計測関連用語集

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複製(ふくせい)

信号発生器で発生する波形を生成する手法の一つ。オシロスコープで取りこんだ既存の信号を信号発生器に転送し出力する。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

フラットネス(ふらっとねす)

正弦波を出力したときに、出力周波数によってレベルが変化する度合い。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

フリッカ雑音(ふりっかざつおん)

(flicker noise)低周波になるほど大きくなるノイズ。高周波になると小さくなる(パワーが周波数に反比例する)ので、1/f(えふぶんのいち)ノイズや、ピンクノイズと呼ばれる。半導体などの電子部品には必ず発生する雑音で、熱雑音などとともに重要。雑音にはその他に白色雑音(ホワイトノイズ)などがある。 参考用語:雑音指数測定器、雑音発生器、白色雑音発生器

ブロック(ぶろっく)

1024 ポイントのような選択した長さのデータ長あるいはパターン長。アナログ信号発生器やロジック信号発生器のシーケンス出力を構成する。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

マーカ(まーか)

メイン出力と別にある信号発生器の補助出力。DUTのトリガ信号やシリアル・デジタル・パターン用に使用できる。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

マーカ出力(まーかしゅつりょく)

メイン・アナログ出力信号に同期したバイナリ信号を供給するデジタル出力の一種で、一般的には波形メモリと別のメモリからサンプル出力される。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

マージン・テスト(まーじんてすと)

評価対象の機器の動作範囲内を超える状態で動作させ、どれくらいの値まで正常動作するかを試験すること。仕様で規定している数値を超える状態になっても、ある程度までは正常動作することが確認できれば、それが仕様の余裕(マージン)となる。計測器の例として次の解説がある。「コンポーネントやデバイス、システムに、ジッタやタイミング違反などのストレスをかけて動作限度を決定する一般的な信号発生器の用途。ストレス・テストとも呼ばれる。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)」

松下通信工業(まつしたつうしんこうぎょう)

(Matsushita Communication Industrial Co., Ltd.) パナソニック(松下)ブランドの計測器をつくっていたメーカ。1958年に松下電器から通信/音響/計測機器などの産業向け電気機器を分離して設立された(つまり家電ではなく、通信などの工業・産業機器の子会社)。会社名は松下通信工業株式会社(本社は神奈川県横浜市)。「松下通工」の略称で呼ばれた。2003年1月に社名をパナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社に変更。パナソニックグループの再編で2022年に会社は解散。オシロスコープ(オシロ)などの基本測定器と、テレビ・オーディオ測定器のラインアップが豊富な、老舗計測器メーカだった。オシロの日立電子とFM/AM信号発生器の目黒電波測器が合わさったようなラインアップだったと筆者は思っている。 2003年以降の会社名(最終の社名)でわかるように、会社の主力事業は無線通信機器である。1995年にNTTドコモから、従来よりも大変小型な携帯電話4機種が発売され(mova、ムーバ)、後のガラケーのはしりとなったが、そのうちの1機種は松下通工がつくっている。端末だけでなく(無線に限らず有線も含む)通信機器全般をラインアップしていた。ネットには「松下通信物語」など、松下通工の概要や変遷、どのような「ものつくり」だったか、詳細な記述があるが、通信機器(電話機や移動体通信)のことばかりで、計測器についてはほとんど記録が残っていない。各カテゴリーの主要な計測器のモデルを以下に示す。計測器の形名はVP-xxxx(xは数字)。 電圧・電流・電力測定器:VP-2660B デジタルマルチメータ カウンタ:VP-4545Aエレクトロニックカウンタ オシロスコープ:VP-55xxシリーズ アナログオシロスコープ 信号発生器:VP-7201A RC発振器、VP-7402A ファンクションジェネレータ、VP-8132A標準信号発生器、VP-8253A AMステレオ信号発生器 テレビ・オーディオ測定器:VP-77xxシリーズ オーディオアナライザ、VP-8400A NTSC/PALシグナルジェネレータ、VP-8480A ISDB-Tアナライザ、VP-9680Aソフォメーター ラインアップはオーディオアナライザやステレオ信号発生器などのテレビ・オーディオ関連のラインアップが多く、TVの地上波が2000年代にデジタル化する際にはISDB-Tアナライザを発売している。デジタルオシロスコープも発売したオシロの老舗ではあるが、2000年以降のラインアップは最先端のオンリーワンモデルがほとんどなかったように思われる。たとえば横河電機(現横河計測)ならデジタルオシロスコープのDLシリーズ、アンリツなら携帯電話の測定器、安藤電気なら光測定器、というように「松下通工なら○○測定器」という、時代の先端を象徴するモデルが(ISDB-Tアナライザ以外は)みあたらない。テレビ・オーディオ測定器は地デジ以降に市場規模が縮小し、テクトロニクスやシバソクは撤退し、目黒電波測器は計測技研に吸収され、松下通工も計測器から撤退した。 松下ブランドのオシロスコープを知っている技術者はもう少ないと思われるが、当サイトが2023年1月に読者に行ったアンケートで、オシロメーカとして松下通工をあげた人が(少数ながら)いる。いまでも「使ったことがあるオシロのメーカはパナソニック」という人がいることは、同社オシロがそれなりに普及していたことを物語っている。 みんなの投票 第2弾 結果発表

