計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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AGV(えーじーぶい)

(Automatic Guided Vehicle)日本語では「 無人搬送車」。床面に磁気テープなどを敷設し、発生した磁気により誘導されて無人走行する搬送用台車のこと。搬送機器が有名な「株式会社ダイフク」は物流システムの世界トップメーカーである。

ACラインアナライザ(えーしーらいんあならいざ)

電源電圧の変動を観測する測定器。電圧の変化だけでなく、交流の場合は高調波の測定・分析などの機能もある。(=パワーラインモニタ)

ACラインモニタ(えーしーらいんもにた)

電源電圧の変動を観測する測定器。電圧の変化だけでなく、交流の場合は高調波の測定・分析などの機能もある。(=パワーラインアナライザ)

ASIC(えーしっく)

(Application Specific Integrated Circuit)日本語にすると「特定用途向け集積回路」だが、ASICという言葉の方が良く使われている(すでに日本語となっている)。別名:カスタムIC。特定の用途(顧客)向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路。アナログよりもデジタル回路が多く、標準デジタルICやFPGAなどと比較して長短がある。参考用語:ASSP

エージング(えーじんぐ)

(aging、ageing)「エイジング」とも表記され、「経時」(時を経る)という意味。 一般には動物が歳をとる(老化する)ことを指すが、計測の用語としては「電気製品(特に新品)は安定動作するまで一定時間、動作させること」の意味。計測器を電源投入して稼働させてから30分程度そのままにしておくことをエージングと称している(計測器に限らず電気製品全般にそう呼ばれている)。エンジンを稼働状態にしておいて、すぐに自動車などがベストな状態で走り出せるように「温めておく」ことも、エージングの1種かもしれない。 エージングの元の意味は年齢を重ねること(加齢)だが、人の場合は転じて「老化」を意味している。老化に抵抗・対抗するのがアンチエージングである。折り返しひずみであるエリアシング(aliasing、エリアジングとも呼称)を防止することをアンチエリアシングといい、高い周波数をカットするLPF(ローパスフィルタ)をアンチエリアシング・フィルタと呼んでいる。アンチエイジングとアンチエリアジングは発音が似ているので聞き間違いやすい。

ADAS(えーだす)

(Advanced drive-assistance system) 先進運転支援システム 。自動車の電動化に伴って検討されている自動運転の技術の1つ。

AWG(えーだぶりゅじー)

2つの意味がある。(Arbitrary Waveform Generator)計測器としては任意波形発生器の略称。 ほとんどこちらの意味で使用されることが多い。 (American Wire Gauge)アメリカン・ワイヤー・ゲージという電線の太さなどの規格。米国のUL(Underwriters Laboratories Inc.、保険業者安全試験所)が策定している。電線の導体の太さを表す。電線の導体部分の直径を特定の割合で段階をつけ、「AWG 〇〇(〇〇は数字・記号)」と表記し、数字が大きいほど、導体の直径が小さく、細い電線になる。日本ではJISで電線の導体の太さを表す値を、SQ(スケア、またはスケと呼称)と表記する。SQは数字が大きいほどケーブル断面積が太い。「square mili-meter」(平方ミリメートル=断面積)の略記といわれる。AWGとSQの換算表がある。 参考用語:ファンクションジェネレータ 、任意波形ジェネレータ

ATE(えーてぃーいー)

(Automated Test Equipment) 半導体テスタとも呼ばれる、半導体検査装置、半導体試験装置のこと。半導体の製造過程では、ウエハと半導体チップの2つで大きな検査をする。前者は電子顕微鏡もある(メーカとしては日立ハイテクなど)。後者について述べる。半導体テスタはできあがった半導体に電気信号を与え仕様通りの動作をするか検査する装置。メモリテスタ、ロジックテスタ、アナログテスタがある。半導体生産ラインの最終工程では搬送機(ハンドラ)と組み合わせて検査ラインを構築する。製造ラインの設備額として比重が高いといわれる。日本のアドバンテストは世界No1メーカとして有名。1970年代から2000年代には、キーサイト・テクノロジー、横河電機、安藤電気、シバソク、ミナトエレクトロニクスなどの計測器メーカがラインアップしていた(現在はすべて撤退)。そのため、計測器の業界団体である日本電気計測器工業会(JEMIMA)も製品群として扱っているが、一般の電子計測器の各カテゴリの売上額と比較して半導体テスタは大きいため別枠にしている。マイクロプロセッサ(MPU、CPU)の進展によって、メモリやロジックなどの多様な半導体チップが大量生産されるようになると、その検査装置としてキーサイト・テクノロジー(当時はHP)やアドバンテスト(当時はタケダ理研工業)は半導体テスタに参入した。NECや富士通、東芝、日立、三菱電機という日本の通信機器、総合家電各社は半導体デバイスをつくっていた。NECは国産の半導体テスタを設備するために、グループ内に半導体テスタメーカをもっていた(安藤電気、ミナトエレクトロニクス)。富士通はタケダ理研工業を傘下にして社名はアドバンテストになり、創業であった計測器からは撤退し、半導体テスタメーカとなった。当時の半導体テスタは最先端技術であり、計測の老舗、横河電機も1990年代に参入した(その後、安藤電気の半導体テスタを吸収したが、現在は撤退)。メモリの1種であるROM(ロム)の書き込み器をROMプログラマ(ROMライタ)というが、アドバンテスト、安藤電気、ミナトエレクトロニクスがラインアップしていた。安藤電気の製品は協力会社の東亜エレクトロニクス(旧フラッシュサポート)に移管され存続している。

