計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ASSP(えーえすえすぴー)

(Application Specific Standard Product)メモリのような汎用品と顧客に応じて設計する特定用途向けIC(ASIC)の中間に位置するもので、複数の顧客に共通に提供することができるチップを言う。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

ASIC(えーしっく)

(Application Specific Integrated Circuit)日本語にすると「特定用途向け集積回路」だが、ASICという言葉の方が良く使われている(すでに日本語となっている)。別名:カスタムIC。特定の用途(顧客)向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路。アナログよりもデジタル回路が多く、標準デジタルICやFPGAなどと比較して長短がある。参考用語:ASSP

ATE(えーてぃーいー)

(Automated Test Equipment) 半導体テスタとも呼ばれる、半導体検査装置、半導体試験装置のこと。半導体の製造過程では、ウエハと半導体チップの2つで大きな検査をする。前者は電子顕微鏡もある(メーカとしては日立ハイテクなど)。後者について述べる。半導体テスタはできあがった半導体に電気信号を与え仕様通りの動作をするか検査する装置。メモリテスタ、ロジックテスタ、アナログテスタがある。半導体生産ラインの最終工程では搬送機(ハンドラ)と組み合わせて検査ラインを構築する。製造ラインの設備額として比重が高いといわれる。日本のアドバンテストは世界No1メーカとして有名。1970年代から2000年代には、キーサイト・テクノロジー、横河電機、安藤電気、シバソク、ミナトエレクトロニクスなどの計測器メーカがラインアップしていた(現在はすべて撤退)。そのため、計測器の業界団体である日本電気計測器工業会(JEMIMA)も製品群として扱っているが、一般の電子計測器の各カテゴリの売上額と比較して半導体テスタは大きいため別枠にしている。マイクロプロセッサ(MPU、CPU)の進展によって、メモリやロジックなどの多様な半導体チップが大量生産されるようになると、その検査装置としてキーサイト・テクノロジー(当時はHP)やアドバンテスト(当時はタケダ理研工業)は半導体テスタに参入した。NECや富士通、東芝、日立、三菱電機という日本の通信機器、総合家電各社は半導体デバイスをつくっていた。NECは国産の半導体テスタを設備するために、グループ内に半導体テスタメーカをもっていた(安藤電気、ミナトエレクトロニクス)。富士通はタケダ理研工業を傘下にして社名はアドバンテストになり、創業であった計測器からは撤退し、半導体テスタメーカとなった。当時の半導体テスタは最先端技術であり、計測の老舗、横河電機も1990年代に参入した(その後、安藤電気の半導体テスタを吸収したが、現在は撤退)。メモリの1種であるROM(ロム)の書き込み器をROMプログラマ(ROMライタ)というが、アドバンテスト、安藤電気、ミナトエレクトロニクスがラインアップしていた。安藤電気の製品は協力会社の東亜エレクトロニクス(旧フラッシュサポート)に移管され存続している。

SiC(えすあいしー)

炭化ケイ素のこと。Silicon Carbide(シリコンカーバイド)。 半導体の材料元素はシリコンが主流だが、パワー半導体ではSiCやGaNを使った製品が普及しつつある。

SDRAM(えすでぃーらむ)

(Synchronous DRAM)内部的には、従来のDRAMと同じだが、外部バスインタフェースとのアクセスが一定周期のクロック信号に同期してデータを出力するように改良されたDRAM。クロック同期することにより、高速アクセスが可能となった。66MHz、100MHz、133MHzなどがある。ICEのリアルタイムトレースでは、この同期アクセス方法を解析して、ニーモニック表示を実現している。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

SRAM(えすらむ)

(Static RAM)「スタティックラム」とも呼ばれる。ラムランダムにアドレスを指定して読み書きすることが可能なメモリ。電源を切ってしまうとデータが消えてしまう揮発性記憶デバイス。比較的に高速(最高数ns)にアクセスでき、DRAMのようなリフレッシュ機能がいらない分、ユーザボード上の回路が簡単に構成できる。構造上DRAMに比べてトランジスタが多く必要なため価格が高め。近年SDRAMなど、高速で低価格なデバイスが多く用いられるようになってきている。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