ミックスド信号発生器(みっくすどしんごうはっせいき)

任意波形ジェネレータ、任意波形/ファンクション・ジェネレータなどの信号発生器の一種で、アナログ波形とデジタル・パターンの両方を出力する(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。つまり、従来のアナログ信号(正弦波や三角波など)だけでなく、PPG(パルスパターンジェネレータ)のようにデジタルのパターン波形が出力できる。そのため、オシロのミクスドシグナル(アナログとデジタルが混合した信号)のように「ミックスド」と言っている。ただし同社のHPでこの名称を検索してもヒットしない(2022年3月現在)。あくまで、最近のFG(ファンクションジェネレータ)やAWG(任意波形発生器)の流行りとして、概念を説明しているだけで、「ミックスド信号発生器」という品名のモデルは無い。また、他社の製品でもみあたらない。

メモリ容量(めもりようりょう)

信号レコードを作成するために使用される波形ワード数。アナログ/ミックスド信号発生器でストアできる最大の波形データ量(時間と等価)は、メモリ容量によって決定される。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

レクロイ(れくろい)

(LeCroy) 1964年にWalter Lecroyが素粒子物理メーカとして設立。1986年に高速ロングメモリのデジタルオシロスコープ初号機を開発。以降、テクトロニクスやhp(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)と並ぶ世界のトップ3オシロベンダーとして、ミドルクラスから広帯域オシロスコープまでをラインアップ。ディスクなどの回転体や、長いメモリで長時間記録をするアプリケーションでは、テクトロニクスやhpではなくレクロイが好まれた。国産の横河電機(現横河計測)はDLシリーズにロングメモリのオプションをつくり、テクトロニクスのTDS3000シリーズと差別化した。 現在のラインアップにはファンクションジェネレータやプロトコルアナライザなどもある。2012年に米国の投資会社であるテレダイン・テクノロジーズ(Teledyne Technologies)に買収され、現在の会社名はテレダイン・レクロイ(Teledyne LeCroy)。つまりレクロイは1964年から2012年に存在した会社である。

レベルジェネレータ(れべるじぇねれーた)

出力レベルを任意に設定できる信号発生器。

連続モード(れんぞくもーど)

信号発生器の動作モード。出力は、波形やシーケンスの先頭から即座に開始し、電源がオフになるか動作を意図的に停止するまで繰り返し出力される。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

ロジック信号発生器(ろじっくしんごうはっせいき)

パルスジェネレータ(PG)のような単純なパルス列ではなく、より複雑なロジック・パターン(パルス・パターン)を多chで出力する信号発生器。デジタル・パターンを出力して、ロジックアナライザ(ロジアナ)と併用してロジック回路の論理機能試験に使われる。そのため(ロジアナをラインアップしている)テクトロニクスはロジック信号発生器と呼称しているが、同じくロジアナのメーカであるキーサイト・テクノロジーの品名は「パターンジェネレータ」である。一般にはパターンジェネレータと呼ばれることが多い。 「ロジック信号発生器:テクトロニクスのパターンジェネレータ(ロジアナと併用する多チャンネルのタイプ)の名称」と解説することもできる(つまり、ロジック信号発生器、なる呼称は同社以外ではほとんどされていない)。

