計測関連用語集

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受動素子(じゅどうそし)

(passive component) 電気工学では、抵抗、静電容量、インダクタンスの3つの物理量を指す。それぞれ電子部品(素子)として抵抗器、コンデンサ、コイルがある。別の表現ではレジスタ(Resistor)、キャパシタ(Capacitor)、インダクタ(Inductor)。回路記号はR、C、Lと表記する。 集中定数回路では、R、C、Lが独立した理想の素子として扱われる。主に2端子の多種類のR、C、Lの電子部品があり、プリント基板上に配置されて回路を構成している。受動素子は電気エネルギーを消費(または蓄積)するが、能動素子のトランジスタやダイオード、真空管などのように電気エネルギーの増幅や整流はしない。機能から受動と能動の命名がある。 周波数が高くなるとR、C、Lの成分は分離できなくなり、分布定数回路 として扱われる。R、C、Lの数値の計測は、集中定数回路ではLCRメータやインピーダンスアナライザで行う。測定したインピーダンスを等価回路の選択によってR、C、Lの成分に分解して表示する。周波数が高くなると分布定数回路となり、主にネットワークアナライザによる測定となる。 通常、受動素子はR、C、L(またはR、L、C)の順番で説明されることが多いが、この3つを使った回路、たとえばRとCとLが直列に並んだ回路は(RCL回路ではなく)RLC直列回路と呼ばれることが多い。回路名の時はR、L、Cの順番で呼称される。さらに、測定器になると(RCLメータでも、RLCメータでもなく)LCRメータと呼ばれる。なぜこの順番の名称になったかは不明。低周波の発振器であるRC発振器はR、Cの順である。受動素子はRCL(またはRLC)、回路はRLC、計測器はLCRやRCと、電子回路理論や計測器業界では決まっている。その理由は不明。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回) ・・・集中回路定数としての抵抗、コンデンサ、インダクタを解説。

真空管試験器(しんくうかんしけんき)

(electronic tube tester) 真空管の性能を測定するための計測器。真空管は、半導体のトランジスタが開発される以前に電子回路に多く使われた。回路素子測定器の1種といえる。1964年に米国で世界初の大型コンピュータENIAC(エニヤック)が約2万本の真空管を使い開発されたことは有名だが、それ以前からコンピュータには真空管が使われている。IBMが1950年前後に、初期の真空管式コンピュータの保守用に可搬型(アタッシュケース式)の真空管試験器をつくっていたことが知られている。 国産計測器メーカの國洋電機工業はラインアップが多く、形名はVG、Gm、WT、JI、NTVなどがあった。同社の真空管試験器の概要(形名の意味など)を解説した記事がネットに掲載されている。また、中古計測器の多数のECサイトに同社の真空管試験器が掲載されている(2022年12月現在)。「ラジオと実験」(1950年1月号)に、同社は「真空管試験器の話~チューブ・チェッカーとは?」の記事を掲載している。「現在のラジオ受信機の性能の大半は真空管の良否に依って決まるといっても過言ではない。性能、用途に応じて作られている真空管の種類は莫大で、その試験法も多種多様で・・」と語られている。 上記のことから、同社の真空管試験器はトップブランドで、市場に多く販売されたと推測される。同社が真空管の時代からの電子部品評価用の計測器の老舗計測器メーカであることが伺える。その後、トランジスタなどの評価用計測器(カーブトレーサ)やLCRメータも1980年代頃にはラインアップしたが、同社は知らない間に消息が絶えてしまった。一時期はその名を知られたが、いまでは幻の計測器メーカである。 「SANWA(Sanwa Radio Measurement Works)SGM-19 Gm METER」なる計測器の画像をネットで発見した。SANWAは現在の三和電気計器株式会社である。SGM-19は形名。Gmとは真空管に電圧を印加したら陽極電流がどう変化するかの値「相互コンダクタンス」で、これによって増幅や検波の能力がわかる。なので、Gm METERとは真空管試験器のことである。三和電気計器が販売のみの会社で、「製造元・株式会社三和電気製作所(小型テスタを担当)、三和無線測器研究所(真空管試験器など、無線測定器を担当)」と称していた、1960年頃の古いモデルと推測される。現在の同社HPの製造中止品にはSGM-19は未掲載。 同社はハンドヘルドの製品群(工事関係者が屋外で使う計測器)が有名だが、1986年に光測定器を発売している。2022年現在のラインアップではハンドヘルドのレーザーパワーメータLP10がある。アクセス網に光が普及するなど、電気から光への変更が進んでいる。将来の電気工事作業者が携帯するのは電気のテスタではなく可搬型の光パワーメータになる、と先読みしているように思える。 三和無線測器研究所が製造していたことでわかる通り、真空管試験機は当時は無線の測定器だった。三田無線研究所もつくっていた。真空管がトランジスタに置き換わるのに伴い、真空管試験器は生産を終了している。

