計測関連用語集

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スロープ(すろーぷ)

(slope) オシロスコープで観測する立ち上がりや立ち下がりの波形は傾斜(勾配)なので、スロープと表現されることが多い。スロープはエッジとも呼ばれ、スロープが一定の電圧(トリガレベル)になったときにトリガを発動するのがエッジトリガである。エッジトリガはオシロスコープの最も基本の機能なので、「立ち上がりスロープでトリガをかける」や「トリガスロープ」などの表現が頻繁にされる。 スロープ:グラフやオシロスコープの画面上の斜線で、垂直軸と水平軸の比を表す。正のスロープは左から右へ上り、負のスロープは左から右へ下る(2017年発行 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」より)。 スロープ:グラフや画面上に表示される線で、垂直軸の距離と水平軸の距離の比率で表す(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」より)。

掃引ジェネレータ(そういんじぇねれーた)

指定された時間周期にわたって、正弦波などの信号の周波数を変化させることのできるファンクション・ジェネレータ(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。 上記の説明は、ファンクションジェネレータの機能面を説明していると思われるが、「掃引信号発生器」ということばが一般的に良く使われている。ファンクションジェネレータ(FG。主に低周波の信号発生器を指す)ではなく標準信号発生器(SG。主にRFなどの高周波の信号発生器)の仲間であるスイーパがイメージされる。

SAWデバイス(そうでばいす)

SAW(Surface Acoustic Wave)は、日本語では「表面弾性波」。弾性体の表面にエネルギーが集中して伝搬する波。この原理を使った電子部品をSAWデバイスと呼び、フィルタ、共振子、遅延線、発振器などがある。SAWデバイスではSAWフィルタが有名。SAWセンサの特殊な例としてボールSAWセンサがある(以下の参考記事で取材)。 SAWフィルタは、携帯電話、TVチューナ、無線LANなどの機器に搭載され、妨害波を抑圧し、信号波のみ通す高周波のフィルタとして使われている。SAWフィルタのメーカは日本電波工業株式会社(NDK)、日清紡マイクロデバイス株式会社、株式会社村田製作所、セイコーエプソン株式会社など、高周波(RF)部品のメーカである。 surface(表面)、acoustic wave(音波)なのでSAWは表面音波ととれるが、acoustic waveには弾性波という意味もある。「弾性表面波」という表記もある(なぜ英語のとおりに日本語にしないのか、理由は不明)。英語のsawは「のこぎり」なので、まったく違う意味になる。表面弾性波のSAWも、のこぎりのsawと同じ発音(そう)のため、発音からは区別はつかない。

ソニー・テクトロニクス(そにーてくとろにくす)