エヌビディア(えぬびでぃあ)

(Nvidia Corporation) 画像処理チップのGPU(Graphics Processing Unit)で世界No.1の半導体デバイスメーカ(ファブレス)。1993年設立(本社は米国カリフォルニア州サンタクララ)。企業ロゴが「NVIDIA」のためNVIDIAという表記も見かける。2022年11月に公開されて世界中で話題となった生成AIのChatGPT(チャット ジーピィーティー)は、エヌビディアのGPUによってつくられたといっても過言ではない。同社の半導体とソフトウェアはAIの進歩に貢献し、CPUのトップベンダ、インテルに次ぐ存在となった(時価総額は世界10位内に入る)。 1993年の創業時はPCやゲーム機向けのGPUをつくった。ソニーが家庭用ゲーム機「プレイステーション」を発売するなど、当時のゲーム機には最新の画像処理技術が使われた。GPUは複数の単純計算を同時に高速に行う(並列処理)ことによって、ゲームの画像をつくりだす。アニメの動きや影などをよりリアルに描画するために、GPUは処理能力を向上させた。2010年代前半に「AIも計算力が高いほど良い結果が得られる」ことに同社は着目し、AI分野に参入した。 2023年12月に来日したジェンスン・ファンCEOは西村経済産業相との会談で、日本にAI開発拠点を設ける意向を示した(産総研は生成AIの研究を行い、エヌビディアのGPUが入ったスーパーコンピュータを使用しているので、候補の1つといわれる)。日本語による生成AIの作成には多くの高性能なGPUデバイスが必須なので、岸田首相は同氏に「できるだけ多くのGPUを供給してほしい」と要請した。ChatGPTは英語圏のデータを元にしているので、日本に合ったものにするためには日本語データからGPUを使ってつくり込む(アップデートする)しないといけない。 米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月に「2023年の世界の半導体デバイスのメーカ別売上高ランキング」を発表した。メモリ市場が不況で前年1位のサムスンは2位に落ち、インテルが2年ぶりに1位に返り咲いた。3位クアルコム、4位ブロードコムに次いで、エヌビディアは前年比57%増の急成長で5位になった。老舗のAMD(7位)やテキサス・インスツルメンツ(10位)を抜いてしまった。

FET(えふいーてぃー)

(Field Effect Transistor) 日本語では「電界効果トランジスタ」だが、もはやFETは日本語になっていて計測器ではよく使われる。たとえばオシロスコープの能動プローブ(active probe)であるFETプローブが代表例。 トランジスタは電流駆動だが、FETは電圧駆動。そのためスイッチング速度はトランジスタより速く、オン抵抗が高いためゲートを駆動する電力は少なく省エネである。トランジスタの機能であるスイッチング用途に適しているため、デジタルICは、MOSFETが大変良く使われる。FETの性能向上(さらなる低消費電力化)によってアナログICにもMOSFETが広がっている。一般のトランジスタを「バイポーラトランジスタ」、FETを「ユニポーラトランジスタ」と呼ぶこともある。 トランジスタの3端子はエミッタ、コレクタ、ベースだが、FETはソース、ドレイン、ゲートと呼ばれる。FETは同じく電圧駆動である真空管と同じアノード、カソード、グリッドが開発当初は端子名に使われているが、トランジスタ開発者の1人であるShockley(ショックレー)の資料にソース、ドレイン、ゲートの記載があるという。電子はソースからゲートを経由してドレインに流れるので、高所にあるソース(水源、みなもと)からゲート(水門)を調整することでドレイン(排水溝)に水が流れ落ちることをイメージした命名と思われる。

FPGA(えふぴーじーえー)

