計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

10

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

サージ(さーじ)

(surge) 電力を送っている送電線や変電所などで、落雷やスイッチの開閉などによって、瞬間的に過電圧(高電圧)、過電流(大電流)が発生する現象。落雷による場合を特に「雷サージ」と呼ぶ。サージが発生すると、契約している需要家(各家庭や工場など)に供給している商用電源 ラインや電話線を通じて、電子機器に過大電圧が印加して機器が損傷することもある。対策として電力系統には避雷針などが設けられている。多くのコンピュータを稼働させているデータセンタではUPSなどの保護装置で商用電源の過大電圧変動(や過大電流)を吸収する対策をしている。 サージによる高電圧をサージ電圧、流れる過電流をサージ電流と呼称する。サージ電圧は「ms(ミリ秒)レベルの時間、持続する高電圧」で、より短時間のμs(マイクロ秒)~ns(ナノ秒)の高電圧を「スパイク」と呼ぶ場合がある(この時間の定義は厳密ではない)。サージは不要なノイズと捉えられていて、電気機器が雷サージを受けたときの耐性を試験する雷サージ試験器がある。 短時間の大きな振幅の変動(時間的に鋭いパルス)をインパルスと呼び、サージに似ているが、インパルスはノイズだけではなく解析手法(インパルス応答など)にも使われる。

サービスブレーカ(さーびすぶれーか)

契約以上の電流が流れると自動的に電気が止まる仕組みになっている機器。分電盤の左側についているブレーカで、契約アンペアによって色が決められてる。別名:アンペアブレーカ。

再生可能エネルギー(さいせいかのうえねるぎー)

(renewable energy) CO2のような温室効果ガスを排出しない、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどによる発電のこと。略して「再生エネ」、「再エネ」などと表記される。「いくら消費しても再生されて枯渇しない、自然由来のエネルギー」という意味。 発電所の電源構成は、従来は発電所の種類である「火力、水力、原子力」の発電量の比率で明記されてきた。近年、これに再生エネが加わった。欧州の大国の例で示そう。ドイツは脱原発で太陽光や風力の発電比率が高い。逆に国際的な原子力発電所で有名な会社であるアレバが国有企業のフランスは原発の比率が高い。欧州は全体としては再生可能エネルギーが導入され、ゼロエミッションが進んでいるが、国によって電源構成が大きく異なる。日本も2012年7月に固定価格買取制度(改正FIT 法)が施行されて、太陽光発電の導入が進んだが、電源構成の比率ではまだ少ない。2020年8月に成立した菅政権は、ゼロエミッションを推進する方針で、再生可能エネルギーとして洋上風力発電の導入を推進する政策を12月に策定している。 2020年の方針転換が日本ではあったが、2022年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻で、世界中のエネルギー政策は一変した。上記のドイツはロシアからのガスパイプラインに電力発電を依存することに危機を感じ、廃止予定の火力発電所の中止を表明した。欧州や米国は原子力発電の新規導入に政策転換している。日本もLNGを高いお金で輸入して電力を賄っているが、不安定な発電システムである再生可能エネルギーは原発などの安定した発電所と共存する必要があり、2011年の東日本大震災以降、凍結されている原発の再稼働や新設が、(原子力反対というスローガンではなく)現実的なエネルギー安全保障として議論されることが期待される。

最大入力電力(さいだいにゅうりょくでんりょく)

一般に計測器に入力可能な電力のこと。計測用電源の老舗メーカ、高砂製作所の用語集では次のように解説している。電源機器の最大定格出力時における入力電圧と入力電流の積をいう。

サイバー攻撃(さいばーこうげき)

ネットワークを経由した、コンピュータへの攻撃。ネットワークが発達し、個々のコンピュータがつながり、企業の大事なデータが電子化されたことで、ネットワーク経由で企業の情報を盗むなどの犯罪が起きるようになった。ウイルスなどを使った攻撃は日々進化して、防御する側とのいたちごっこが続いている。計測器の技術商社である東洋テクニカは、情報通信システムソリューション部がセキュリティ関連製品を取り扱ってきたが、2016年11月にはじめての社内カンパニー“セキュリティー&ラボカンパニー(SLC)”を設立した。クラウドを使ったセキュリティーサービスの提供を推進している。インターネットの黎明〜普及期にIP負荷試験器、SmartBit(スマートビット)で名をはせたSpilent(スパイレント)社も現在はホワイトハッカーを抱えるセキュリティソフトの会社である(計測器としての負荷試験器は公共通信以外の分野で一部、残っている)。情報通信系の計測器メーカが異業種であるセキュリティー会社に変貌した例と言える。

差動増幅器(さどうぞうふくき)

2つの信号間の電位差を増幅する機器。

三角波(さんかくは)

