計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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立ち上がりエッジ(たちあがりえっじ)

(rising edge、leading edge) デジタル信号の電位がLowレベルからHighレベルへ遷移することを言う。反対の用語としては立ち下がりエッジがある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より) 現在の電子回路はデジタル信号が多く使われている。0と1(HIGHとLOW)のパルス列(方形波)では、信号の立ち上がりや立ち下がりを捉えて処理を行うことは基本である。パルスの値が遷移する時間は短く、パルス波形の端(はじ)やふちなのでedge(エッジ)と呼ばれる。立ち上がりエッジや立ち下がりエッジは、電子機器が動作を行うときの電子回路の合図に使われる。

立ち上がり時間(たちあがりじかん)

(rise time、leading edge time) 立ち上がり時間は電気の基礎用語で、オシロスコープや電源、信号発生器など、計測器に共通で定義されている。逆の時間を立ち下がり時間という。計測器メーカ2社の解説を紹介する。 計測用電源のメーカ、高砂製作所の総合製品カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には「入力電源を投入、または出力をONにした後で、出力電圧が10%から90%に変化するのに要する時間」とある。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「パルスが低い電圧から高い電圧に移動するまでの時間で、通常、パルス振幅の10%から90%までの部分」とある。オシロスコープの立ち上がり時間とは、振幅が10%から90%に移る時間(下図のTr)を指す。 パルス用語としては、JIS C 0161(EMCに関するIEV用語)では次のように定義されている。 「パルスの瞬時値が最初に規定した下限値に到達し、その後規定された上限値に到達するまでの時間間隔。特に規定されていない場合、下限・上限値はピーク値の10%及び90%に固定とする。」 下限値と上限値は10%、90%に決まっているわけではなく、場合によっては違う値にすることもできる。たとえばオシロスコープの「 立ち上がり/立ち下がり時間トリガ」では、オシロスコープの使用者が下限値と上限値を設定してトリガをかけることができる。 方形波で、立ち上がり時間が短い信号は高い周波数の成分を多く含んでいる。逆に低い周波数帯域の信号は立ち上がり時間が長くなる。高速なデジタル通信に使われるパルス列にはシステムを十分に正常に動作させる、立ち上がり時間が短い、高速信号(高周波成分を多く含んだ信号)が使われている。 表記は「立上り」、「立ち上り」などもあり、不統一。

立ち下がりエッジ(たちさがりえっじ)

(falling edge、trailing edge) デジタル信号の電位がHighレベルからLowレベルへ遷移することをいう。反対の用語としては立ち上がりエッジがある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より) 現在の電子回路はデジタル信号が多く使われている。0と1(HIGHとLOW)のパルス列(方形波)では、信号の立ち上がりや立ち下がりを捉えて処理を行うことが多い。エッジはパルスの値が遷移する、波形の端(はじ)を意味している。

立ち下がり時間(たちさがりじかん)

(fall time、trailing edge time) オシロスコープの説明でこの用語を解説していることが多いが(立ち上がり時間など)、直流電源のラインアップが最も豊富な計測器メーカである菊水電子工業の製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には、「入力電圧を遮断または出力をOFFした後、出力電圧が90%から10%に変化するのに要する時間」と説明されている。 デジタル信号を扱う場合、立ち上がりや立ち下がりのエッジを捉えて処理をすることは基本である。立ち上がりや立ち下がりの時間はデジタル回路では重要な仕様である。

多チャンネルオシロスコープ(たちゃんねるおしろすこーぷ)

