計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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クライオスタット(くらいおすたっと)

試料を低温に保つための装置。物性測定、構造解析、光学測定などで計測器とともに使われる。

ケーブル長補正(けーぶるちょうほせい)

LCRメータで誤差を少なくするための補正機能。LCRメータを装置に組込むときや測定対象の試料が大きく、LCRメータ本体に長いケーブルを接続しなければならないときに使う。ケーブルを延長することによりケーブルの配線抵抗と浮遊容量の影響を受けて、試料に印加される信号の振幅と位相に誤差が生じる。これらを補正するためにLCRメータではケーブル長を設定して補正できる機能を持っている。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2回目・・補正について図解。

ケルビンクリップ(けるびんくりっぷ)

LCRメータなどのアクセサリであるテストリードで、DUTとの接続を行う先端部分がケルビン接続(4端子法)になるクリップ。計測器情報:品名に「ケルビン」がつく製品の例(テストリードなど)

ケルビン接続(けるびんせつぞく)

(Kelvin Connection) 低抵抗測定などで使われる、DUTと計測器の接続方法。電流測定端子と電圧測定端子を分けてセンシングする。端子が4つあるため、4端子接続や4端子法とも呼ばれる。ケルビン・ダブルブリッジを構成して、精密測定を行う接続方法。デジタルマルチメータ(DMM)やSMU(Sorce Measure Unit)で使われる測定(接続)方法。LCRメータの測定治具であるテストフィクスチャやテストリードは4端子接続である。電圧検出線をセンス(sence)、電流検出線をフォース(force)と呼ぶこともある。温度の単位のケルビン(K、絶対温度)で知られる英国の物理学者、ケルビンの考案。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・【ミニ解説】でケルビン接続を図解。

コイル(こいる)

(coil) 電線の素線や針金などの、紐状の導体を螺旋状にした電気部品(素子)。別名:インダクタ。受動素子の3大要素はR(抵抗)、C(キャパシタ)とL(インダクタ)だが、日本ではCをキャパシタではなくコンデンサ、Lをコイルと呼ぶ習慣がある。明治から昭和にかけてはコイルでなく「線輪」と呼んでいた。インダクタである電子部品をいうときは「コイル」で、物理量としてのLは「インダクタ」と呼ばれている。計測器の名前ではコイルテスタ、コイル試験器、巻線試験器など、コイルが多く、インダクタはない(反対にCはキャパシタンスメータや容量計で、コンデンサは計測器の名前にはない)。コイルとインダクタの使い分けは説明が難しい。

コイル試験器(こいるしけんき)

(coil tester) コイルの巻線の電気的特性を試験する機器。別名: コイルテスタ、巻線試験器。 日置電機は「モーター巻線の検査が変わる新提案」と題して、インパルス巻線試験器ST4030Aを2019年12月に発売した。インパルス電圧を印加した際に得られる応答波形を数値化 (LC・RC値)し、良否判定する。L(インダクタ)を測定することが主眼ではないのでインダクタンスメータではないが「試験可能インダクタンス範囲:10 µH〜100 mH」である。 ユニークな海外計測器を取り扱っているウェーブクレスト株式会社にはインパルス巻線試験機IWT-5000Aがある。

コイルテスタ(こいるてすた)

(coil tester) コイル(巻線)の性能を測定してGO/NOGO(Pass/Fale)試験などができる計測器。別名: コイル試験器、巻線試験器。國洋電機工業が作っていたコイルテスタKL-900シリーズは光洋電子工業株式会社(※)に移管された。KL-900はコイルの巻数、レアショート、断線、コア材の違いを、標準コイルと被試験コイルと比較して波形表示できる。また、高インパルス電圧を加えて、絶縁不良をコロナ放電により検出できる。計測商社のウェーブクレスト株式会社はインパルス巻線試験機IWT-5000Aを販売している。 (※)光洋電子工業は2022年10月1日に株式会社ジェイテクトエレクトロニクスに社名を変更。

交流インピーダンス測定(こうりゅういんぴーだんすそくてい)