ATA(えーてぃーえー)

(AT Attachment、advanced technology attachment 読み方:えーてぃーえー、あた)。PCと外部記憶装置(ストレージ、HDなど)を接続するためのインタフェース規格。従来、標準的に使われていた規格のIDE(Integrated Drive Electronics)を1989年にアメリカ規格協会(ANSI)が正式に標準化した名称がATA。

ATA/ATAPIアナライザ(えーてぃーえーあたぴあならいざ)

ATA/ATAPIバスアナライザの略称。

ATA/ATAPIバスアナライザ(えーてぃーえーあたぴばすあならいざ)

ATA/ATAPIバス上に流れる通信データを解析する測定器。

ADSL(えーでぃーえすえる)

(Asymmetric Digital Subscriber Line)既存の銅線電話加入者線を使って高速データ伝送をする技術。直訳すると「非対称デジタル加入者線」。上り(端末から局への通信)と下り(局から端末への通信)の通信速度が異なる事から非対称といわれる。ADSLは固定電話のサービスとして1999年に商用開始され2000年代前半に普及が進んだ。ソフトバンクのブロードバンド・インフラ事業のひとつであるYahoo! BB(ヤフービービー)は2002年にADSLを使った格安通信サービスを開始した。それまでの日本の通信料金は北米・韓国などに比べて高く、世界一高額といわれてきた。「日本に安価で高速なネットワークができなければIT(情報技術)ビジネスは広がらない」という信念のもと、ソフトバンクは自らがキャリア(通信事業者)となってその様なネットワークの普及に邁進した(いまでこそソフトバンクはNTT、auに次ぐ携帯電話の通信事業者だが、当時はそうではなかった)。街頭でのADSLモデムの無料配布、NTT回線初期費用無料、などの過激なキャンペーンで、ヤフーBBの加入者は激増し、基幹通信の通信料金の価格破壊の元となった。普及から20年を経た2024年にはADSLはサービスを終了し、後継は(同様に普及が進んだ)光通信(正式には光ファイバ通信)となる。ソフトバンクは2018年5月に、ADSL各種サービスを2024年3月末で終了すると発表した。NTT東日本とNTT西日本も2018年11月に「フレッツ光」の提供エリアで「フレッツ・ADSL」を2023年1月に終了予定と発表している。 ADSLに限らずIPネットワークの普及を推進した通信サービス(FTTHやCATVなど)は、2000年代前半までの(SDHに代表される)高安定高額方式(ギャランティ型)とは異なりベストエフォート型と呼ばれた。そもそもインターネットは、送信したデータが確実に相手に届く事を保証していない典型的なベストエフォート型の通信システムとして導入された。これはキャリア側がすべての加入者に一定の仕様を保証する(その見返りが応分に高額な回線使用料金となる)のではなく、「最大8Mbps」などベストでの仕様を提示し、全ユーザにこれを保証しない。そのためキャリアはギャランティ型のように高額測定器を常時設備せず、全営業地域で最大通信速度を保証する訳ではないので加入者料金が安価になる、という構造である。これは昨今の金融商品の自由化で謳われている利用者の自己責任でサービスを選択する事に類似している。2000年代前半に導入が始まったベストエフォート型のサービスは現在では当たり前で、家庭のパソコンをWi-Fiにつないでも、日々の状況など環境によって通信速度は変化して遅くなる場合がある。 有線の通信計測器も、インターネットの普及によって(以前のように)高額な専用器を通信インフラの保守会社が設備しなくなった(というかできなくなった)。無線通信でも、2021年に商用開始した楽天モバイルは、無線通信や電話の装置は高額なため導入せず、パソコンとソフトウェアでその機能を行うことで、格安な契約料金を実現しているといわれる。計測器だけでなく、高額な通信機器も導入が見送られる時代となった。2022年現在、楽天モバイルの品質は決して良くない(筆者は2021年4月から使用している)が、今後知見を積んで、品質改善や新サービス開始につながることが期待される。 参考用語:SDH/SONETアナライザ 計測器情報:ADSLが品名につく製品の例

