのう)

従来、ICE上に搭載していたデバッグ回路の一部を、実CPUチップ上に内蔵することでシステム評価時に実デバイスを使用して簡易エミュレーションを実現する事が可能となった。このチップ上に載せるデバッグ機能を、オンチップデバッグ機能と言う。通常、JTAGエミュレータ機能を示す事が多い。本機能は、メーカによって呼び方や仕様などが異なる。INTEL、ARM はJTAG。日立 はAUD/HUDI(Adbanced User Debugger/Hitachi-User Debug Interface)。NEC は N-Wire。三菱 は SDI (Scalable Debug Interface)。富士通 は DSU。フリースケール・セミコンダクタ ーはBDM (Background Debug Monitor)。その他の呼び方として、UDI (User Debug Interface)、ETMなどもある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)参照用語:JTAG ICE、フルICE  

オンチップデバッグツール(おんちっぷでばっぐつーる)

ICEの1種。JTAGなどを、フルエミュレータと区別して呼ぶ。現在のICEの主流の方式。

温調計(おんちょうけい)

温度調節計や指示調節計の略称。工場の炉などの温度は制御対象で、一定に保つように制御され、その役目をする機器。一般に測定入力の指示部と目標設定部があり、指示値(測定入力値)と目標設定値との差から調節信号を出力して、制御対象の温度を目標設定値に一致させるように動作する。FAや計装の分野の機器である。 「制御」と「計測」の代表的なメーカである横河電機のHPでは、「製品・サービス」のページの「制御/制御デバイス/ディジタル指示調節計(温度調節計/温調計)」に掲載されている。「制御」の機器としてはDCSやPLCが掲載されている。同様に工場に導入されている伝送器(でんそうき)や流量計は「制御」と横並びの「計測」の下に「フィールド機器」として掲載されている。つまり温調計は温度計(計測器)ではなく、制御機器である。当サイトのカテゴリー(機種分類)では「計装制御機器」に区分される。 横河電機と同業で「計測・制御・監視」の株式会社チノーは「温度のチノー」を標榜していて、幅広く温度計をラインアップしている(サーモグラフィなどの赤外線計測から燃料電池評価試験まで)が、温度制御も得意で、温調計は有名である。同社では「調節計」や「指示調節計」と表記していて、「温調計」という表現はしていない。 OMRON(オムロン)の制御機器事業のHPでは、「製品/コントロール/温度調節器(デジタル調節計)」に掲載されている。オムロンも「温度調整器」や「調節計」で、温調計という表現ではない。 温調計だと計測器である温度計に間違われるので、「温度を調整する機器」から「温調器」とでも呼称したらベターだったと筆者は思う。「調節計」では一体、何を調節する計(メータ)なのか伝わらないので、そんなことをいわないでもわかる村人たちの世界のことばである。「伝送器」と伝送交換の「伝送」のように、温調計と温度計は混同されやすい素地がある。

オン抵抗(おんていこう)

(on-resistance)トランジスタの1種である MOSFET を動作(オン)させた時のドレイン・ソース間の抵抗値のこと。パワーMOSFETなど、パワー半導体の主要な性能指数である。パワー素子の動作時(通電状態)の抵抗値なので、値が小さいほうが高性能。オン抵抗が小さいと、電力の損失(ロス)が少なくて済む。半導体材料(元素)として従来のSi(シリコン)ではなくSiC(炭化珪素)やGaN(窒化ガリウム)を使った新しいパワー半導体が2010年代から製品化が始まっている。これらは電力変換効率だけでなく、高耐圧や低損失という性能も改善されている。

温度計(おんどけい)

温度を測定する機器。計測器としては温度センサを使った接触式のものと、赤外線による被接触式がある。温度計というと一般的には接触式を指すことが多いが、2020年からの新型コロナウイルス対策で、非接触式のサーマルカメラが市場に多く普及した。水銀を使った棒状の寒暖計は条約によって2021年から原則製造・販売が禁止されている(水銀レス、水銀フリー)。温度計には、現場用の可搬型から標準室に置く据え置き型の標準器まで多くの種類がある。可搬型は温度を記録する機能を持っている機種もあり、温度ロガーなどと呼ばれる。参照用語:温度測定器

温度係数(おんどけいすう)

温度が1℃変化すると物質の特性(たとえば膨張係数、金属の比抵抗、マイクロホンの感度など)が変化する割合。計測器メーカの高砂製作所の用語集には以下の記載がある。電源機器が動作中、温度変化により出力電圧または出力電流が変化する割合を百分率あるいはP.P.M(百万分の1)の単位で表したもの。

温度校正器(おんどこうせいき)

従来の温度校正は被試験体の温度センサと基準温度計を用意し、それぞれを油などの液媒(オイルやエタノール)が入ったオイルバスに浸け、基準温度計と被試験体を比べていたが、現在はドライウェル式が主流になった。温度制御されたメタルブロック(均熱ブロック)を使い昇降時間を大幅に短縮した方式である。Fluke Calibrationの9190Aは高精度な温度指示計器を内蔵(オプション)すると、外部の基準白金抵抗温度計との比較で工業用温度計の校正作業を1台でできるため、現場で温度センサを校正できるフィールド用として重宝されている。八洲貿易が保守も含めて輸入販売しているJOFRA(ジョフラ、現AMETEK DENMARK)のRTC、PTC、CTCなどのシリーズは製薬業界(製剤機器の業者含む)にはシェアが高いと言われている。WIKA(ビカ)も日本法人がありドライウェル式温度校正器を販売している。国産ではチノーには低温用小形校正装置 KT-Hxxxなどのラインアップがある。

温度指示調節計(おんどしじちょうせつけい)

温度を表示・制御する機器。