計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

92

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

O2計(おーつーけい)

大気中に含まれる酸素(O2)の濃度を測定する機器。(=酸素濃度計)

OTA(おーてぃーえー)

(Over The Air)従来の有線による機器を経由するのではなく、無線通信による手段のこと。SOTA(Software update Over The Air)やFOTA(Firmware update Over The Air)などがある。自動車のソフトウェアのアップデートや、次世代無線通信規格の5Gなどで話題になる用語。

OTN(おーてぃーえぬ)

(Optical Transport Network)日本語では「光伝達網」。国際標準化機関ITU-Tで規定される通信規格。長距離(国内/国際:数百~数千km)にわたって大容量の情報を伝達する光伝送装置で運用されている。 従来は世界中の通信規格は地域(国)別のPDH(Plesiochronous Digital Hierarchy、非同期多重化階梯)だったが、技術革新で光増幅器などが生まれて1990年代にSDH(Synchronous Digital Hierarchy、同期多重化階梯)が導入された。日本でも新同期網と呼ばれ、SDH/SONETアナライザなどの測定器が活躍した。2000年以降になるとWDMの技術を使い、SDH/SONETやイーサネットなどはOTNに収容されて、高信頼な広域転送を実現した。OTNは「現在のコアネットワークを構築している技術」、とも説明できる。 通信計測器の雄、アンリツには2000年頃にMP1570A SONET/SDH/PDH/ATMアナライザがあったが、2022年の同社HPには「OTN/SDH/SONET関連測定器」のタイトルページに MT1040A ネットワークマスタ プロなどが掲載されている。2000年頃の通信の規格はPDHやATMなどがまだ残っていたが、2022年にはPDHやATMという表記は無くなり、HPのタイトルにはOTNが真っ先に記述されている。通信の規格は10年単位で様変わりしていることがわかる。なので、通信の規格に対応した測定器は寿命が短い専用器であり、基本測定器(汎用器)とは別のものである。

OTDR(おーてぃーでぃーあーる)

(Optical Time Domain Reflectometer) 光通信測定器の1つ。光ファイバの破断点(何km先が不具合か)を検出する。光ファイバケーブルの敷設、保守には必須で使われるハンドヘルド(可搬型)の測定器。光パルスを入射して、光ファイバの各位置から反射するわずかな光が入射口に戻る時間とパワーから、距離に対するロス(パワー)のグラフを画面に表示する。つまり測定原理はTDRである。OTDRを翻訳すると「光・時間領域・反射計」である。TDRは電気の測定器なので、「光通信のTDR」という説明もできる。使用される光通信の波長(850nmや1,310nmなど)によって光源がユニット化され、本体(メインフレーム)と組合せるモデルが多い。 測定原理から「光パルス試験器」とも呼ばれる。横河計測(旧安藤電気)の品名は「光ファイバアナライザ」、アンリツの品名は光パルス試験器だが、両者はまったく同じ測定器(品名からは同じOTDRであることを想像するのが困難。計測器の名称はメーカが自由につけるという格好の例である。)。現在の横河計測の現役モデルは「OTDR(光パルス試験器)」、「マルチフィールドテスタ」などの名称で、光ファイバアナライザという品名のモデルは無くなった。 日本では電電公社(現NTT)が1970年代から光ファイバを基幹通信網に導入を始め、アンリツと安藤電気の2社(電電ファミリー)にOTDRをつくらせた。そのため、国内のOTDRは2社が強く、EXFOなどの海外メーカはシェアが低い。光ファイバの敷設や保守では、「光ロステスタ(OLTS)」や「光ファイバ心線対照器(IDテスタ)」も使われる。 本稿ではOTDRは計測器の名称として説明したが、Optical Time Domain Reflectometry(光のTDR測定手法)の略記という解説もできる。

オーディオアナライザ(おーでぃおあならいざ)

オーディオ信号のひずみ率等を測定する機器。

オーディオ周波数(おーでぃおしゅうはすう)

(Audio Frequency) 人の耳が聴きとれる周波数範囲のこと。別名:可聴周波数(audible frequency) 。約20Hz~20kHz。音楽鑑賞のためのオーディオ機器はこの周波数帯域を主に扱う。そのため機種群(カテゴリー)「テレビ・オーディオ測定器」には20Hz~20kHzの信号源がある。 RC発振器はオーディオ周波数をカバーしているが、国産計測器メーカではほとんど生産終了になっている。オーディオ関連の計測器を多くラインアップしていた松下通信工業にはVP-72xxAというRC発振器のシリーズがあった(同社は解散し、計測器から撤退)。菊水電子工業はORC-11やORC-44などのRC発振器を1970年頃まで販売していた(現在は生産中止)。 無線通信に使われるRadio FrequencyをRFと略記するように、オーディオ周波数はAFと略記されることがある。

