計測関連用語集

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トランジスタ(とらんじすた)

(transistor)電子回路で増幅やスイッチに使われる半導体素子。現在の電子機器には必須の基本的な電子部品である。3つの端子があり、それぞれエミッタ、コレクタ、ベース(ゲート)と呼ばれる。エミッタ、コレクタを入出力として増幅やスイッチの機能がある。たとえばベースに印加する電圧によって出力をON/OFFすることができる、応用例であるインバータは、トランジスタを複数組み合わせた回路によって信号を複雑にON/OFFして動作する。1940年代にアメリカのベル研究所で開発され、「transfer(転送)するresistor(抵抗)」から作った造語といわれる。

7セグメントLED(ななせぐめんとえるいーでぃー)

(seven segment LED)アラビア数字の0~9を表示するために、7個のLEDを8の字の位置に配置した表示装置のこと。表示装置なので7セグメント・ディスプレイとも呼ばれる。マイクロコンピュータ(MPU/CPU)の普及で電卓が作られるようになると、数字を何桁も表するために、初期は真空管に白熱フィラメントを数個配置して発光させ、数字を表した。LEDを使うことによって、表示部が小型の部品になり、プリント基板に実装されて、現在のような小型のデジタル表示機器になった。数字だけではなくアルファベットも7つの表示箇所を上手に使って表現している。7セグメントLEDに数字を表示させるためのドライバICもあり、数字を表示させるためのソフトウェアやハードウェアは使い勝手が良くなっている。

NAND(なんど)

NAND型フラッシュメモリを略してNANDと呼称することがある。NANDは日本語では否定論理積といい、論理演算の1種。「論理積(AND)ではない(not)」という意味で、「Not AND」を略記したもの。 東亜エレクトロニクス 株式会社(フラッシュサポートグループカンパニー)の「書込みやプログラマに関する用語集」では以下の説明がある。NANDはFLASHメモリの一種。FLASHメモリはNAND型とNOR型に分けられるが、NAND型はNOR型と比較して回路規模が小さいこともあるため、安価に大容量化を行うことができる。また、データの書込みや消去の際の速度も高速であるという特徴もある。USBやFlashSSDなどに使用され、以前は フロッピーディスクを使用していたものからNAND型のFLASHメモリに変更することによって、サイズダウンを行うことも可能となった。 東亜エレクトロニクス フラッシュサポートグループカンパニーは安藤電気のROMライタAF-9700シリーズの製品を移管されて、現在も新製品を発売し続けている(国産ROMライタメーカ2社の内の1社)。同社にはFLASHプログラマという名称の製品があった。他社のROMライタでも「フラッシュプログラマ」という名称があるが、同社はフラッシュではなくFLASHという表記を好んで使っていることが上記の解説でわかる。一般にはNAND型フラッシュメモリなど、フラッシュという表記の方が多い。

NAND型フラッシュメモリ(なんどがたふらっしゅめもり)

