計測関連用語集

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LCR(えるしーあーる)

電子部品の中で、コイル(インダクタンス)をL、コンデンサ(キャパシタンス、静電容量)をC、抵抗器(レジスタンス、抵抗)をRと略記し、それらの受動素子(受動部品)をLCRと呼称する。CはCapacitance(またはCapacitor)、RはResistanceからとった記号。Inductance(またはInductor)がLなのは、英文字のI(やi)は電流を表す記号で使用されているため、混乱を避けて使っていない。なぜLなのかは不明(インダクタンスを示す電磁誘導に関する「レンツの法則」のLenzという説もある)。 LCRは電子部品の受動素子(コイル、コンデンサ、抵抗器などの電子部品)を表している場合と、インピーダンス(複素数)の構成要素(虚数部分)のリアクタンス(インダクタンスとキャパシタンス)や実数部分のレジスタンスを表している場合がある。 電子部品に交流電圧を印加してLCRの値を等価回路(R、C、Lが直列、並列につながった回路)で示すのがLCRメータやインピーダンスアナライザである。LCRは集中定数回路で表される物理量で、周波数が高く(およそGHz以上)なるとLCR成分を分離できなくなり、ネットワークアナライザによってSパラメータで測定を行う。マイクロ波やミリ波は波長が1m以下に短くなり、LCR成分が伝送路の全体に分布している、分布定数回路になる。 通常、受動素子を複数並べて示すときはRC発振器やRLC負荷のように、まずRが1番目でC(またはL)が続く。複素インピーダンスの実数部のRと虚数部のCやL、という順番に倣った記述である。ところがLCRはそれに従っていないのは、計測器の名称である「LCRメータ」が影響していると思われる。なぜRCLメータやRLCメータではなく、LCRメータと計測器メーカが命名したのか不思議である。Rよりも、周波数によって値が変化するLとCを交流信号によって測定することが主眼なので、LとCがRよりも先に示されているのかもしれない(それならばCLRメータでない理由も知りたいところである)。 金融・証券用語としては、LCR:Liquidity Coverage Ratio(流動性カバレッジ比率)があり、銀行や市場で危機が1カ月続いた場合の「流出資金と保有する流動資産の比率」を指す。一般には、前述の電気のLCRや計測器のLCRメータより、こちらの方がメジャーである。 また、LCRはLeast Cost Routingの略で、最低料金回線自動選択機能を意味する。1985年の通信自由化を受けて新電電などのキャリア(通信事業者)が設立され、固定電話にもNTT以外の選択肢ができた。新しい通信キャリアはNTTよりも通信料金が安価になる場合があり、「自動的に最も通話料金の安い電話会社を選択する機能(サービス)」をLCRと呼んだ。現在は通信の主力が携帯電話になったため、この機能はあまり使われていない。 なので、回路素子測定器をRLCメータ(またはRCLメータ)と命名しておけば、金融用語や通信用語のLCRと重複しなかったのに、残念である。

LCRメータ(えるしーあーるめーた)