通常のオシロスコープ(オシロ)の入力数は4(または2)チャンネルだが、レコーダ(やデータロガー)は8(または4)チャンネル入力が多い。1980年代に後発でオシロ(デジタルオシロスコープ)に参入した横河電機(現横河計測)は、老舗の記録計(レコーダ、ロガー)メーカで、1993年に8chオシロスコープDL5180を発表した。当時のオシロは最大4チャンネルが標準で、世界オンリーワンの(ベンチトップ、スタンドアロンの1筐体の)多chオシロだった。CDなどの回転体、メカ機構の技術者をユーザにしていた同社は8チャンネルモデルの需要を早くから得ていて、その後もモデルチェンジを続け、2020年夏に5世代目の8chモデルとしてミックスドシグナルタイプのDLM5000シリーズを発表している。 アナログオシロスコープ時代のオシロのトップブランドである岩崎通信機も2020年秋に高分解能オシロスコープ(12ビットADC)の8chモデル、DS-8000シリーズを発売した。高分解能オシロスコープを世界初で発売したテレダイン・レクロイもWaveRunner 8000HDシリーズに8chモデルがある。テクトロニクスも2017年頃に発売した5シリーズMSOや6シリーズMSOに8chモデルがある。とうとう2020年には(岩通のDS-8000と同じ11月に)キーサイト・テクノロジーも8chモデルをラインアップしたInfiniium EXRシリーズを発売した。主要海外オシロメーカが8chモデルを発売したことで、横河計測がオンリーワンではなくなり、「多チャンネルオシロスコープ」というジャンルが確立した。当サイトでは2021年に各社(主要5社)の代表機種を比較をした記事を作成して公開している。 2007年のテクトロニクスのMSO4000シリーズ発売と、その後の各メーカのオシロ品名へのMSOの波及、2012年のレクロイ(現テレダイン・レクロイ)の高分解能モデルの発売とその後のオシロ各社の参入(※)、2017~2020年のオシロ各社の多チャンネル(8ch)オシロのリリース、と近年のオシロは新しいカテゴリ(ジャンル、形態)が生まれている。2022年6月にテクトロニクスは3シリーズMSOの下位モデル「2シリーズMSO」を発表した。外観は通販で売っている10万円以下の簡易オシロであるタブレットモデルだが、周波数500MHzまでの組込みシステム開発をターゲットとしている。省スペースモデルのDLMシリーズで高シェアな横河計測などにタブレットオシロが広がる予感を感じさせる。 (※)横河計測はスコープコーダという8ビット以上のレコーダオシロを1997年からラインアップしているので、高分解能オシロはつくってこなかった。ところが2020年5月発売のDL5000(8ch/8ビット)を、2023年5月にDL5000HD(12ビット)に改良した。これで主要オシロメーカの多チャンネルオシロはすべて高分解能になった。 計測器情報: 岩崎通信機 DS-8000、キーサイト・テクノロジー EXR、テクトロニクス MSO58、テレダイン・レクロイの例、横河計測 DLM5000 多チャンネルオシロは品名には出てこないが、シリーズの代表画像には8chタイプの写真を使っていることが多いので、画像から判断することができる(確実なのは1モデルごとに仕様を確認することである)。 参考記事(以下)は、トップページに比較表と各社モデルの一言コメントを掲載。2ページ目以降の各社モデル紹介は、各メーカが何を特長として紹介しているかに注目。たとえば「プローブのラインアップが多い」など、各社の一番の特長を(多チャンネルモデルだけにフォーカスするのではなく)紹介している。主要オシロメーカのラインアップやカバーする範囲など、各社の特長が伺える。 2010年6月にベンチ・ラボユースのモデルでオシロスコープに参入し、2018年6月には広帯域モデルも揃えてオシロ3大メーカに伍する構えのローデ・シュワルツは、2022年発売のR&S MXO4に始まる新世代オシロシリーズの展開として、2023年11月1日にR&S MXO5(同社初めての8チャネル・オシロスコープ)を発表した。これで8chモデルは海外4社、国内2社の主要オシロメーカがすべてラインアップすることになった。

タブレット型オシロスコープ(たぶれっとがたおしろすこーぷ)

マウスやキーボードの代わりにペンを画面にあてて入力するタッチパネルのノートPCをタブレット型と呼ぶが、同じようなサイズ(画面の大きさや、薄い奥行き)のオシロスコープのこと。「タブレット型」という表現が確立してはいないが、amazonなどのECサイトで「タブレットオシロスコープ」として数万円の商品が掲載されている。それらは主に海外製で、大手計測器メーカ(フルークやキーサイト・テクノロジー)がつくるハンドヘルドのモデルよりも性能が低い、趣味の電子工作ユーザ向けである。 ところが、オシロスコープの世界的トップベンダーであるテクトロニクスはエントリークラスの「3シリーズMSO」の下位機種として、2022年6月に「2シリーズMSO」を発売した。この形状が前述のタブレットオシロスコープと同じである。仕様は最大500MHz周波数帯域で、組込みシステムの開発、デバッグに使えるミドルクラスのオシロスコープである。価格は最低238,000円だが、仕様やオプションによっては百万円以上になる。MSO(ミックスドシグナルオシロスコープ)でタブレット型のモデルが出現したので、「タブレット型オシロスコープ」ということばを解説した。 中国の計測器メーカOWON (オウオン)には可搬型(ハンドヘルド)のオシロスコープがあり、日本でも通販や秋葉原のショップなどで「タブレットデジタルオシロスコープ」が購入できる。OWONは、2000年代に中華系の激安計測器として輸入が始まったGood Will(GW Instek)やRIGOL(リゴル)に次いで、2010年代に日本に上陸した「中華系計測器の第二弾メーカ群」の1社である(2022年に日本法人を設立)。またShanghai MCP Corp.(INSDAC)も可搬型の計測器を多くラインアップする中国の計測器メーカで、ECサイトに周波数、チャンネル別に約10モデルのタブレット型オシロスコープを掲載している。 計測器情報(2シリーズMSO):モデルMSO22、モデルMSO42

単掃引モード(たんそういんもーど)

オシロスコープ のトリガモード の1つで、画面上で信号を1度トリガして停止するもの。(2017年発行 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」より) トリガはオシロスコープの基本機能で、意図した現象(イベント)を捕捉して画面上にに信号波形を表示するもの。トリガタイプ(トリガの種類)はエッジトリガやパルス幅トリガなど10種類以上あるが、トリガのかけ方には3つのモード(トリガモード)がある。ノーマル、オート、シングルの3種類で、上記の冊子でいう単掃引モードはシングルに相当する。通常はシングルモードと呼び、単掃引モードという表現はあまりしていない。

単発信号(たんぱつしんごう)

オシロスコープで1度だけ観測される信号で、過渡的現象(トランジェント・イベント)とも呼ばれる。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

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