オーディオ・ビデオ測定器(おーでぃおびでおそくていき)

オーディオ用の測定器(オーディオ信号発生器、オーディオアナライザなど)と映像の測定器(映像信号発生器、波形モニタ、デジタル放送関連などのTV放送用の測定器、DATやDVDなどの音響映像機器用の測定器)を総称して、オーディオ・ビデオ測定器と呼称する。電気計測器の統計を作成しているJEMIMA(日本電気計測器工業会)は2002年までは「オーディオ・ビジュアル測定器」といっていたが、2003年から「オーディオ・ビデオ測定器」に名称変更している(2022年現在、「オーディオ・映像機器用測定器&システム」と表記している)。当サイトでは「テレビ・オーディオ測定器」というカテゴリー名(機種群名)にしている。テクトロニクスは2019年までは映像関連測定器をラインアップしていたが、その開発部門をビデオ事業部と呼称していた。映像はTVだけでなくDVDなどの音響映像もあるので、「オーディオ・映像測定器」という呼称が適切かもしれない。「オーディオ・映像機器用測定器」という呼称の書籍(電子計測器のガイドブック)もある。 映像の伝送にはMPEGなどの圧縮技術が使われるため、MPEG関連測定器も含まれる。音響(オーディオ)と映像(TVやDVDなど)の計測器の総称であるが、現在はオーディオより映像に関するモデルが多く、映像信号発生器(アストロデザインのプログラマブルビデオ信号発生器など)と波形モニタ(リーダー電子のラスタライザなど)の2種類が主流となっている。4Kや8Kに対応した計測器がリーダー電子その他から2018~2020年にかけて発売されている。 この機種群の主力は何といってもテレビ放送用の測定器なので、名称は「TV・オーディオ測定器」が適切といえる。2000年代にはオーディオ用測定器として、DVDのジッタを測定するジッタメータやタイムインターバルアナライザがあった(2004年秋に電波新聞社が刊行した電子計測器&システム[ガイドブック]には、菊水電子工業がDVDなどの光ディスクの評価用測定器を解説している)が、それらはほぼ生産中止である(2022年現在)。オーディオアナライザもメーカが整理された。 地上デジタル放送へのNHKと民放の設備投資は2001~2003年にほとんどが終わり、2011年7月までに各ユーザの受信機器(TVなど)の普及も完了した。アナログ時代にはNTSCやPALなど、世界中に多くの規格があったが、現在の日本の規格はISDB-Tになっている。

オートコリメータ(おーとこりめーた)

ミラーの角度・精度等を測定する機器。

AUTOSAR(おーとざー)

(AUTomotive Open System Architecture)自動車メーカや部品サプライヤの他、電機業界、半導体業界、ソフトウェア業界などで構成される団体。また、ソフトウェアの共通化を図るための仕様の総称でもある。このことから、ソフトウェアプラットフォームとも言われている。

オートディスチャージ機能(おーとでぃすちゃーじ)

絶縁抵抗計などの便利な機能の1つ。共立電気計器の用語集では「絶縁測定が終了すると自動的に充電した電荷を放電する機能」と説明されている。

オートマチックVCリミッター(おーとまちっくぶいしーりみったー)

電源メーカの老舗、高砂製作所の電源の機能。同社の用語集には次の解説がある。当社は定電圧動作と定電流動作を電子的に負荷抵抗の値によって自動的に、しかもシャープに切り換わる、定電圧/定電流直流電源をいち早く開発した。定電圧電源として使用する場合は、0~最大定格出力電流まで任意に可変できる電流リミッターとして動作し、定電流電源として使用する場合は、0~最大定格出力電圧まで任意に可変できる電圧リミッターとして動作する。定電圧/定電流オートマチック・クロスオーバー方式ともいう。

オートレンジ(おーとれんじ)

測定器のレンジが、測定入力信号の大きさに応じて自動的に切り換わること。(共立電気計器株式会社の用語集より)

オーバーオール(おーばーおーる)

(Overall Value)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。分析周波数レンジまでのパワーの総和のこと。オーバーオール値の算出は測定器の機種によって2つある(詳細は小野測器HPを参照)。1. 片振幅値(Peak 値)を基準としている場合(同社モデル:CF-350/360*、CF-900 シリーズ*、CF-880* 等)。2. 実効値を基準としている場合(同社モデル:CF-5000 シリーズ*、CF-3000 シリーズ*、DS-2000 シリーズ* DS-3000シリーズ)(*:販売終了)

オーバーシュート(おーばーしゅーと)