(LCR meter) 回路部品のインダクタ(L)、キャパシタ・静電容量(C)、抵抗(R)を測定する測定器。交流を印加し、部品の複素インピーダンスを等価回路で表示する、交流インピーダンス測定器の最も基本的なモデル。おおよそ数百kHzまでをLCRメータといい、MHz以上の周波数になるとインピーダンスアナライザと呼ばれる(メーカによって決まりはない)。LCRメータは測定周波数が固定(モデルによっては複数から選択)、インピーダンスアナライザは周波数を掃引してf特(周波数特性)を表示する、という違いがある。 通常、集中定数回路では周波数に無関係なR(抵抗)と、周波数に影響されるリアクタンス(キャパシタンスCとインダクタンスL)の3つが定義されている。順番はRが最初でCかLと続き、説明される。なのでRCL(またはRLC)が略称だが、逆の順番でLCとRとしたのがLCRの由来と思われる。低周波の発振器であるRC発振器などとは違い、RよりもLを最初にしている。hp(現キーサイト・テクノロジー )やWayne Kerr (ウエインカー)、GenRad(ジェンラッド、現IET Labs)などの海外メーカがLCRメータの走りだが、命名の由来は不明(知っている方には教えを乞います)。 LCRメータの世界No.1メーカはキーサイト・テクノロジー。インピーダンス計測のラインアップが多く、低周波から高周波まである(インピーダンスアナライザやネットワークアナライザでは業界標準)。国産メーカでは國洋電機工業や桑野電機、安藤電気がラインアップしてきたが撤退した。エヌエフ回路設計ブロックも古くからつくっていて、最近ラインアップを増やした(同社にはFRAがありその分野からのアプローチも大きい)。日置電機はLCR部品メーカの生産ライン向けのモデルでシェアを高め、MHz帯域の汎用モデルも開発し、現在の国内シェアではトップクラス。国内のLCRメータ、インピーダンスアナライザ市場は日置電機とキーサイト・テクノロジーにほぼ収斂されたといえる(つくっているメーカは多いがシェアは日置電機とキーサイト・テクノロジーが寡占している)。 LCRメータの外観はベンチトップが主流だが、現場測定器の三和電気計器、マルチ計測器はハンドヘルドのモデルをつくっている(キーサイト・テクノロジーも形名の頭がUで始まるハンドヘルドモデルを最近、リリースしている)。台湾のGW Instek(GOOD WILL INSTRUMENT)の日本法人(販売会社)であるテクシオ・テクノロジー や、無線通信測定器のローデ・シュワルツ も最近、ベンチトップ型のLCRメータを発売している。スイスのチューリッヒが本社のテストおよび測定の会社、Zurich Instruments AG(チューリッヒ・インスツルメンツ)は2020年頃から国内の展示会にインピーダンス測定器を出品している(ローデ・シュワルツ本社内に日本の事務所があることが2023年3月現在、ホームぺージに記載されている)。 LCRメータに限らず、インピーダンス測定器はDUT(測定対象)とのセンシング(接続)にノウハウがある。標準の測定治具としてはテストリードやテストフィクスチャを各社ともアクセサリとして用意している。

LC共振(えるしーきょうしん)

(LC resonance) L(コイル、インダクタンス)とC(コンデンサ、キャパシタンス)で構成された電気回路は特定の共振周波数をもつ。そのため、特定の周波数の信号の生成や、特定の周波数の抽出ができる。チューナーや周波数混合器、発振やフィルタ回路などの電気回路、電気機器に使われる。 共振は物理の重要な現象で、地震で建物が揺れる振動数は、「建物に固有の値(固有振動数)」であるために、その建物に特有の揺れ方をすることは知られている。電気回路の共振とは、LとCを直列(や並列)にした回路がLとCの値で規定される特定の周波数で特異な現象になる(電流や電圧やインピーダンスが特長的な値になる)ことをいう。LとCの単位はL[H(ヘンリー)]、C[F(ファラッド)]。

エレクトロメータ(えれくとろめーた)

