計測関連用語集

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O/E変換器(おーいーへんかんき)

(Optical signal / Electrical signal converter) 光信号を電気信号に変換する機器。別名:O/Eコンバータ。逆の変換をするのがE/O変換器である。光ファイバ通信システムは電気信号を光信号に変換して光ファイバ内を伝送する。信号の送信部にはE/O変換器があり、受信部にはO/E変換器がある。 計測器としてのO/E変換器やE/O変換器は、アンリツや安藤電気がつくった。光信号をオシロスコープで観測するための光プローブもO/E変換器といえる。 1970~1980年代に電電公社(現NTT)が日本の基幹通信網に光通信を導入する際、電電ファミリーのアンリツと安藤電気は多くの光測定器(光通信用の計測器)を開発した。O/EとE/Oもラインアップしたが、通信網が完備された2000年代以降は2社とも従来のO/EやE/Oは生産終了している。 アンリツは光電融合デバイスをネットワークアナライザで評価するソリューション(Opto-Electric Netwerk Analyzer ME7848A)を提案している。MN4775A(110G E/O)とMN4765B(110G O/E)を使い、光信号を電気に変換してME7838AX(VNA)で測定を行う。そのために高速のO/EとE/Oをラインアップしている(2023年11月のマイクロウェーブ展に出展)。 同じ光電融合の評価でもキーサイト・テクノロジーは偏波シンセサイザなどの光測定器で偏波依存性損失(PDL)を測定して評価するので、O/EやE/Oは使わない。このように、電気の測定器で光信号を評価する際に、併用計測器としてO/EやE/Oが使用される。

オーバーシュート(おーばーしゅーと)

オシロスコープで矩形波(方形波)を観測すると、立ち上がりの部分において、波形が定常値となる基線を超過する現象のこと。または、それによって突出した波形の部分のこと。下図の○で示した部分。立ち下りで起こる同じ現象をアンダーシュートと呼ぶ。参考用語:立ち上がり時間

オービット(おーびっと)

(Orbit) 2つの信号を直交するx軸・y軸上で合成した図形をオービットまたはリサジューといい、2信号の振幅、周波数比、位相差の組合せによって視覚的な特長を示す。周波数比が整数のときには描かれる図形の軌跡は一定の周期で元に戻る。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より) 参考記事: FFTアナライザの基礎と概要 (第1回) デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第1回)

オシロ(おしろ)

電気信号(電圧や電流)の時間的な推移(変化のグラフ、波形と呼ばれる)を観測して表示するオシロスコープ(oscilloscope)の略称。電気計測器のカテゴリー(機種群)の中で最も販売額が大きい(他のカテゴリーに比べて突出してNo.1)。周波数帯域100MHz程度(エントリークラス)から、1GHz程度(ミドルクラス)のオシロは、電気技術者が1台/人保有しているといわれるくらい普及している(電気エンジニアの普段使いのオシロ、という表現をされる)。 1960年代頃まではオッシロという呼称もされていたが、現在は「オシロ」のみが略称として使われている。 計測器は関係者の間では略称で呼ばれることが多い。他にはスペクトラムアナライザをスペアナ、ネットワークアナライザをネットアナ、プロトコルナライザをプロアナと呼称する。また、スペアナはSA、ネットアナはNA、信号発生器(Signal Generator)はSG、ファンクションジェネレータ(Function Generator)はFGなどの略記が頻繁に使われるが、オシロはOSなどの略記をされることはない。そのかわり、デジタルストレージオシロスコープ(Digital Storage Oscilloscope)の略記「DSO」 やミックスドシグナルオシロスコープ(Mixed Signal Oscilloscope)の略記「MSO」などは大変よく使われる表記である。 絶縁抵抗計をメガーと呼ぶのは、別名である。

オシログラフィックレコーダ(おしろぐらふぃっくれこーだ)

