計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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Tier1(てぃあわん)

メーカに直接納入する1次サプライヤのこと。Tier1に納品するメーカをTier2と呼ぶ。多くの部品を使う業界のサプライチェーンを示す用語だが、自動車産業で使われることが多い。

T&M(てぃーあんどえむ)

Test&Measurementの略。欧米で計測器を表現するときに使われる。国内計測器メーカはあまり使わない。 欧米では計測器のことをtester(テスタ)やtest&measurementといっている。1990年代に世界的な総合計測器メーカのHP(Hewlett-Packard、ヒューレット パッカード、現キーサイト・テクノロジー)は計測器事業部門をTMO(Test&Measurement Organization)と呼称していた。日本の大手計測器メーカである横河電機も計測器部門(現横河計測)をT&M事業部といっていた時代があるが、現在はT&Mという表現はしていない(※)。この横河電機の例以外には、当時の国内計測器メーカはT&Mという用語は使っていない。 HPのTMOや横河電機のT&Mに触発されて、「計測はもう古い、T&Mが最先端だ」と解釈したあるレンタル会社上層部は、自社の計測器部門の組織名称を計測からT&Mに変更した。長年、計測畑にいた人はそんな部署名は恥ずかしいので、顔をしかめて「計測」が良い、と反論したが、新しもの好きの担当役員は譲らなかった。地味でニッチな計測に、ハイカラな部署名をつけて少しでも活性化しようという役員の配慮だったかもしれないが、実務者の心配は的中した。T&M部門の実務者は国内の各計測器メーカと名刺交換すると、かならず新しい部署名の由来を問われた。「T&Mとは何ですか? P&Gと近いですか?コンシューマ製品を扱い始めたのですか?」と聞かれて大変閉口した。それくらい当時の国内計測器メーカには「T&M」は奇異な、馴染みのないことばだった(P&Gとは、洗剤などの家庭の消耗品のブランドの、あのP&Gのことである)。 30年前に海外の大手計測器メーカが使い、それと近い関係にあった国内大手計測器メーカが後で使ったが、この2社以外にこの表現は国内では普及しなかった。計測器の総合展示会にT&Mなる名称は無い。Measureは計測の意味で使われているが(INTERMEASURE:計量計測展など)、隔年に大阪で開催される電気計測器の展示会は「計測展」である。つまり国内では「計測」をT&Mと表現することはほぼ無い。国内の計測畑の人々は「自分たちは計測だ」と思っていて、T&Mなどどいう変な略称は使わない。現在では一部の国内計測器メーカが使っている例が少なからずあるが、日本の計測器業界で通用する(認知された)用語とは思えない。ただし、現在でも海外メーカでは普通に「Test&Measurement」は通用する単語であるため、まちがいなく計測関連の用語である。 そういう事情なので、日本の会社でも社名にT&M(またはTM)とあったら、ほぼ外資系だと思った方が無難である。日本の計測器関係者が会社名で好むのは「計測」や「技術」というワードである。海外計測器メーカがtechnologyを社名に付けるのと同じく、日本でも「技術」は良く使われる。ただしT&Mはほぼ使わない。 移動体通信関連の用語でTM(Transpositional Modulation、移調変調)という技術がある。T&MではなくTMである。 (※)横河電機の電気計測器を継承した横河計測株式会社のホームページでは、一部の製品ページに「Test&Measurement」の表示がある。

D/Aコンバータ(でぃーえーこんばーた)

(Digital-Analog converter) D-A変換器ともいわれ、有限の2値(あるいは多値)のディジタル信号を連続的なアナログ信号に変換する電子回路をいう。

DAC(でぃーえーしー)

「DAコンバータ」の略記。デジタル(Digital)をアナログ(Analog)に変換する(Converter)部品のこと。「ADC(アナログデジタルコンバータ)」や「ADコンバータ」と記載されることも多い。「ダック」と読むとDAQ(データアクイジション、データ集録機器)になってしまう。地球温鈍化対策の一環として、2021年にはDAC(Direct Air Capture):二酸化炭素CO2を大気から直接回収すること、を「ダック」と呼称している。計測の用語としてはDACはダックではなく、そう読んだらDAQ(データ集録機器)のことで、間違ってもカーボンゼロの用語ではない。

DSP(でぃーえすぴー)

