計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ガードバンド(がーどばんど)

(guard band) 測定の不確かさに相当する幅のこと。校正用標準器の代表メーカ、フルークキャリブレーションのセミナーでは「校正結果の適合性と不確かさの関わりについての考え方」と解説している。

カーネル(かーねる)

(kernel)オペレーティングシステム(OS)の基本機能を担うソフトウェアのこと。ハードディスクやメモリなどコンピュータの資源(リソース)管理や、アプリケーションの実行の許可などを行う。ハードウェアとソフトウェア(アプリケーションなど)の連携を管理しているといえる。

カーボンニュートラル(かーぼんにゅーとらる)

(carbon neutral)翻訳すると「炭素中立」。最近はやりの環境用語で、炭素排出量を削減する取り組み。参考用語ゼロエミッション

カーボンフットプリント(かーぼんふっとぷりんと)

(Carbon Footprint of Products)商品 やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至る、ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに表示するしくみ。略記:CFP。(経済産業省HPより)参考用語:ゼロエミッション、カーボンニュートラル

回生(かいせい)

機器で発生する余剰エネルギーを電気に変換して再利用すること。大容量の計測用電源や電子負荷装置で近年、回生機能のある機種が増えている。発熱が少なく、計測器が省エネ、省スペースになることが機種が増えている理由である。菊水電子工業の製品総合カタログ2019年版の用語集には次のような説明がある。通常、電子機器では機器内部で発熱があり、ファンなどで冷却している。このエネルギーを熱に変えず、電力に変え、商用電力線に返す機能を回生という。

ガウス分布(がうすぶんぷ)

(gaussian distribution)滑らかな山型の曲線のこと。統計学で使う代表的な確率分布。中央の山の山頂付近に多くのデータがあり、平均値と中央値(中央の山頂)が一致し、平均値を中心に左右対称になっている。別名:正規分布(normal distribution)。曲線のことをガウス関数ともいう。自然界の現象の多くがガウス分布している。ガウス関数(曲線)を使ったフィルタを通すことを正規化という。ガウスは18~19世紀のドイツの科学者、ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウスに由来する。ガウスがガウス分布を初めて提唱したわけではないが、電磁気学などではガウスの名前がついた理論が他にもある。参考用語:ガウスメータ

過温度保護(かおんどほご)

機器が規定の温度以上に上昇した時に、これを検知して電源を停止させる機能。計測器にも搭載されている機能。高砂製作所の用語集には次の記載がある。電源装置内部が何らかの原因で規定温度に達した場合、保護のため停止する機能。

確度(かくど)

(accuracy) JIS(日本産業規格)の「計測用語」では「指定された条件における誤差限界で表した計測器の精度」と定義している。以下に、2つの計測器メーカの解説を紹介する。 ひずみ測定器メーカの株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」には「確度:指定された条件における誤差の限界値。表示値または測定範囲に対するパーセンテージ(%rdgまたは%FS)で表す。rdg=reading(表示値)、FS=Full Scale(測定範囲)」とある。 絶縁抵抗計などの現場用のハンドヘルド(可搬型)モデルをラインアップする共立電気計器株式会社の用語集では確度の表記方法を次のように説明している。デジタルタイプの計測器の確度は、標準状態で測定値と真値の差を規定したもので次の様に表示する。「±A%rdg±Bdgt」。確度の第1項(±A%)は読み値に対する誤差で、入力の大きさに比例し単位は%で表す。第2項(±B)は入力によらない一定の値の誤差であることを示し、表示のディジット数で表す。rdgはreadingの略で読み取り値を表し、dgtはdigitの略で数字を表す。デジタル表示の最小桁を数字で表し、おもにデジタル測定器の誤差要因を表す。 上記の東京測器研究所の解説はアナログの指示計器の確度について示唆している。一般的にアナログ表示の指示計器(文字盤の上を針が振れて止まった場所の数値が測定値となる)はフルスケールで確度(誤差)を規定している場合が多い(0.5級や1.0級など)。また共立電気計器はデジタル表示の場合の確度について説明している。このように計測器がアナログ式(指示型)とデジタル表示では確度の規定が異なる。 確度とは一般に「確かさの度合い」を意味する。計測器の技術用語ではなく、ビジネスの世界では「引き合いの受注の確かさ」をいう。確度が高いとは「商品やサービスの注文してくれる確率が高い」こと、逆に低いとは「見込み客が購入する可能性が低い」ことである。 確度に似たことばに「精度」(precision)がある。これは「精密さ、正確さの度合い」である。精度は「再現性の尺度。複数回の値のばらつきの小ささ」、 確度(accuracy)は「真の値に近い値の尺度」という説明もある。ただし、校正の分野で最近よく使われる不確かさ(uncertainty)は「測定値のばらつき度合いの尺度」で、ことばは確度に近いが、内容は精度に近い。精度と確度の明確な違いは、説明が難しい。

