計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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DUT(でぃーゆーてぃー)

(Device Under Test) 被測定物、測定対象のこと。計測器の用語としてはインピーダンス測定(LCRメータやネットワークアナライザ)で主に使われる。対象がデバイスのため、半導体試験でも使われる。 「読み方は英語圏では“ダット”」という解説をみかけるが、日本語でダットというとオーディオ関係の「DAT(Digital Audio Tape)、音声をデジタル信号化して記録したテープ」を指す。計測器でダットだと、「DAT(Digital Audio Taperecorder)、オーディオ用のカセットテープなどにデジタル化した信号で録音できるテープレコーダ」。つまりDATデータレコーダなどを指している。

抵抗測定器(ていこうそくていき)

抵抗を測定する機器の総称。デジタルマルチメータや絶縁抵抗計などがある。

抵抗ブリッジ(ていこうぶりっじ)

導体のようなmΩ単位の低抵抗を測定する機器。リード線の抵抗や接触抵抗の影響を受けないように工夫されたもの。別名:ホイートストンブリッジ。

抵抗率(ていこうりつ)

(resistivity) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電流の流れにくさを表す指標。電気を通しにくい材料を評価する(比べる)ときなどに使われている。別名、電気抵抗率(electrical resistivity)や比抵抗とも呼ばれる。記号はギリシャ文字のρ(ロー)。単位は[Ω・m](オームメートル)。 抵抗率は、通常の抵抗測定に使われるマルチメータなどでは測定できない。電気抵抗率はセンサ式水質計(科学分析機器)で測定できる(メーカは東亜ディーケーケーなど)。物性(材料)の測定器として抵抗率計がある。たとえばエヌピイエス株式会社の抵抗率測定器(シート抵抗測定器)は4探針プローブを用いて、太陽電池用の半導体ウェーハや金属薄膜などの抵抗率を測定できる。ナプソン株式会社も4探針法の抵抗率測定器をつくっている。接地抵抗計の代表的なメーカである共立電気計器に「接地抵抗・大地抵抗率計KEW 4106」があり、大地抵抗率ρ[Ω・m]を測定できた(現在は生産中止)。 抵抗率の逆数を導電率と呼び、記号はσ(シグマ)で、「電気の流れやすさ」を表す。抵抗率ρ=1/σ。導電率σ=1/ρで、単位は[S/m](ジーメンス/メートル)。

ディスクリート(でぃすくりーと)

(discrete)電子回路の用語としては、単体の電子部品で回路を組み上げること。discreteは「個別」、「個々の」という意味。カスタムICやPLDなどの多機能デバイスを使わないで、たとえばプリント基板などに単機能の電子部品を実装していくことをディスクリートという。ディスクリート半導体というと「単一目的のために使用される単一機能」の半導体を指している。

ディップメータ(でぃっぷめーた)

(dip meter) 共振回路やアンテナの共振周波数を測定する計測器。発振回路に真空管が使われていたころ、共振したことを真空管のグリッド電流の減少によって検出したため、グリッドディップメータ(GDM)と呼ばれたことが語源。dipは「下がる」、「探る」の意味。当時はアナログの指示計器で、メータの針が共振周波数で小さい値を指示(指し示)した。メーカによっては「デップメータ」と呼称。 三田無線研究所のDELICA DMC-230S2/DIGITAL DIP METERや、大松電気(現リーダー電子)のLDM-810/グリッド デップメータやLDM-811/TRデップメータなどがあった(形名/品名を記述)。品名のTRはトランジスタの略記である。LDM-811の製品説明には「トランジスタとダイオードを使った高感度の超小型デップメータ、屋上や野外で活用できる」とある。LDM-810の広告には「ニュービスター(※)を使い、極めて安定な発振回路を有する超小型デップメータ。アマチュア無線用として設計」とあり、価格はLDM-811の半額以下である(1964年9月発売のトランジスタ技術創刊号の表3広告)。 (※)米国のRCA社が考案した真空管。

低抵抗計(ていていこうけい)

ミリオーム(mΩ)程度の低い抵抗を測定する機器。別名:ミリオームメータ、接点抵抗計。逆に高い抵抗を測定するのが絶縁抵抗計(メガー)。

ディレイライン(でぃれいらいん)

(delay line)電気信号の伝搬を遅くする電子部品で、コイル(インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタンス)で作られている場合が多い。別名:遅延線。伝搬経路によって遅延は異なるため、複数の信号のタイミングを合わせるなどの目的で使われる。早い(遅延が少ない)信号をディレイラインで遅くして、遅い(遅延が多い)信号にタイミングを合わせる。

テストフィクスチャ(てすとふぃくすちゃ)

