計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

16

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

投影器(とうえいき)

映像をスクリーン等に映し出す機器。

同軸ケーブル(どうじくけーぶる)

(coaxial cable) 電気信号を伝送する電線のひとつ。導体線の周囲を絶縁体で覆い、さらにその周囲を外部導体で覆った形をしたもの。導体(中心の導線)と絶縁体が同じ軸の回りに配置されて円筒形の伝送路を形成している構造なので、同軸と呼ぶ。性能の良い伝送品質を保ち、かつ柔軟に曲げて使い勝手を良くしている部品である。電気機器の接続に使うケーブルはほとんどが同軸ケーブルで、コネクタの形状によって名称が異なる。両端のコネクタがBNC であれば「BNCケーブル」、N型であれば「N型ケーブル」。電気機器の1種である計測器も同軸ケーブルを使って接続する。 コネクタの種類や導体の材料・サイズなどにより伝送可能な周波数が決まる。レコーダやオシロスコープなどの基本測定器の入出力はBNCコネクタなのでBNCケーブルが使われるが、RFなどの高周波ではN型ケーブルが使われる(スペクトラムアナライザの標準コネクタはN型が多い)。BERT(誤り率測定)などの有線通信の測定器(伝送/交換装置用測定器)では3.5mmやSMAなどの、Nより小型のコネクタが標準になっている。 マイクロ波でより伝送損失を少なくする場合は導波管が使われる。また、最近はセミリジットケーブルのように導波管のメリットを取り入れた性能の良い同軸ケーブルもある。

同相信号除去比(どうそうしんごうじょきょひ)

(Common Mode Rejection Ratio)二つの入力回路をもつ差動増幅器などで、共通する入力信号の雑音成分などを除去できる能力のこと。差動増幅器やアイソレーションアンプ(絶縁増幅器)の仕様でCMRRと記載されている。 参考用語:コモンモードノイズ、ノーマルモードノイズ、ディファレンシャルモードノイズ、光絶縁プローブ

東電(とうでん)