核燃料サイクル(かくねんりょうさいくる)

原子力発電(原発)で使い終えた燃料から、核分裂していないウランや新たに生まれたプルトニウムなどをエネルギー資源として回収し、再び原発の燃料に使う仕組み(一般財団法人日本原子力文化財団HPより)。日本原燃株式会社(JNFL:Japan Nuclear Fuel Limited)が青森県六ヶ所村建設した再処理施設がその中心を担っている。施設には各電力会社の原発部署から出向した技術者がいる。また、東芝、日立、三菱重工をはじめとする原発関連メーカも事務所を置いている。資源を外国に頼る日本で原発を運営していく仕組みとして考えられたが、成果は予定通りには出ず、その是非については議論がある。ただし原発を運用する有効な手段の1つとして諸外国からも関心が高い。2021年9月の自民党総裁選挙では各候補の政策論争の1つに取り上げられている。原子力発電の保守・運用には現場用の可搬型の計測器を中心に多くのモデルが使われる。

カスケード接続(かすけーどせつぞく)

(Cascading connection、Cascade connection) ネットワークでスター型の集線装置「であるハブを2つ繋いで、多段にして、接続できるノードを増やすこと。別名:多段接続。 トランジスタやFET、真空管で使われるカスコード接続(縦続接続)とは単語が似ているが全く違う。

画像センサ(がぞうせんさ)

(image sensor) デジタルカメラなどで写真撮影するときに画像を取り込むセンサ。最近は日本語でも「イメージセンサ」という表記が多くなった。「画像センサー」や「イメージセンサ―」という記述もある。 現在はCMOS (シーモス、Complementary Metal-Oxide Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)のことをさすことが多い。CMOSの市場シェアは日本のソニーグループが約45%でトップ。以下、サムスン電子(韓)約20%、オムニビジョン(米)12%、オン・セミコンダクター(米)約4%(テクノ・システム・リサーチ、2020年金額予想)。 ソニーは古くからデバイス事業をしていて、映像素子の事業は世界No1を堅持している。デバイスメーカであるソニーセミコンダクタソリューションズは毎年、新しい技術の発表をするなど、ソニーは半導体や映像の世界的な展示会で毎年、話題になる存在である。

形名(かためい)

