計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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EUT(いーゆーてぃー)

(Equipment Under Test) 試験の対象となる機器のこと。直訳すると被試験機器、供試機器。EMC分野で使用されることが多い用語。同様の表現として、回路素子や材料の評価で使われるDUT(Device Under Test)は広く「被測定対象物」を指す用語として計測器全般で使われている。

EUV(いーゆーぶい)

(Extreme Ultraviolet) 日本語では「極端紫外線」と呼ばれる、13.5nm(ナノメートル)の非常に短い波長の光のこと。半導体の重要な製造工程に「露光」があり、国産のNicon(ニコン)とCANON(キヤノン)は露光装置(ステッパー)で世界的にシェアがあった(※)が、半導体の微細化が進み、今後はEUVが露光装置の主流になろうとしている。EUVを使って露光する次世代露光技術を極端紫外線リソグラフィ(Extreme ultraviolet lithography、略称:EUVリソグラフィ、EUVL)と呼び、オランダの半導体製造装置メーカASMLだけがEUV露光装置の開発に2018年に成功し、TSMC、インテル、サムスン電子などの大手半導体メーカが先端半導体の製造に導入した(2022年現在)。ニコンやキヤノンは露光装置のシェアを落としている。キヤノンが東芝から医療機器事業を買い取った(2018年1月から東芝メディカルシステムズはキヤノンメディカルシステムズに社名変更)のも、露光装置以外に生き残れる市場を模索したことも一因である。 (※)露光は、大きなサイズの「回路の原紙」をレンズによって正確に縮小し、小さなシリコン基板に回路を焼き付けて半導体をつくる、重要な工程である。カメラメーカとしてレンズを使った機器の要素技術があったニコンとキヤノンは露光装置に参入し、世界のトップブランドとなった。「半導体製造装置は日本が強い」といわれる一翼を担う代表的なメーカである。

胃カメラ(いかめら)

(gastroscope) 胃の内部状態を調べるカメラ。医療用の内視鏡。別名、「医用内視鏡」。内視鏡は細い管の中を検査する機器。胃カメラは計測器ではなく医療用の機器である。工業用内視鏡は配管などの内部劣化を検査する保守用の測定器として使われる。そのため、工業用内視鏡を取り扱っている計測器レンタル会社に胃カメラの問合せがあるが、医療機器のためほとんどの計測器レンタル会社は保有していない。日本のオリンパス(※)は医療用、工業用ともに内視鏡の世界的なトップメーカである。 オーディオ機器のブランドである国産のTEAC(ティアック)の事業は2つある。1つめは音響機器事(プレミアムオーディオ機器やハイエンドオーディオ機器、音楽制作・業務用オーディオ機器)、2つめは情報機器事業で、計測機器(データレコーダ、トランスデューサ)、航空機搭載用記録再生機器、医用画像記録再生機器 などである。オーディオ機器ではテープを使った録音・再生機器(いわゆるデッキ)が有名だが、それから派生して色々な記録媒体を使った記録機器をラインアップしている。計測器としてのデータレコーダではSONYの関連企業と市場を2分していたので、計測器業界では「TEACといえばデータレコーダ」であった。現在はSONYグループがテープおよびその関連機器から撤退したので、現存するデータレコーダはほぼTEAC1社となっている。航空機のひずみ・振動測定には多チャンネルのデータレコーダが好んで使われるため、TEACは航空機の本場である欧米でデータレコーダのビジネスをしている(新製品のデータレコーダWX-7000シリーズは日本より米国で先に発売されている)。もうひとつ医用画像記録再生機器は、同社ホームぺージでは「医療画像ファイリング製品」と書かれているが、実は「メディカルシステム」の専用サイトがあり、そこには内視鏡の関連製品がある(お待たせしました、ここまで読んでいただきありがとうございます、やっと医用内視鏡である胃カメラの話になります)。内視鏡の画像の記録をする「内視鏡イメージレコーダー」なる品名の製品群である。TEACは医療機器や内視鏡に関する製品までレコーダとしてラインアップしていたのである。これはコニカミノルタやエー・アンド・デイ同様に「計測器から医療分野の製品群までカバーしている」メーカということである。 (※)治療機器事業と内視鏡事業をしているオリンパスは、「医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立する」、として工業用内視鏡を含む科学事業を2022年4月に分社化して株式会社エビデントを設立、さらに同年8月にはBain Capital Private Equity(ベインキャピタル)にエビデントを譲渡する契約を締結したと発表。なので、現在の国内最大手の医療用内視鏡メーカはオリンパスだが、工業用内視鏡メーカはエビデント。

