計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

3

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

遅延時間軸(ちえんじかんじく)

オシロスコープの掃引を、メイン時間軸掃引からあらかじめ決められた時間だけ相対的に遅らせて開始、またはトリガする時間軸。これにより、メイン時間軸掃引だけでは見ることのできなかったイベントをよりはっきりと観測できる。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

中華系オシロスコープ(ちゅうかけいおしろすこーぷ)

(chinese oscilloscope) 「中華オシロ」とも呼称される。安価なオシロスコープ(オシロ)の代名詞で、2000年頃から国内で販売されるようになり、ECサイトでも購入できる。2020年代には日本法人も増え、広帯域モデルも発売されている。以下に数社の概要を述べる。 1.Good Will(グッドウィル)。Good Will Instrument Co., Ltdは計測用電源メーカとして1975年に台湾で設立。GW Instekがブランド名。日本の販売店はテクシオ・テクノロジー。旧ケンウッドの計測器部門が販売店になっていることは安心感がある。ケンウッド(旧トリオ)はアナログオシロスコープ時代からの老舗計測器メーカで、文教向けのオシロスコープでは実績があった。テクシオ・テクノロジーは2021~2022年にオシロスコープ以外の多くのカテゴリーの新製品(コンパクトAC/DC電源、LCRメータ、デジタルパワーメータなど)を発売している。その多くがGW Instekブランドである。安価なオシロというイメージが先行したが、現在では直流から高周波まで基本測定器を揃える総合計測器メーカで、決して安価なモデルだけではない。 GW Instekブランドのオシロスコープは2000年代前半に日本に上陸した。当時はいまのようにECサイトで計測器を販売はしていなくて、秋葉原の計測器ショップに製品が並ぶなど、計測器販売商社が取り扱った。2006年には日本法人のインステック・ジャパンが設立し、デジタルマルチメータ、直通電源などの低周波の基本測定器だけではなくRF分野のスペクトラムアナライザ(スペアナ)なども、販売・修理・校正の事業を展開したが、2014年にインステック・ジャパンはテクシオ・テクノロジーに吸収された。 2.RIGOL(リゴル)。RIGOL Technologies Co.,Ltd.(普源精電技術有限公司)は1998年に中国・北京で大学生3人が計測器メーカとして創業(社名は3人の名前が由来らしい)。前述1項のGW Instekとほぼ同時期に日本に輸入開始され、リーダー電子が販売店をしていた時期もあったと筆者は記憶している。2015年にリゴルジャパン(日本法人)を設立。オシロスコープのラインアップが多いが、デジタルマルチメータや信号発生器などの基本測定器もある。2019年には6シリーズの新製品を日本市場で発表している(オシロ3、スペアナ1、信号発生器2)。2020年の日本語総合カタログには29機種が掲載されている(オシロ10、スペアナ4、SG2、FGとAWG6、DMM3、DAQ1、DC電源2、電子負荷装置1)。リゴルジャパンのホームページには11シリーズのオシロが掲載されている(2023年1月現在)。中華系計測器メーカとしてはGW Instekに次ぐラインアップであるが、モデルはオシロが主力といえる。月刊トランジスタ技術の2022年の紙面にはRIGOL製オシロで測定した波形が掲載された記事がある。電子機器の自作をする技術者が安価で品質の良いモデルとしてRIGOLを購入していると推測される。2022年度には複数の媒体を使い値引きキャンペーンなどを展開している。 3. OWON(オウオン)。福建のリリパット社(Fujian Lilliput Optoelectronics Technology Co., Ltd.)の計測器ブランド。「OWONは1990年設立、2010年から日本で販売開始、2022年にOWON JAPAN合同会社(日本法人)を設立」(OWON JAPANのホームページより)。オシロスコープはベンチトップだけでなくハンドヘルドやPC接続型のモデルもある。ホームページの販売店情報(2023年1月現在)には、T&Mコーポレーション株式会社(日本国内総代理店)、ヤマト科学株式会社(日本国内正式認定代理店)、ウェーブクレスト株式会社(正規代理店)がある。 4. Shanghai MCP Corp.(INSDAC)。上海にあるShanghai MCP Corp.の日本法人である日本INSDAC株式会社のホームページには「2020年に日本法人設立。INSDACはINS(Instrument)計器+DAC(Didactic)教育的。ローコストでハイパフォーマンスな電子計測器と学習キットを提供。Shanghai MCP Corp.はヨーロッパ・南アメリカ・アフリカをマーケットとして30年間営業している」とある。 最近(2022年下期)、安価な電位差計が複数のECサイトに掲載されている。製品画像には「MCP lab electronics MCP-01 POTENTIOMETER」と表記されている。ECサイトには会社名(メーカ名)が未記載なことが多いが、Shanghai MCP Corp.の計測器と思われる。国産の三和電気計器は1950年代から1990年代までは販売会社で、製造は三和電気製作所などが分担していた。Shanghai MCP Corp.の製造部門がMCP lab electronicsなのかもしれない。 5.Siglent(シグレント)。SIGLENT TECHNOLOGIESは中国の深圳に本社があり、2002年からデジタルオシロスコープの研究を開始したらしい。日本ではウェーブクレスト株式会社(Wavecrest)株が販売店をしていて、同社ホームページに製品が紹介されている。2023年2月現在、日本法人はないが、OWONの代理店であるT&Mコーポレーションが取り扱いを始めた。公表されていないが海外の大手オシロスコープメーカのL社のOEMをしているという噂がある(老舗の計測器メーカが東南アジアで安価なモデルを製造することは良くあるので、まんざら信憑性がない話でもない)。会社名はAgilent Technologies(アジレント・テクノジー)に似ているが、他の中華系メーカに比べると日本では情報が少ない。 6.HANTEK(ハンテック)。Qingdao Hantek Electronic Co.,Ltd.は、中国山東省青島に本社があり、 1999年にUSBオシロスコープの開発を開始した(同社の英語のホームページより)。現在は国内での販売はamazonなどの通販サイトがメインと思われる。 台湾、中国の安価なデジタルオシロスコープはGW Instekを筆頭に2000年代前半に輸入された。従来、50万~100万円していたMHz帯域(100MHz以上)のモデルが、数万円~十数万円の価格になった。つまり、1桁下に価格破壊した。これによって安価なアナログオシロスコープはその魅力を失い市場から消えた。当時のミドルクラスのヴォリュームゾーンだった350MHz帯域のモデルをつくっていた国産オシロスコープメーカ(岩崎通信機、ケンウッドティー・エム・アイ、横河電機など)は打撃を受けたと推測される。老舗の松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)や日立電子(日立国際電気)は系列企業の整理・統合もあり、オシロスコープを含む計測器から撤退した(ケンウッドはGW Instekに吸収された)。中華系オシロスコープは、テクトロニクスやキーサイト・テクノロジーというオシロスコープの世界的な老舗メーカが安価なモデルをつくる契機にもなったと思われる。

直線補間(ちょくせんほかん)

デジタルオシロスコープはサンプリングされた値だけを表示するのではなく、補間表示の機能がある。補間方法には直線補間とサイン補間があり、直線補間とは、サンプリングされた2点間を直線で補間する。信号を正確に再現するためには、最高周波数成分の少なくとも10倍のサンプルレートが必要といわれている。

  • 1