計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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RTC(あーるてぃーしー)

(real-time clock)時計の機能がある半導体・電子部品のこと。「水晶振動子内蔵RTC」というような名称の製品(電子部品)が販売されている。

IRメータ(あいあーるめーた)

絶縁抵抗計、エレクトロメータの別名。IR(Insulation Resistance、絶縁抵抗)を測定するメータ。能動部品の生産現場でこの呼び方がされる。2019年1月にエーディーシーから「4000/IRメータ(形名/品名)」が発売された。IRメータという名称は、計測器の品名ではエーディーシーが初めて使用した。同社がエレクトロメータの老舗で、電子部品メーカに強いことを伺わせる。日置電機の絶縁抵抗計の現役モデルはIR4054など、形名の頭2文字はIRである。同社の形名は以前は数字4桁だったが、ある時期から新製品は、頭にアルファベット2文字をつけ機種群の区分を整備するようになった。以前の製品は「3355 Iorリークハイテスタ」などだが、最近は「IR3455 高電圧絶縁抵抗計」というような形名である。屋外で使用する可搬型のメガーなど、現場測定器のラインアップが多い日置電機(や共立電気計器)の品名は「絶縁抵抗計」で、SMUをラインアップして半導体デバイス顧客に強いエーデイーシー(やケースレー、キーサイト・テクノロジー)は「エレクトロメータ」である。両者は市場やアプリが違い、品名も異なるが、日置電機もエーデイーシーもIRは使っている。

IC(あいしー)

(Integrated Circuit)日本語では「集積回路」だが、ICという表現の方が良く使われている。数mm x 数mm程度のSi(シリコン)上に,トランジスタや抵抗などの回路素子をつくり、さらに素子間をつないで電子回路を形成している(Si基板のサイズは日進月歩)。素子を作るための材料をSi基板上に塗布し、エッチングによって回路を焼き付ける。このSi基板をICチップと呼び、DIPやSIPなどのパッケージに封入して1つの電子部品にする。Si基板とパッケージのピンの間はワイヤーボンディングされてつながっている。ICは半導体デバイスの代名詞のようなことば。

IGBT(あいじーびーてぃー)

(Insulated Gate Bipolar Transistor)絶縁ゲートバイポーラトランジスタ。半導体素子のひとつで、電力変換機などに使われている。鉄道のインバータに多く採用されている。SiCやGaNなどの新しい素子に一部は置き換わろうとしている。

I-V特性(あいぶいとくせい)

(current–voltage characteristic) 半導体デバイスの電流(I)-電圧(V)特性(※)。「横軸が印加した電圧、縦軸がそれによって流れる電流」のグラフで視覚的に特性を示す。半導体の評価に使われるもっとも基本的な仕様。半導体デバイスのデータブック(仕様書)にはI-V特性が記載されている。I-Vカーブ、I-Vグラフとも呼ばれる。半導体関連測定器のカーブトレーサの品名はここに由来する。太陽電池の変換効率測定にも使われるため、太陽光発電関連測定器にIVカーブトレーサ、I-Vチェッカなどの品名の製品がある。菊水電子工業の総合カタログの用語集によれば、「電池などの電気化学関係ではターヘルプロットとも呼ばれる」。カーブトレーサや半導体パラメータアナライザなどの高額な測定器を使わないでも、高性能なSMUでもI-V特性を測定することができる。 (※)電気の世界では電流は「I」で略記される。Cはcapacitor(キャパシタ、コンデンサ、静電容量)の略号として使われている。I(大文字)やi(小文字)が電流を表すので、複素数の虚数部(Imaginaly Part)は、通常は数学ではi(小文字)だが、電流と混同されるため、電気ではj(小文字)で表記する。

後工程(あとこうてい)

半導体の製造工程には前工程と後工程がある。回路をつくるためのフォトマスクを、積層される層ごとに製造した後は、半導体ウェーハをつくるまでを前工程、ウエーハを切ってチップをつくるのを後工程という。後工程にはダイシング、ワイヤボンティング、モールディングがある。 ダイシングはウエーハを切断し、チップごとに切り分けることで、半導体製造装置メーカでは国産のディスコがトップメーカである。次は、チップを固定する土台と、半導体パッケージの端子を備えた部品(リードフレーム)にチップを固定し、チップとパッケージ端子側を細い金属のワイヤで接続するワイヤボンティング。最後のモールディングは、埃や衝撃からチップを保護するために、エポキシ樹脂で包み込む作業。 前工程は印刷によるウエーハ作成、後工程は切り分けによるチップ作成で、2工程とも最後に半導体テスタによる試験・検査が行われる。後工程ではパッケージされたデバイスをハンドラ(搬送機)によって効率よく検査する。

アナログ・デバイセズ(あなろぐでばいせず)