オシロスコープで矩形波(方形波)を観測すると、立ち上がりの部分において、波形が定常値となる基線を超過する現象のこと。または、それによって突出した波形の部分のこと。下図の○で示した部分。立ち下りで起こる同じ現象をアンダーシュートと呼ぶ。参考用語:立ち上がり時間

オーバーラップ処理(おーばーらっぷしょり)

(Overlap Processing)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。リアルタイム解析周波数以下の場合ウィンドウをオーバーラップして、FFT 解析を実行できる。例えば1024点ごとのデータをFFT 処理するが、このとき新しくサンプリングされたデータと以前のデータと重ねて(オーバーラップして)FFT 解析を 実行する。オーバーラップ量が大きいということは、それだけ信号時間の変化をより細かく計測できることになる。

OPM(おーぴーえむ)

(Optical Power Meter) 光測定器の1つ、光パワーメータのこと。光通信の測定器と分かっている範疇ではOPMと略記されることが多い。日本の光通信網は1970年代から日本電信電話公社(現NTT)によって基幹ネットワークに導入されていった。そのときの光通信用測定器は電電ファミリーであるアンリツと安藤電気(現横河計測)が担った。光パワーメータ、各種光源(安定化光源、可変光源)、O/E変換器・光ATT・光切替器、光スペクトラムアナライザ、光波長計という光通信の基本測定器だけでなく、光ファイバの研究開発~敷設工事用の偏波測定器、波長分散測定器、OTDR、ロステスタ、心線対象器など、ほとんどを製品化した。2000年頃までは海外計測器メーカではHP(現キーサイト・テクノロジー)が最も品揃えの多いNo1光測定器メーカであった(現在も8163シリーズのOPMを販売)。 基幹網(コアネットワーク)に光の敷設が終わると、アクセス回りや家電製品などのインタフェースに光は拡大した、そのため、可搬型の現場測定器の計測器メーカも現在はOPMに参入している(たとえば三和電気計器や日置電機など)。また計測器メーカとしては名の知れないメーカのOPMもAmazonなどの通販サイトに数多く掲載されている。現在の電気(銅線、カッパーケーブル)による有線通信網がすべて光に置き換わったときには、電気工事会社の作業員はハンディOPMを電気のテスタやメガーのように使って工事・保守をすることになる。そのときにはOPMはさらに低価格になっていると推測されるが、光部品の低価格化が停滞しているため、そのような光景がいつ実現するかは不透明である。ともあれOPMは光通信測定器のもっとも基本の製品である。

OBD(おーびーでぃー)

(On-board diagnostics)自動車の自己診断機能。自動車各部に取り付けられたECU(Electrical Control Unit)にプログラミングされている機能のひとつ。運転席ダッシュボードのコンソールの下にあるOBDコネクタに接続すると、OBD情報を収集することができる。ODBコネクタを使ったデータロガーやプロトコルアナライザなどの計測器が発売されている。

オービット(おーびっと)

(Orbit) 2つの信号を直交するx軸・y軸上で合成した図形をオービットまたはリサジューといい、2信号の振幅、周波数比、位相差の組合せによって視覚的な特長を示す。周波数比が整数のときには描かれる図形の軌跡は一定の周期で元に戻る。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より) 参考記事: FFTアナライザの基礎と概要 (第1回) デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第1回)

OVP(おーぶいぴー)

(Over Voltage Protection)過電圧保護回路。出力電圧が何らかの原因で負荷の耐圧を超えないように保護する機能。使用する負荷の必要電圧よりもはるかに高い電圧を出力可能な電源を使う場合に有効。CV(定電圧設定)機能のある電源では、CV値の誤設定時の最終保護としても使用できる。常にOVP>CVの関係になるように設定する。過電圧保護が動作した場合は、ほとんどの電源が出力を停止する。その場合、電源再投入で復帰する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

Open APN(おーぷんえーぴーえぬ)

APN(All Photonics Network)は従来の電子技術(エレクトロニクス)ではなく光技術(フォトニクス )を使い、通信網のすべてを光化(フォトニクスに)するというNTTの構想(IOWN )。Open APNは既存の光伝送装置であるROADM (Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)を機能分離し、その一部をユーザ拠点の近くまで伸ばすという新しい提案で、2022年1月に「IOWN Global Forum」が発表した(機能が分離してマルチベンダーになると仕様がオープンになる必要がある)。これは2015年設立の団体Open ROADM MSMの方向とも一致していて、2022年はIOWN構想の進展する年となった。 通常APNというと「Access Point Name」(アクセスポイント名)の略。「アクセスポイント」とはスマホをインターネットに接続するための「中継地点」のこと。今後ROADMの機能分離やIOWNの進展が進むとAPNはフォトニクスネットワークの略記としてWeb検索上で地位を得るかもしれない。