(NAND flash memory) 半導体メモリの代表的な1つ。略して「NANDフラッシュ」や「NAND」と呼称され、SSD(Solid State Drive)に多く採用されている。もう1つの代表であるDRAMと比較されて語られることが多い。 フラッシュメモリは不揮発性メモリの代表で、NAND(ナンド)型とNOR(ノア)型がある。NANDはデジタル回路の論理演算で「Not AND(ANDでない)」のこと。シリコン基板上にP型やN形の半導体を作り込んで1ビットの回路になるので、DRAMよりも複雑な構造になるが、電源OFFしても記憶が保持される。用途によってDRAMと使い分けされる。PCの外部記憶装置などに使われるストレージの出荷台数は、2020年にSSDがHDD(Hard Disk Drive)を上回った。NAND型フラッシュメモリの需要が増えている所以である。 DRAMのデバイスメーカは韓国のSamsung(サムスン)とSK Hynix(ハイニックス)、米国のMicron(マイクロン)の3社で、寡占状態である。NAND型フラッシュメモリは、この3社に日本のKIOXIA(キオクシア、2017年に東芝の半導体メモリ事業が分社、フラッシュメモリの専業)、米国のWestern Digital(ウエスタンデジタル、HDDのトップメーカ、2015年にサンディスクを買収しメモリに参入)を加えた5社で寡占している。 Western Digitalは東芝の半導体製造拠点である四日市工場で生産を行っている。2021年8月にWestern Digitalによる東芝メモリホールディングス(現KIOXIA)との合併交渉が報じられたが、実現しなかった。半導体メーカが減る(寡占が進む)ことは、ユーザよりもメーカが市場を有利にリードできることになり、メーカとしては半導体メモリ市況の悪化による経営難を回避したいという思いが伺える(DRAMメーカの1社だった日本のエルピーダメモリは2012年に赤字から経営破綻しMicronに買収されている)。 東芝はメモリを分社したが、東芝ストレージ&デバイス株式会社は半導体デバイス(SiCなどのパワー半導体から無線、高周波ICまで)とストレージ(HDD)をラインアップしている。つまり東芝はメモリ以外の半導体をまだ抱えているが、この事業も東芝の経営再建で切り離される可能性がゼロではない。東芝の高周波ICは防衛関係にも使われている。東芝から分離したことで小規模になり外国資本(たとえば中国など)に買収されると、(日本だけでなく米国も含めた)防衛上のリスク(先端技術の流失)が懸念される。2023年4月現在、国内ファンド(日本産業パートナーズ、JIP)による東芝の経営再建が実現する方向で進んでいる。 パナソニックは2020年に、半導体事業(100%子会社のパナソニック セミコンダクターソリューションズ)を台湾Winbond Electronics傘下のNuvoton Technology(ヌヴォトン テクノロジー)へ売却した。売却が発表されたとき、先端技術に詳しい識者は「パナソニックの半導体は5G(第五世代移動通信システム)に使われているものがある。5Gは単に通信の話ではなく防衛能力を左右する。そんな技術が中華系に流失したら日米の安全保障に関わる。経済産業省などの政府関係者は認識しているのか?」と発言したが遅かった。正鵠を射た発言だったことは、その後米国が半導体サプライチェーンから中国を締め出す方策を鮮明にしていることからも明らかである。 2023年10月、「Western Digitalが半導体メモリ事業を分離し、日本のKIOXIAと経営統合する方向で調整している」ことが報じられた。NAND型フラッシュメモリの世界シェアはサムスン電子34%、SKハイニックス19%、KIOXIA19%、Western Digital13%(2022年金額比)のため、統合によってKIOXIAは2位(32%相当)になる。スマホなどの販売不振で半導体メモリ市況が悪化していることもあるが、日米で半導体の安定供給を確保する意図が感じられる。 ここまで読んでいただき明らかなように、NAND型フラッシュメモリは半導体の用語だが、国際政治や経済・軍事戦略につながっていることばで、純粋な技術分野の用語ではない、という背景(深み)がある。

ニキシー管(にきしーかん)

(nixie tube) 1970年頃に主流だった表示器。電卓や計測器などに使われた。外観は真空管だが、内部にネオンガスなどが封入されている。電極が数字の形になっていて、電圧をかけるとオレンジ色に数字が光って表示される。0から9までの電極を前後に並べているので、よく見ると数字によって奥行きがあることがわかる。初期のデジタルマルチメータ(DMM)に採用されていたことが以下の記事に紹介されている。

NOR型メモリ(のあがためもり)

電源を切っても保存データが消えない、フラッシュメモリの1種(もう1つにNAND型がある)。小容量で、旧世代の携帯電話(いわゆるガラケー)に採用されていたが、2000年代後半からフラッシュメモリの主流は大容量のNAND型になった。NOR型は現在ではゲームや自動車に採用されている。 NORはデジタル回路の論理演算で「Not OR(論理和(OR)の結果を否定(Not)」で、二つの入力が0のときのみ出力が1となり、いずれか一方あるいは両方が1のときは0となる。

能動素子(のうどうそし)