(Analog Devices) 米国の半導体デバイスメーカ(多国籍企業)。ADC(A/D変換器)、DAC(D/Aコンバータ)、MEMS、DSPなどをラインアップしている。計測器メーカではないが、計測に関するアプリケーション資料を多く作成している。同社ホームページには「アナログ・デバイセズは、世界をリードするアナログ、ミックスド・シグナル、DSPなどの集積回路を開発製造している」旨が記載されている。会社名が示す通りアナログ半導体の世界的トップベンダ。「ミックスド・シグナル」はオシロスコープのMSOを連想させる。NASDAC(ナスダック、米国の新興企業向け株式市場)ではAnalog Devices Inc.を略したADIで呼称されている。大手メディアもアナログ・デバイセズをADIと略記している場合がある。 計測器のデジタル化が進み、FPGAなどが計測器に導入され、半導体チップが計測器の心臓部を担うようになった。アナログ半導体が得意な同社は、自社製品(デバイス)を使って電子回路を設計すると、数々の計測ソリューションが実現できるので、計測に関する技術資料を公開している。「往年の計測器メーカがつくっていたアプリケーション事例が最近は減って、デバイスメーカが提案する例が目立つ」という年配技術者の声も聞かれるほどである。ハードウェア製品として(計測器ではないが)発振器ボードなどをつくっている。発振器ボードは計測器のデモ(デモンストレーション、宣伝のための実演)などに使われる。 2000年代に安価な基本測定器(中華系メーカのオシロスコープやデジタルマルチメータなど)が秋葉原の計測器ショップに並び、国産オシロスコープメーカは次第に姿を消した。電子回路の知識があれば、計測器の心臓部を市販の半導体を購入して作り込んで、デジタルオシロスコープがつくれる時代になった。老舗の計測器メーカが蓄積してきた知見がデジタルの時代には優位にならなくなりつつある。エントリーからミドルクラスのオシロスコープの価格は2000年代に数十万円から数万円に1桁安くなったので、ユーザにとっては嬉しいことである。 アナログの電子部品(半導体)であるOPアンプをつくっているメーカはアナログ・デバイセズ以外ではTexas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、略記:TI)など海外メーカが有名だが、東芝デバイス&ストレージや日清紡マイクロデバイスなどの国産もある。2017年3月にLiner Technology(リニアテクノロジー)、2021年8月にMaxim Integrated(マキシム・インテグレーテッド)を買収して製品群を拡大している。Maxim Japan(マキシム・ジャパン)のツイッターには「Maxim IntegratedとAnalog Devicesは1つの会社になった(2021/12/14)」と書かれている。

アノード(あのーど)

(anode)電子部品で、外部回路から電流が流れ込む電極のこと。反対の電極をカソードという。電池や真空管、ダイオードなどにはアノードとカソードがある。電圧の高低に着目して、アノードとカソードを陽極と陰極といったり、正極・負極といったりする。アノードは、真空管では正極、電池では負極。ダイオードに2つある端子はアノードからカソードに電流が流れる。電力用のスイッチに使われる半導体素子のサイリスタにもアノードとカソードがある。

Arduino(あるでゅいーの)

ワンボードマイコン(シングルボードコンピュータ)の一種。「Arduinoボード」(ハードウェア)と「Arduino IDE」(ソフトウェア)で構成される。2005年にイタリアで、コンピュータに詳しくない初心者向けの「電子工作用マイコンボードのルーツ」としてつくられ、数年で全世界に普及した。「Arduino IDE」の管理を行う非営利団体Arduino FoundationとArduino関連品の販売の一元管理を行う営利団体Arduino Holdingがある。読み方は「アルドゥイーノ」や「アルディーノ」もある。ArduinoはOSがないので、コンピュータの一部のマイコン。ブレッドボードなどを併用して他の機器(PCなど)につなぐなど機能拡張している例もある。ラズパイ(Raspberry Pi、ラズベリーパイ)はOSが搭載されているのでコンピュータとして使えるが、プログラムはArduinoの方が簡単。用途によってどちらが適しているか選択が必要。

安藤電気(あんどうでんき)