電荷や電流などの小さな電気量を精度良く測定できる測定器。ピコアンペア(pA)程度の微小電流を測定する機器(=ピコアンペアメータ、ピコアンメータ、pAメータ)とほぼ同じ測定器。電荷に注目したか、微小電流に注目したかで命名されている。海外メーカのケースレーがこの分野で有名。日本の老舗はエーディーシー(旧アドバンテスト)で、同社HPの「エレクトロメータ」製品ページに、「エレクトロメータ」「超高抵抗/微少電流計」という品名の製品が並ぶ。ケースレーには「6517B エレクトロメータ/絶縁抵抗計」という製品がある。エレクトロメータと絶縁抵抗計の主な仕様は似ている製品もあり、明確な違いの定義は難しい。微少電流=高抵抗(絶縁抵抗)。エーディーシーはエレクトロメータで、「絶縁抵抗計」と名の付く製品は無い。日置電機や共立電気計器は絶縁抵抗計で「エレクトロメータ」という品名は無い。可搬型の現場用の小型製品は絶縁抵抗計(メガー)で、エレクトロメータはベンチトップ。絶縁抵抗計は「絶縁を検査するために」高抵抗を測定するので、高抵抗計であるエレクトロメータと同じだがアプリが違うともいえる。日置電機HPの製品ページでは「DMM・テスタ・現場測定器」の分類に絶縁抵抗計を掲載し、「LCRメータ・抵抗計 」の中の「超絶縁計/高抵抗計/ピコアンメータ/エレクトロメータ」という表題にSM7xxx、SM-82xxなどの超絶縁計を掲載している。同社は現場測定器(テスタ)メーカとして有名だが、最近はLCRメータも注力して機種群を増やした(超絶縁抵抗計は東亜DKKから製品移管してラインアップに加わった)。エレクトロメータ、高抵抗測定器は「現場測定器の絶縁抵抗計ではなく、LCRメータのような部品評価用途のベンチトップ製品」という考え方がHPの掲載からうかがえる。部品メーカでは絶縁抵抗(Insulation Resistance)を測定する測定器を「IRメータ」と呼称している。エーディーシーは2019年1月にモデル4000、IRメータを発売した。日置電機の絶縁抵抗計の現役モデルの形名はIR4000シリーズである。今後は「IR」がエレクトロメータ、絶縁抵抗計の主流な呼称になる気配が感じられる。品名がエレクトロメータなのはケースレーやキーサイト・テクノロジー、エーデイーシーというSMUのメーカともいえる。

オートディスチャージ機能(おーとでぃすちゃーじ)

絶縁抵抗計などの便利な機能の1つ。共立電気計器の用語集では「絶縁測定が終了すると自動的に充電した電荷を放電する機能」と説明されている。

オープン/ショート補正(おーぷんしょーとほせい)

(open&short compensation)LCRメータの誤差は測定器本体だけではなく、試料(DUT)との接続を行う測定治具であるテストリードやテストフィクスチャを含めて考慮しないといけない。LCRメータは測定誤差を少なくするために補正機能が搭載されている。測定治具が持つインピーダンス成分を除くため、試料が取り付けられる点(補正の基準面)でインピーダンスがゼロ(短絡)と無限大(開放)の状態を作って、測定前に補正を行う。これをオープン/ショート補正と呼んでいる。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2回目・・補正について図解。

オーム(おーむ)

(ohm) 抵抗の単位。記号:Ω。国際単位系(SI単位)。電気抵抗(resistance、レジスタンス)だけでなく、インピーダンス(impedance)やリアクタンス(reactance)の単位である。抵抗の反対に「電気の流れやすさ」を示す単位、ジーメンス(記号:S)は1/Ω(オームの逆数)である。アドミッタンス(admittance)やコンダクタンス(conductance)の単位はジーメンス。 抵抗器の値であるR(resistance)とコンデンサの値C(Capasitance、キャパシタンス、単位:ファラッド)、コイルの値L(inductance、インダクタンス、単位:ヘンリー)を測定するのがLCRメータやインピーダンスアナライザなどの回路素子測定器(電子部品の値を測定する測定器)である。レジスタンスやキャパシタンスの接尾語のタンスは「~している状態、~する数量(程度)」という意味で、「性質、状態、行為」を示す。電気の基本量はタンスだらけである。 オームはオームの法則を発見したドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オームに由来する。記号にギリシャ文字のΩ(オメガの大文字)が使われるのは、オームの頭文字O(オー)だと数字の0(ゼロ)と混同するためといわれている。ゲオルグ・オームはギリシャ文字ではκέοργκ Ωμ。 電気関連の業界ではオームは良く使われるワードである。1914年創業の出版社であるオーム社は、電気を含む自然科学の理工学専門書や資格試験書(電検3種など)、雑誌4誌を発行している。理工系の学生なら教科書としてオーム社の書籍を使ったことがない者は少ないはずである。大手の電気計測器メーカのOB会に「オーム会」があるが、1995年(平成7年)3月に起きた地下鉄サリン事件がオウム真理教によることが判明すると、宴会の予約を店に電話する際には訝しがられたという笑い話がある。電話では「オーム」と「オウム」は判別が難しい。

