計測関連用語集

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7セグメントLED(ななせぐめんとえるいーでぃー)

(seven segment LED)アラビア数字の0~9を表示するために、7個のLEDを8の字の位置に配置した表示装置のこと。表示装置なので7セグメント・ディスプレイとも呼ばれる。マイクロコンピュータ(MPU/CPU)の普及で電卓が作られるようになると、数字を何桁も表するために、初期は真空管に白熱フィラメントを数個配置して発光させ、数字を表した。LEDを使うことによって、表示部が小型の部品になり、プリント基板に実装されて、現在のような小型のデジタル表示機器になった。数字だけではなくアルファベットも7つの表示箇所を上手に使って表現している。7セグメントLEDに数字を表示させるためのドライバICもあり、数字を表示させるためのソフトウェアやハードウェアは使い勝手が良くなっている。

NAND(なんど)

NAND型フラッシュメモリを略してNANDと呼称することがある。NANDは日本語では否定論理積といい、論理演算の1種。「論理積(AND)ではない(not)」という意味で、「Not AND」を略記したもの。 東亜エレクトロニクス 株式会社(フラッシュサポートグループカンパニー)の「書込みやプログラマに関する用語集」では以下の説明がある。NANDはFLASHメモリの一種。FLASHメモリはNAND型とNOR型に分けられるが、NAND型はNOR型と比較して回路規模が小さいこともあるため、安価に大容量化を行うことができる。また、データの書込みや消去の際の速度も高速であるという特徴もある。USBやFlashSSDなどに使用され、以前は フロッピーディスクを使用していたものからNAND型のFLASHメモリに変更することによって、サイズダウンを行うことも可能となった。 東亜エレクトロニクス フラッシュサポートグループカンパニーは安藤電気のROMライタAF-9700シリーズの製品を移管されて、現在も新製品を発売し続けている(国産ROMライタメーカ2社の内の1社)。同社にはFLASHプログラマという名称の製品があった。他社のROMライタでも「フラッシュプログラマ」という名称があるが、同社はフラッシュではなくFLASHという表記を好んで使っていることが上記の解説でわかる。一般にはNAND型フラッシュメモリなど、フラッシュという表記の方が多い。

NAND型フラッシュメモリ(なんどがたふらっしゅめもり)

(NAND flash memory) 半導体メモリの代表的な1つ。略して「NANDフラッシュ」や「NAND」と呼称され、SSD(Solid State Drive)に多く採用されている。もう1つの代表であるDRAMと比較されて語られることが多い。 フラッシュメモリは不揮発性メモリの代表で、NAND(ナンド)型とNOR(ノア)型がある。NANDはデジタル回路の論理演算で「Not AND(ANDでない)」のこと。シリコン基板上にP型やN形の半導体を作り込んで1ビットの回路になるので、DRAMよりも複雑な構造になるが、電源OFFしても記憶が保持される。用途によってDRAMと使い分けされる。PCの外部記憶装置などに使われるストレージの出荷台数は、2020年にSSDがHDD(Hard Disk Drive)を上回った。NAND型フラッシュメモリの需要が増えている所以である。 DRAMのデバイスメーカは韓国のSamsung(サムスン)とSK Hynix(ハイニックス)、米国のMicron(マイクロン)の3社で、寡占状態である。NAND型フラッシュメモリは、この3社に日本のKIOXIA(キオクシア、2017年に東芝の半導体メモリ事業が分社、フラッシュメモリの専業)、米国のWestern Digital(ウエスタンデジタル、HDDのトップメーカ、2015年にサンディスクを買収しメモリに参入)を加えた5社で寡占している。 Western Digitalは東芝の半導体製造拠点である四日市工場で生産を行っている。2021年8月にWestern Digitalによる東芝メモリホールディングス(現KIOXIA)との合併交渉が報じられたが、実現しなかった。半導体メーカが減る(寡占が進む)ことは、ユーザよりもメーカが市場を有利にリードできることになり、メーカとしては半導体メモリ市況の悪化による経営難を回避したいという思いが伺える(DRAMメーカの1社だった日本のエルピーダメモリは2012年に赤字から経営破綻しMicronに買収されている)。 東芝はメモリを分社したが、東芝ストレージ&デバイス株式会社は半導体デバイス(SiCなどのパワー半導体から無線、高周波ICまで)とストレージ(HDD)をラインアップしている。つまり東芝はメモリ以外の半導体をまだ抱えているが、この事業も東芝の経営再建で切り離される可能性がゼロではない。東芝の高周波ICは防衛関係にも使われている。東芝から分離したことで小規模になり外国資本(たとえば中国など)に買収されると、(日本だけでなく米国も含めた)防衛上のリスク(先端技術の流失)が懸念される。2023年4月現在、国内ファンド(日本産業パートナーズ、JIP)による東芝の経営再建が実現する方向で進んでいる。 パナソニックは2020年に、半導体事業(100%子会社のパナソニック セミコンダクターソリューションズ)を台湾Winbond Electronics傘下のNuvoton Technology(ヌヴォトン テクノロジー)へ売却した。売却が発表されたとき、先端技術に詳しい識者は「パナソニックの半導体は5G(第五世代移動通信システム)に使われているものがある。5Gは単に通信の話ではなく防衛能力を左右する。そんな技術が中華系に流失したら日米の安全保障に関わる。経済産業省などの政府関係者は認識しているのか?」と発言したが遅かった。正鵠を射た発言だったことは、その後米国が半導体サプライチェーンから中国を締め出す方策を鮮明にしていることからも明らかである。 2023年10月、「Western Digitalが半導体メモリ事業を分離し、日本のKIOXIAと経営統合する方向で調整している」ことが報じられた。NAND型フラッシュメモリの世界シェアはサムスン電子34%、SKハイニックス19%、KIOXIA19%、Western Digital13%(2022年金額比)のため、統合によってKIOXIAは2位(32%相当)になる。スマホなどの販売不振で半導体メモリ市況が悪化していることもあるが、日米で半導体の安定供給を確保する意図が感じられる。 ここまで読んでいただき明らかなように、NAND型フラッシュメモリは半導体の用語だが、国際政治や経済・軍事戦略につながっていることばで、純粋な技術分野の用語ではない、という背景(深み)がある。

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