(Ando Electric Co., Ltd.) 1933年~2004年に存在した老舗計測器メーカ。正式名称:安藤電気株式会社。東京証券取引所第二部に上場。通信計測器や半導体テスタをつくっていた。大株主はNECで、アンリツ同様にNEC系の計測器メーカだが、安藤電気はNECの持ち株比率が高く、NEC出身者が複数人、社長になっている。有線通信の計測器ではYHP(現キーサイト・テクノロジー)やアンリツと競っていた。 1933年に安藤氏が創業。電電公社(現NTT)から通信計測器の開発を任された電電ファミリーの1社。光通信測定器はアンリツと安藤電気の2社がNTTに納めた。1980~2000年頃につくっていたのは基幹通信網の伝送装置向けの測定器である、SDH/SONETアナライザ、 MTDMアナライザ、モデムテスタなど。有線通信には強かったが無線ではアンリツに遠く及ばなかった(ラインアップには無線機テスタはあるが、SGやスペクトラムアナライザはない)。NTTなどに最先端の計測器を納入した。単発の波形しか捉えられないが、パルススコープとでもいうオシロスコープの原子版のような測定器をつくったという話がある。インピーダンス測定も早くから行い、「ブリッジなどの回路素子測定器をつくっていた横河電機の製品より高精度な測定結果」と評価した大学教授もいた。 1980年代の通信測定器以外のラインアップは、ICE、ROMライタ、LCRメータ、tanδ測定器など。ICEはインテル80386などの最先端のCPUに果敢に挑戦したが、特定顧客にしか販路が広がらなかった。ROMライタはNECから情報を得るなど、幅広いチップに対応したが、協力関係にあった浜松東亜電機(現東亜エレクトロニクス のフラッシュサポートグループ)に技術移管し、製品は現在も続いている。LCRメータはシリーズ化でシェアを伸ばしたが、業界標準のHP(現キーサイト・テクノロジー)のような高周波モデルが開発できず撤退した。 2000年の光海底ケーブルバブルで屋台骨の光計測器が落ち込むと経営が傾いた。大株主のNECが半導体ビジネスから撤退するのに伴い、子会社にATE製品(半導体検査装置)は不要となり、NECに変わる株主が必要となった。横河電機が資本参加し、安藤電気の全事業を受け入れた(2001年にNEC保有株式が横河電機に売却された)。2002年に安藤電気は横河電機の100%出資子会社になり、2004年には事業再編で解体している。 プロトコルアナライザや光通信測定器では当時世界No.1のHPと競い、モデルによってはHPより売れた製品もあった。光通信測定器は現在の横河計測株式会社に引き継がれ、光スペクトラムアナライザは世界No.1である(2022年現在)。 前述のようにNECが半導体デバイスビジネスをするために、グループ内の計測器メーカに半導体テスタをつくらせた。そのため安藤電気の半導体テスタは同業のアドバンテスト(旧タケダ理研工業)などに比べるとNEC以外にはあまり売れなかった。1970年代から2000年頃の半導体テスタは最先端の検査機器(花形製品)として、複数の計測器メーカがつくっていた。安藤電気は半導体テスタ事業が赤字でも、通信計測器(プロトコルアナライザや光計測器など)が補填した。ところが光計測器が赤字になったときに半導体テスタはそれを補填することはなく、会社は立ち行かなくなった。 軽率なことはいえないが、安藤電気がもし半導体テスタをやっていなかったら、光通信などの有線通信計測器の世界トップメーカとして存続していたかもしれない。2002年の社長である本橋氏は同社の計測器事業部出身の技術者で、何代も続いたNECからの天下りではなく生え抜きだった。キーサイト・テクノロジー(当時はアジレント・テクノロジー)が光測定器を縮小したので、安藤電気は光測定器で世界No.1になる目前だった。計測出身のプロパー社長のもとで躍進することなく、横河電機に身売りすることになったのは残念である。 参考用語:YEW、Acterna、ミナトレクトロニクス 計測器情報:安藤電気の光測定器

アルテラ(あるてら)

(Altera) アルテラ(Altera Corporation)は1983年設立の半導体デバイスメーカ(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ)。プログラマブルロジックデバイス(PLD)の代表的企業で、2000年代にはXilinx(ザイリンクス)と共にFPGAベンダとして有名だった。2015年にインテルが167億ドルで買収し、現在はインテルのFPGA部門となっている。設計に特化し、製造工場を持たないファブレスで、インテル買収後もそれは継続している。 ロジックデバイスはCPU以外にFPGAとGPUが3本柱となった。そこでCPUの世界No.1であるインテルはFPGAトップベンダのアルテラを買収し、ロジックデバイスでトップの座を堅持しようとした。アルテラのラインアップを整理して、データセンタやクラウド向けのハイエンド製品に特化してきたが、自社イベント「Intel FPGA Technology Day 2023」(2023年9月)で、ミッドレンジやローエンドの新製品を発表した。これは買収前のアルテラのラインアップに戻ったということで、戦略転換である。「生成AIなどには、ハイエンドなFPGAではなく、エヌビディアの高性能なGPUがシェアを伸ばし、FPGAビジネスの見直しが必須となった」、と報じているテクニカル・メディアもある。CPUでNo.2のAMDも2022年にザイリンクスを買収し、2023年にはエヌビディアの売れ筋GPUに相当する製品を発売するなどインテルを追い上げている。 PLDの代表となったFPGAのトップベンダったアルテラはインテルの1部門になってもブランドは健在である。インテルはFPGA部門のIPO(新規株式公開)を2~3年後に計画していることを、前述のイベントで発表している。

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