(active component) 電子部品の抵抗(R)、コンデンサ(キャパシタ、静電容量、C)コイル(インダクタ、L)は電気エネルギーを消費(または蓄積)するが、トランジスタやダイオード、真空管などの半導体は電気エネルギーの増幅や整流を行う。前者を受動素子(passive component)、後者を能動素子と呼び、機能から命名している。 オシロスコープのプローブも購入時には受動プローブ(passive plobe)が標準添付されていることが多い。より高周波の測定時にはFETプローブなどの能動プローブ(active plobe)が必要になるが、能動プローブには電源供給が必要になる。能動素子(トランジスタや真空管)も小さな電気信号で大きな信号を制御するために電源供給が必要である。

パイプライン(ぱいぷらいん)

(pipe line)CPU命令実行サイクルは命令読み出し(フェッチ)~結果の格納まで4段階あるが、パイプライン処理は最初の命令が終わる前に、次の命令を並行して処理すること。キャッシュメモリやDMAと並び、CPUの動作を高速化する手法の1つ。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」マイクロコンピュータの高速化技術の章に、パイプライン処理についての図解がある。

発光ダイオード(はっこうだいおーど)

(Light Emitting Diode)LEDの日本語名だが、すでにLEDが日本語となっている。ダイオードの1種で、順方向に電圧を加えると発光する半導体(電子部品)。原理はエレクトロルミネセンス(EL)効果を利用している。最近はやりのディスプレイである有機ELやOLEDは、分類上は実はLEDである。

パワー半導体(ぱわーはんどうたい)

(power semiconductor) 電力関係の半導体の総称。電気信号を扱う通常の半導体ではなく、高電圧・大電流を扱う。電圧や周波数の変換や、電力増幅などに使われる。IGBTやパワーMOSFETなど。最近はSiCやGaNなど、Si(シリコン)ではない元素を使う効率が高いパワー半導体が出始めている。日本の半導体メーカは1980年代に世界一だったが現在は台湾や韓国に追い抜かれ見る影はない。ただしパワー半導体では日本のデバイスメーカ(三菱電機、富士電機)は世界に伍している。東芝やルネサス・エレクトロニクス、ロームも作っている。

半導体(はんどうたい)

(semiconductor)電気を通す素材(材料、物質、元素など)を導体、通さないものを絶縁体という。ある条件のもとでは導体になる電子部品を半導体という。代表的なものがトランジスタで、端子が3つあり、たとえば1つの端子に加える電圧によって、他の2つの端子間に電流が流れる(導体になる)。 半導体は現在の社会生活を支える重要なインフラに使われている。1980年代に日本の半導体は世界シェア50%を占め、日米貿易摩擦などが起こった。その後に日本の半導体デバイスメーカは衰退し、現在はエルピーダメモリ株式会社くらいしか残っていない。現在は中華系(台湾など)や韓国の半導体デバイスのメーカが世界シェアを握っている。1922年に米国のバイデン大統領は、自国で半導体サプライチェーンを構築する方針を打ち出している(中国を念頭に、半導体が軍事力を左右することが認識されている)。 日本もTSMCの工場を熊本に誘致した。2022年11月、トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTなど日本の大手企業8社は、先端半導体の国産化に向けた会社、Rapidus(ラピダス)を共同で設立すると発表した。半導体の回路幅が2ナノメートル以下の製品量産化を2027年に目指す方針だが、前途は多難である。韓国のサムスンや台湾のTSMCが2ナノメートルの製品実用化を2025年目標にしているのに対して、それより細い(さらに先端的な)製品の生産を2027年には道筋を付けたいとしている。中国の台頭や、ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月)で半導体の世界的な供給網が寸断され、スマホや電気自動車、ロボット、AIなどに必須な先端半導体の国産化が欠かせないという機運が官民で高まった。経済産業省も700億円の補助を計画している。

半導体ウェーハ(はんどうたいうぇーは)