YHP(わいえっちぴー)

(Yokogawa Hewlett Packard) hp(ヒューレット・パッカード)が日本につくった合弁会社(1963年~1998年)。YHP設立以前は、無線機器を取り扱う商社のセキテクノトロン株式会社(旧関商事株式会社)がhp製品を輸入販売していた。 1939年に、ウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードは米国カリフォルニア州でhp(Hewlett-Packard Company、エイチピーと呼称)を創業し、世界No.1の電子計測器メーカとなった。日本のYEW(横河電機製作所)は1963年にhpと合弁でYHP(横河ヒューレット・パッカード)を設立した。YEWは国産初の電磁オシログラフをつくるなど、日本を代表する老舗計測器メーカだった。高周波(RF)測定器はYHPがつくり、YEWはDC~低周波の記録計などをつくるという棲み分けをした(競合しないように機種群の分担を決めた)。当時のYEWはブリッジをラインアップし、回路素子測定器の要素技術を持っていたが、それらはすべて技術者とともにYHPに移ったと推測される。YHPはhpの日本法人(販売会社)でhp製品を販売したが、国内に開発拠点を持ちYHPとして計測器の開発も行った。回路素子・材料の測定器(LCRメータやネットワークアナライザなど)の開発拠点が神戸にあったと筆者は記憶している。1980年代に筆者は国内大手計測器メーカの技術部門にいたが、各計測器メーカの特許出願情報が回覧された。そこには「横河HP」という会社名でインピーダンス測定の多くの特許が掲載されていた。YEWのブリッジは生産終了し、後継機種となるLCRメータなどはつくられていない。インピーダンス計測器は、YEWではなくYHPが開発を行った。 高周波計測器を手掛けるYHPと、「レコーダ、低周波の電力計(デジタルパワーメータ)、ミドルクラスのオシロスコープ」をつくる横河電機(1986年に社名変更)との差は30年間で大きく開いた(YHPは計測器のトップメーカになっていた)。1995年に横河電機はYHPへの出資比率を下げ、高周波測定器の開発に着手した。時は携帯電話の3Gが商用開始する前夜で、1998年にはYHPから完全に資本を引き揚げ、携帯電話評価用の信号発生器を中心に、次々と通信計測器を発表した。 YHPは会社名を日本HPに変更していたが、2000年にhpがIT機器以外の事業(計測器と科学分析機器、ライフサイエンス事業)を分社し、Agilent Technologiesを設立したので、日本HPもアジレント・テクノロジーとなる。さらに2014年にはAgilent Technologiesは科学分析機器のみとなり、計測器はKeysight Technologies(キーサイト・テクノロジー)となり、現在に至る。 世界No.1の総合計測器メーカhpは日本では、高度経済成長期に設立したYHPに始まり、1998年以降に日本ヒューレット・パッカード、アジレント・テクノロジー、キーサイト・テクノロジーと社名が変わった。横河電機は2002年に幸運にも通信計測器大手の安藤電気を吸収し、安藤電気がアジレント・テクノロジーとシェアを競った光通信測定器をラインアップに加え、高周波測定器を強化した。ただし、2000年代後半には光通信以外の通信計測器はすべて中止し、2010年には横河メータ&インスツルメンツ(現横河計測)に計測器部門を移管した。これによって横河電機は(計測器をつくらない)計装(工業計器)のメーカに名実ともになり、(メモリレコーダなどの計測器ではない)計装ユースのDAQ(データロガーなど)をラインアップしている(計測器の記録計か、計装の記録計かは素人には判断が難しい)。 マイクロウェーブ展2022(2022年11/30~12/2、パシフィコ横浜)に、キーサイト・テクノロジーはPXIネットワークアナライザM983xA(新製品)を出展した。「Keysight TechnologiesのR&D拠点の1つであるキーサイトの事業所(兵庫・神戸市)で開発した製品である」ことが、展示会を取材した日経誌で報じられている。