(AC impedance measurement)インピーダンスは交流信号による抵抗(正確には周波数に無関係の抵抗成分と、周波数によって変化するリアクタンスの合計)なので、交流で測定することは自明の理だが、わざわざ「交流インピーダンス測定」と呼ばれるのは、各種の測定方法が古くからあるためである。測定方法(使用する計測器)をいくつか以下に列記する(詳しくは各用語の解説を参照)。 1.ブリッジ法(交流ブリッジ。主要計測器メーカは生産中止。通販で少し見かける。) 2.共振法・Qメータ法(Qメータ。同じくほぼ生産中止。) 3.I-V法(ロックインアンプ、FRA、電力計など)4.自動平衡ブリッジ法(LCRメータに採用されている方式) 5.RF I-V法(高帯域インピーダンスアナライザに採用されている方式) 電気化学の分野では「交流インピーダンス法」と呼ばれる手法があり、電池の評価(電極や電解液の抵抗成分の測定や解析など)に使われている。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・交流インピーダンス測定の各手法を概説。

交流インピーダンス法(こうりゅういんぴーだんすほう)

被試験物に既知の振幅・位相の交流電流または電圧を加え、電圧はたは電流応答を観測し、インピーダンスを測定する手法。再現性の良い測定が行いやすい。反面、測定に要する時間は電流遮断法より長くなる傾向がある。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

コールコールプロット(こーるこーるぷろっと)

(cole-cole plot) 複素平面にプロットしたインピーダンスの周波数による軌跡。別名:ナイキストプロット。Cole兄弟(兄 Kenneth S. Cole、弟Robert H. Cole)の共著論文の中で考案されたため、 Cole-Cole plotと呼ばれる。 燃料電池 の評価用インピーダンスアナライザをつくっている菊水電子工業の製品総合カタログ(燃料電池に関する用語)には次の説明がある。DUTの抵抗とリアクタンスを周波数を変えて測定し、横軸を抵抗、縦軸をリアクタンス(通常は容量性リアクタンスを正とする)にしてプロットしたグラフ。被試験物の内部インピーダンスの要因(接触抵抗や反応抵抗など)を分離できるため、電気化学関係で用いられることが多い。 コールコールプロットは直交座標だが、複素インピーダンスの振幅軸と位相軸を極座標にしたのがスミスチャートで、高周波の回路網のインピーダンスやDUTの特性などを測定するネットワークアナライザは、インピーダンスの周波数変化による変化(軌跡のグラフ)をスミスチャートで表示する。インピーダンスのf特は、化学・物性の分野ではコールコールプロットで、電気・高周波の分野ではスミスチャートで表示される。分野によって使われる表記が異なる。

國洋電機工業(こくようでんきこうぎょう)

電子部品(トランジスタなどの半導体やL、C、Rなどの受動素子)の測定器をつくっていた計測器メーカ。現在は存在しない。会社名は國洋電機工業株式会社。略記はKDKで、製品には「KOKUYO ELECTRIC CO. LTD」と印刷されていた。カーブトレーサ(形名SCT-2FRなど)が有名で、コンデンサ、トランジスタなどの電子部品・半導体の受け入れ検査には、國洋電機か菊水電子工業(形名5802など)が使われていた。テクトロニクスのカーブトレーサは國洋電機や菊水より機能が高い上位モデルで、たとえばTYPE576は1970年代でも400万円くらいの高額製品で、半導体の開発・設計・検査に使われた。 1980年頃にはLCRメータもつくっていた。発売時期は不明だが、直流重畳試験装置、半導体テスタ、熱抵抗試験機、絶縁耐圧試験機などもラインアップしていた(ジェイテクトエレクトロニクスのHPより、2022年11月現在 ※)。 2014年に國洋電機工業の計測器事業は光洋電子工業に承継され、現在はコイルテスタとインダクタ試験機のみ販売されている(2022年11月現在)。修理対応は、LCRメータは不可の機種が多いが、カーブトレーサは比較的に対応可能機種が多い(2022年11月HPより)。2022年10月1日に光洋電子工業は株式会社ジェイテクトエレクトロニクスに社名を変更した。國洋電機工業はカーブトレーサで名を馳せたが、現存する資料がほとんどなく、設立年やラインアップ、いつ会社がなくなったのかなど、詳細が良くわからない。 余談だがカーブトレーサは菊水、國洋電機が生産中止後には、テクトロニクスの型式370、371が業界標準となったが、それも生産終了し、370/371の仕様を引き継いだ岩崎通信機がCS-3000シリーズカーブトレーサを2009年に発売している。その後も同社はCSシリーズを増やし、2020年にはCS-8000を発売するなど、パワーエレクトロニクス分野に注力している。 (※)ジェイテクトエレクトロニクスは國洋電機工業から引き継いだモデルを、2023年7月20日で受注終了、2023年12月20日でアフターサービス(修理・校正など)も終了とし、全ての製品が廃型・販売終了となった。理由は「大幅に需要が減少している中、型番維持が困難な状況となった」としている。

