計測関連用語集

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ミックスドシグナルオシロスコープ(みっくすどしぐなるおしろすこーぷ)

(Mixed Signal Oscilloscope) 略称「MSO」。ロジックアナライザの機能を持つデジタルオシロスコープのこと。マイクロプロセッサ(CPU)の普及によってロジック信号(電圧の高い・低いを、閾値を設定して1か0に相当させた信号)が増えたため、低速のシリアル通信(I2Cなど)の信号もオシロで同時に観測できると便利である。オシロスコープ(オシロ)はアナログの信号波形を表示するものだが、最近のデジタルオシロはロジック入力の機能を装備し、アナログとデジタルの両方の信号を観測して表示できる機種が増えた。それらをMSOと呼んでいる。世界中のオシロメーカがMSOを発売し、形名にも使われている。現在の汎用オシロ(帯域がGHz位以下のいわゆる一般的なオシロ)の主力モデルはMSOになりつつある。日本の代表的オシロメーカである横河計測の最新現役モデル(DLM3000シリーズ)の品名は「ミックスドシグナルオシロスコープ」である。 「ミックスドシグナル」という概念はHP(ヒューレット・パッカード。現キーサイト・テクノロジー)の造語である。CPUの台頭に伴い、開発支援装置やロジックアナライザという新しいカテゴリーの測定器を世に送り出してきたNo1計測器メーカのHPは、従来のアナログ信号だけでなく、ロジック信号が含まれた混合信号(ミックスドシグナル)の波形表示や解析がこれからは重要であると考えた。オシロの新しい概念(機能)として「ミックスドシグナル」が登場する。1996年に54645Aミックスド・シグナル・オシロスコープが発売されている。1997年4月のHPジャーナル(HPの技報)には「オシロスコープとロジック・アナライザの要素を組み合わせた完全に新しい製品カテゴリー。しかし今までの組み合わせとは異なり、オシロスコープを優先し、ロジック・アナライザはそれを補完するもの」と紹介されている(キーサイトエンジニアブログ、2017年09月20日「MSOの始まり」より)。「ミックスドシグナル」を考案したのはHPだが、形名にMSOを使い「ミックスドシグナルオシロスコープ」を普及させたのはテクトロニクスである。それ以降、各オシロメーカが形名にMSOを使い、MSOはHPのユニークなモデルではなく、今やすっかり業界標準となった。

ミックスドドメインオシロスコープ(みっくすどどめいんおしろすこーぷ)

(Mixed Domain Oscilloscope) 略称「MDO」。スペクトラムアナライザ(スペアナ)機能があるオシロスコープのこと。MSO(ミックスドシグナルオシロスコープ)に倣って、時間軸と周波数軸の両方が波形表示できるという、テクトロニクスが作った造語。発売当時は同社のオンリーワン製品だったが、現在は外資のRIGOL(リゴル:中国の計測器メーカ)やテクシオ・テクノロジー(※)が、テクトロニクス同様にMDO形名の同等機種を発売している。オシロメーカであるテクトロニクスがRF分野のスペアナに参入したとき、時間軸でも表示できるリアルタイム・スペアナを発売した。周波数スペクトラムが時間的に変化する様子がカラー画面に表示される様は、視覚的にもインパクトがあった。いわゆるスぺアナにオシロ機能を付けたわけで、MDOはその逆をしたといえる。余談だが、周波数軸と時間軸をもつ測定器として、すでにHP(ヒューレット・パッカード。現キーサイト・テクノロジー)にはVSA(ベクトル・シグナル・アナライザ)というユニークな製品があり、2軸表示の解析器(アナライザ)は同社の独壇場だったので、時間軸表示できるスペアナの出現にHPはまったく動じなかったと思われる。実際、テクトロニクスの現在の主力スペアナはUSBタイプで、キーサイト・テクノロジーのシェアに変化はないと推察される。MDOは複数の海外メーカが発売しているが、MSOのようにオシロの1ジャンルとして認知されているとは思えない。RF分野の雄、ローデ&シュワルツはオシロ参入時にスペアナ機能を付加した製品を発売したが、MDOなる表現はみられない。(※)台湾の計測器メーカGoodwill Instrument Co.,Ltd.(グッドウイル、ブランド名GwINSTEK)は旧ケンウッドの計測器事業が分離したテクシオ・テクノロジー(ブランド名TEXIO)に資本参加し、2014年1月に親会社となった。文教分野の顧客に安価な電源とオシロスコープを提供してきた老舗計測器メーカのテクシオ・テクノロジーはグッドウイルに吸収された。現在のテクシオ・テクノロジーはグッドウイルの日本での販社(代理店)であり、開発部門は無い。つまり、家電業界でシャープが台湾資本になったように、計測器業界でも中華資本の参入が起きた。

MIPI(みぴー)

(Mobile Industry Processor Interface)モバイルデバイス(やモバイル機器)向けのインタフェース規格。カメラやディスプレイに採用されている。通信方式は平衡(差動)。物理層に次の2つの規格がある。D-PHY(ディーファイ、最大1.0Gbps/1レーン)、M-PHY(エムファイ、最大6Gbps/1レーン)。2003年に設立されたMIPI Allianceが規格を策定。シリアルインタフェースの1種だが、HDMIやDisplayPortと同じような映像規格の1つともいえる。読み方は「ミッピー」と表記している例をみかけるが、会話では「ミピー」と発音されている(聞こえる)。MIPI用の計測器としてはバスアナライザなどのプロトコルアナライザがあるが、オシロスコープのオプションで解析ソフトウエアがあるものもある。キーサイト・テクノロジーは2010年頃にはロジックアナライザでMIPI信号の解析ができたので、広義にはロジックアナライザの用語でもある。

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