IXIA(いくしあ)

2000年代にIxia Communications(イクシアコミュニケーションズ)社のIP負荷試験装置はSPIRENT(スパイレント)社のスマートビットと共に、ルータなどのネットワーク機器をつくる通信機器メーカやキャリア(通信事業者)に採用されていた。XGS2などの形名の製品があった。当時、IP負荷試験装置といえば、Smartbits(スマートビット)かIXIAが有名だった。 IXIAはコンセプトから運用まで、ネットワークとセキュリティ製品をサポートするソリューションを提供した。製品のリリース、アプリケーションの導入、運用中の製品の管理など、ネットワークにおけるテスト、可視化、セキュリティに関する幅広いソリューションである。 IXIAは計測器(ネットワークの評価装置)である負荷試験機だけでなく、ネットワーク機器もつくった。2018年にキーサイト・テクノロジーはIXIAを買収した。当初は社内カンパニーの扱いでIXIAの企業ロゴも使われていたが、2022年現在、IXIAという名前やロゴはまったく姿を消して、旧IXIAのネットワーク機器はキーサイト・テクノロジーのネットワーク ソリューションとして同社ホームページに掲載されている。

(いし)

半導体の俗称。電子回路で増幅やスイッチ機能がある電子部品は、古くは真空管が使われていた。たとえば1964年に米国で開発された世界最初の大型コンピュータENIAC(エニヤック)には約2万本の真空管が使われている。1970年代にトランジスタなどの半導体が開発され、以降電子回路の主流は真空管から半導体に移行した。真空管が管球であることから球(たま)と呼称され、半導体はソリッドステート(固体)であるため、球と対比して石と呼称された。

移相(いそう)

位相を移すこと。電圧や電流の位相を変化させること。移相器はフェーズドアレイアンテナの制御などに使われる。

位相(いそう)

(phase) 電気では「周期的に変動する波の位置情報」。電気で扱う物理量(インピーダンスなど)は大きさと方向を持っている(ベクトル量)。方向は座標軸では角度に相当し、位相の単位は度(°)で表される。 位相:1サイクルがはじまり次のサイクルがはじまるまでにかかる時間で、単位は度で表す(テクトロニクス の冊子、「オシロスコープのすべて」(2017年発行)より)。 一般に「第一フェーズ」とは「第一局面」のことで、物事の1段階目を意味している。つまりphaseは日本語では「局面」の意味もある。電気(物理)では「位相」という熟語になっている。位相は一般には使わない学術用語といえる。

位相計(いそうけい)

電圧・電流間の位相を測定する機器。保護継電器の試験・評価で使用されることが多い。

位相差(いそうさ)

タイミング以外は類似した2つの信号間のタイミングのずれ。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

位相シフト(いそうしふと)

相似した2 信号間のタイミング差または位相差。遅延とも呼ばれる。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

位相シフト・キーイング(いそうしふときーいんぐ)

(Phase Shift Keying)デジタル変調の一種で、位相偏移変調とも呼ばれる。搬送波が2位相間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。略記である「PSK」という表記が一番多く使われている。

位相・周波数計(いそうしゅうはすうけい)

電圧・電流間の位相と周波数を測定する機器。保護継電器の試験・評価で使用されることが多い。

位相スペクトル(いそうすぺくとる)