5線測定(ごせんそくてい)

LCRメータなどのインピーダンス測定器で採用されている5端子法(5端子測定法)を「5線測定」や「5線測定方式」と表現している場合がある。たとえば三和電気計器のモデルLCR700など。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。 計測器情報:LCR700・・計測器の主な仕様と製品カタログ

5端子法(ごたんしほう)

(five-terminal method) 低い抵抗値を測定する時に有効な4端子法に、さらにシールドを施してDUTの電位をグランドに等しくしたものが5端子法(4本の測定線と、測定器のFG端子につなぐ5本めの線がある)。高いインピーダンスの測定時に5端子法は有効である。この接続法は1Ω~10MΩまでの幅広いインピーダンス測定に対応できる。ただし電流ケーブルと電圧ケーブルの間の相互誘導の影響は少し残る。電磁誘導の影響を抑えた手法に4端子対法がある。5端子法を「シールデッド4端子法」(シールドされた4端子法)と表現している文献もある。 インピーダンス測定をするLCRメータなどは5端子法に対応している。三和電気計器株式会社のハンディLCRメータ(LCR700)のカタログには「5線測定方式(4端子ソケット+ガードライン)」と書かれている。ここでは5端子法を「5線測定」、5本目の線を「ガードライン」と表現している。

コンダクタンス(こんだくたんす)

(conductance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 回路における電気(電流)の流れやすさのこと。直流では抵抗の逆数、交流回路ではインピーダンスの逆数の実数部。電気で使う略記はG。単位は[S](ジーメンス)。たとえばG(S)のように表記する。 並列接続された複数の抵抗の「合計の抵抗値」を計算するときは、各抵抗のコンダクタンスを加算すると全体のコンダクタンスになるので、その逆数で抵抗の値が簡便に求められる。電気主任技術者の試験などではこのような計算問題が出題される。 交流インピーダンスの測定器であるLCRメータや、高周波で回路網を評価するネットワークアナライザはコンダクタンスの測定(算出)ができる。 人の皮膚に流れる電流から、感情を検知する研究があり(たとえばウソ発見器)、この分野では「皮膚コンダクタンスの測定」に関する論文がある。 抵抗R(Resistanceの略記)は電流を流れにくくする。resistは抵抗の意味で、接尾語の-tanceは「性質、状態、行為」を表し、「~している状態、~する数量(程度)」という意味。「抵抗の程度、値、大きさ」がResistance(レジスタンス)。Conduct(コンダクト)は「伝導する、流れる」という意味なので、抵抗の反対の流れやすさをconductance(コンダクタンス)という。キャパシタンス(静電容量、コンデンサの値)、インダクタンス(コイルの値)、リアクタンス、インピーダンス、アドミッタンスも同じく-tanceの仲間である。

コンデンサ(こんでんさ)

(独: Kondensator、英: capacitor) 電荷(静電エネルギー)を蓄えたり放出したりする受動素子。抵抗(R)、インダクタンス(L)と並ぶ、電気回路理論の集中回路定数の1つ。回路記号ではCと記載される。静電容量とも呼ばれる。 日本ではコンデンサといわれることが多い(俗称)が、正式にはキャパシタと記載される。特に電子部品はケミコン(ケミカルコンデンサ)やMLCC (積層セラミックコンデンサ)など、キャパシタではなくコンデンサという名称が多い。物理量としてのC(静電容量)もキャパシタではなくコンデンサと呼称する年配のエンジニアは多い。コンデンサは日本語では「蓄電器」である(Lであるインダクタの別名、コイルの元の日本語は「線輪」)。日本ではコンデンサと呼ぶことが多いが、英語(海外)ではキャパシタである。 コンデンサの値(静電容量)を測定する計測器はキャパシタンスメータと呼ばれる。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回) ・・・集中回路定数としての抵抗、コンデンサ、インダクタを解説。

3端子法(さんたんしほう)

(three-terminal method)一般にテスタなどで抵抗を測定する場合は2本の線で測定対象(DUT)に接続する。これを2端子法と呼ぶ。2端子法の配線にシールドを加えてシールド導体はガード端子に接続したのが3端子法である。浮遊容量の影響が抑えられて、10MΩまでの高インピーダンス測定ができる。ただし接触抵抗や配線の直列インピーダンスが残るため10Ω以下の低インピーダンスの測定には向かない。3端子法を「シールデッド2端子法」(シールドされた2端子法)と表現している文献もある。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。

サンプルレート(さんぷるれーと)