(wafer)半導体材料であるシリコンウェーハのこと。形状は丸い円盤で、たくさんの半導体チップが円盤状に形成されていて、切断してパッケージに挿入されて1つの半導体製品となる。そのためより大きいサイズのウェーハを作ると製品を安価にできる。ただし大型のサイズを作るには莫大な設備投資が必要になる。大きなサイズを作る開発競争が先端メーカ各社で行わわれている。日本のデバイスメーカはその競争に追従できずに1990年以降に撤退していった。 半導体デバイスでは世界シェアで日本メーカはほぼ撤退だが、半導体ウェーハの世界シェアは日本企業2社で約50%(信越化学工業31%、SUMCO24%)といわれるので、日本企業が材料に強いことを象徴している。No.3以降は台湾や韓国企業で、日本と台湾の大手企業でほぼ寡占状態である。生産設備(シリコン結晶の引き上げ装置など)を各社は自社開発するなど、各社が研鑽している。 ウェーハのサイズは大きいほど一枚から多くのデバイスを切り出せるので効率が良い。12インチ(約30cm)をつくれる工場を台湾のファウンドリTSMCが米国につくる計画が2020年に発表されているが、台湾のTSMCではもっとサイズが大きいウェーハが製造できるので、米国工場は最先端ではない。 表記はウェハー、ウェハ、ウエハ、ウエーハ、ウエハーなどあるが、ウェーハが一番多いと思われる。英語を知っている人は「ウェーハ(ー)」と発音すると思うが、耳で聞こえるのは「ウエハ」または「ウエハー」という発音で(ェではなくエで)ある。何げなく「ウエハ」と表記したり、発音していたが、この用語の解説を書くのであらためて調べたら表記が「ウェーハ」であることに筆者は少し驚いた。水の英語(water)の発音はウォラだが、日本人はウオーターになるのと似ている。外国語の発音をカタカナ表記するのは難しい。 参考用語:半導体製造装置、半導体テスタ

半導体検査装置(はんどうたいけんさそうち)

半導体テスタ(約40%)、ウェーハ表面検査装置(約20%)、マスク検査装置(約20%)などの半導体デバイスの製造工程で使われる検査・試験装置のこと(かっこ内は2020年度の売上シェア推定)。半導体テスタは計測器の1種としてJEMIMA(日本電気計測器工業会)の資料ではカテゴリーの1つに分類され、生産額統計などのデータが開示されている。 ウェーハ表面検査装置のメーカ国籍別シェアはは米国、EU、日本の順番で米国が8割を占めているが、SEM(走査顕微鏡)で比較すると日本(60%)、米国(35%)と、日本が寡占である。(半導体デバイスではなく)材料や、生産設備である(検査装置を含む)製造装置の分野では日本にはトップシェアの企業が多くある。2021年に米国のバイデン大統領が中国を入れない半導体サプライチェーン構築を発表したが、日本に大きな期待をする所以である。 半導体テスタの世界トップシェアはケーエルエー・テンコール(略記:KLA)といわれる(日本にも技術者のいる拠点がある)。国産のアドバンテストはメモリテスタを中心に世界トップの半導体テスタメーカである。海外ではBRUKEA(ブルカー)、日本では日立ハイテクや浜松ホトニクスなどが半導体検査装置をつくっている。

半導体製造装置(はんどうたいせいぞうそうち)

「半導体装置」とも略記される、半導体の生産設備のこと。半導体の生産にはいくつもの行程があり(前工程、後工程)、高シェアの日本の装置メーカが何社もある。大手5社としては、東京エレクトロン(エッチング、成膜など)、アドバンテスト(半導体テスタ)、ディスコ(精密加工)、SCREENホールディングス(旧大日本スクリーン製造株式会社、ウエーハ洗浄、露光など)、東京精密(プロービングなど)。半導体テスタは検査装置なので、計測器の1種としてJEMIMA(日本電気計測器工業会)の資料ではカテゴリーの1つに分類され、生産額統計などのデータが開示されている。

半導体テスタ(はんどうたいてすた)

