計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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タケダ理研工業(たけだりけんこうぎょう)

1954~1985年に存在した老舗計測器メーカ。1954年に武田郁夫(当時30歳)が「タケダ理研工業株式会社」を創業。通信省電気試験所に勤務していた武田氏は、大手電機メーカが出がけない計測の分野に着目し、研究開発型ベンチャー企業を設立した。1960年代までに周波数カウンタやデジタルマルチメータ(DMM)など、現在では基本測定器と呼ばれる製品を開発した。同社の企業ロゴはタケダのTと理研のRをデザインした「TR」で、計測器の形名の頭もTRだった。TR5211、TR5151などのカウンタの中古品はいまだにネットに出展されている(つまり市場に多く出回った売れたモデルである)。同社のDC~低周波のラインアップはブリッジなどを早くから手掛けたYEW(現横河計測)と競合している。汎用計測器(基本測定器)ではタケダ理研と横河電機はコンペチタだった。 1970年代にはRF分野のスペクトラムアナライザ(スペアナ)や、半導体製造装置のメモリ・テスト・システム、光通信測定器を開発した。日本のデバイスメーカがメモリ(DRAM)で世界シェアを独占するのに伴い、同社のメモリテスタは世界一になっていった。1976年に富士通の資本参加があり、1985年に社名をアドバンテストに変更。創業からのタケダの名前は消えた。 1990年代の携帯電話の普及期にはローデ&シュワルツの代理店としてCMUシリーズ無線機テスタなどを販売した。アンリツや安藤電気のような電電ファミリー(NTTに光通信計測器を納めるメーカ)ではないが、光ファイバの評価測定器を開発してOPMなどの光通信計測器に参入し、「光の3A(スリーエー、アンリツ、安藤電気、アドバンテストの頭文字がいずれもAのため)」と呼ばれた。2003年にはRF(高周波)以外の機種群を株式会社エーディーシーに移管し、後に高周波のモデル(スペアナやネットワークアナライザ)もやめて計測器から撤退した。 1970年頃から埼玉県行田に主力工場があり、東京都大田区蒲田に本社があるNEC系列の半導体テスタメーカの安藤電気とは、1980年頃には競合だった。1982年に安藤電気に入社した営業マンで、タケダ理研に入社希望で訪問したが、「文系の学生は応募していない(つまり営業職も全員、理工系で採用する)」と断られ、競合を聞いて安藤電気に入社した人がいる。アドバンテストはタケダ理研創業の計測器から撤退したが、2015年に無線式の温度ロガー(AirLogger)を発売するなど、新規事業としてあらたに計測関連製品を模索している。 タケダ理研は、戦後の1950年代に創業したベンチャー計測器メーカが、計測器を別会社に移管して成長した例である。横河電機もコアビジネスではなくなった計測器を別会社(横河計測株式会社)に分離している。アドバンテストは半導体テスタの、横河電機は計装(プロセス)の世界的なメーカである。 タケダ理研で使われる用語の例:デジボル、DVM、VIG

ダブルブリッジ(だぶるぶりっじ)

抵抗測定に応用されるブリッジ回路を2重化して、リード線の抵抗や接触抵抗の影響を除去して、数mΩ以下の低抵抗を高精度に測定できるようにしたもの。ブリッジ回路による抵抗測定(ブリッジ法)の代表例はホイートストンブリッジだが、「ダブルブリッジはホイートストンブリッジを2重化しているのでより精度が良い」という理解は不正解である。計測器の品名でホイートストンブリッジとなっていても構造はダブルブリッジになっていて1Ω以下の測定が可能な製品もある。つまり、名称の定義とは別に、製品名はメーカによって勝手に命名している。そのため、品名ではなく仕様を見て判断することが肝要である。別名:ケルビンダブルブリッジ、ケルビンブリッジ(ダブルブリッジとの表現の使い分けは不明)。参考用語:精密級ダブルブリッジ

タンジェントデルタ試験器(たんじぇんとでるたしけんき)

電気機器や電力ケーブルなどの誘電体損失(tanδ)を測定する機器。略称:タンデルタ。

tance(たんす)

(-tance) 導体に電気が流れる(電流)とき、電圧と抵抗の関係を示したのがオームの法則だが、ここで定義している抵抗は直流である。現実世界では、交流が電子部品に流れる(交流電圧が印加される)と周波数の値によって様々な電磁気現象が起こり、静電容量や誘導係数などの値が定義されている。これらは英語では-tance(〇〇タンス)と命名され、以下の9つがある。 名称 / 記号 / 単位(読み方) / 説明(日本語での呼称など) 1. レジスタンス(registance) / R / Ω(オーム) / 電気抵抗 2. キャパシタンス(capacitance) / C / F (ファラッド) / 静電容量 3. インダクタンス(inductance) / L / H(ヘンリー) / 誘導係数 4. インピーダンス(impedance) / Z / Ω(オーム) / 複素抵抗 5. コンダクタンス(conductance) / G / S(ジーメンス、大文字のSで、小文字のsはsecond、秒である) / 電気伝導度(No.1の逆数) 6. アドミッタンス(admittance) / Y / S(ジーメンス) / 複素伝導度(No.4の逆数。No.5を複素数に拡張した値) 7. リアクタンス(reactance) / X / Ω(オーム) / インピーダンスの虚数部分の名称(No.2とNo.3の総称) 8. サセプタンス(susceptance) / B / S(ジーメンス) / アドミッタンスの虚数部分の名称 9. イミッタンス(immittance) / / / インピーダンスやアドミッタンスの虚数部分の名称(No.7とNo.8の総称) No.1~3はLCRと呼称される受動素子(抵抗器

tanδ(たんでるた)

誘電体内の電気エネルギー損失の度合いを表す値。一般には電子部品のコンデンサの損失を表している。コンデンサ内部で消費されるエネルギーを示す特性の一つで、ある周波数の正弦波電圧で生じる電力損失を無効電力で割り、計算する。そのため誘電損失とも呼ばれ、コンデンサの性能を表す重要な指標である。 定義(数学的な計算)がタンジェント・デルタのため“タンデルタ”と呼称される。正式には誘電正接/誘電体損(DissipationFactor/LossTangent)。 誘電体損の測定器をtanδやタンデルタの略称で呼んでいることもある。誘電正接試験器やタンジェントデルタ試験器という表現も見かける。ブリッジなどの回路素子測定器や、材料測定器を1980年代まで注力していた安藤電気はtanδの測定器をつくっていた。

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