関東圏に電力(商用電源)を供給している東京電力の略称。正確な担当エリアは、関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県の1都6県)と、山梨県、静岡県(富士川以東)。つまり、首都圏(関東+山梨県)に、富士川以東の静岡県。この範囲が50Hz(東日本エリア)になる。富士川以西は中部電力の管轄で、60Hz(西日本エリア)になる(※)。 関ケ原(滋賀県)を境に関東/関西の区分があり、食習慣などの文化が異なるといわれるが、電力の周波数(商用周波数)では、新潟県の糸魚川から静岡県の富士川に沿って、西日本と東日本の堺がある(地質の糸魚川構造線に似た境界線)。滋賀県の西端に位置し琵琶湖に通じる関ケ原よりも東を関東とすれば、名古屋から遠州(静岡県)にかけての中部地区は東日本ということになるが、電力系統の世界では中部は西日本エリア(60Hz)である。JR(旧国鉄)は東日本、中部、西日本の3つに分かれている。(※※) 関西エリアの電力を担当するのは関西電力で、「関電(かんでん)」と呼称されている。関東エリアを管轄する東京電力が関東電力だったら、関西電力と区別が難しかったかもしれない(首都圏電力なら「しゅとでん」になったかもしれない)。関西電力が東電のように「大阪電力」だったら「おおでん」や「さかでん」と呼ばれたかもしれない。 東電のブランドはTEPCO(テプコ)、関電はKEPCO(ケプコ)である。TEPCOはTokyo Electric Power Company Holdings, Inc.の略といわれている。東電のマスコットキャラクターに「でんこちゃん」がいる(漫画家の内田春菊がキャラクターデザイン)。本名は「分電でんこ」で、設定は主婦。1987年の東電のパンフレット(分電盤が掲載)に初登場し、その後テレビCMなども作成されている(乙葉などが声を担当)。 全国には12社の大手電力会社がある。旧一般電気事業者の10社(東京電力ホールディングス、関西電力、中部電力、東北電力、九州電力、中国電力、北海道電力、北陸電力、四国電力、沖縄電力)と電源開発(通称J-POWER)、JERA(東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力の合弁、呼称:ジェラ)。10社の内、東電だけが地域名称でなく都道府県名を会社名にしている。 全国の各地域には電力10社とほぼ同じエリアに「電気保安協会」がある。東電エリアに相当するのは「関東電気保安協会」で、唯一、電力会社と会社名の頭が違う保安協会である。つまり、全国の保安協会はすべて地域名が会社名になっている。 電力10社は子会社に設備工事会社がある。東京電力(とうでん)は「(株)関電工」、関西電力(かんでん)は「(株)きんでん」である。かんでんこう(関電工)はかんでん(関西電力)のグループ会社ではなく、とうでん(東電)の子会社である。かんでんの子会社は「かんでんこう」でなく「きんでん」である。関電工は関東電気工事の略、きんでんは近畿電気工事が語源と思われる。東電、関電、関電工、きんでんの関係は、発音を聞いただけでは素人には間違いやすい。「かんでんこう」と聞くと「かんでん」の工事会社と思ってしまうが、「とうでん」の関連会社である。「きんでん」がかんでん(関電)の工事会社なのも、一度聞いただけでは、知らない人にはわからない。「とうでん」、「かんでん」、「きんでん」は、似たような会社名である。 東電が関東電力や首都圏電力という会社名でない理由は不明。また設備工事の子会社が東電工でなく関電工なのも理由は不明。東電は関電工だが、関電は「近電工」ではなく「きんでん」である(しかも漢字の「近電」ではなくひらがな)。電力会社の会社名の命名法則は不思議である(一般人にはわからない)。 (※) 新潟県は50Hz(東北電力の管轄)、長野県は60Hz(中部電力)、富山県は60Hz(北陸電力)だが、これらの県には一部に50Hz/60Hz混在地域があることが、電力会社のホームページなどに明記されている。 (※※) 現在、日本の商用電源の1種である原子力発電所は、方式によってBWR(沸騰水型原子炉)とPWR(加圧水型原子炉)の2種類がある。BWRは東芝と日立製作所が、PWRは三菱重工がつくっている。BWRを採用している電力会社は北から東北電力(略称:とうほくでん)、東京電力(とうでん)、北陸電力(りくでん、地元ではほくでん)、中部電力(ちゅうでん、株式銘柄は中部電)、中国電力(ちゅうでん、株式銘柄は中国電)の5社、PWRは北海道電力(ほくでん)、関西電力(かんでん)、四国電力(よんでん)、九州電力(きゅうでん)の4社(沖縄電力はない)。東芝(神奈川県)や日立製作所(茨城県)の工場は関東、三菱重工(兵庫県)は関西だが、BWRとPWRは50Hz/60Hzのように東西で分かれていない。東日本大震災(2011年3月発生)による福島第一原発の事故により、BWR方式の原発はすべて運転を停止している(2024年1月現在)。震災から10年以上が経過したが運転再開の目途はたっていない。

Talk Only(とーくおんりー)

コンピュータと計測器とのインタフェースとして開発されたGPIB(General Purpose Interface Bus)で、計測器がコンピュータからの指示を受けることをせず、測定データを「ただ出力するだけ」の状態をTalk Onlyモードという。逆にただ聞いているだけで出力をしないモードをListen Onlyという。インタフェースにRS-232Cがある計測器はRS-232Cを使いクロスケーブルでPCとつなぐとTalk Onlyモードにできるモデルもあった。

トグルスイッチ(とぐるすいっち)

人が操作するスイッチの代表的な1つ。操作部分は野球のバットを指で押せるくらい小型にしたような形状で、通常は上下に動かしてON・OFFを切り替える。工業機器全般に使用される。以前は計測器の電源スイッチや切換ボタンに多く使われていたが、最近の計測器ではあまり見かけなくなった(切換操作ボタンは点灯するLEDを内蔵したソフトタイプのキースイッチが多くなった)。トグルスイッチの代表的なメーカにNKKスイッチズ株式会社がある。

ドライバ(どらいば)