半導体デバイスの検査をする装置。ATE(Automated Test Equipment)や半導体検査装置、半導体試験装置などとも呼ばれる。製造過程のウェーハと半導体チップの大きく2つで検査する。メモリテスタ、ロジックテスタなどがある。半導体生産ラインの最終工程では搬送機(ハンドラ)と組み合わせて使われる。米国の半導体テスタメーカ、Teradyne(テラダイン)は1966年にコンピュータを搭載した自動検査装置(ATE)を世界初で製品化したといわれる(同社のホームページより)。 日本のアドバンテストは世界No1メーカ(元々メモリテスタが強く、半導体の主流がメモリになり躍進)。以前はキーサイト・テクノロジー、安藤電気、シバソク、ミナトエレクトロニクス、日立電子、横河電機などの計測器メーカがつくっていたが、シバソク以外は全て撤退。計測器の業界団体である日本電気計測器工業会(JEMIMA)は一般の電子計測器とは別枠で扱っている。 半導体テスタを手掛けた代表的な計測器メーカ2社について述べる。1950年代に電子計測器メーカとして創業した「タケダ理研工業」は1970年代に富士通が資本参加して社名は「アドバンテスト」になった。同社が古くからつくってきた機種群(RF製品以外の主に低周波の製品)は「エーディーシー」社に移管された。タケダ理研のコンペチタであり、同様に創業者が社名になった安藤電気は、電電ファミリーとして通信計測器と、NECの子会社として半導体テスタ(主にロジックテスタ)を作る会社だった。NECは半導体事業から撤退(半導体デバイスの子会社であるNECエレクトロニクスを、三菱電機・日立系のルネサスエレクトロニクスに経営統合)し、半導体テスタはグループ内に不要となり、安藤電気から資本を引き揚げた。2001年に安藤電気は横河電機の傘下となったが、現在は会社はもうない。安藤電気の半導体テスタや光デバイス(フォトニクス)技術は横河電機に引き継がれたが、横河電機は10年やらずにすべてやめてしまった。安藤電気が2000年頃にキーサイト・テクノロジーと競った光通信計測器は、横河計測株式会社の1つの製品群になっている。同社の光スペクトラムアナライザは世界No1。タケダ理研のアナログ計測技術の計測器はエーディーシーに引き継がれたが、安藤電気の光通信計測器は横河計測として生き残った。 半導体テスタは1970年代から2000年代に計測器メーカが競って参入した最先端の花形製品だった。ICEも半導体の1種であるマイクロプロセッサの普及に伴い計測器メーカが参入したが、1990年頃にはメーカの主体はICE専業のベンチャー企業になっていた。半導体テスタもアドバンテストとシバソクが残ったが、両社ともに計測器からは撤退しているので(※)、計測器メーカが半導体テスタの担い手ではなくなっている。 (※)シバソクは2000年頃まではテレビ・オーディオ測定器をつくり、リーダ電子やテクトロニクスと競ったが、計測器をアサカに移管して撤退し、半導体テスタに集中した。テクトロニクスも映像事業部を売却してTV関連計測器から撤退している。

半導体パラメータアナライザ(はんどうたいぱらめーたあならいざ)

半導体デバイスの特性を測定する機器。ソース部(電圧・電流発生器)と計測部(電流・電圧の測定)で構成され、ソフトウェアでプログラムを作成して使用する。構造はメインフレームで、ユニット式のSMUを装着して使う。DUTにどのように電圧・電流をあたえ、どこの電圧・電流を測定するかを測定器の画面で設定できる。半導体デバイスメーカは設計・開発・製造・検査のあらゆる部署で使う。デバイスメーカの基本測定器といえる。メーカはキーサイト・テクノロジーとケースレーの2社。SMUを多くラインアップしている日本のエーディーシーは半導体パラメータアナライザをつくる要素技術を持っているが製品はない(2021年1月現在)。参考用語:カーブトレーサ 参考記事:アナライザあれこれ 第4回「半導体パラメータアナライザ, カーブトレーサ」 計測器情報:半導体パラメータアナライザの製品例

半パラ(はんぱら)

半導体パラメータアナライザの略称。カーブトレーサと共に半導体デバイスの開発・検査の基本測定器。参考記事:アナライザあれこれ 第4回「半導体パラメータアナライザ, カーブトレーサ」

pAメータ(ぴーえーめーた)

pA(ピコアンペア)程度の微少電流を測定する測定器。参考用語:微少電流計、フェムト・ピコアンメータ、エレクトロメータ、IRメータ 計測器情報:pAメータの製品例

PLD(ぴーえるでぃー)