(Sony/Tektronix Corporation) テクトロニクス(Tektronix, Inc.)は米国オレゴン州に本社がある、1946年設立の老舗計測器メーカ。オシロスコープ(オシロ)では長らく世界No.1である。1965年にソニーと出資比率50対50の合弁で設立した日本法人がソニー・テクトロニクス株式会社(2002年に合弁解消したので、37年間の会社名)。hp(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)は1963年に横河電機と合弁でYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくっている(1998年合弁解消)。高度経済成長の時代(1955年頃~1973年頃)、電子計測器は産業のマザーツールとして最先端のハイテク機器だった。そのため、松下電器は松下通信工業、日立製作所は日立電子、日本電気は安藤電気、など国内の大手電機・通信機器メーカは系列に計測器メーカがあった。電機メーカと計測器メーカは深い関係だった。Tektronixとソニーは同様に戦後すぐの 1946年に設立し、技術優先の思想や商品の独自性という共通する風土があったといわれる。 Tektronixは1946年に世界初のトリガ式オシロスコープ(オシロ)を発明したといわれる(※)。オシロとビデオ関連測定器(TVなどの映像用の信号発生器や波形モニタなど)を多くラインアップした。ソニー・テクトロニクスは1975年に御殿場工場を竣工し、国内で開発・製造を行った。つまり単なる販売店ではなく、AFGなどの信号発生器の事業部(開発部門)が日本にあった時期もある。 2002年に(ソニーとの合弁を解消し)日本テクトロニクスに社名変更。2007年にTektronixが米国の投資会社ダナハー(danaher)の傘下になり、2011年に日本テクトロニクスは(同じくダナハー傘下の)株式会社フルークと合併し、株式会社TFFのテクトロニクス社になる(2016年にダナハーからフォーティブが独立し、現在のTektronixはフォーティブ傘下)。 2012年にはケースレーインスツルメンツ株式会社(データロガーや半導体パラメータアナライザで有名なKEITHLEYの日本法人)と合弁し、会社名は「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」になる。2019年にTektronixはビデオ事業部をTelestream社に売却して、テレビ・オーディオ測定器から撤退。 2021年には会社名を「株式会社テクトロニクス&フルーク」に変更。Flukeはハンドヘルドのオシロをつくっているが、Tektronixはハンドヘルドの絶縁型オシロのモデルチェンジ(新製品の発売)をしていない。このことは、重複するモデルの調整を2社は行っていることを意味するか否かは不明。日本のケースレーはすでにテクトロニクスと組織が一体になっているが(以下の展示会レポートを参照)、フルークとの融合も今後進むと思われる(2023年4月現在)。 1980年代後半に、オシロをつくっていない大手計測器メーカ(hp、レクロイ、横河電機など)が、“高機能なデジタル化”を切り口にオシロ市場に新規参入しTektronixと競合しているが、いまでもTektronixは世界的なNo.1オシロメーカとして、時代にマッチする新製品を発売し続けている。当サイトが2023年1月に行った読者アンケートでは「使ったことがあるオシロのメーカ」、「好きなオシロメーカ」ともにTektronixがトップである。みんなの投票 第2弾 結果発表 (※)1931年に米国のGeneral Radio社が強制同期式オシロスコープを開発した、など諸説あるので、Tektronix以外に歴史に埋もれた世界初のメーカがあるかもしれない。詳しくは以下記事の「オシロスコープの歴史」を参照されたい。 デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第1回)

立ち上がり時間(たちあがりじかん)

(rise time、leading edge time) 立ち上がり時間は電気の基礎用語で、オシロスコープや電源、信号発生器など、計測器に共通で定義されている。逆の時間を立ち下がり時間という。計測器メーカ2社の解説を紹介する。 計測用電源のメーカ、高砂製作所の総合製品カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には「入力電源を投入、または出力をONにした後で、出力電圧が10%から90%に変化するのに要する時間」とある。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「パルスが低い電圧から高い電圧に移動するまでの時間で、通常、パルス振幅の10%から90%までの部分」とある。オシロスコープの立ち上がり時間とは、振幅が10%から90%に移る時間(下図のTr)を指す。 パルス用語としては、JIS C 0161(EMCに関するIEV用語)では次のように定義されている。 「パルスの瞬時値が最初に規定した下限値に到達し、その後規定された上限値に到達するまでの時間間隔。特に規定されていない場合、下限・上限値はピーク値の10%及び90%に固定とする。」 下限値と上限値は10%、90%に決まっているわけではなく、場合によっては違う値にすることもできる。たとえばオシロスコープの「 立ち上がり/立ち下がり時間トリガ」では、オシロスコープの使用者が下限値と上限値を設定してトリガをかけることができる。 方形波で、立ち上がり時間が短い信号は高い周波数の成分を多く含んでいる。逆に低い周波数帯域の信号は立ち上がり時間が長くなる。高速なデジタル通信に使われるパルス列にはシステムを十分に正常に動作させる、立ち上がり時間が短い、高速信号(高周波成分を多く含んだ信号)が使われている。 表記は「立上り」、「立ち上り」などもあり、不統一。

立ち下がり時間(たちさがりじかん)