(Digital Signal Processor) デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサ(MPU/CPU)。デジタル信号処理とは、アナログをデジタルに変換して、デジタルで演算などの処理を行い、アナログに戻すことを指す。汎用のMPUでも同じ処理をすることはできるが、限られた時間内に高速にデジタル信号処理をすることに特化したMPUがDSPである。現在、デジタルで処理をしている電子機器は大変多いので、デジタルオシロスコープやFFTアナライザ、 パワーアナライザなど、DSPを搭載した計測器は多くなった。 メーカとしてはTexas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、略記:TI)やAnalog Devices(アナログ・デバイセズ)が有名である。

DOA(でぃーおーえー)

(Dead On Arrival)到着時死亡。医療用語で「緊急病院に到着時にはすでに死亡していた」こと。計測器も「到着時動作不良・故障」のことをDOAと呼んでいる(特に海外メーカ)。メーカの出荷検査で漏れたのか、輸送時の振動や取扱いで不具合が生じたのか、理由はわからないことが多い。届いた計測器をユーザが使おうとしたが、電源が入らず起動しない、起動したがOSが立ち上がらない、など正常な動作が確認できず、受け入れ検査不良と判定されることがある。計測器は精密機器であるため、一定の比率で納入時不良が発生する。メーカの品質管理部門では納入時不良(DOA)の管理をしている。

ToF(てぃーおーえふ)

(Time of Flight) time of flightとは「飛行時間」。レーザーやLED(発光ダイオード)から対象物に光を当て、反射光を測定して対象物との距離を計算すること。このToFの原理を使ったセンサは生産ラインなどに導入されている。そのためToFセンサ(ToF測距センサ)と呼ばれる。ToFセンサを内蔵したカメラは被写体の奥行情報があるので、顔認証システムに応用されている。 ToFセンサの例(電子部品)としては、STマイクロエレクトロニクスのVL53L3CXは寸法が約4x2x1mmと小型のため、カメラやラズパイと組み合わせてドローンやロボットなどに搭載可能である。 面で発行するレーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser、垂直共振器型面発光レーザー)で対象物を照らすことで、距離情報を得るカメラをToFカメラと呼ぶ。ToFカメラの出現によって、従来のカメラはRGBカメラ(太陽光などが対象物に当たった光がイメージセンサに入り、RGBの色情報に変換される)と呼ばれるようになっている。

D-subコネクタ(でぃーさぶこねくた)

(D-subminiature connector) コンピュータと周辺機器をつなぐケーブルに多く使われている、小型の多ピンコネクタ。ピンの外側を金属が囲み、嵌合すると金属で覆われシールドされる。たとえば、HDMIなどが普及する前の古いモニタ(ディスプレイ)のコネクタは15ピン、セントロニクスやRS-232Cのプリンタは25ピン。Wikipedia(ウィキペディア)の記述から要点を抜粋すると、「D-subminiature(ディー・サブミニチュア、通称: D-sub)コネクタは、2~3列に並んだピンコンタクト(ソケットコンタクト)がアルファベットのDの字に似た形状の金属シールドに囲まれていることが語源。 アメリカのキャノン社が1952年に開発した。」。 D-subコネクタが作られた当時は大型コンピュータの黎明期で、十分にsubminiature(超小型)だったと推察するが、今やパソコンや携帯機器など小型の電子機器の普及でモニタのコネクタはより小型のHDMIなどが主流になっている。現在はAmphenol(アンフェノール、略称:AMP)社の角型コネクタが代表的。そのため、「アンフェノールのコネクタ」、「AMPの15ピン」などと呼ぶ人もいる。 表記は「Dサブ」もみかけるが、この表記では由来のD-subminiatureを推測するのは困難で、時代とともに名称が簡略化され、語源はわからなくなることを示している。

DC(でぃーしー)

(Direct Current ) 翻訳すると「直流」。ただし、日本語でもDCは良く使う。DC電圧、DC電源、DCカレントプローブ、クランプオンAC/DCハイテスタ、などなど。DCと対になるのがAC(Alternating Current、交流)である。 テクトロニクス の冊子「オシロスコープのすべて」(2017年発行)では以下の解説がある。 「DC:一定の電圧と電流を持つ信号。オシロスコープの用語としては、信号カップリングの種類を表すときなどに使用する。」 これは入力カップリングやトリガカップリングのことである。 電気では直流だが、DCは各種の略記に使われている。 Defined Contribution:確定拠出年金(決まった拠出額の翻訳) Distribution Center:在庫型ゼンタ(物流用語) District of Columbia:コロンビア特別区(ワシントンDCのこと) Dreamcast:セガ・エンタープライゼスの庭用ゲーム機。略称がDCやドリキャス

DC-ACインバータ(でぃーしーえーしーいんばーた)