(Programmable Logic Device)日本語で「プログラマブルロジックデバイス」と呼ばれることもある。購入後に使用者が内部の論理回路を作成できる半導体チップの総称。通常の半導体は製造後に内部の回路を変更することはできないが、PLDは書き換えることができる。そのためユーザ(論理回路の設計者)はその情報をPLDに書き込んで、自由な回路構成を作ることができる。小規模なPLDをSPLD(Simple PLD)といい、PAL(Programmable Array Logic)やGAL(Generic Array Logic)がある。大規模なものをCPLD(Complex PLD)、より大規模なものにFPGA(Field Programmable Gate Array)がある。いまやFPGAは大変普及して別格のロジックデバイスになったので、広義にはPLDの1種だが、独立して呼称されることが多くなった。

光半導体(ひかりはんどうたい)

(opto semidonductor) 2つの意味がある。従来は以下の1.だったが、最近2.の意味でも使われている。 1. 半導体の中で、電気信号を光信号に変換する発光素子、光信号を電気信号に変換する受光素子、発光素子と受光素子を組み合わせた複合素子を、「光半導体」と総称する。その種類と用途は以下。 (1)電流を光に変換する光半導体(発光素子) ①LED:照明、信号灯、ディスプレイ、電子機器のバックライトなどに使用。 ➁レーザーダイオード:DVDの書き込み、光ファイバ通信、3Dセンサなど。 ➂赤外線LED:テレビのリモコン、防犯カメラ、車両カメラなど。 (2)光を電流に変換する光半導体(受光素子)・・光の検出をするので、光センサとも呼ばれる。 ①フォトダイオード:カメラの露出計、光通信システム、分光器、暗視装置など。 ➁フォトトランジスタ:自動ドア、カメラ、スマートフォン、光電センサなど。 光デバイスをopto device(オプトデバイス)と呼んでいる。opticalは日本語では「光学」になるので、optical semiconductorは「光学 半導体」である。ここでいう光半導体は英語では、opto semidonductor。 光半導体に関する国内メーカの対応は様々。総合半導体メーカのルネサス エレクトロニクスは、2020年5月に光半導体事業(半導体レーザーとフォトダイオード)から撤退し、製造拠点である滋賀工場の生産ラインを停止すると発表した。光デバイス専業メーカの浜松ホトニクス(通称:浜ホト)は、2019年6月に光半導体事業の生産能力向上のため、浜松市の新貝工場に新棟を建設すると発表した。 2. NTTは次世代の基幹通信網として、オールフォトニクス・ネットワークのIOWN(アイオン)構想を2019年に発表した。光を電気に変換しないで光のままで処理することで、電気よりも高速・大容量を実現する。そのためのキーは「チップ内で(電気を使わず)光で処理をする」光半導体である。ここでいう光半導体は前述の受光素子、発光素子ではなく、光電融合デバイスを指す。NTTは、「従来の半導体上で電子回路が担ってきた情報のやり取りを光回路に置き換える」、電子が通る銅配線の代わりに「シリコンに光を閉じ込めて通す道、光導波路を形成する」研究を進めている(プリント基板に安価に光導波路が形成される未来を想定している)。 IOWNグローバルフォーラムには世界中の先端企業が参画している。インテルは光半導体(光集積回路)の研究に世界で最も注力している企業である。電子ではなく、従来よりももっと高速の光を使って情報を伝えて処理することで、「これまでにない超低消費電力、超高速処理で動く半導体」の開発が進んでいる。 2022年1月21日の日本経済新聞には以下の内容の記事がある。 NTTは「光の半導体」で限界突破し、電気から技術転換。半導体チップに「光」の通る回路を作り情報を処理する。 2024年1月30日には「経済産業省はNTTが主導する次世代の「光半導体」の研究開発に最大452億円を支援する」ことが報じられた。 2000年以降に、半導体のシリコン基板上に、光導波路、光スイッチ、光変調器、受光器などの素子を形成する技術が研究されてきた。シリコン基板上に受光器などを集積するので、シリコンフォトニクスと呼ばれる。NTTは光送受信モジュールを開発できたことを成果としてIOWNを発表した。インテルは2020年12月開催のIntel Labs Day 2020で、シリコンフォトニクスの研究テーマとして、従来のサイズから1000分の1に小型化した変調器を紹介した。シリコンのCMOS集積回路の製造技術は確立しているので、シリコンフォトニクスによる超高速・小型・低消費電力の光半導体は、比較的に安価な製造コストで実現できると考えられている。