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- サージ(さーじ)
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(surge) 電力を送っている送電線や変電所などで、落雷やスイッチの開閉などによって、瞬間的に過電圧(高電圧)、過電流(大電流)が発生する現象。落雷による場合を特に「雷サージ」と呼ぶ。サージが発生すると、契約している需要家(各家庭や工場など)に供給している商用電源 ラインや電話線を通じて、電子機器に過大電圧が印加して機器が損傷することもある。対策として電力系統には避雷針などが設けられている。多くのコンピュータを稼働させているデータセンタではUPSなどの保護装置で商用電源の過大電圧変動(や過大電流)を吸収する対策をしている。 サージによる高電圧をサージ電圧、流れる過電流をサージ電流と呼称する。サージ電圧は「ms(ミリ秒)レベルの時間、持続する高電圧」で、より短時間のμs(マイクロ秒)~ns(ナノ秒)の高電圧を「スパイク」と呼ぶ場合がある(この時間の定義は厳密ではない)。サージは不要なノイズと捉えられていて、電気機器が雷サージを受けたときの耐性を試験する雷サージ試験器がある。 短時間の大きな振幅の変動(時間的に鋭いパルス)をインパルスと呼び、サージに似ているが、インパルスはノイズだけではなく解析手法(インパルス応答など)にも使われる。
- サービスブレーカ(さーびすぶれーか)
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契約以上の電流が流れると自動的に電気が止まる仕組みになっている機器。分電盤の左側についているブレーカで、契約アンペアによって色が決められてる。別名:アンペアブレーカ。
- 再生可能エネルギー(さいせいかのうえねるぎー)
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(renewable energy) CO2のような温室効果ガスを排出しない、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどによる発電のこと。略して「再生エネ」、「再エネ」などと表記される。「いくら消費しても再生されて枯渇しない、自然由来のエネルギー」という意味。 発電所の電源構成は、従来は発電所の種類である「火力、水力、原子力」の発電量の比率で明記されてきた。近年、これに再生エネが加わった。欧州の大国の例で示そう。ドイツは脱原発で太陽光や風力の発電比率が高い。逆に国際的な原子力発電所で有名な会社であるアレバが国有企業のフランスは原発の比率が高い。欧州は全体としては再生可能エネルギーが導入され、ゼロエミッションが進んでいるが、国によって電源構成が大きく異なる。日本も2012年7月に固定価格買取制度(改正FIT 法)が施行されて、太陽光発電の導入が進んだが、電源構成の比率ではまだ少ない。2020年8月に成立した菅政権は、ゼロエミッションを推進する方針で、再生可能エネルギーとして洋上風力発電の導入を推進する政策を12月に策定している。 2020年の方針転換が日本ではあったが、2022年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻で、世界中のエネルギー政策は一変した。上記のドイツはロシアからのガスパイプラインに電力発電を依存することに危機を感じ、廃止予定の火力発電所の中止を表明した。欧州や米国は原子力発電の新規導入に政策転換している。日本もLNGを高いお金で輸入して電力を賄っているが、不安定な発電システムである再生可能エネルギーは原発などの安定した発電所と共存する必要があり、2011年の東日本大震災以降、凍結されている原発の再稼働や新設が、(原子力反対というスローガンではなく)現実的なエネルギー安全保障として議論されることが期待される。
- 最大入力電力(さいだいにゅうりょくでんりょく)
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一般に計測器に入力可能な電力のこと。計測用電源の老舗メーカ、高砂製作所の用語集では次のように解説している。電源機器の最大定格出力時における入力電圧と入力電流の積をいう。
- サイバー攻撃(さいばーこうげき)
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ネットワークを経由した、コンピュータへの攻撃。ネットワークが発達し、個々のコンピュータがつながり、企業の大事なデータが電子化されたことで、ネットワーク経由で企業の情報を盗むなどの犯罪が起きるようになった。ウイルスなどを使った攻撃は日々進化して、防御する側とのいたちごっこが続いている。計測器の技術商社である東洋テクニカは、情報通信システムソリューション部がセキュリティ関連製品を取り扱ってきたが、2016年11月にはじめての社内カンパニー“セキュリティー&ラボカンパニー(SLC)”を設立した。クラウドを使ったセキュリティーサービスの提供を推進している。インターネットの黎明〜普及期にIP負荷試験器、SmartBit(スマートビット)で名をはせたSpilent(スパイレント)社も現在はホワイトハッカーを抱えるセキュリティソフトの会社である(計測器としての負荷試験器は公共通信以外の分野で一部、残っている)。情報通信系の計測器メーカが異業種であるセキュリティー会社に変貌した例と言える。
- 差動増幅器(さどうぞうふくき)
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2つの信号間の電位差を増幅する機器。
- 三角波(さんかくは)