(DC-AC inverter) 直流(DC)を交流(AC)に変換する機器。パワーエレクトロニクス機器の普及によって、単にインバータと呼ばれることも多い。一般にACをDCに変換することをコンバート(convert)、反対にDCをACに変えることをインバート(in-convertの略)という。日本で普及しているエアコンは省エネ型で、内部にはパワー半導体によってDCからACを作る機構(インバータ)が多く採用されている。最近普及している電気自動車はインバータによってモータを駆動して走行している。EVなどの電動車ではエンジンの代わりにバッテリ(リチウムイオン2次電池など)とインバータ、モータが重要な装置である。 DC-ACインバータの反対の機能があるのがAC-DCコンバータである。

TCXO(てぃーしーえっくすおー)

(Temperature Compensated Xtal Oscillator)温度補償型水晶発振器。外気温を自分でセンシングして、温度によって周波数を調整して出力する。

DC-DCコンバータ(でぃーしーでぃーしーこんばーた)

(DC-DC converter)直流(DC)の電圧を変える機器。直流電圧を昇圧(高くする)・降圧(低くする)する電圧変換器。自動車の電動化によって、自動車内に多く使われている。略して「DDコン」とも呼ばれる。

TTL(てぃーてぃーえる)

(Transistor-Transistor Logic)電子回路によるディジタル論理回路の方式の1つで、通常は0Vを0、5Vを1に対応させている。電子機器の省エネ化や伝送速度の高速化によって、より電圧は低くなり、1990年代から2000年頃までは主流だったが、現在の最先端機器ではあまり使用されていない。低速で、電圧幅を5V確保するような場合(たとえばノイズなどが多い環境)では使用される。コンピュータや通信の分野では「Time to live」の略をTTLと略記する場合がある。

DDコン(でぃーでぃーこん)

DC-DCコンバータの略称。直流(DC)の電圧を昇圧・降圧する変換器(機器・部品)のこと。

DDoS(でぃーどす)

(distributed denial of service attack) 分散サービス拒否攻撃。標的となるコンピュータ(サーバー)に対して複数のマシンから大量の処理負荷を与えることで、サービスを機能停止状態へ追い込む手法をDoSというが、これを発展させて攻撃元を分散させ防御を難しくしたのがDDoS攻撃。セキュリティ関連用語。

dBfs(でぃーびーふるすけーる)

フル・スケールに対するデシベルで、パワー・レベルを表す単位。内容により表示画面のフル・スケール、またはA/Dコンバータのフル・スケールとなる。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

定期校正(ていきこうせい)

計測器の品質管理のために行う校正を、決められた校正周期に従って、定期的に校正すること。定期校正の結果は試験成績書や校正証明書などの書類として記録・保管され、この会社の計測器の品質管理のエビデンスとなる。

定検(ていけん)

「定期検査」の略称。計測器を使って、プラントの定期検査を行うが、特に原子力発電所(原発)は13か月ごとに、運転を停止して定期検査を行うことが法令で決まっている。原発の定検(期間は約1か月)には多くの計測器が使用される。発電所を運営する電力会社の保守会社(電力会社系列と独立系列)や機器を納品している重電メーカの保守サービス・工事会社など多くの会社が、自社資産の計測器とレンタル調達した計測器を使って定検を実施している。計測器は校正によって品質管理されていることが要求され、試験成績書やトレーサビリティ証明書などのエビデンスの書類が保管される。 具体的な測定器としてはキャリブレータや圧力校正器、コンパクトキャルなどのDC電圧電流発生器など、多くのハンドヘルドの製品が短期間に使用される。 原発で事故やインシデントが起きると、定検のときのエビデンスである上記の校正関連の書類が調査される。過去に、試験成績書が書き換えられていた(校正結果の良否が修正されていた)という不正が発覚し、ニュースになったことがある。以降、全国の発電所では定検時の校正関連の書類の運用が一層、厳格になった。

抵抗(ていこう)

(resistance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電気の通りにくさ(電流を流れにくくする程度、値)のこと。電気記号はRで、単位は[Ω](オーム)。「直流では電圧を電流で除算すると抵抗になる」というのがオームの法則で、電気回路の一番目の法則である。抵抗は電圧、電流、周波数などと並ぶ、電気の基本物理量である。電気工学では「抵抗」だが、物理一般では「電気抵抗」と表記されることも多い。

ディスペンサー(でぃすぺんさー)

水素ステーションで自動車に水素を充填する装置のこと。操作盤やノズルがあり、充填した水素量を計量する。安全のために流量や温度を監視・制御している。参考記事:電動化の進展~カーボンニュートラルに向けた動向。水素ステーションについて解説。