ステップ電圧(すてっぷでんあつ)

(Step Voltage、SV)絶縁物に欠陥がある測定物の場合、印加電圧を上げるにつれて、抵抗値が下がる現象が見られる。ステップ電圧試験はこのような現象を確認するための機能。設定時間ごとに5回、等しいステップで印加電圧を増加させて絶縁抵抗値を測定する。印加電圧の増加により絶縁抵抗値に低下が見られるときは、測定物の絶縁劣化が考えられる。(共立電気計器株式会社の用語集より)

静電容量(せいでんようりょう)

(electrostatic capacity、capacitance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 コンデンサなどに蓄えられた電荷の量。別名、「電気容量」とも呼ばれ、コンデンサ(キャパシタ)の値(大きさ)を示す。誤解される心配がないときは「容量」と呼称されることも多い。記号はC、単位は[F](ファラッド)。表記はC(F)のようになる。 静電容量(別名、キャパシタンス)の測定器は回路素子測定器で、キャパシタンスメータやCメータと呼称されている。LCRメータでも静電容量の測定はできる。 絶縁された導体間(短い距離で離されて、向き合って配置された2つの導体間)にはプラスとマイナスの電荷が蓄えられる。この構造(原理)を使ったセンサや測定器があり、静電容量式○○と呼称されている(たとえば静電容量式レベル計、レベルセンサなど)。

精密級ダブルブリッジ(せいみつきゅうだぶるぶりっじ)

横河計測の形名2752ダブルブリッジの品名。ダブルブリッジは低抵抗を高精度で測定するもの。同社のユーザーズガイドには2709検流計、2012直流電流計、2791すべり抵抗器、電池と併用することで未知の抵抗の値を測定する接続図が掲載されている。参考用語:ダブルブリッジ

絶縁抵抗(ぜつえんていこう)

電気機器や電路の絶縁状態を表すもので保安管理上重要な測定項目の一つ。電気機器や電路の絶縁状態を調べるには、活線の場合、漏洩電流計による方法もあるが、一般には電気機器や電路の使用を停止し、絶縁抵抗計で測定する。(共立電気計器株式会社の用語集より)

絶縁抵抗計(ぜつえんていこうけい)