(fall time、trailing edge time) オシロスコープの説明でこの用語を解説していることが多いが(立ち上がり時間など)、直流電源のラインアップが最も豊富な計測器メーカである菊水電子工業の製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には、「入力電圧を遮断または出力をOFFした後、出力電圧が90%から10%に変化するのに要する時間」と説明されている。 デジタル信号を扱う場合、立ち上がりや立ち下がりのエッジを捉えて処理をすることは基本である。立ち上がりや立ち下がりの時間はデジタル回路では重要な仕様である。

Trueform(つるーふぉーむ)

キーサイト・テクノロジーのベンチトップのFG/AWG(Function Generator/Arbitrary Waveform Generator)のシリーズ名(通称)。同社はベンチトップDMMにTruevolt(ツルーボルト)というシリーズがある(True RMS、「真の実効値」が語源と推定)。waveform(波形)から一部をとり波形発生器をTrueformと命名したと思われる。形名は335xxA/B、336xxAで、33509A~33522B、33611A~33622Aの12モデルがある(2023年11月同社ホームページより)。発振周波数や出力チャンネル数、機能によってモデルが異なる。品名はすべて「波形発生器」である。 現在のFGはAWG機能を備え、メーカ各社の品名もファンクション/任意発生器のようなものが増えたが、両者がはっきり分かれていた時代から説明する。2004年のFGの代表モデルとしては、アジレント・テクノロジー(現キーサイト・テクノロジー)の33120A、33250A、エヌエフ回路設計ブロック(NF回路)のWF194xAシリーズなどがあった。キーサイト・テクノロジーは世界的にトップシェアだが、日本では(自動車市場など、電気よりも機械系を中心に)NF回路のシェアが高い。テクトロニクスは(AWGのラインアップは豊富だが)、FGはAFG310/AFG320任意波形ファンクション・ゼネレータだけだった。当時のFGやDMMの表示部は7セグメントLEDが並んだ数値だけの表示だった。 2005年7月にテクトロニクスはAFG3000シリーズを発表した。この製品は従来とは違い表示パネルが大きい多機能表示で、発振波形などを表示した。当時、テクトロニクスのFGの事業部は日本テクトロニクス(東京の品川)にあり、日本で開発を行っていた。それまでは発振周波数を数字で表示するだけだったFGが、オシロスコープのように波形表示した。NF回路の従来品、WF194xAは黒色でサイズ(高さ):約133mm、質量:約2.6kgだが、新製品WF197xAシリーズ(白と青色、高さ:約88mm、質量:約2.1kg)が2007年2月に発売された。WF197xAは従来品より小型・軽量で、もちろんディスプレイには(AFG3000同様に)波形表示をした。キーサイト・テクノロジーも大きな画面に波形表示する新製品FGを発売し(現在のTrueformにつながる初号器)、ベンチトップFGはディスプレイに波形表示が当たり前になった。テクトロニクスはAFG3000以降にラインアップを増やし、現在はAFG31000Aシリーズが現役モデルである(2023年11月)。2000年代後半にFGは表示部を中心に世代交代し、現在に続いている。AFG3000に始まった表示の仕方は他の機種群にも広がり、現在のベンチトップDMMは数字だけでなく多彩な表示をするようになった。 現在のキーサイト・テクノロジーの形名は頭が英字の大文字1字で、その後に数字4(または5)文字が多いが(以下の形名の記事が詳しい)、FGは33120Aの時代から33xxxAを踏襲して、新製品を発売している。同社の2010年代以降の新製品はN5166BやP9370Aなど原則、形名は英文字で始まるのに、FGは従来の数字5文字の形名が踏襲されている(その理由は不明だが、33xxxAはxxxの数字にまだ十分に余裕があるのかもしれない)。 計測器情報:キーサイト・テクノロジーのFGの製品例

DC確度(でぃーしーかくど)