(sample rate) 測定値をA/D変換回路が1秒間に感知する回数。「サンプリングレート」とも呼ばれる。サンプリングとは、電気信号の波形を一定間隔でデジタルデータにすること。最近の測定器はほとんどデジタル化されていて、測定した連続値(アナログ)をサンプリング周波数ごとに読んでA/D変換器でデジタル値にし、表示したり、メモリに記録している。測定器のカテゴリーやモデルによってサンプルレートの値は大きく異なる。 デジタルオシロスコープ(オシロ)ではサンプルレートは周波数帯域と並ぶ2大仕様で、測定器前面の形名の横に「周波数帯域」と「サンプルレート」が並んで表記されている製品もある。オシロではサンプルレートを「S/s」(サンプル・パー・セック、つまり1秒あたりのサンプリング数)の表記をするので、単位は秒(時間)の逆数である周波数となる。そのためオシロでは「サンプルレート」のことを「サンプリング周波数」ともいう。サンプリングの値は速い・遅いと表現するので、「サンプリング・スピード」という記載例もある。オシロのサンプルレートは周波数帯域の1桁以上、上である(例えば周波数帯域:100MHz、サンプルレート:2GS/sなど)。 デジタルマルチメータ(DMM)のサンプルレートは数〜10回/秒程度。現場用の可搬型測定器を多くラインアップしている共立電気計器の用語集には「サンプルレートは一般的には2~3回/秒程度」と記載されている。つまり同社のDMMは2~3回/s(つまり0.3秒~0.5秒間隔)でサンプリングを行い、表示部に測定値を表示している。別の言い方をすれば、0.3~0.5秒間隔で測定している(測定値を更新している)といえる。 単位の表記は一般には「S/s」が多いが、「Sa/s」のときもある。抵抗の単位Ωの逆数(電気の流れやすさ)や導電率をコンダクタンスというが、その単位はsiemens(ジーメンス)で、「S」と表記する。Sだとジーメンスと同じなので「Sa」と書いて「サンプル」であることを示す、という配慮かもしれない。 参考記事:オシロスコープの基礎と概要(第2回)・・オシロの主要な仕様に中でサンプルレートの解説がある。

治具(じぐ)

(jig)計測器の用語としては「測定対象物を固定したり、測定器に接続するためのアクセサリ」のこと。LCRメータ、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、半導体テスタなど、回路素子や半導体などの電気特性を計測する分野で使われる。具体的な品名はテストフィクスチャやテストリード、テストピンなど様々。jig(英語)が語源。元の意味は「木工で切削加工をするときに工作物を固定したり、位置決めをする器具」のこと。「治具」は当て字。「ジグ」や「冶具」という表記も見かける。冶金(やきん:鉱石を採取して、金属を精製する)という熟語が示すように「冶」は溶かすという意味なので、「冶具」は誤りと思われるが、使用されている例を多く見かける(理由は不明)。

自動平衡ブリッジ法(じどうぶりっじほう)

交流インピーダンス測定の手法の1つ。電子部品などのインピーダンス測定で広く使われている方式。LCRメータに採用されている場合が多い。測定周波数100MHz以下で主に使われ、インピーダンスは数十mΩ~数十MΩを測定できる。周波数が100MHz以上では誤差が大きくなり確度が保てないため別のRF I-V法が使われている。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・自働平衡ブリッジ法を図解。交流インピーダンス測定の各手法を概説。

集中定数回路(しゅうちゅうじょうすうかいろ)

(lumped constant circuit) インダクタ、キャパシタ、抵抗を独立した回路素子として取り扱うことができる回路をいい、その回路で対象とする信号の波長に対して電子部品のインダクタンス(コイル、L)、キャパシタンス(静電容量、コンデンサ、C)、抵抗(R)の物理的寸法が十分に小さくまた線路長も十分短い回路。 集中定数なのか分布定数なのかは、その線路を伝わる信号の変化の速さ(立ち上がり/立ち下がり時間)で決まるので、画一的な数値で境界線は示しにくい。一般的には高周波になると分布定数で評価している。目安としては、信号の周波数がGHz(おおよそマイクロ波)未満なら集中定数回路で、以上だと分布定数回路の事が多い(あくまで目安)。LCRメータやインピーダンスアナライザなどの回路素子測定器は集中定数回路のL、C、Rの値を等価回路で表示する。ネットワークアナライザは高周波でインピーダンスを測定するが、分布定数回路なため、L、C、RではなくSパラメータで回路の特性を規定している。