(test fixture) インピーダンスアナライザ、LCRメータなどと一緒に使用するアクセサリ。測定器と測定対象(DUT)を接続するための治具。略して「フィクスチャ」と呼ばれることも多い。fixtureは取付具(部品を加工するときに機械に取り付ける装置)のこと。 高周波の回路網を評価するネットワークアナライザでも、DUTとの接続をする部位をフィクスチャと呼んでいる。光ファイバから出た空間を進行する光を光軸をあわせで違う光ファイバに挿入する装置をフィクスチャと呼称している例もある。

テストリード(てすとりーど)

デジタルマルチメータ(DMM)やLCRメータなどでDUTに接触させて、計測器につなぐ測定用のケーブルのこと。別名:テストケーブル、リード、接続リードなど。DMMではテストリードのDUT側接触部は針のように先端が尖ったピンや、DUTの端子をはさむクリップなど、種類が選べる。計測器(DMM)側の端子は埋め込み型バインディングポストが一般的(テストリード側はバナナプラグの外側にカバーがあり、計測器側のバインディングポストに差し込む)。LCRメータ(やインピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ)では、DUTをつまむクリップの片側が電圧端子(電圧のセンシングを行う接触部)、もう片側が電流端子になっている測定治具をテストリードと呼んでいる場合が多い(4端子法、4端子接続)。測定器の入力端子に直接、測定治具を勘合させるタイプのものをテストフィクスチャと呼び、DUTの端子線を治具に差し込んで接触させる構造になっている。LCRメータのテストリードとテストフィクスチャはDUT形状や測定条件によって使い分けられる。

Teradyne(てらだいん)

Teradyne,Inc.は1960年に米国、ボストンで設立した半導体テスタやインサーキットテスタのメーカ。それまで手作業だった電子部品の検査を自動化した。1966年にコンピュータを搭載した自動検査装置(ATE)を世界初で製品化した、半導体テスタの草分け。半導体テスタは当時の最先端の電気計測器(試験装置)で、1980年代には国産の計測器メーカ(ミナトエレクトロニクス、タケダ理研工業、安藤電気など)もラインアップした(1990年代には日立電子や横河電機も参入している)。日本の電気計測器メーカは1970年代にテラダインの半導体テスタを研究(模倣)して、自社の半導体テスタ製品をつくったといわれるほどである。社名の由来は、大変大きな力を意味する、テラ(10の12乗)ダイン(=10メガニュートン)といわれる。 日本にはテラダイン株式会社・熊本事業所があり、イメージセンサやマイコン用ATEの開発から販売までを行っている。熊本県は日本のシリコンバレーといわれるくらい半導体の工場が多い(ソニーセミコン、TSMCなど)。 Teledyne Technologies(テレダイン・テクノロジーズ)は、ミドルクラスからハイエンドまで豊富なオシロスコープのラインアップで世界3位のオシロメーカといわれるレクロイ(現Teledyne Lecroy、テレダイン・レクロイ)を傘下にもつ、米国のコングロマリットである。テラダイン(teradyne)は半導体テスタ、テレダイン(teledyne)はオシロスコープ。1字違いで良く似た会社名である。

電池式絶縁抵抗計(でんちしきぜつえんていこうけい)

電池で動作する絶縁抵抗計 (=メガー)。アナログ式とデジタル式がある。

電流遮断法(でんりゅうしゃだんほう)

直流通電時と遮断時の電圧差から内部抵抗を計算で求める手法。DUTにあらかじめ直流電流を流し、その状態での電圧を測定しておき、次に直流電流を短時間遮断し、その状態での電圧を測定する。電圧差を電流で除算した値が内部抵抗となる。測定に要する時間は短いが、再現性の確保に注意する必要がある。反対に交流インピーダンス法は時間はかかるが再現性は良い。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

等価回路(とうかかいろ)

(equivalent circuit)抵抗(R)とコンデンサ(キャパシタンスC)やコイル(インダクタンスL)が直列や並列につながった回路を等価回路と呼ぶ。集中定数回路の要素であるR、C、Lを使い、実際の電気機器の構造を等価回路に置き換えて数値を測定・解析する。 LCRメータには等価回路を設定する機能がある。交流インピーダンス測定の代表的な計測器であるLCRメータは自動平衡ブリッジ法を採用している。ベクトル電圧計で基準抵抗とDUTの電圧(大きさと位相差)を測定してインピーダンスを算出する。R-C直列、R-C並列、R-L直列、R-L並列などの等価回路を選択すると、抵抗成分とリアクタンスを計算して表示する。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)・・電子部品の等価回路について解説。

トリマ(とりま)

