計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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チェッカ(ちぇっか)

(checker)計測器でチェッカ(またはチェッカー)というと、ハンドヘルドの簡易検査のモデルを指していることが多い(ベンチトップの場合もある)。計測器の中で、多くの機能の中から特定の項目の測定を簡便に行い、測定結果(良否判定など)を素早く行えるものをチェッカと命名している。配線チェッカ、熱中症指数計(熱中症チェッカ)、I-Vチェッカ(I-Vカーブトレーサ)、検電器チェッカ、リフローチェッカ、水質チェッカ、VCBチェッカなどがある。コンデンサの値を測定する静電容量計(Cメータ)をキャパシタンスチェッカと呼ぶメーカがあった。 低周波の計測器だけでなくRFでもチェッカはある。安藤電気にはPDCチェッカ(AH-5521E)などの簡易版の無線機テスタがあった。このような簡易版無線機テスタはキャリアなどのサービス部門(携帯端末の修理など)で使われたので、サービス用途の無線機テスタである(アンリツにはMT8510Aサービステスタというモデルがあった)。 計測器情報:チェッカの製品例

遅延(ちえん)

(delay)電気工学の用語としては、「電気信号が伝搬する速度は有限なので、伝搬経路によって電気信号の伝搬速度が遅くなる(位相がずれる)こと」。学術的な用語としては「遅延」だが、この言葉には「支払いが滞る状態」など別に意味もあるので、電気技術者は「ディレイ」を良く使う。たとえば電気回路や機器などで「端子Aと端子Bの間にはディレイがある」など。遅延(ディレイ)は悪いことではなく、信号を遅らせるディレイラインと呼ぶ電気部品もある。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「遅延:相似した2 つの信号間のタイミングのずれ。位相シフトとも呼ばれる。」とある。

チャタリング(ちゃたりんぐ)

(chattering) リレーなどの可動接点がある機械構造で、接触状態になる際に短い時間で ON/OFFを繰り返す現象。機械的な動作をする 電子機器(リレーやスイッチ)の接点の動作不良とみなされる。派生して、IT分野ではキーボードで同じ文字が連続して入力されることを指す。Chatter(チャッタ:ぺちゃくちゃ、というおしゃべり。うるさい鳥の鳴き声。)が語源。

重畳(ちょうじょう)

(superimposed) 一般の意味では「幾重にもかさなる、または、この上もなく満足」だが、電気の世界では「2つの異なった信号を重ね合わせる」ことをいう。代表的な例では部品に交流を印加してインピーダンスを測定するLCRメータには、直流重畳の機能がある。ゼロより大きい(または小さい)正負の信号ではなく、あるレベルの直流の値の上で交流信号の変動があるようにして、測定を行うことを「直流を重畳する」と表現する。例えばエヌエフ回路設計ブロックホームページには「パワー部品のインピーダンス測定:インダクタは流れる直流電流の影響によりインピーダンスが変化することがある。LCRメータと直流電流重畳ユニットを組み合わせることで、実際の動作条件で特性を評価することができる。」とある。日置電機のLCRメータ IM3536にはDCバイアス電圧ユニット9268-10、DCバイアス電流ユニット9269-10がある。 このように交流信号に直流を加えて(DCをバイアスさせるという)、インピーダンス特性を評価するとにき「重畳」という表現が使用される。DC電流以外では、「交流磁界を重畳する」という表記が電気の論文などにある。 重畳は単に2つの信号を合わせるだけだが、DCをバイアスさせることに意味があるので重畳と呼んでいる。“畳”が使われる物理(数学)用語には「畳み込み(たたみこみ)積分」などがある。「畳を重ねる」とか、「たたみこむ」とか、電気や数学には現象を表現するのに独特の熟語がある。 重畳の読み方は難しい。初心者は「おもだたみ」などと読みがちである。

直流(ちょくりゅう)