設定電圧と実際の出力電圧との差(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。信号源は出力値として設定した値が極力、実際の出力値になるように設計されているが、その精度がどれくらいあるかをいっている。たとえば信号源(電源や発振器)の出力設定を3Vにしても、信号源の出力端子が3Vとは限らないということ。また、計測器の出力値が、信号を受ける機器の入力値と同じかどうかは接続の仕方によって異なる。たとえば信号源の出力端子が3Vでも、信号を受ける機器の入力端子は3Vより低い電圧になることもある。DC電源の例が用語

DDS技術(でぃーでぃーえすぎじゅつ)

DDS (Direct Digital Synthesizer)は、単一の発振源(固定の周波数)から、任意の周波数の波形をデジタル的に作成すること。DDS技術は信号発生器で使われている。計測器としては、周波数と位相が可変できる信号発生器を指している。加算器やROMで構成され、クロックに同期して周波数設定値を累積していき、任意の周波数の波形をつくり、フィルタ(LPF)できれいな正弦波にする。 ファンクションジェネレータの国産No.1メーカである株式会社エヌエフ回路設計ブロックは、DDS:日本語では「ディジタル直接合成発振器」と呼ばれる、と述べている。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説は「DDS技術:1 つのクロック周波数で計測器の動作範囲内の周波数を発生させて波形を合成する技術。クロックで制御して信号発生器のメモリから出力するサンプルのレートを決定する」と解説している。 参考記事:ファンクションジェネレータの基礎と概要 (第1回)・・「ファンクションジェネレータの歴史と種類」の章でDDS方式のモデルが任意波形の作成ができることが解説されている。

データジェネレータ(でーたじぇねれーた)

(data generator) パターンジェネレータの別名。テクトロニクスの品名に多く、以前はDG2020などのモデルがあった(現在は生産中止)。データジェネレータの明確な定義は難しく、データジェネレータの例として、キーサイト・テクノロジーのパルスジェネレータやテクトロニクスのAFG(任意波形/ファンクションジェネレータ)が紹介されているケースがある。 テクトロニクスのデータジェネレータの現役モデルがなくなって以来、この品名のモデルはほとんど見当たらない(2022年3月)。キーサイト・テクノロジーのパルスジェネレータ(PG)のごく一部に「パルス・データ・ジェネレータ」という品名のモデルがある。またすでに生産中止だが、Keysight 80000データジェネレータシステムはメインフレームにE29xxA発生器モジュールを組み合わせる製品だった。この製品の概説には「デバイスを試験するために複数のデータ入力ラインが必要なとき、所望のエッジ配置が1 GHzまでできる高速データ発生器プラットフォーム。Keysight 80000のPRBS機能とKeysight 54120 シリーズオシロスコープのアイパターン評価、またはKeysight 71600シリーズBERTにより、迅速な性能検証が可能。」とあるので、デバイス評価用の特殊なパターンジェネレータをデータジェネレータと呼称していたのかもしれない(現在は2社ともに現役モデルがないので不詳)。余談だがテクトロニクスにはデータ・タイミング・ジェネレータDTG5000というモデルもあった(現在は生産中止)。 岩崎通信機にはDG-8000パターン・ジェネレータなるモデルがある。形名がDGだが、同社はパターンジェネレータと称していて、データジェネレータとは表記していない(形名がTG-8000でなくDG-8000なのは、きっとTGは別の機種群で使ってしまったためと思われるが、テクトロニクスのDGとまぎらわしい形名である)。

データ・タイミング・ジェネレータ(でーたたいみんぐじぇねれーた)