(driver)いくつかの意味がある。主に2つをここでは説明する。 1.ねじを回して締めたり、外したりする工具。トルクドライバなど、計測器の周辺機器や付属品でドライバがある場合がある。オシロスコープには通常はチャンネル数分のパッシブプローブ(受動プローブ)が付属しているが、プローブの調整用に小さなマイナスドライバが標準付属品になっている場合がある。 2.デバイスドライバの略。IT関連の用語。PCに接続されている周辺装置(device)をOSによって制御するために用意されたプログラム。たとえば特定のプリンタを使うには、そのプリンタ専用のデバイスドライバが無いと(通常はPCにインストールされていないと)、そのPCから印刷はできない。

トラ技(とらぎ)

CQ出版が刊行する電子工学の専門月刊誌「トランジスタ技術」の略称。1964年10月創刊。毎月10日発売。趣味の電子工作をする人向けの記事を満載している。電子工作には計測器が欠かせないので、個人で購入できるような計測器の広告が掲載されている。たとえばハンドヘルドのデジタルマルチメータ(DMM)や、USB計測器のようなPC接続型のモデルなど。同様に安価・小型・可搬型として、オンラインモニタやオンチップデバッグツール(ICE中でフルICEでないJTAGなど)も製品紹介ページに掲載されていることが多い。 計測器に特化した別冊を定期的に発行している。トラ技は電子工学専門誌で唯一、計測器に関する情報が多い雑誌である。同じく電子工学専門の日経エレクトロニクスは電子デバイス(マイクロプロセッサやパワー半導体など)の記事が多く、計測器についての記事は新製品紹介程度で少ない。 ホビー(アマチュア)の電子工作向けではあるが、プロ(メーカで電気・電子設計をする技術者)も愛読者が多い。CQ出版はアマチュア無線の月刊誌も刊行している、趣味のエレクトロニクスに特化した出版社である。

トランジスタ技術(とらんじすたぎじゅつ)

ホビー(趣味)の電子工作に特化したエレクトロニクスの月刊誌。アマチュア無線の書籍で始まったCQ出版が刊行。趣味といっても、多くのメーカの電気技術者が愛読している。計測器に関する記事や書籍も多く、同様のエレキの月刊誌である日経エレクトロニクスが半導体デバイスを主力にしているので、ほとんど唯一の計測器情報が掲載される技術誌といえる。「トラ技」と呼称されている。 1964年に半導体専門誌として創刊(表紙のサブタイトルは「Semiconductor Technique」)、1966年からはサブタイトルが「Audio&Electronics」になり、現在は「役に立つエレクトロニクスの総合誌」。2022年12月10発売の700号(巻)には1964年9月5日発売の創刊号が、復刻版で付属している。創刊号にはSANWA(三和電気計器)の広告や三栄測器の新製品が掲載されている。岩崎通信機がシンクロスコープについて解説している。トランジスタを使った、当時の最新機器の代表はオーディオ機器で、名門のトリオ(後のケンウッド)のアンプが創刊号の裏表紙の広告である(当時のトリオはすでにアナログオシロスコープもつくっている計測器メーカでもあった)。

トリガ信号(とりがしんごう)

(trigger signal) 機器の動作のきっかけ(引き金)になる信号のことで、電子機器の開始(または終了)のタイミングを合わせるために使うことができる(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)。 「トリガ」は計測器では大変よく使われる用語。測定対象(連続している信号)をどのタイミングで測定開始(データとして取込み、記録)するかの条件を設定する機能がトリガである。そのためトリガ信号の設定は重要で、一番多くの条件設定ができるのがオシロスコープである。多種多様な条件設定で複雑なトリガ信号の設定ができるモデルがある。トリガの意味は「銃の引き金」や「引き金を引く」こと。

ドリフト(どりふと)

