計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

8

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

ファームウェア(ふぁーむうえあ)

(firmware) 一般にハードウェアとソフトウェアを比較すると、ハードウェアは(ソフトウェアに比べて)処理が速いが変更はしずらく、ソフトウェアはハードウェアほど速くないが変更が容易である。設計時に、ある機能をどう作りこむか(ハードウェアとソフトウェアのどちらで実現するか)ということは両者の長短を勘案して決定される。本来ハードウェアで実現するような機能をソフトウェアでつくりこんでいるものをファームウェアと呼ぶ。 電気機器の設計部門の技術者に「担当は何ですか?」と聞いて「ファームです」と答えたら、この技術者はソフトウェアの開発をしているのでICE(マイコン開発支援装置)を使う可能性があるが、ハードウェアにも関係しているのでオシロスコープやプロトコルアナライザのようなハードウェア設計者が使う測定器も使う可能性がある。技術者はファームウェアを略して、ファームと呼称している。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では次のように解説している。「ファームウェア:ハードウェアの基本的な制御を行うために機器に組み込まれたソフトウェア。機器に固定的に搭載されほとんど変更されないことから、ハードウェアとソフトウェアの中間的な存在としてファームウェアと呼ばれている。機器に内蔵されたROMやフラッシュに記憶されている。パソコンのBIOSもファームウェアの一種である。機能の追加や不具合の修正のため、後から変更できるようになっているものもある。」

ファウンドリ(ふぁうんどり)

(foundry)開発や設計は行わず、生産に特化するメーカのこと。半導体の委託生産をするTSMCは世界で最も企業価値の高い半導体専門ファウンドリである。逆に生産を外部委託して開発・設計に特化するメーカを「ファブレス」という。foundryの翻訳は「鋳造所、鋳物工場」。

ファブレス(ふぁぶれす)

(fabless)生産を外部委託して開発・設計に特化するメーカのこと。生産工場を持たない開発・設計企業。半導体の分野では製造のための最先端の設備投資が莫大な金額になり、このような水平分業が進んだ。逆に開発は行わず、生産に特化するメーカをファウンドリと呼ぶ。台湾のTSMCは半導体の委託生産をする世界最大の企業として有名。fablessとはfab(fabrication facility、工場)を持たないという意味。

フェムト・ピコアンメータ(ふぇむとぴこあんぺあめーた)

キーサイト・テクノロジーの形名B2981A、B2983Aの品名(2016年5月)。カテゴリー「半導体測定器」の、微少電流測定器であるピコアンメータは、その名の通りpA(ピコアンペア)という小さな電流を測定できるが、測定精度が向上してフェムトアンペア(ピコのさらに千分の一)までできる、というネーミング。同社の製品カタログ「B2980Aシリーズ」の表紙のキャッチコピーは「最小0.01 f(フェムト)A/最大10 P(ペタ)Ωを高い信頼性で測定できる業界唯一のグラフィカルピコアンメータ/エレクトロメータ」とある。B2980Aシリーズにはフェムト・ピコアンメータともう1つ、形名B2985AとB2987A、品名「エレクトロメータ/ハイレジスタンスメータ」がある。つまり、ピコアンメータ(微少電流計)とエレクトロメータ(絶縁抵抗計)はほぼ同じものである。微少電流の測定と絶縁抵抗(高抵抗)の測定は同じ原理で行われる。電気作業員が屋外で使用する可搬型の絶縁抵抗計はメガーと呼ばれるが、据え置き型の機種も含めて、絶縁抵抗計は回路素子(L・C・R)の値を測定する機器の1種類として、カテゴリー「回路素子測定器」に当サイトでは分類している(絶縁抵抗計や超絶縁抵抗計という品名の機種)。微少電流計は電流計であるが、デジタルマルチメータ(DMM)やアナログ電流計があるカテゴリー「電圧・電流・電力測定器」ではなく、カーブトレーサと同じカテゴリー「半導体測定器」に当サイトでは分類している。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

フォトカプラ(ふぉとかぷら)

(photocoupler)電気-光変換によって、回路を電気的に絶縁したいときに使う電子部品。フォトカプラ内部では入力電気信号を発光素子で光信号に変え、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力する。FA、OA、家電など多くの電気機器では、動作上の安全を担保する目的でフォトカプラを使用している。optocoupler、opto-isolator、optical isolatorなどの表記もされる。「光で(photo/opto)、つなぐもの(coupler)」という意味。アイソレータは「アイソレーション(絶縁)する物」という意味。

フラッシュメモリ(ふらっしゅめもり)

(flash memory)半導体メモリの不揮発性メモリ(電源を切っても記録されたデータが消えずに保持される)の1種。構造がEEPROMと同じため「フラッシュROM」とも呼ばれるが、消去と再書き込みができるのでRAMである。種類はNAND型とNOR型の2つがある。NAND型フラッシュメモリのことを略して「NAND」と説明している例もある。具体的にはSSDはフラッシュメモリである。東芝の技術者が開発した際、写真のフラッシュのように一瞬で消去できることから命名したとされる。東芝のメモリ事業は分社化され、現在はKIOXIA(キオクシア)がNAND型フラッシュメモリの専業メーカとなっている(エルピーダメモリが2010年代に経営破綻して売却されたので、現存する唯一の国産・大手半導体メモリメーカである)。 1980~1990年代に多くのメーカがあったROMライタはアドバンテストや安藤電気が撤退し、現在の国産メーカはミナト・アドバンスト・テクノロジーズ(旧ミナトエレクトロニクス)と東亜エレクトロニクス株式会社(フラッシュサポートグループカンパニー)の2社になった。東亜エレクトロニクスのROMライタには「FLASHプログラマ」という名称がある。フラッシュとROMが関係している例といえる。

プロセッサ(ぷろせっさ)

(processor)マイクロプロセッサ(microprocessor)のことを略してプロセッサと呼ぶ。

  • 1