計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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三田無線研究所(みたむせんけんきゅうしょ)

茨木悟氏が1924年(大正14年)に設立した計測器メーカ(現在は無い)。デジタルICテスターLI-255、オペアンプテスター360、トランジスタテスター105、真空管試験器3001Dなどの品名・形名の計測器をつくっていた。同社HPには「茨木悟(J1FQ/J21H 1900-1994)が続けた電子機器製造業を終了した」旨の表示のみがあり、会社概要などは一切書かれていないので、いつ会社が無くなったかは不明。 1923年にラジオを中心とした電子機器製造業として茨木悟研究所を創立したのが始まり。DELICA(デリカ)の名称で親しまれた。住所が東京都港区の(麻布から白金にかけての)三田台地だったことが社名に関係すると推測される。有栖川宮記念公園に続く仙台坂にあった会社の住所をWeb地図で検索すると「デリカビル」と表示される(2022年12月)。「DELICAというのはDelicacyとかDelicateという言葉の頭6字だけを使った」と「電波科学」(1958年3月号)に載っている。トラ技の創刊号(1964年9月)に同社のトランジスタ試験器の広告が掲載されている。中古品Webサイトには「三田無線研究所(アマチュア無線関連)」などの表記で出品がある。同社の製品は、当時の最先端(ハイテク)電子機器として人気があったと思われる。 茨木悟氏は明治33年生まれで、米国の大学で研究していたが、日本でラジオ放送が始まる1941年頃に帰国し、三田無線研究所の所長を務めた。前述の会社HPにある「J1FQ/J21H」はアマチュア無線局のコールサイン(call sign、呼出符号。無線局の名称。つまり茨木悟の認識番号)である。「アマチュア無線家なら誰でも憧れた三田無線」といわれ、三田無線研究所について熱く語るコミュニティサイトが存在している。 昭和初期に真空管で始まったラジオ放送が半導体に置き換わる時代に、最先端の電子機器の1つが三田無線研究所の電気計測器だったといえる。ICを使った機器の研究、整備・調整、教育用として、ICを一個ずつ装着して手動で操作する計測器が使われた。FETなどのトランジスタや、ダイオードの諸定数を測定したり、真空管の各電極に任意のバイアス電圧を与えて各電極電流を測定し、Gm(相互コンダクタンス)を演算してデジタル表示する計測器は、真空管や半導体という電子部品を使って電子機器を設計する技術者に重宝された。 同社製品の銘板には会社名が「K.K.MITA MUSEN KENKYUSHO TOKYO JAPAN」と印字されているので、会社名の読みは「けんきゅうじょ」ではなく「けんきゅうしょ」である。

ミナトエレクトロニクス(みなとえれくとろにくす)

1972年から2015年に存在した、ROMライタ(計測器)やメモリテスタ(半導体テスタ)のメーカ。 1973年に国産初のデバイスプログラマ「ROMプログラマ1800型」を開発している。アバールデータ(PECKER)やタケダ理研工業(現アドバンテスト)、安藤電気などが1980年頃にROMライタに参入する以前の草分けである。当時は東陽テクニカが海外のデータI/O(Data I/O Corporation)製品を取り扱っていて、ミナトエレクトロニクスとの2社が老舗だった。 1980年頃にはICの量産時の検査に使うメモリテストシステム(半導体テスタ)を開発している。ミナトレクトロニクスは日本電気(NEC)の資本が入っている。NECの子会社である安藤電気もロジックテスタを主力に半導体テスタをつくっていたので、NEC傘下に半導体テスタメーカが2社あったことになる(NECが半導体デバイスから2000年頃に撤退し、ミナトエレクトロニクスも半導体テスタを販売終了している)。 簡単に沿革を書くと、1956年に東京都港区に港通信機製作所を設立し、電子計測器の設計製造を開始。2018年に持株会社体制に移行し、技術製造子会社のミナト・アドバンスト・テクノロジーズ株式会社がROMプログラマを継続。初号器の1800型に近い型名の「ユニバーサルプログラマModel1883」が現役であるが、次の1900シリーズは販売終了している。MODEL500シリーズなどのギャングプログラマをラインアップしている(2023年2月現在)。 東陽テクニカは2020年にデータI/Oの取り扱いを正式にやめている。マイコンの普及とともに活用されたインサーキットエミュレータやロジックアナライザと同じくROMライタの市場も減少した。安藤電気のROMライタを技術移管して継続しているフラッシュサポートグループ(東亜エレクトロニクス)とミナト・アドバンスト・テクノロジーズが現存する2社のROMライタメーカである。advice(ICE)で一世を風靡したDTSインサイトはフラッシュマイコンのオンボードブログラマに参入し、デバイス書きではない車載部品用に高シェアである(以下の記事に詳しい)。

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