(insulation resistance meter) 絶縁抵抗(高い値の抵抗)を測定するものだが、大きく2種類ある。まずメガーについて説明する。電力回路の絶縁抵抗試験に使われる保守点検用の測定器。俗称で「メガー」と呼ばれる。屋外で使う現場測定器なので、ハンドヘルド(ハンディ)の形状しかない。アナログ式とデジタル式がある。抵抗測定器の代表はデジタルマルチメータ(DMM)だが、絶縁抵抗計は内部に高電圧の発生回路を内蔵している点が大きな違い。DMMがDUTに与えるのは2~9V程度だが、絶縁抵抗計は25~1000Vを印加できる。火災や漏電事故を防止するために、だいたい1MΩ(メグオーム)以上の高抵抗を測定して、電気機器の絶縁状態をチェックする。多くの計測器がアナログ(指針式)からデジタル(数値表示)に変わっていく中で、メガーはいまだにアナログ式が圧倒的に多い。正確な抵抗値を測定するのではなく、針の振れ具合を目視して絶縁の良否判定をするほうが効率的に検査ができるためである。ただし、デジタル式ではLED表示を指針のかわりにしたり、ブザー音の強弱で抵抗値を知らせることができるなど、少しづつデジタルが広まっている。若い作業員はデジタルに違和感がない傾向がある。市場で使われているのはまだアナログが多いが、今後デジタルに入れ替わっていく傾向である。抵抗を測定しているので当サイトではカテゴリー「回路素子」に分類しているが、絶縁の試験(点検)に使われる、可搬型の現場測定器であるため、LCRメータなどとはアプリケーションがまったく異なる。メーカでは共立電気計器が世界中に輸出をしている。日本では日置電機や三和計器という現場測定器を多くラインアップしているメーカのシェアが高い。 もうひとつ、ハンドヘルドではなくベンチトップのIRメータやエレクトロメータも絶縁抵抗を測定する。IRはInsulation Resistance(絶縁抵抗)の略記で、IR メータは「絶縁抵抗 計測器」(絶縁抵抗計)である。エレクトロメータは電荷や電流などの小さな電気量を測定するものだが、微少電流の測定は高抵抗(絶縁抵抗)の測定と原理が同じである。エレクトロメータは絶縁抵抗測定ができるが、最近はIRメータという名称がでてきていて、従来の微少電流より絶縁抵抗にスポットがあたり始めている。絶縁抵抗計といえばメガーを指していることが多かったが、今後はIRメータを指している場合も増えると推定される。日置電機の絶縁抵抗計の形名はIR3455など、頭のアルファベットはIRである。

絶縁抵抗試験(ぜつえんていこうしけん)

電気製品や部品の電気的絶縁部分が取り扱う電圧に対して、十分な電気抵抗があるかを評価する試験。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

絶縁劣化診断(ぜつえんれっかしんだん)

高圧ケーブルの絶縁の劣化具合を、高圧絶縁抵抗計を使い診断する方法の概要を述べる。1.高圧ケーブル単体の場合は、E端子接地方式で測定する。2. 高圧ケーブルに他の高圧機器を含む電路を一括して測定する場合はG端子接地方式を適用する。3. 高圧絶縁抵抗計の電圧としては、5000V又は10000Vが一般的である。(共立電気計器株式会社の用語集より)

接地抵抗(せっちていこう)