テクトロニクスのDTG5000シリーズの品名。同社はパターンジェネレータの品名をデータジェネレータとしているが、データ・タイミング・ジェネレータ(DTG)について以下の説明がある。「任意波形ジェネレータ(AWG)のA/Dコンバータ以降をパルス信号用のドライバ回路に置き換えた構造をしている。そのため、データ・パターン・メモリのコントロールがAWGと同じように可能で、メモリを分割して繰り返し、また順序付けて使用できる。出力レベル以外に遅延時間、立ち上がり(下がり)時間などが任意に設定できる。機種によっては任意のデューティを持ったRZ信号などにも対応している。」。またテクトロニクスHPにはDTGの特長として「優れたパルス出力機能があり、複雑なテスト手順の作成時間を短縮し、複数のチャンネルにおけるジッタ生成、高精度クロック、シリアル・データ信号が簡単に出力できる。」とある。DTG5000は液晶などの発光素子を駆動するICの開発・試験で使用された。DTG5000はメインフレームとモジュールの構成で、本体は8スロットのDTG5078と、4スロットのDTG5274、DTG5334があり、モジュールはDTGM21/30/31/32の4種類があり、組み合わせで出力ch数などの仕様が変った。2022年3月現在、DTG5000は生産中止で、現在テクトロニクスにはDTGの現役モデルはない。また、同社以外にDTG製品は見当たらない。任意波形発生器やロジックアナライザ用の多chのパターン発生器をラインアップしてきた同社ならではのユニークな製品であった。同社はロジックアナライザでも、データジェネレータは現在ラインアップはない。つまりパターンジェネレータの現役モデルはない(2022年3月)。

データ・パターン・ジェネレータ(でーたぱたーんじぇねれーた)

テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説には「信号発生器の一種で、単一または複数のデジタル・パターン・ストリームを生成する。パターン・ジェネレータやデータ・ジェネレータとも呼ばれる。」とある。つまり、「データ・パターン・ジェネレータ」は略して「データ・ジェネレータ」や「パターン・ジェネレータ」と呼ばれ、3つは同じである、と読み取れる。ただし、デジタルのパターン(ロジック・パターンとしてのパルス列)を出力する信号発生器は一般に「パターンジェネレータ」と呼ばれている。テクトロニクスのHPで「データ・パターン・ジェネレータ」を検索してもヒットせず、そのような品名の現役モデルはない(2022年3月現在)。同社はパターンジェネレータをデータジェネレータという品名で発売していた(たとえばDG2020など、2022年3月現在は生産中止)。そのような背景から、過去にはデータ・パターン・ジェネレータというパターンジェネレータが存在した可能性がある。

データ・レート(でーたれーと)

デジタル信号発生器やトランスミッタがバイナリの1 または0 を送出するレートで、通常メガビット/秒またはギガビット/秒で表される。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

デジタル波形ジェネレータ(でじたるはけいじぇねれーた)

パターンジェネレータのこと。デジタル・パターンを出力する信号発生器の一種で、ロジック信号発生器とも呼ばれる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。ただし同社以外では、パターンジェネレータやパルスジェネレータと呼んでいる場合が多い。

統合エディタ(とうごうえでぃた)

信号発生器に組み込まれている複数の編集ツール。これを使用すると、波形の時間と振幅の両方を簡単に編集・変更できる。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)参考用語: シーケンス・エディタ、 シーケンス機能、 シーケンス・リピート・カウンタ、 イベント入力、 グラフィック・エディタ

任意(にんい)

(arbitrary) 信号ジェネレータにあらかじめ用意されている標準波形ではなく、個別の希望やニーズに合わせて定義される波形(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。任意の波形を出力できるのが、任意波形発生器(AWG:Arbitrary Waveform Generator)である。

任意波形ジェネレータ(にんいはけいじぇねれーた)

(Arbitrary Waveform Generator) 「任意波形発生器」のこと。計測器の名称としては任意波形発生器のほうが一般的。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では以下の説明がある。「任意波形ジェネレータ:アナログ信号発生器やミックスド信号発生器の一種で、メモリ上で作成された任意のアナログ信号を出力できる。ストアされたデジタル・データ(AC 信号の絶えず変化する電圧レベルを記述したもの)に基づいて波形を発生する高機能の信号再生システム。」。同社にはAWG5200、AWG70000Bなどのモデルがある(2022年3月現在)。AWG70000Bの周波数は最大20GHzで、MIMOなどの移動体通信の開発に使われるなど、通信のアプリケーションもあるが、当サイトではAWGは信号発生器(通信)ではなく信号発生器(汎用)に分類している。AWGのことを「任意信号発生器」と表現している計測器メーカもある。