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(triangular wave) 数値が大きくなる傾きと小さくなる傾きが同じで、山のように頂点を持ち、三角形をした信号のこと。上昇時と下降時の傾きが違うと「のこぎり波」と呼ばれる。三角波やのこぎり波、方形波などの(正弦波を含む)各種の信号をつくれるのがファンクションジェネレータ(略記:FG)である(AWGでも可能)。 台風のときに海上では進行方向の異なる二つ以上の波が衝突して、波高が尖った三角形の波ができることがある(choppy sea、波立つ海)。これを三角波(さんかくなみ)と呼ぶ。電気の世界では「三角波」は「さんかくは」と呼んでいる。
- 3P-2P変換アダプタ(さんぴんにぴんへんかんあだぷた)
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(3P-2P conversion adapter) 3Pの電源プラグを2Pの電源プラグ(一般家庭用コンセントの形状)に変換するもの。3P/2P変換アダプタ、2P-3P変換アダプタ、3P-2P変換プラグ、NEMAプラグなどの呼称(表記)もある。計測器などの精密機器はアース線がある3線(3芯)の電源ケーブルを採用している。商用電源の3ピンACコンセントにつないで計測器に電源供給することを想定している。ただし家庭のACコンセントは通常は2P(2穴)のため、計測器に付属している電源ケーブルの先を3Pから2Pに変換するアダプタが必要になる。 欧米などでは、一般家庭用の電圧が200V以上のことが多いため、感電防止の観点から、プラグに接地極を備えた3Pプラグの機器が普及している。日本は100Vのため、通常の家庭のACコンセントは2極(2穴)である。コンセントの3つ目の穴は、感電防止だけでなく電磁波を生む原因となる電場を抑えるために使われる。工場などのノイズが多い環境では機器に3Pで電源供給するのは基本となる。計測器を使う場合も2Pでなく3Pで使用することが望ましい。つまり、2PのACコンセントではなく3Pのコンセントが設備された場所(部屋)で使うことが推奨される。 企業のオフィスにPCが普及するのに伴い、ACコンセントは3Pが標準になった。IT機器用の電源タップ(電源の延長コード)も3P(アース線がある3穴)が多い。3P-2P変換アダプタはサンワサプライやamazonなどで販売している。
- サンプリング(さんぷりんぐ)
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(sampling) 入力信号を一定の周期で測定すること。連続信号(時間的に連続)をサンプリングすると、離散信号(時間的に”とびとび”の値)になる。下図はオシロスコープ(オシロ)の例。 自然界の現象も含めて、電気信号もアナログ値(連続した値)が多い。音や振動、温度の変化などは連続したアナログ値である。コンピュータは0と1の2種類のデジタル値(離散した値)しか扱えない。そこで計測器はサンプリングの手法によって測定データ(アナログ)をデジタルデータにしてメモリに格納している。別の言い方をすると、サンプリングはアナログーデジタル変換の手法である。連続したアナログ値をサンプリングレート(サンプリングする時間間隔)で間引いて、とびとびの値をデジタル値として取り出している。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)には次の解説がある。「サンプリング:入力信号の一部を多数の不連続の電気的な値に変換し、オシロスコープでストレージ、処理、また表示できるようにすること。リアルタイム・サンプリングと等価時間サンプリングの2つの方式がある。」 サンプリングされたデジタルデータから元のアナログデータを再生するには、元データの信号に含まれる周波数とサンプリング間隔の関係を示したサンプリング定理がある。速い信号を遅いサンプリング間隔でサンプリングしても正しいデータにはならないで、エリアシング(折返しひずみ)が発生する。オシロで測定する場合に、観測したい信号の周波数によって、オシロのサンプリング時間の設定を決めることは、使用者の初歩である。 sample(サンプル)は標本なので、サンプリングは標本化である。サンプリング定理は別名、標本化定理といわれる。物理や数学の世界では「標本化」だが、計測器の世界では「サンプリング」である。計測器のサンプリングはAD変換の手法で、「アナログ(連続)情報をある時間間隔で間引いてデジタルデータをつくること」と解釈され、標本をつくっているという感覚は無い。そのため標本化という表現はほとんどされず、サンプリングが、あたりなえの日本語のように使われる。 参考用語:サンプルレート、S/s、サンプリングオシロスコープ、積分型A/D変換器 参考記事:デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第2回)・・オシロの基本仕様としてサンプル・レートを説明。
- S/s(さんぷるぱーせっく)
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サンプリング(サンプル・レート)の単位の表記。1秒間に何個の数のデータをサンプリングするかの値。数が大きいほど高速なサンプリング。S/sのSは数のため、S/sの物理量は1/s(時間の逆数)、つまり周波数。デジタルオシロスコープの重要な仕様の1つ。「Sa/s」と表記されている例もあるが、「S/s」の表記が一般的。
- サーバ(さーば)