ATMアナライザ(えーてぃーえむあならいざ)

ISDNサービスなどが導入された1990年代には、基幹通信網にはまだ交換機があり、ATM(Asynchronous Transfer Mode)交換技術は大変に重要だった。新しい技術に関する勧告が次々と出され、測定器も新しい勧告に基づいた仕様や機能が求められた。ATM機器にはUNI(User Network Interface)とNNI(Network Node Interface)があり、ATMアナライザはUNIとNNIでATM機器に接続し、機器の挙動などを評価した。HP(現キーサイト・テクノロジー)のE4200シリーズは走りの製品で、1995年頃に発売され、NECや富士通など多くの通信機器会社で使用された。ATMアナライザというとHPの製品名を指す時期もあった。E4200シリーズは当時のHPでは流行りだった、メインフレームとモジュールで構成するタイプで、今からすれば大型の測定器だった。当然、PCにつないで使用する。後年になると、可搬型のSDH/SONETアナライザにATMも対応した機種が主流になり、同社の37718A コミュニケーション・パフォーマンス・アナライザや、アンリツのMP1570A SONET/SDH/PDH/ATM アナライザなどのモデルが発売された。エイブルコミュニケーション(現アルチザネットワークス)はATMプロトコルアナライザ(DB-500/1000)という品名(形名)の製品を発売していた。岩崎通信機も当時はISDN関連の通信測定器群があり、ポータブルATMテスタSD-1000があった。これらのモデルはすべて製造中止である。

ADコンバータ(えーでぃーこんばーた)

(Analog-Digital converter) 連続的に変化するアナログ信号を有限の2値(あるいは多値)のデジタル信号に変換する電子回路(電子部品)のこと。表記は様々ある。A/Dコンバータ、A-Dコンバータ、ADC、A/D変換器、AD変換器など。 ADコンバータはデジタルオシロスコープ(オシロ)の心臓部である。デジタルオシロは1970年代に開発されたが、1980年代に高速ADコンバータが普及したことによって一気に広まった。1999年にテクトロニクスが発売したTDS3000シリーズはデジタルオシロの1つの完成形で、長らくデファクトとして使用された(余談だが、TDSは「テクトロ・デジタル・スコープ」の略という話がある)。 2000年代には、測定の機能を半導体デバイスが担うなど、オシロ機能のワンチップ化が進んだことにより、新興国メーカが汎用オシロ市場に参入し、価格破壊を起こした。オシロは、汎用オシロの低価格化と、高額な高帯域オシロ(高速オシロ)という2極化が進んだ。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「A/Dコンバータ:デジタル電子部品で、電気信号を離散2進値に変換するもの」とある。 参考記事:デジタルオシロスコープの基礎と概要 ・・オシロの歴史の中で、高速A/D変換器を搭載した初期のデジタルオシロの紹介がある。

ADC(えーでぃーし)

(Analog Digital Converter)アナログをデジタルに変換する「ADコンバータ」の略記。交流ー直流変換器は「AC-DCコンバータ」と記載し、「ADC」や「ADコン」という記載はしない。電圧の昇降をするDC-DCコンバータは「DDコン」と略記されている。アナログ-デジタルと、交流-直流は略記が混同されやすい。株式会社アドバンテストの計測器の一部機種群を引き継いだ株式会社エーディーシー(ADC CORPORATION)は会社の略称を「ADCMT」としている。そのため、ADCはエーディーシー社のことをささない(略記ではない)。

ADCMT(えーでぃーしーえむてぃー)