(trimmer)電子部品の半固定抵抗器や半固定コンデンサをトリマ(またはトリマー)と呼称する。通常、形状は正方形で、プリント基板側に接続する端子(リード線)は3本あり、上面にはプラス(またはマイナス)ドライバで抵抗値(またはキャパシタの値、静電容量)を可変できる溝(つまみ)がある。トリマの抵抗値(または静電容量)は決まっている(固定)が、その値を微調整できる。部品のばらつきの調整や、回路の微調整が必要な箇所に使われ、調整が終わったら固定され、使用中に可変することは無い。そのため可変(たとえば可変抵抗器)と言わずに半固定と呼んでいる。トリマのことを「微調整用可変素子」と説明している例もある。 英語のtrimはととのえる/調整するの意味。trimmerは調整する物(整える/調整する、はarrnge/adjustで、trimとの違いは不明だが、動物の毛を刈りそろえる職業である犬・猫の美容師はトリマーと呼ばれている。この場合トリマーは「整頓する/手入れする人」の意味である)。半固定抵抗器は「トリミング抵抗器」、「トリマポテンショメータ」、「トリミングポテンショ」などとも呼ばれ、「抵抗」より「トリマ」や「トリミング」という表現が良く使われている。半固定コンデンサも別名トリマコンデンサと呼ばれる。

7セグメントLED(ななせぐめんとえるいーでぃー)

(seven segment LED)アラビア数字の0~9を表示するために、7個のLEDを8の字の位置に配置した表示装置のこと。表示装置なので7セグメント・ディスプレイとも呼ばれる。マイクロコンピュータ(MPU/CPU)の普及で電卓が作られるようになると、数字を何桁も表するために、初期は真空管に白熱フィラメントを数個配置して発光させ、数字を表した。LEDを使うことによって、表示部が小型の部品になり、プリント基板に実装されて、現在のような小型のデジタル表示機器になった。数字だけではなくアルファベットも7つの表示箇所を上手に使って表現している。7セグメントLEDに数字を表示させるためのドライバICもあり、数字を表示させるためのソフトウェアやハードウェアは使い勝手が良くなっている。

ニキシー管(にきしーかん)

(nixie tube) 1970年頃に主流だった表示器。電卓や計測器などに使われた。外観は真空管だが、内部にネオンガスなどが封入されている。電極が数字の形になっていて、電圧をかけるとオレンジ色に数字が光って表示される。0から9までの電極を前後に並べているので、よく見ると数字によって奥行きがあることがわかる。初期のデジタルマルチメータ(DMM)に採用されていたことが以下の記事に紹介されている。

二次電池展(にじでんちてん)

正式な展示会名は「BATTERY JAPAN 国際二次電池展」(2023年よりこの名称に変更)。RX Japan株式会社(旧リードエグジビションジャパン)が開催する、複数の併設展「スマートエネルギーWeek」は、世界最大級のエネルギー総合展として、太陽光、風力、蓄電池、水素・燃料電池などエネルギー分野の展示会が同時開催される(2022年春展は7つの展示会が開催されている)。TechEyesOnline取材班はFC EXPO、二次電池展、スマートグリッドEXPOなどの展示会を取材している。

2端子法(にたんしほう)

(two-terminal method) 一般にテスタなどで抵抗を測定する場合は2本の線でDUTに接続する。これを2端子法(または2端子測定法、2端子接続、2線接続)と呼ぶ。抵抗測定器の代表であるデジタルマルチメータ(DMM)も通常は2端子法で測定する。抵抗値が10Ω以下の小さな値になると、接触抵抗や測定ケーブルの影響を受けて正確な測定ができなくなり、4端子法を使う(高いインピーダンスでは5端子法)。 最も簡単な接続法であるが、接触抵抗、配線の直列インピーダンス、ケーブルや端子間の浮遊容量の影響を受けるため、数十kHz以上の周波数では誤差が多くなる。おおむねインピーダンスが10Ω~10kΩの範囲内での使用が望ましい。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。

能動素子(のうどうそし)

(active component) 電子部品の抵抗(R)、コンデンサ(キャパシタ、静電容量、C)コイル(インダクタ、L)は電気エネルギーを消費(または蓄積)するが、トランジスタやダイオード、真空管などの半導体は電気エネルギーの増幅や整流を行う。前者を受動素子(passive component)、後者を能動素子と呼び、機能から命名している。 オシロスコープのプローブも購入時には受動プローブ(passive plobe)が標準添付されていることが多い。より高周波の測定時にはFETプローブなどの能動プローブ(active plobe)が必要になるが、能動プローブには電源供給が必要になる。能動素子(トランジスタや真空管)も小さな電気信号で大きな信号を制御するために電源供給が必要である。