回路素子測定器(かいろそしそくていき)

電子回路に使用される素子(電子部品やトランジスタなどの半導体)の値を計測する測定器。代表はLCRメータ。抵抗(R)測定に特化した抵抗計は種類や名称が多い。絶縁抵抗計、超絶縁抵抗計、メガーやエレクトロメータ、IRメータ。低い抵抗を測定するミリオームメータ、低抵抗計。接地抵抗計やブリッジ。それぞれ、測定する抵抗の値や用途などアプリケーションによって適切な抵抗測定器がある。 キャパシタ(静電容量、コンデンサ、C)を測定するのはCメータ(キャパシタンスメータ、容量計)だが、LCRメータのNo.1メーカであるキーサイト・テクノロジーが以前発売していたが、いまは生産中止で、日置電機とエヌエフ回路設計ブロックにはラインアップがある(2022年8月現在)。インダクタ(コイル、L)の値を測定する専用器は無い(通常はLCRメータで測定する)。トランスなどの変圧器のコイルの巻き線比はレシオメータで測定できる。リアクタンスの指標であるQ値(クオリティーファクタ)を測定するQメータがあったが、いまはLCRメータで代用されている。 LCRメータは試料(DUT)に交流を印加してインピーダンスを測定し、等価回路(RとCの直列とか、RとLの並列とか)によって抵抗成分(R)とリアクタンス成分(CやL)の値を算出する。なので交流インピーダンス測定の計測器である。DUTに印加する信号の周波数が1MHz付近を境に品名が、LCRメータ(50Hz、100kHzなど)、インピーダンスアナライザ(3MHz、3GHzなど)と分かれていたが、最近は境が曖昧になっている。回路素子測定器が測定するL、C、Rは集中定数回路の値であり、高周波(RFやマイクロ波など)で使われる電子部品を分布定数回路で評価するのはネットワークアナライザ(ネットアナ)になる。そのためLCRメータやインピーダンスアナライザなどの回路素子測定器は、ネットアナやFRA(周波数特性分析器)と一括りにした分類をされることもある。また、LCRメータは材料評価にも使われるので、B-Hアナライザのような磁性体測定器と同じ分類にしている計測器の解説書(事典)もある。 DUTを接続する治具(じぐ)はLCRメータやネットアナではテストフィクスチやテストリードと呼び、DUTとの接続はケルビン接続(4端子法)が使われる。DUTに応じた治具のカスタマイズも行われている。DUTにDCを重畳したい場合はDCバイアスアダプタやバイアスカレントソースなどの別売アクセサリを用意しているメーカもある。 メガーのような現場測定器はそれだけで一群をなしているので、たとえば日置電機は絶縁抵抗計と回路素子測定器(LCRメータ)を別分類にしている。メガーは電気機器の絶縁状態を確認する保守用途であり、抵抗測定はその手段に過ぎない。メーカによっては電子部品の抵抗成分を測定するLCRメータなどの回路素子測定器に絶縁抵抗計を分類していないケースもある。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第1回)・・交流インピーダンス測定や測定器を図解。 計測器情報:回路素子測定器の製品例・・「カテゴリーから探す」を選択すると下位の分類に絞れる。

カソード(かそーど)

(cathode) 電子部品で、外部回路へ電流が流れ出す電極のこと。反対の電極をアノードという。真空管、ダイオード、電池などにはアノードとカソードがある。CRT(Cathode Ray Tube)は日本語で「陰極線管」。つまり、真空管ではカソードは陰極と呼ばれる。正極・負極という表現もあり、カソードは、真空管では負極、電池の場合は正極。電力用のスイッチに使われる半導体素子のサイリスタにもアノードとカソードがある。