計測器の老舗であったアドバンテストが古くからつくってきた機種群(RF製品以外の主に低周波の製品)を引き継いだ株式会社エーディーシー(ADC CORPORATION)の略称。同社HPの会社概要には、ADCMTが「正式な会社の略称である」ことが明記されている。同社の企業ロゴは「ADCMT」を青字でデザインしている。エーディーシー社を「ADC」と記載するのは正確ではない。ADCではなくADCMTにした理由は同社の以下の沿革にあると推定される。1971年、タケダ理研工業の全額出資の子会社「タケダシステム」として発足。1993年、社名を「株式会社アドバンテスト エーディー」(略称ADC)に変更。2003年、アドバンテストからMBO方式により独立し、社名を「株式会社エーディーシー」(略称ADCMT)に変更。2007年、自社ブランド「ADCMT」での販売を開始。余談だが、「ADC」はA/Dコンバータの略記として使われていることが散見される。

ATT(えーてぃーてぃー)

Attenuator の略。この表記(略記)で読み方は「アッテネータ」の場合も多い。(=減衰器)

A/D変換器(えーでぃーへんかんき)

(Analog/Digital converter) アナログ/デジタル変換器の略記。AD変換器やA-D変換器、ADコンバータ、ADCなど複数の表現(表記)をされる。 コンピュータに代表される、現在の主要な電子機器はデジタルで処理を行っている。ところが自然界の物理現象などはアナログである。また電子回路でもアナログで処理をすることが適しているものも多い。アナログとデジタルは適材適所である。そのため、アナログをデジタルに変換する機器(電子部品)は大変重要で、多くの電気機器に使われている。計測器の主流はデジタル表示のモデルで、オシロスコープもマルチメータもほとんどデジタルである。アナログの物理現象をサンプリングしてデジタルデータにするのがA/D変換器のため、メーカや種類は豊富で、花形の電子部品の1つである。 オシロスコープの分解能(電圧の測定精度)はA/D変換器の性能で決まっている。

APL2(えーぴーえるつー)

Mywayプラス社のバッテリ評価用の回生直流電源の通称(すでに生産中止)。同社は電子負荷の機能を内蔵した直流電源である回生電源の老舗メーカ。このモデルの他にpCUBEがある。カテゴリは直流電源か電子負荷か迷うところだが、特殊な直流電源という分類が妥当である。同社がAPL2を発売していた2010年頃は、まだ回生電源がほとんどなく、直流電子負荷装置に分類されることもあったが、その後のPV(太陽光発電システム)や電気自動車(xEV)の普及によって、回生電源は直流電源の1ジャンルとして確立した。 2010年代は海外製の回生電源が主流だったが、徐々に高砂製作所や菊水電子工業などの国産の計測用電源メーカもラインアップするようになった。2020年にはベンチャー企業が参入している(参考記事のTECHNO-FRONTIER2021で取材)。2022年には(計測器メーカではない)大型の電源(装置)メーカが展示会に回生電源を出展している。 APL2は太陽光発電が普及する以前のインバータ(パワーコンディショナなど)の研究開発フェーズで使われた、国産回生電源の走りである。

APC研磨(えーぴーしーけんま)

APCはAngled Physical Contactの略で、光ファイバをコネクタ接続する際の、コネクタ端面(接触面)の研磨の種類の1つ。研磨方法にはPC、SPC、UPC、APCなどがある。表記は「APC」、「Angled PC」など。表記がFC/APCだとFCコネクタではなく「FC/APC」、または「APC」という新しい名称のコネクタと誤解されるので「FC/Angled PC」(APC研磨のFCコネクタ)と表記しているメーカもある(光コネクタは時代と共に多くの種類がつくられては消滅していき、現在はFCやSCが主流だが、新しい名称のコネクタは今後も出現していく)。光計測器のコネクタの記述もFC/PCやSC/APCなど研磨も記述するケースが増えている(1980年頃はほとんど記述されなかったが、2020年には主要な光計測器の仕様に明記されるようになっている)。 光ファイバの端にコネクタを取り付けると反射などで損失が発生する。反射光は入力側の光源に向かってファイバ(コア)に反射される。後方反射は光源の損傷や信号品質の悪化の原因になるので、コネクタのフェルールの研磨方法によって対策している。UPC(Ultra Physical Contact)はファイバの端面が垂直(角度をつけずに研磨)だが、APCは8度の角度で研磨している(angled:角度を付けた、斜め、という意味)。そうすると反射光はまっすぐにコア内に入射せず斜めにクラッドに反射して、光源への戻り光を減らすことができる。 RFなどの高周波の(電気の)コネクタにもAPCがある。たとえばAPC-7は「Amphenol Precision Connector(7mm)」である。電気(高周波)のAPCコネクタは1960年代に開発されているので、コネクタでAPCといえばこちらの方が大先輩である。そのため、光計測器のコネクタにはAPCよりもAngled PCと記載する方が親切といえるかもしれない。