横河電機(現横河計測)のOR1400やORM1300などの品名。 オシロスコープが半導体メモリを備えサンプリングによるデジタル式(デジタルオシロスコープ)になったように、アナログのメータで表示していたレコーダもデジタル式のメモリレコーダとなった。記録計の主流がメモリレコーダになっていく1980年代~1990年代に、計測用レコーダの老舗である同社がデジタル式のレコーダとして世に問うた製品群だった。現在の横河計測にはこの品名の製品は無いが、DL708からDL950、DL350へと続くスコープコーダ(同社のオシロの通称である「DL」を冠したレコーダ。同社オシロの形名はDL1600やDLM3000のように数字4桁だが、レコーダであるスコープコーダは数字3桁)にそのDNAは継承している。 日置電機のメモリハイコーダや、三栄測器(旧NECアビオニクス、現エー・アンド・デイの工業計測機器部門)のオムニエースのように、横河計測のメモリレコーダの1種である。OR1400は2001年4月1日に販売終了し、後継機種はDL950やDL350(2021年3月現在)。 ORM1200/1300の製品カタログの表紙には「高速ユニバーサルレコーダ」と記載されている。カタログには「ORMシリーズは高速ユニバーサルレコーダの最新の進歩である。複数の絶縁アナログチャネルを装備し、ロジックチャネルもオプションで追加できる」旨が記載されていた。 オシログラフィックレコーダと同時期に発売されていたAR(アナライジングレコーダ)の正式な後継がスコープコーダである(参考記事を参照)。オシログラフィックレコーダもARも「レコーダのようなオシロ」という位置づけで登場したが、両者の正確な違いは、今ではわからない。オシログラフックレコーダの設計コンセプトを知ることができるような文献はほとんどない(国立国会図書館によれば、所蔵の1992発行の横河技報36(2) 85~88ページにはOR2300の解説がある)。

オシロスコープ(おしろすこーぷ)

(oscilloscope) 電気信号の波形を映し出し、電圧の時間変化を観測する測定器。電気計測器の代表機種群で、日本だけでなく全世界で最も市場規模(生産額・販売額)が大きい機種群の1つ。デジタルオシロスコープとアナログオシロスコープがあるが、現在はほぼデジタル。略称:オシロ。 デジタルオシロスコープは1980年代に登場し、2000年代以降に主流になった。測定できる周波数の上限(周波数帯域)はMHzからGHzに伸びた。2000年代初頭は周波数帯域4GHzが最高機種だったが、2005年に、情報家電分野の高速デジタル市場向けに6GHzの広帯域モデル(キーサイト・テクノロジーの54855A)が発売されて以降、オシロ3メーカ(テクトロニクス、キーサイト、レクロイ)による上位モデル競争が続き、2018年には110GHzモデル(約1億円/台)が発売されている。これら広帯域オシロスコープは便宜的に高速オシロと呼ばれ、従来のオシロとは区別されている。約2~4GHzで区分され(メーカによって異なる)、従来オシロは便宜的に汎用オシロと呼ぶ(メーカはこの呼び方はしていない、広帯域オシロと区別するための便宜的な呼び方である)。 デジタルオシロのA/Dコンバータ(ADC)は長らく8ビットだったが、2012年に高分解能の10ビットモデルが発売され、2018年以降は汎用オシロの高分解能機種が1つのトレンドになりつつある。たとえばテクトロニクスは1GHz帯域の高性能モデル(4シリーズMSO、5シリーズMSO、200MHz~2GHzをカバー)と、広帯域モデルの5シリーズMSO(高速デジタル回路の評価用、1GHz~10GHzをカバー)(※)は分解能が標準で12ビットである。 当初は自動車などのパワーエレクトロニク分野向けに「時間波形だけでなく電圧も精度良く測定する」需要に応えて登場した高分解能モデルだが、周波数がGHz帯域の信号は、ダイナミックレンジが広い高分解能モデルで電圧値を測定しておくことが多くなってきている。高分解能モデルの登場によって、オシロは波形の観測器(scope)から(時間と電圧が正確に測定できる)測定器(meter/tester)にやっと進化したが、電圧値をDMM並みの精度で測定することがオシロの常識になったのかもしれない。 オシロスコープのことばの由来は、「オシロスコープのすべて(2017年テクトロニクス発行の冊子)」に「オシレート(発振)が語源で、発振電圧を測定するところから」とある。 発振(Oscillation)の観測器(Scope)という造語といえる。 (※)オシロを用途別に分類し、一般的な回路基板評価用途(~2GHzまで)を1G帯域のモデル、広帯域モデルの中で1GHz~10GHzに対応したモデルを高速デジタル回路の評価用と称している。以下の表1が詳しい。 参考記事:オシロスコープの動向と、最新1GHz帯域モデルの各社比較