(earth resistance) 電気機器の本体と地面の間の抵抗値(電位差)。接地とは本体の電位を地面(アース)と等しくすることで、目的は感電防止。本体と地面の電位が同じなら、漏電している箇所を人間が触れても(電位差がないため)人間には電流が流れない。 接地抵抗が大きいと(接地しても電位差があるので)感電防止にならない。 電気設備技術基準では、接地工事の種類別に接地抵抗値の規定があり、この値を測定し、維持しないといけない。たとえば電気工事の種類「A種」は高圧や特高(※)の電気機器が対象で、接地抵抗は10Ω以下である。設置工事の種類(A種~D種)の概要を以下に示す。 接地工事の種類:接地抵抗値 / 接地線の太さ / 電圧の種別による機器 A種(第1種):10Ω以下 / 直径2.6mm以上 / 高圧用又は特別高圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱。 B種(第2種):計算値(150/接地電流)Ω以下 / 直径4mm以上 / 高圧又は特別高圧の電路と低圧電路とを結合する変圧器の低圧側の中性点。 C種(特別第3種):10Ω以下 / 直径1.6mm以上 / 低圧用機械器具の鉄台及び金属製外箱。 D種(第3種):100Ω以下 / 直径1.6mm以上 / 低圧用機械器具の鉄台及び金属製外箱。 接地抵抗は電気設備の保守点検で測定される項目で、その測定器が接地抵抗計(アーステスタという名称のモデルもある)。ハンドヘルドのモデルが多い、三和電気計器や共立電気計器、マルチ計測器などがラインアップしている。共立電気計器には簡易接地抵抗計というユニークな製品がある。接地抵抗は絶縁抵抗と同様に電気機器の保守で測定される。 現場測定器の代表はクランプ、絶縁抵抗計、接地抵抗計で、共立電気計器はこの3種類に特化した老舗だが、最近は電力測定のアナライザ(PQAやI0r)もつくっている。同じく現場測定器を多くラインナップする日置電機は、DMMからつくり始め、クランプ電流計、絶縁抵抗計、接地抵抗計にラインアップを広げた(共立電気計器とは逆)。クランプというと日置電機が有名だが、日本初のクランプメータをつくったのは共立電気計器である。 (※)電力会社から供給される電力は、電圧によって低圧、高圧、特別高圧(特高)の3区分がある。低圧は「50kW未満(家庭や商店)」、高圧は「50~2000kWの施設」、特別高圧は「受電電圧が2万V以上、契約電力が2000kW以上の大規模施設」が該当する。低圧は100V、高圧は主に200V、特高は特別な受電設備によって、送電線の6600Vなどの電圧を100/200Vに降圧する必要がある。

接地抵抗計(せっちていこうけい)

(earth resistance meter) 接地抵抗の測定器。電気機器と地面(グランド、アース)との電位差を測定する。電気工事や定期点検などで使用されるため、ハンドヘルド(可搬型)でアナログ式(針が振れる)のモデルが多かったが、最近はデジタル表示のモデルも増えた。メーカによっては「アーステスタ」(earth tester)という名称(品名)も多い。 屋外で使用するハンドヘルドモデルに注力している、三和電気計器や共立電気計器、マルチ計測器などがラインアップしている。保守・点検業者が使うアナログ型(表示が指示計器)の保護リレー試験器(外観はアタッシュケース)を豊富にラインアップする、株式会社双興電機製作所や株式会社 ムサシインテックも接地抵抗計をつくっている。現場測定器がラインアップにある横河電機(現横河計測)や日置電機もつくっている。つまり、接地抵抗計の国内メーカは多い。

接点抵抗計(せってんていこうけい)

ミリオーム(mΩ)程度の低い抵抗を測定する機器。(=ミリオームメータ)

Zハイテスタ(ぜっとはいてすた)

日置電機のLCRメータの品名(現在は生産終了でこの品名の製品はない)。 回路部品のインピーダンス(Z)を測定する機器。(=LCRメータ)

タケダ理研工業(たけだりけんこうぎょう)