(triangular wave) 数値が大きくなる傾きと小さくなる傾きが同じで、山のように頂点を持ち、三角形をした信号のこと。上昇時と下降時の傾きが違うと「のこぎり波」と呼ばれる。三角波やのこぎり波、方形波などの(正弦波を含む)各種の信号をつくれるのがファンクションジェネレータ(略記:FG)である(AWGでも可能)。 台風のときに海上では進行方向の異なる二つ以上の波が衝突して、波高が尖った三角形の波ができることがある(choppy sea、波立つ海)。これを三角波(さんかくなみ)と呼ぶ。電気の世界では「三角波」は「さんかくは」と呼んでいる。

3P-2P変換アダプタ(さんぴんにぴんへんかんあだぷた)

(3P-2P conversion adapter) 3Pの電源プラグを2Pの電源プラグ(一般家庭用コンセントの形状)に変換するもの。3P/2P変換アダプタ、2P-3P変換アダプタ、3P-2P変換プラグ、NEMAプラグなどの呼称(表記)もある。計測器などの精密機器はアース線がある3線(3芯)の電源ケーブルを採用している。商用電源の3ピンACコンセントにつないで計測器に電源供給することを想定している。ただし家庭のACコンセントは通常は2P(2穴)のため、計測器に付属している電源ケーブルの先を3Pから2Pに変換するアダプタが必要になる。 欧米などでは、一般家庭用の電圧が200V以上のことが多いため、感電防止の観点から、プラグに接地極を備えた3Pプラグの機器が普及している。日本は100Vのため、通常の家庭のACコンセントは2極(2穴)である。コンセントの3つ目の穴は、感電防止だけでなく電磁波を生む原因となる電場を抑えるために使われる。工場などのノイズが多い環境では機器に3Pで電源供給するのは基本となる。計測器を使う場合も2Pでなく3Pで使用することが望ましい。つまり、2PのACコンセントではなく3Pのコンセントが設備された場所(部屋)で使うことが推奨される。 企業のオフィスにPCが普及するのに伴い、ACコンセントは3Pが標準になった。IT機器用の電源タップ(電源の延長コード)も3P(アース線がある3穴)が多い。3P-2P変換アダプタはサンワサプライやamazonなどで販売している。

サンプリング(さんぷりんぐ)

(sampling) 入力信号を一定の周期で測定すること。連続信号(時間的に連続)をサンプリングすると、離散信号(時間的に”とびとび”の値)になる。下図はオシロスコープ(オシロ)の例。 自然界の現象も含めて、電気信号もアナログ値(連続した値)が多い。音や振動、温度の変化などは連続したアナログ値である。コンピュータは0と1の2種類のデジタル値(離散した値)しか扱えない。そこで計測器はサンプリングの手法によって測定データ(アナログ)をデジタルデータにしてメモリに格納している。別の言い方をすると、サンプリングはアナログーデジタル変換の手法である。連続したアナログ値をサンプリングレート(サンプリングする時間間隔)で間引いて、とびとびの値をデジタル値として取り出している。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)には次の解説がある。「サンプリング:入力信号の一部を多数の不連続の電気的な値に変換し、オシロスコープでストレージ、処理、また表示できるようにすること。リアルタイム・サンプリングと等価時間サンプリングの2つの方式がある。」 サンプリングされたデジタルデータから元のアナログデータを再生するには、元データの信号に含まれる周波数とサンプリング間隔の関係を示したサンプリング定理がある。速い信号を遅いサンプリング間隔でサンプリングしても正しいデータにはならないで、エリアシング(折返しひずみ)が発生する。オシロで測定する場合に、観測したい信号の周波数によって、オシロのサンプリング時間の設定を決めることは、使用者の初歩である。 sample(サンプル)は標本なので、サンプリングは標本化である。サンプリング定理は別名、標本化定理といわれる。物理や数学の世界では「標本化」だが、計測器の世界では「サンプリング」である。計測器のサンプリングはAD変換の手法で、「アナログ(連続)情報をある時間間隔で間引いてデジタルデータをつくること」と解釈され、標本をつくっているという感覚は無い。そのため標本化という表現はほとんどされず、サンプリングが、あたりなえの日本語のように使われる。 参考用語:サンプルレート、S/s、サンプリングオシロスコープ、積分型A/D変換器 参考記事:デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第2回)・・オシロの基本仕様としてサンプル・レートを説明。

S/s(さんぷるぱーせっく)

サンプリング(サンプル・レート)の単位の表記。1秒間に何個の数のデータをサンプリングするかの値。数が大きいほど高速なサンプリング。S/sのSは数のため、S/sの物理量は1/s(時間の逆数)、つまり周波数。デジタルオシロスコープの重要な仕様の1つ。「Sa/s」と表記されている例もあるが、「S/s」の表記が一般的。

  • 1