(direct current) 常に一定の向きに流れる電流のこと。電流の向きだけでなく、正確には電圧などの大きさが一定値で変動しない電気のこと。電流の方向が一定でも電流や電圧の値が、(一定ではなく)変動すると脈流(pulsating current)と呼ばれる(変動する幅が狭いと一定とみなして直流とする場合もある)。電話局やデータセンターの機器は直流48Vの電源電圧で駆動されるものが多い。 略記のDCはいまや日本語として使われている。「DC電圧」や「電流(DC)」、「DC電源」のような表記が計測器のカタログにある。 直流と対になるのが交流で、英語alternating currentは「交互の電流」で、電流の流れる向きが時間と共に交互に変化することを意味している(略記:AC)。直流(direct current)のdirectは「直接」であるが、「~に向かわせる、移動させる」という意味があり、「一定の方向に向かっている」電流、とでもいう意味でdirect currentと呼んだか、またはone direction current(一定方向の電流)を略してdirect currentになったのかもしれない(命名の由来は不明)。 日本語訳はdirect currentが直接の電流→直流、alternating currentが交互の電流→交流、という熟語にしたと想像できる。直流は一定方向の電流なので、日本語では「定流」や「一向流」が正確な命名であると思われるが、英語のdirectの意味は「直接」なので、直流と翻訳したことは適切である。

直流送電(ちょくりゅうそうでん)

世界的に電力の送電は交流で行われている(家庭や事業所、工場などの需要家はACコンセントから交流00/200Vを供給されている)。ただし交流での送電より直流での送電の方が電力損失(ロス)が少ない。近年、直流送電が注目されている。

チョッパ(ちょっぱ)

(Chopper)電圧を上げたり、下げたりすること。昇圧チョッパと降圧チョッパがある。「チョッパ回路」や「チョッパ制御」というように使われる。Chopperの意味は「切り刻むもの」で、トランジスタやサイリスタなどの半導体素子で入力電圧をON/OFFして、ON/OFFの時間(デューティー)を制御して、任意の電圧値を作り出す。一般に直流から直流をつくるので、整流器やDC/DCコンバータ(DDコン)に使われる代表的な電子回路といえるが、広くは直流(または交流)から直流(または交流)をつくるもの全般をさす。「チョッパー」という表現もみかける。

地絡(ちらく)

(earth fault) 電線と大地が電気的につながり、大地へ電流が流れる事象。大地と短絡していること。漏電して大地に電気が流れている、電気が大地に接触した(電流が流れた、漏れた)状態のこと。電気設備が地絡状態になると、本来電流が流れない箇所に流れているため、人が接触すると感電事故になる危険がある。 地絡は事故につながるので、地絡を検知する保護継電器によって強電の電気機器は守られている。障害試験器である保護リレー試験器には、地絡試験の機能を持つモデルがある。DGR(地絡方向継電器)やOVGR(地絡過電圧継電器)を試験できる計測器が双興電機製作所やムサシインテック、エヌエフ回路設計ブロックから発売されている。 電気機器(装置やケーブルなど)を酷使すると漏電が起きる。地絡も漏電も、電気が流れない場所に漏れている状態だが、大地に完全につながった場合や、大変小さな抵抗を持ったものを通してつながった場合を地絡、とても大きな抵抗を持ったものを通してつながっている場合を漏電と呼称する。漏電より地絡は症状が重い。 似た症状に短絡がある。電気ケーブルの被膜が破れ、電気が流れる線材が剥き出しになった状態になると、電線が接触して短絡が起こる。short circuitの翻訳が短絡。回路が(負荷を通さずに)短く絡んだ、という意味。日本語でも「ショートした」などの表現が良く使われている。電気回路は電源(電気の発生源)と負荷(電気を消費するもの)によって構成される。負荷につながらない短絡状態では、回路の抵抗がほとんどゼロに近い(抵抗が大変小さい)ため、大電流が流れて、事故につながる。 2023年10月22日、午後5時頃から都営地下鉄大江戸線は全線で運転を見合わせ、23日午前4時頃に復旧作業が完了し、始発から平常通りの運行となった。東京都交通局によると、大江戸線の築地市場駅と勝どき駅の間で運転士から「線路内のケーブルから火花が出ている」と報告があり、保守係員が確認すると、出火はケーブルからではなく防水扉付近のゴム部分が発火した可能性があることが判明した。地絡による事故である。

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