オッシロ(おっしろ)

オシロスコープや電磁オシログラフ(アナログオシロスコープ以前の1920年頃から使われていた波形測定器で、レコーダの1種)に「オシロ」という表記があるが、オシロではなく「オッシロ」という表現(表記)が1960年頃は一般的だった。1964年9月に創刊されたエレクトロニクスの月刊誌「トランジスタ技術」10月号にはラジコン(※)の記事がある。トランジスタの採用によってラジコン装置がオーディオトーン式になった。オーディオトーン信号をアナログオシロスコープで測定した画像が掲載されている。その画像のキャプションは「オーディオトーンの波形をオッシロで見る」と書いてある。当時はオシロスコープのことをオッシロスコープと呼称していたことがわかる。 同じ号に、岩崎通信機から発売された新製品のアナログオシロスコープSS-3101の紹介記事を岩崎通信機の技術者が書いている。同社の当時のオシロスコープは「シンクロスコープ」と呼ばれ、記事には一言も「オシロスコープ」ということばが使われていないので、同社が他社の製品をオッシロスコープと呼んでいたかはかわらない。 同号のニュースページのEquipmentsコーナに、タイトル「オシロ用直流増幅器」で、三栄測器のDA-842/DA-422が紹介されている。説明文には「インク書きオシログラフ、電磁オシログラフまたはビジグラフと組み合わせて使う」とある。表現はオッシログラフではなく現在と同じオシログラフである。 1960年代にはオッシロとオシロが混在して使用されていたと推測される。1924年にYEW(株式会社横河電機製作所、現在の横河電機)は、逓信省電気試験所(当時)から国産化の要請を受け、「3要素型N-3」を開発したが、その名称は「携帯用電磁型オッシログラフ」といい、オシログラフではなくオッシログラフである。1920年当時はオシロではなくオッシロと呼称していたのかもしれない。オッシロスコープがいつ頃からオシロスコープに統一されたかは不明である。 そのほかの使用例としては、1967年に「自作できる測定器―バルボルからオッシロまで」が誠文堂新光社から刊行されている。 (※)ラジコンとはラジオコントロール(Radio Control)の略称で、R/Cなどと略記される。無線機を使って模型飛行機を操作し、離着陸や飛行を楽しむ趣味。ラジコン飛行機やラジコン操縦器ということばがある。日本では1950年頃から模型愛好家の間で普及した。トランジスタなどの半導体の進歩、普及によって操縦器は小型化、高性能化した。アマチュア無線ほどの専門知識がなくても楽しめるので、子供から大人まで(特に男性)、愛好家が多かった。1960年代のTVアニメの草分けである鉄人28号は少年が操縦器を操作して、電波を使って巨大なロボット(鉄人28号)を操り、悪人を懲らしめるというストーリーで、男子の子供たちに人気だった。アニメに登場する操縦器はラジコン操縦器を連想させる。つまり当時のラジコンは最先端のハイテクを楽しむ趣味である。

オフセット(おふせっと)

オシロスコープで、入力信号の直流成分をキャンセルする機能。有効な使い方は、DC成分の重畳した波形を測定する場合に、DC成分をキャンセルして波形を拡大する(V/div を上げる)ことができる。ただし、調整できる電圧範囲は限られているので、信号に比べてDC成分が非常に大きい場合は、キャンセルしきれない。その場合は入力カップリングをACに設定すれば解決する。反対にACカップリングの弱点は低周波である。ACカップリングは微分回路 として働くため、低い周波数では波形が歪む(波形への影響が大きい)。また、移相もずれる。DC成分のキャンセルにはオフセットとACカップリングを使い分けることが肝要。

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