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(server) コンピュータ・IT機器の関連用語。ネットワーク関連の通信計測器でもたびたび使われる用語。ネットワーク経由で計測器と通信する時や、テレビ・オーディオ測定器などで、「サーバ」が品名にあるモデルもある。 英語を和訳すると「提供する側(もの)」。利用者の要求に対して、それに応答したデータを提供するコンピュータやプログラムのことをサーバ(またはサーバー)と呼ぶ。「ネットワーク上のコンピュータの中で、他のコンピュータから要求や指示を受け、情報や処理結果を返す役割を持つコンピュータ」である。利用者や他のコンピュータは、クライアント(client、元々は広告代理店に広告をだす依頼主。customer顧客とほぼ同意)と呼ばれる。そのため「クライアント/サーバ」システムや「クライアント/サーバ」方式という用語がある。サーバはservice(サービス)と語源が同じで、「何かをサービスするもの」ということで命名されたことば。「クライアントにサービスを提供するコンピュータ」といえる。 serveは「仕える」なので、「クライアントの要求に応じてデータを与えるもの(仕えるもの)」という意味にserver(サーバ)はうけとれる。本来は供給者(supplier、サプライヤ)や提供者(provider、プロバイダ)に近い立場なのだが、「master(マスタ、主人)が使っているのがservant(サーバント、使用人)」なので、サーバは雇われて使われる側とも理解される。クライアントはコンピュータとは限らず、各端末(会社で各人が使っているOAパソコンなど)のことも多い。すると、「クライアント/サーバ」とは中央で制御しているコンピュータ(サーバ)よりも各端末の方が主人(マスタ)であるような命名である。中央のコンピュータが端末の要求に応じてデータを提供するしもべ(下僕)である、というのがクライアントに対するサーバの身分(立ち位置)に思えてくる(サーバという名称から想像が膨らむ、筆者のイメージ)。 もう1つ、コンピュータ用語には、マスタ/スレーブがある。制御機器をマスタ、各端末(デバイス)をスレーブという。slaveは日本語では「奴隷」である。この命名では、古代の王国で、主人が奴隷を使ったように、コンピュータと端末の関係を命名している。クライアント/サーバとは真逆の名称(イメージ)といえる。マスタとスレーブという関係はネットワークに繋がるノード(各端末、デバイス)の関係を示すことばとして使われている。クライアント/サーバとは違う定義である。 2000年代に企業内にLANが整備され、インターネットが普及すると、サーバやルータということばが使われ始めた。サーバはLANのコンピュータ、ルータはインターネットでデータを送る経路を決める(ルーティングする)機器(コンピュータ)、という解釈(イメージ)で広まった。なので、LANはクライアント/サーバシステムである(マスタ/スレーブ方式という説明も多くされる)。現在ではサーバとルータの区別(機能やサービス)は曖昧になっている。「サーバはユーザ(クライアント)が存在を意識する装置、ルータはユーザがその存在を意識する必要の無い装置」、という概念的な定義がある。元々サーバとはサービス提供者という意味の概念である。 サーバとは以下のような説明もできる。 ・インターネットやLANなどのネットワーク上で、PCにさまざまな機能やサービスを提供するコンピュータ ・コンピュータネットワークでサービスや情報などをユーザ(サービスの要求者)に提供する役割を持つハードウェアやソフトウェア。 ・端末(パソコンやスマホなど)からの要求に応じて処理を実行するプログラムやコンピュータ。ホームページを格納しているWebサーバ、メールを処理するメールサーバ、データを格納しているデータサーバ、映像関連のコンテンツを供給するビデオサーバなど。 つまり、サーバとはコンピュータ(ハードウェア)とは限らず、IT機器の機能の名称(概念)なのである。いまやIT機器の普及、通信ネットワークの発展で、「サーバ」は身近なことばになり、その意味は拡大しているように筆者は感じる。「ウイルス攻撃が海外のサーバを経由しているので、発信元が特定できない」という会話は、コンピュータシステムのセキュリティの現場では日常的なものである。
- サチる(さちる)
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飽和して、上限に達している様子を表すことば。「飽和する」、「いっぱいになる」、「限界に達する」、「最大の状態になる」、「頭打ちでそれ以上伸びない」、などを意味する日本語のスラング。 「飽和」を表す英語のsaturation(サチュレーション)を略して、日本語の動作を示す「~る」と組み合わせた造語。「サチる」は理工系の技術者が使い始めたことば。電気のエンジニアは出力電圧が限界値になり、それ以上大きくならないときに「電圧がサチる」、「サチっている」といって、英語の「飽和」の発音から借用して、「値が頭打ちになっている様」を表現する。アンプ(増幅器)が「サチる」と出力信号はそれ以上大きくならない。 電気の技術者は、周波数特性をf特と呼称するが、これも英語のfrequencyと日本語の「特性」から一部を取って合体した俗語である。 電気エンジニアでなくとも、検索エンジン「Google(グーグル)」で検索することを「ググる」というのと同じように、「サチる」は電気エンジニアの基礎用語と筆者は思っていたが、ネットやXで「おじさんビジネス用語」として取り上げられていることに驚いた。筆者は還暦を過ぎた立派なおじさんだが、いまの若いエンジニアは「サチる」とはいわないらしい。それならば、いまどきの若いエンジニアの俗語は何なのか知りたいところである。エンジニアの俗語は教養や知性の一端を示すおしゃれであると思う。
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