活線メガー(かっせんめがー)

通電状態で使用できる絶縁抵抗計。通電状態を活線といい、メガーは絶縁抵抗計の別称。外観はクランプ電流計のような物が多い。以下に代表的なモデルを紹介する。 マルチ計測器の「クランプ式活線絶縁抵抗計 MLIT-1」のキャッチフレーズは「世界初、モータや機器・電路の絶縁抵抗(MΩ)を活線状態で高精度に測定」である。またAC 漏れ電流の測定器3モデル(IRVシリーズ)も活線状態で絶縁測定ができるので活線メガーの1種といえる。三和電気計器の「Ior※リーク・クランプメータ I0R500」は別名「活線メガー」と称している。日置電機の「Iorリークハイテスタ 3355」は概要(特長)として、「絶縁抵抗計で不可能だった活線メガー機能搭載」とある。株式会社イチネンTASCOの型番TA452MLは「クランプ式活線絶縁抵抗計」である(現在は生産中止)。 このように製品の品名は「活線絶縁抵抗計」はあるが、「活線メガー」は少ない。また「活線」が品名に無いモデルも多く(I0r測定器など)、活線で測定できる機能があるかどうかは仕様を確認しないとわからないことが多い。 ※ Iorは「有効漏洩(ろうえい)電流」で、アイゼロアール読む。表記はI0rやI0Rなどメーカによって不統一。現場測定器を豊富にラインアップする三和電気計器の製品形名はI0Rだが2文字目は数字のゼロ「0」と思われる。IorやI0rの2文字目はアルファベットのオー(「o」、「O」)と間違いやすい。

カラーコード(からーこーど)

電子部品の数値などの仕様を色で部品に示したもの。例えば抵抗は4色の線が部品にある。左から2つが数値、3つめが乗数、一番右が許容差を示す。0は黒色、1は茶色・・・9が白色と決まっている。JISで規定されていて、その部品(抵抗)が何オームか色を確認したらわかるようになっている。

簡易接地抵抗計(かんいせっちていこうけい)

通常の接地抵抗計には精密測定と簡易測定の2つの機能があるが、簡易測定だけに特化して、形状もペン形にした共立電気計器のオリジナル製品。形名KEW 4300。接地棒のいらない簡易測定専用ペン型簡易アースになっている。

寄生成分(きせいせいぶん)

電子部品に存在する、目的としない物理量のこと。たとえば抵抗Rという部品には2本のリード線(接続用の端子)があるが、接続の仕方によって2本の線材の間に浮遊量量(キャパシタンスC)が生まれたりする。また線材にはリアクタンスLが存在する。この場合、CやLは抵抗の寄生成分で、使う周波数によっては純粋に抵抗RではなくCやLの値を勘案しないと、設計者が考えたような動作を電子回路はしない場合がある。

キャパシタ(きゃぱした)

(英: capacitor、独: Kondensator) 抵抗(R)、インダクタ(L)と並ぶ受動素子で、電気回路理論の集中回路定数の1つ。回路記号は「C」。別名、静電容量(キャパシタンス)、単位:F(ファラッド)。一般には(会話などで)「コンデンサ」と呼ばれることが多い。たとえばケミコン(ケミカルコンデンサの略)やアルミ電解コンデンサ、MLCC、など。電子回路では電荷を蓄える素子(電子部品)。回路上のふるまいは、直流は通さず、交流は通しやすい。また、電流の位相が電圧に対して90°進む。この挙動はL(インダクタ)とは反対である。

キャパシタンス(きゃぱしたんす)

(capacitance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 別名、静電容量とも呼ばれ、コンデンサの値、大きさ(蓄えられる電荷の量)を表す。

キャパシタンスメータ(きゃぱしたんすめーた)