(Phase Spectrum)周波数の関数としての位相表示には主として、1チャンネルの位相スペクトル、2チャンネル間の位相差の2種類がある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器のHP参照。)

位相変調(いそうへんちょう)

(Phase Modulation) 変調方式の一つ。搬送波に対して変調信号の変化に合わせて位相(θ)の大きさを変化させる。位相変調(Phase Modulation) の頭文字をとって "PM"と略表記される。また位相を”φ”と表記することがあり、位相変調を”φM”と表記することもある。

一酸化炭素測定器(いっさんかたんそそくていき)

大気中に含まれる一酸化炭素の濃度を測定する機器。(=一酸化炭素濃度計、CO計)

一酸化炭素濃度計(いっさんかたんそそくていき)

大気中に含まれる一酸化炭素の濃度を測定する機器。(=一酸化炭素測定器、CO計)

一酸化炭素分析計(いっさんかたんそそくていき)

試料ガスに含まれる一酸化炭素(CO)の濃度を測定・分析する機器。

1.0級(いってんぜろきゅう)

アナログ表示の計測器(電圧計、電流計、電力計)の精度は5つ(0.2級、0.5級、1.0級、1.5級、2.5級)に分類されている(JIS、日本工業規格)。アナログ表示とは指針型のことで、白い板に黒字で目盛りが記載された上を針が動き、針が止まった数値を読んで測定値とする計測器のこと。0.2級が一番精度が良く標準器に使われている。計測器は1.0級と0.5級が多く、1.0級は準精密測定用、小型携帯用。1.0級とは±1.0%の誤差ということ。定格電圧100V(目盛りのフルスケールが100V)のアナログ電圧計で針が指す値が100Vだったら、±1.0Vの誤差がある。誤差はフルスケールの値に対して規定されているので、1.0級は一番良い精度が1.0%で、ほとんどの測定値は1.0%以上の誤差になることに注意が必要。参考用語:0.5級

移動体通信用電源(いどうたいつうしんようでんげん)

携帯電話の生産ラインで検査用に使われた計測用電源の総称。1995年にNTTドコモから4種類の形状の携帯電話が発売され(mova、ムーバ)、端末のレンタル制から買い取り制への移行、3G(デジタル方式の無線)の導入、と日本の電機メーカ各社はこぞって携帯電話の端末に参入した。NEC、富士通からソニー、パナソニック、デンソー、日本無線など、最盛期には10社以上があった。携帯電話の生産ラインにはGP-IB機能の無い菊水電子工業やケンウッド(現テクシオ・テクノロジー)の15~18V/3~5AのDC電源とは別に、GP-IB機能がある電源が使われた。キーサイト・テクノロジーの663xxシリーズやケースレーの2303-PJなどである。従来日本の計測用電源メーカのDC電源はGP-IB対応の物がほとんどなく、電源専業ではない海外の計測器メーカがGP-IB機能のある電源をラインアップしていた。それら、携帯電話製造ラインで使われるGP-IB機能のあるDC電源を「移動体通信用電源」と呼称した。これらモデルの品名にはそのような名称は全くないが、アプリケーションとして自動計測をする製造ラインでの使用があり、当時、製造ラインで大量にそのような電源を使うのは携帯電話が突出していたので、このような呼び方がされたと推測される。 携帯電話の生産ラインの計測器は各メーカがレンタルをフル活用したため、計測器レンタル会社は通信(無線)の計測器だけでなく、移動体通信用電源を大量に在庫して運用した。2010年代に日本には携帯電話を設計・製造するメーカはほぼ無くなったので、計測器レンタル会社の移動体通信用電源の在庫もほぼ無くなった。

移動平均(いどうへいきん)

デジタルオシロスコープのアベレージング(平均化)機能で、平均値の計算方法の1つ。指定個数の平均をウインドを移動しながら行う。新しいデータを取り込む毎に、平均化対象範囲内の一番古いデータを捨てて、同じデータ個数の平均値を計算し直す。手動で停止させるまで、平均化動作を続ける。