任意波形発生器(にんいはけいはっせいき)

(Arbitrary Waveform Generator) 任意の波形信号を作成し、発生する測定器。AWGやアービタリージェネレータと表現、表記されることも多い。信号発生器の1種だが、SG(高周波の標準信号発生器)と区別して、ファンクションジェネレータ(FG)と同じ、低周波(RFではないという意味)の発生器に分類されることが多い。ただしパルス発生器(PG)や、一部のAWGは十分にRF帯域の周波数を出力できるので、それらはSGと同様に高周波の測定器である。たとえば無線通信規格のMIMOの評価には高周波の仕様の高額なAWGが使われる。余談だが、FG、SGなどの定義は難しく、広義には色々な意味で使用されるので、文献によっては何をさしているかを見極める必要がある。

任意波形/ファンクション・ジェネレータ(にんいはけいふぁんくしょんじぇねれーた)

(Arbitrary waveform Function Generator) アナログ信号発生器やミックスド信号発生器の一種で、安定した標準的な形状の波形を生成する(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。同社はAFGと略記している。同社はAFGとAWG(任意波形発生器)を別の機種群に定義している。当サイトではカテゴリー「信号発生器(汎用)」の中で、FG(ファンクションジェネレータ)とAWG(任意波形発生器)を別区分にしているが、ひとつのカテゴリー「FG/AWG」にしている解説書もある。FGとAWGは以前は別の機種群だったが、最近は両方の機能を持った、どちらに分類してよいか迷うモデルがある。FGが機能を進化させて、AWGの機能を取り込んできたために、「単なるFGではない、AFGである」というメーカの主張かもしれない。岩崎通信機が2020年にFGの新製品、SG-4200シリーズを発売した際、「FGとAWGのどちらか?」と聞くと「両方である」とはっきり即答されたことが印象的であった。テクトロニクスはAFGを以前からラインアップしていて、「任意波形/ファンクション・ジェネレータ:テクトロニクスのFGの品名」だったが、最近は他社製品もあり、そうは言えなくなった。テクトロニクスにはAFG1000、AFG2000、AFG31000などのモデルがあるが、同社HPの品名は「任意関数発生器」である(最近変更になったと思われる。2022年3月)。

バースト信号(ばーすとしんごう)

(burst signal) ある間隔を置いて送出される信号のこと。信号が存在する領域と存在しない領域が時間領域で繰り返される信号を指す。時間領域のごく一部にのみに正弦波、方形波、三角波などの信号が存在し、それ以外の領域には信号が存在しない場合もバースト信号と呼ばれる。 テレビ放送で、映像信号からカラー信号を正しく復調し再現するための基準となる信号として使われている。カラーバースト信号(色同期信号)の周波数は、アナログ放送では3.58MHzである。 burstには「張り裂ける、切れる、沸き起こる、爆発する」などの意味がある。時間領域の一部にのみ信号のエネルギーが集中している → 爆発している、という表現である。バースト信号とは反対に連続している信号をCW(連続波)と呼ぶ。時間領域の波形観測が主眼であるオシロスコープの説明書には「バースト信号の測定は・・」や「パルスバースト(時間が空いて出現したパルス列)」というような表現(解説)がでてくる。 IEC61000-4-4のイミュニティ試験で使われるバーストノイズシミュレータ(障害試験器)は、バーストノイズを発生する。一番上の値が最も時間が短いインパルス状の波形を、短い時間(たとえば1msの間)に100回だしたら、何も波形がない時間を挟んで、繰り返し(たとえば300ms周期で)バースト波形の列を発生させる、これをバーストノイズと呼ぶ。信号がある時とない時があるのでバーストである。バースト信号をノイズとしてEMC(電磁感受性/電磁妨害耐量)の試験をしている例である。メーカは国産のノイズ研究所が有名。