(Field Programmable Gate Array) 直訳すると「現場で書き換え可能なゲートアレイ(論理ゲートをアレイ上に敷き詰めたLSI)」。論理回路の設計を間違えても、現場ですぐに修正できるLSI。「購入後に使用者がロジック回路の構成を設定できる集積回であるPLD(プログラマブルロジックデバイス)」の一種。現場で即、修正できるという特徴のためにPLDといえばFPGAといわれている。Altera(アルテラ)とXilinx(ザイリンクス)が2大FPGAメーカだが、それぞれIntel(インテル、言わずと知れたCPUチップのNo.1メーカ)とAMD(Advanced Micro Devices、インテルなどのCPUの大手サードパーティ )が買収した。 CPU(マイクロプロセッサ)、GPU(Graphics Processing Unit、画像処理を担うCPU)、FPGAの3種類はいまや主要なロジックデバイスとなった。世界的な大手CPUメーカ2社(インテル、AMD)は2015年~2020年に相次いでFPGAを傘下に収め、半導体デバイスメーカとして覇権を握ろうとしている。逆にGPUのNo.1メーカであるNVIDIA(エヌビディア)は2020年にARM(アーム、携帯機器の組込み用マイコンとして世界でもっとも多く採用されたCPU)社を日本のソフトバンクから買い取ろうとしたが欧州の規制をクリアできず2022年に断念した。また2020年にネットワーク向けFPGAに強いMellanox Technologies社を買収し、こちらもCPU、GPU、FPGAを揃えてインテルとAMDに伍する構えである。

エミッタ(えみった)

(emitter)半導体素子であるトランジスタにある3つの端子の内の1つ。PNP型トランジスタでは入力端子となる。emitは日本語で放出。トランジスタの増幅機能は、エミッタ端子-ベース端子間の小さな電流が、エミッタ端子-コレクタ端子間に大きな電流となることを利用する。ベースに電流を放出するもの、という意味が語源と思われる。

エレクトロメータ(えれくとろめーた)

電荷や電流などの小さな電気量を精度良く測定できる測定器。ピコアンペア(pA)程度の微小電流を測定する機器(=ピコアンペアメータ、ピコアンメータ、pAメータ)とほぼ同じ測定器。電荷に注目したか、微小電流に注目したかで命名されている。海外メーカのケースレーがこの分野で有名。日本の老舗はエーディーシー(旧アドバンテスト)で、同社HPの「エレクトロメータ」製品ページに、「エレクトロメータ」「超高抵抗/微少電流計」という品名の製品が並ぶ。ケースレーには「6517B エレクトロメータ/絶縁抵抗計」という製品がある。エレクトロメータと絶縁抵抗計の主な仕様は似ている製品もあり、明確な違いの定義は難しい。微少電流=高抵抗(絶縁抵抗)。エーディーシーはエレクトロメータで、「絶縁抵抗計」と名の付く製品は無い。日置電機や共立電気計器は絶縁抵抗計で「エレクトロメータ」という品名は無い。可搬型の現場用の小型製品は絶縁抵抗計(メガー)で、エレクトロメータはベンチトップ。絶縁抵抗計は「絶縁を検査するために」高抵抗を測定するので、高抵抗計であるエレクトロメータと同じだがアプリが違うともいえる。日置電機HPの製品ページでは「DMM・テスタ・現場測定器」の分類に絶縁抵抗計を掲載し、「LCRメータ・抵抗計 」の中の「超絶縁計/高抵抗計/ピコアンメータ/エレクトロメータ」という表題にSM7xxx、SM-82xxなどの超絶縁計を掲載している。同社は現場測定器(テスタ)メーカとして有名だが、最近はLCRメータも注力して機種群を増やした(超絶縁抵抗計は東亜DKKから製品移管してラインアップに加わった)。エレクトロメータ、高抵抗測定器は「現場測定器の絶縁抵抗計ではなく、LCRメータのような部品評価用途のベンチトップ製品」という考え方がHPの掲載からうかがえる。部品メーカでは絶縁抵抗(Insulation Resistance)を測定する測定器を「IRメータ」と呼称している。エーディーシーは2019年1月にモデル4000、IRメータを発売した。日置電機の絶縁抵抗計の現役モデルの形名はIR4000シリーズである。今後は「IR」がエレクトロメータ、絶縁抵抗計の主流な呼称になる気配が感じられる。品名がエレクトロメータなのはケースレーやキーサイト・テクノロジー、エーデイーシーというSMUのメーカともいえる。

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