1954~1985年に存在した老舗計測器メーカ。1954年に武田郁夫(当時30歳)が「タケダ理研工業株式会社」を創業。通信省電気試験所に勤務していた武田氏は、大手電機メーカが出がけない計測の分野に着目し、研究開発型ベンチャー企業を設立した。1960年代までに周波数カウンタやデジタルマルチメータ(DMM)など、現在では基本測定器と呼ばれる製品を開発した。同社の企業ロゴはタケダのTと理研のRをデザインした「TR」で、計測器の形名の頭もTRだった。TR5211、TR5151などのカウンタの中古品はいまだにネットに出展されている(つまり市場に多く出回った売れたモデルである)。同社のDC~低周波のラインアップはブリッジなどを早くから手掛けたYEW(現横河計測)と競合している。汎用計測器(基本測定器)ではタケダ理研と横河電機はコンペチタだった。 1970年代にはRF分野のスペクトラムアナライザ(スペアナ)や、半導体製造装置のメモリ・テスト・システム、光通信測定器を開発した。日本のデバイスメーカがメモリ(DRAM)で世界シェアを独占するのに伴い、同社のメモリテスタは世界一になっていった。1976年に富士通の資本参加があり、1985年に社名をアドバンテストに変更。創業からのタケダの名前は消えた。 1990年代の携帯電話の普及期にはローデ&シュワルツの代理店としてCMUシリーズ無線機テスタなどを販売した。アンリツや安藤電気のような電電ファミリー(NTTに光通信計測器を納めるメーカ)ではないが、光ファイバの評価測定器を開発してOPMなどの光通信計測器に参入し、「光の3A(スリーエー、アンリツ、安藤電気、アドバンテストの頭文字がいずれもAのため)」と呼ばれた。2003年にはRF(高周波)以外の機種群を株式会社エーディーシーに移管し、後に高周波のモデル(スペアナやネットワークアナライザ)もやめて計測器から撤退した。 1970年頃から埼玉県行田に主力工場があり、東京都大田区蒲田に本社があるNEC系列の半導体テスタメーカの安藤電気とは、1980年頃には競合だった。1982年に安藤電気に入社した営業マンで、タケダ理研に入社希望で訪問したが、「文系の学生は応募していない(つまり営業職も全員、理工系で採用する)」と断られ、競合を聞いて安藤電気に入社した人がいる。アドバンテストはタケダ理研創業の計測器から撤退したが、2015年に無線式の温度ロガー(AirLogger)を発売するなど、新規事業としてあらたに計測関連製品を模索している。 タケダ理研は、戦後の1950年代に創業したベンチャー計測器メーカが、計測器を別会社に移管して成長した例である。横河電機もコアビジネスではなくなった計測器を別会社(横河計測株式会社)に分離している。アドバンテストは半導体テスタの、横河電機は計装(プロセス)の世界的なメーカである。 タケダ理研で使われる用語の例:デジボル、DVM、VIG

ダブルブリッジ(だぶるぶりっじ)

抵抗測定に応用されるブリッジ回路を2重化して、リード線の抵抗や接触抵抗の影響を除去して、数mΩ以下の低抵抗を高精度に測定できるようにしたもの。ブリッジ回路による抵抗測定(ブリッジ法)の代表例はホイートストンブリッジだが、「ダブルブリッジはホイートストンブリッジを2重化しているのでより精度が良い」という理解は不正解である。計測器の品名でホイートストンブリッジとなっていても構造はダブルブリッジになっていて1Ω以下の測定が可能な製品もある。つまり、名称の定義とは別に、製品名はメーカによって勝手に命名している。そのため、品名ではなく仕様を見て判断することが肝要である。別名:ケルビンダブルブリッジ、ケルビンブリッジ(ダブルブリッジとの表現の使い分けは不明)。参考用語:精密級ダブルブリッジ

タンジェントデルタ試験器(たんじぇんとでるたしけんき)

電気機器や電力ケーブルなどの誘電体損失(tanδ)を測定する機器。略称:タンデルタ。

tance(たんす)

(-tance) 物質の中を電気が流れる(電流)とき、電圧と抵抗の関係を示したのがオームの法則だが、ここで定義している抵抗は直流である。現実世界では、交流が電子部品に流れると周波数の値によって様々な電磁気現象が起こり、静電容量や誘導係数などの値が定義されている。これらは英語では-tance(〇〇タンス)と命名され、以下の9つがある。 名称 / 記号 / 単位(読み方) / 説明(日本語での呼称など) 1. レジスタンス(registance) / R / Ω(オーム) / 電気抵抗 2. キャパシタンス(capacitance) / C / F (ファラッド) / 静電容量 3. インダクタンス(inductance) / L / H(ヘンリー) / 誘導係数 4. インピーダンス(impedance) / Z / Ω(オーム) / 複素抵抗 5. コンダクタンス(conductance) / G / S(ジーメンス、大文字のSで、小文字のsはsecond、秒である) / 電気伝導度(No.1の逆数) 6. アドミッタンス(admittance) / Y / S(ジーメンス) / 複素伝導度(No.4の逆数。No.5を複素数に拡張した値) 7. リアクタンス(reactance) / X / Ω(オーム) / インピーダンスの虚数部分の名称(No.2とNo.3の総称) 8. サセプタンス(susceptance) / B / S(ジーメンス) / アドミッタンスの虚数部分の名称 9. イミッタンス(immittance) / / / インピーダンスやアドミッタンスの虚数部分の名称(No.7とNo.8の総称) No.1~3はLCRと呼称される受動素子(抵抗器