(drift) JISの規定Z8103には計測に関する用語解説が多くあり、機器のドリフト(instrumental drift)について以下のように説明している。 測定器の特性の変化による、指示値の連続的又は漸進的な経時的変化。(注:機器のドリフトは、測定される量の変化にも、認識されたいかなる影響量の変化にも関係しない。) 簡単に言うと、測定器の値が緩やかに変動することである。原因は内部の部品の経年劣化などが考えられる。周囲温度の変化による温度ドリフトや、スペクトラムアナライザの周波数ドリフトなどが、計測器メーカの用語解説にある。driftを和訳すると「漂う、流される」。 絶縁抵抗計などの現場測定器メーカの共立電気計器株式会社は用語解説で以下がある。 「ドリフト:すべての状態が一定に保たれているとき、規定された時間中の機器の指示値、表示値または供給値の一般に緩やかで継続的な好ましくない変化をいう。」 計測用電源でも「ドリフト」について解説している計測器メーカがある。 電気製品が安定動作するまで一定時間、動作させることをエージングという。ドリフトやエージングは電子機器の安定動作に関係する用語である。 計測器などの電子機器ではなく、一般にドリフトというと「ドリフト走行」(drifting)がある。自動車や二輪車を意図的に横滑りさせてコントロールする走行技術のことである。 「ドリフトする集団」はドリフターズ(drifters)。1953年に米国でコーラス・グループのThe Drifters(ザ・ドリフターズ)が結成されている。ザ・ドリフターズといえば、日本ではいかりや長介(リーダ)、高木ブー、中本工事、加藤茶、荒井注(または志村けん)の5人組(1980年代)が有名である。1956年に音楽バンドとして結成され、「いい湯だな」など多くの楽曲がある。1966年6月30日と7月1日のビートルズ日本公演の前座を務めたことが知られている。1970年代以降はコントグループ(通称:ドリフ)として活動し、1980年頃のTV番組「8時だョ!全員集合」は怪物的な高視聴率の長寿番組となった。後にいかりや長介は俳優として時代劇に出演し、1997年放映のTVドラマ『踊る大捜査線』ではベテランのたたき上げ刑事を演じた。志村けんが2020年に新型コロナウイルス感染で亡くなるなど、生存しているのは高木ブーと加藤茶の2人となった(2023年現在)。加藤は歳の離れた年下の女性と結婚し、円満な夫婦生活をおくり、話題となっている。

トルクドライバ(とるくどらいば)

(torque screwdriver) ボルト・ナットなどを、決められたトルク値に締める際に使う工具。

トルクレンチ(とるくれんち)

(torque wrench) ボルト・ナットなどねじの締め付けトルクを測定したり、決められたトルク値に締める際に用いる工具。

トレーサビリティ(とれーさびりてぃー)

(traceability) 測定結果が校正手法によって国際(国家)標準につながっている(トレース可能である、追尾できる)こと。測定精度を表現するときに良く用いられることば。 計測器ではないが、最近スーパーマーケットの食品売り場に並ぶ生鮮食品にはコードで生産地や流通経路が読み取れ、生産までがトレーサブルである。 参考用語:トレーサビリティ証明書、産総研

トレーサビリティ証明書(とれーさびりてぃしょうめいしょ)

(traceability certificate) 計測器が正常であるか否かを試験する校正の際に、使用した測定器(=標準器・原器)が、国家標準機関などにトレースするまでの経路をチャートに表した体系図。別名、トレーサビリティ体系図。「トレ体」と呼称される。 日本独自の書類のため、国内の計測器メーカはつくっているが、海外メーカに依頼しても出てこない(海外ではこの書類はない)。つまり校正書類3点セット(校正証明書、試験成績書、トレーサビリティ証明書)になっているのは日本だけである。 長らくISO 9001(一般校正)では校正3点セットが使われたが、最近の不確かさによる校正では、書類は校正証明書に集約されて、トレーサビリティ証明書は使われていない。

ドングル(どんぐる)

(dongle)コンピュータに接続する小さな装置を指す俗語。語源は不明。 ソフトウェアにドングルが同梱されている場合、ソフトウェアを起動したいPCにドングルを装着しないとソフトウェアを使うことができない。つまりソフトウェアの不正使用防止に使われる。必ず1台のPCというハードウェアを特定し、複数台のPCでソフトウェアを使えないようにする仕組みに利用される。ドングル内部にソフトウェア認証用のチップが搭載されていて、ソフトウェア起動時に認証用チップの情報を照合して、ソフトウェアが不正にコピーされたものではないかなどをチェックする。この用途では「ソフトウェアプロテクター」と呼ばれることもある。計測器のオプションソフトウェアにもドングル同梱のものがある。USBの普及により、USB接続型のドングルが増えた。

  • 1