(capacitance meter) 電子部品のキャパシタンス(静電容量)の計測器。物理量としての単位は[F](ファラッド)。ハンドヘルドのモデルは「キャパシタンステスタ」という品名もある。LCRメータは当然、キャパシタンスの測定ができるので、LCRメータの事を指している場合もある。「Cメータ」という品名でベンチトップモデルを日置電機とエヌエフ回路設計ブロックがつくっている(2022年7月現在)。 静電容量測定器というと、静電容量式レベル計のような、全く違う機種がネット検索で出てくるが、ハンドヘルド型のキャパシタンスメータは通販では「静電容量メータ」「静電容量テスタ」「静電容量計」などの名称で販売されている。 もう1つのリアクタンスであるコイル(インダクタ、inductor)の測定器には、インダクタンスメータなる製品は無くて、コイルテスタ、コイル試験器、巻線試験器など、コイルという名称が多い。キャパシタの電気部品であるコンデンサではなく、キャパシタや静電容量が計測器の品名になっているのと正反対である。計測器の品名(名称)は統一感がない。 リアクタンスの性能を示すQ値を測定するQメータという製品はキャパシタンスなどのインピーダンスが測定できた(現在はほぼ生産中止)。

Q値(きゅうち)

(Q factor) リアクタンス(インダクタやキャパシタ)の性能を表す指標。QはQualityの略。クオリティーファクタを記号「Q」で表すので「Q値」と呼ばれる。値が大きいほど性能が良い。Q値を測定するのがQメータである。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・Qメータの回路図など説明がある。 計測器情報(会員専用):Qメータの製品カタログ

Qメータ(きゅうめーた)

(Quality meter) リアクタンス(インダクタやキャパシタ)の性能を表す指標にQ値(Q Factor) があり、Q値を計測できるのがQメータ。たとえばキャパシタのQ値は、理論的に純粋なコンデンサとして動作する指標で、誘電正接(誘電体損)の逆数である。つまりQメータはtanδ(タンデルタ)の測定もできる。 測定項目は高機能なLCRメータに似ているが、用途が違う。すでに生産中止だが株式会社目黒電波測器(現株式会社計測技術研究所/電子計測器事業)のQメータ、型式MQ-1601の製品カタログには「高周波ケーブルのインダクタンス、キャパシタンス、特性インピーダンスなど広範囲に測定できる。測定周波数は15.5kHz~50MHzで、6桁の周波数カウンタを採用し正確な周波数設定と読み取りが可能。別売の誘電体損測定台でtanδを測定。」とある。つまり、高周波でケーブルのQ値やtanδを測定する目的で使われたと思われる。Qメータを「無線周波数の測定器(いわゆるRFの測定器)」と説明している文献もある。当サイトではキーサイト・テクノロジーの製品カテゴリがLCRメータなどの回路素子測定器のため、それに倣って分類しているが、目黒電波は無線測定器の会社である。 Qメータによる交流インピーダンス測定手法を共振法やQメータ法と呼ぶ。Qメータの操作は熟練が要することや、LCRメータが普及したことにより、現在ではQメータはほとんど生産中止になっている。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・Qメータの回路図など説明がある。 計測器情報(会員専用):目黒電波測器やHP(キーサイト・テクノロジー)のQメータの製品カタログ

共振法(きょうしんほう)

交流インピーダンス測定のもっとも基本的な測定手法の1つ。別名:Qメータ法。Qメータは発振器、同調回路、電流計、電圧計から構成される測定器。リアクタンス(コンデンサやコイル)の値やインピーダンスを測定した。Qメータは操作に熟練が必要なため、LCRメータの普及により使われなくなった。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・Qメータの回路図など説明がある。交流インピーダンス測定の各手法を概説。 計測器情報(会員専用):目黒電波測器やHP(キーサイト・テクノロジー)のQメータの製品カタログ

クオリティーファクタ(くおりてぃーふぁくた)

(quality factor) インダクタの性能を表す指標。記号「Q」で表すので別名「Q値」とも呼ばれる。値が大きいほどリアクタンスとしての純度が高いことになる。 参考用語:Qメータ 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・Qメータの回路図など説明がある。 計測器情報(会員専用):Qメータの製品カタログ