tanδ(たんでるた)

誘電体内の電気エネルギー損失の度合いを表す値。一般には電子部品のコンデンサの損失を表している。コンデンサ内部で消費されるエネルギーを示す特性の一つで、ある周波数の正弦波電圧で生じる電力損失を無効電力で割り、計算する。そのため誘電損失とも呼ばれ、コンデンサの性能を表す重要な指標である。 定義(数学的な計算)がタンジェント・デルタのため“タンデルタ”と呼称される。正式には誘電正接/誘電体損(DissipationFactor/LossTangent)。 誘電体損の測定器をtanδやタンデルタの略称で呼んでいることもある。誘電正接試験器やタンジェントデルタ試験器という表現も見かける。ブリッジなどの回路素子測定器や、材料測定器を1980年代まで注力していた安藤電気はtanδの測定器をつくっていた。

超絶縁抵抗計(ちょうぜつえんていこうけい)

(super insulation resistance tester) 高抵抗や微小電流の測定器。略称:超絶縁計。「超絶縁(抵抗)計」は「絶縁抵抗計 」と1字違いでよく似た名前だが同じではない。絶縁抵抗計はメガー (保守用の絶縁測定器)、超絶縁計はエレクトロメータ(微小電流測定器)である。絶縁抵抗計(メガー)の外観はハンドヘルドだが、超絶縁抵抗計(エレクトロメータ)はベンチトップである。エーディーシー(旧アドバンテスト)はエレクトロメータをラインアップしているが、以前は「超絶縁抵抗計/微少電流計」という品名のモデルがあった。 日置電機のラインアップに「超絶縁計」があるが、これは旧東亜DKK製品を移管した流れの製品群で、最近は日置で開発されたモデルもある。モデル番号のSM(E)-xxxxは東亜DKK時代からの名残で、日置電機の形名(古くは数字4桁、最近はアルファベット2文字に数字4桁、たとえば「絶縁抵抗計IR4051」など)とは背景が異なる。日置電機ホームページの製品ページでも、「超絶縁計」は「LCRメータ・抵抗計」(カテゴリー:回路素子測定器)に、「絶縁抵抗計」は「DMM・テスタ・現場測定器」(カテゴリー:電圧・電流・電力測定器)に掲載されている(カテゴリーが異なる)。

チョーク・コイル(ちょーくこいる)

(choke coil)インダクタとして使用される電子部品であるコイルをチョーク・コイルと呼称することがある。chokeは「むせさせる」「ふさぐ」「窒息させる」という意味があり、この場合は「交流を阻止する(通さない)」という目的でコイルを使用するので、「チョーク・コイル」と呼んでいる(表記は「チュークコイル」もある)。コイルとチョーク・コイルは違う部品ではなく、使い方によって呼び方を変えている。 電源回路に使われるインダクタの俗称ともいえる。略称:チョーク。インダクタンス値を大きくしたトランスは、直流と低周波には影響せず高周波を遮断するので、ノイズを抑制するフィルタのような役割をする。チョークコイルをこのように定義することもできる。コイル(インダクタ)のことをチョークと呼んでいるエンジニアもいる。 インダクタンスは用途に応じてトロイダルコイル、ソレノイド、フィルタなど様々な呼び方をされる。そんな一例といえる。