(model number) メーカが商品を特定するための番号(文字列)。呼び方はメーカによって型名、型番、品番、型式など様々なので、「モデル番号」というのが無難かもしれない。PCで「かためい」を漢字変換すると型名になるので、「型名」の方が一般的と思われがちだが両者の頻度はほぼ拮抗している。たとえば代表的な計測器メーカの横河電機や安藤電気は「形名」。型を使うのは「型番」「型式」も多い。形名の命名方法は各メーカ独自だが、大体2通り。 1つは番号の羅列で、使う番号が無くなると桁数を増やすやり方。HP(現キーサイト・テクノロジー)が代表で、たとえばデジタルマルチメータの34461Aやネットワークアナライザの8753Dなど。形名の末尾には必ず「A」を付け、改良(大きな性能変更を伴うバージョンアップ)があるとB、C・・と形名を更新するのが同社のやり方(一部例外はある)。同社の旧モデルは機種群によって形名に法則性があり番号を見ただけで機種群や基本仕様がだいだい想像できたが、(番号の枯渇からか)近年は頭にアルファベット1文字を付けている。RF 製品はEやN、安価な基本測定器はUやBだが、その命名法則は不透明で形名から機種群を推測できなくなった(筆者は、同社の年配の営業マンに確認したことがあるが、社員でも法則はわからないらしい)。 2つめはアルファベット(英文字)2文字(か3文字)と数字4文字(4文字以外も時々ある)のケース(アルファベットと数字の間に「-」やブランクがある場合もある)。アルファベットは大文字の事が多く、アンリツのMS2690Aシグナルアナライザ、日置電機のIR4051絶縁抵抗計、リオンのUV-15振動計など。国産メーカは前述のキーサイト・テクノロジーのように数字だけの形名が多かったが、(数字だけだと何かわかりにくいので)頭2文字に機種群が想像しやすいようなアルファベット2文字を付ける形名に変更する傾向がある。たとえば日置電機のIRはInsulation Resistance(絶縁抵抗)の略、エヌエフ回路設計ブロックのWF1974ファンクションジェネレータ(FG)は同社のFGの通称(ニックネーム)であるWaveFactory(ウエーブファクトリー)を略したWFを頭に付けている。 形名のつけ方はメーカの自由だが例外として各メーカ共通の法則が、日本の電源と最近のオシロスコープ(オシロ)にある。たとえばテクトロニクスのオシロスコープMSO3054の05は500MHz、4は4chを表し、ほとんど世界中のオシロの形名の末尾3桁は周波数帯域と入力チャネルを示す。菊水電子工業のPMC18-3は18V/3A仕様で、数字が電圧/電流レンジを表すのは他の国内電源メーカもほぼ同様。キーサイト・テクノロジーの電源形名がこの法則に従えば日本での売上は増える、という笑い話がある。 アンリツの形名の頭は計測事業部門の製品はM、旧電話機事業部門の製品はE(例:EF111Aコールシミュレータ)。2文字目はカテゴリー(機種群)の略でスペアナはS、信号発生器はジェネレータのGである。パワーメータは2文字目がLだが、光通信製品という区分がないので、形名からは光パワーメータ(たとえばML9001A)とRFパワーメータ(たとえばML2437A )は判別できない。同じ電電ファミリーだった競合の通信計測器メーカである安藤電気(現横河計測)の形名はAXyyyyという書式で、Xは機種群を規定する英文字(大文字)で、yyyyは数字である。光通信製品は「AQ2140光マルチメータ」のように、2文字目がQなので、光であることが形名だけで(品名がなくても)一目瞭然である。

過渡現象(かとげんしょう)

(transient phenomena) ある定常状態から別の定常状態に移るまでの現象(電圧・電流などの時間的な変化)。電流や電圧が安定ではなく不安定な期間が過渡で、この時の現象(電圧や電流などの振る舞い)を過渡現象と呼ぶ。電気回路にコイル、コンデンサがあると起こる。過渡現象は過渡応答とも呼ばれる。 コンデンサ(静電容量)が充電や放電をするときは過渡期間である。回路のスイッチをONにして電圧を印加する(電流を流す)とコンデンサの両端の電圧が規定の電圧になるには、短時間ながら時間がかかる。CR回路(抵抗RとコンデンサCが直列接続した回路)に電池をつなぐと、コンデンサには瞬時に電圧が蓄えられるわけではなく、ある時間をかけて電圧が規定値に達する。この所要時間はRC(秒)で、これを時定数と呼ぶ。 電気工学の基礎理論で、「過渡現象」だけで1冊の解説書があり、工学系の学校では、電気・電子工学の科目に「過渡現象」がある。 「過渡現象:電源では、出力のON/OFFなどで状況が急変した場合に、一定期間LCR成分などの関係で独特の電圧と電流の乱れが生じる現象(計測用電源メーカ、高砂製作所の用語解説より)。 英語のtransientは「一時的な」という意味で、日本語では「単発」や「過渡」という熟語が使われる。計測器の名称にも「過渡」や「トランジェント」を使うモデルがある。障害試験器にはファストトランジェントバーストジェネレータという品名のモデルがある。

カンチレバー(かんちればー)

(cantilever)片端が固定で、反対の端が自由な構造体。プールの飛び込み板のような構造。梁、橋などの建築物で使われる用語だが、その機械的な構造は電気・電子分野でも利用されている。たとえば振動の発生や測定など。

感電(かんでん)

電気製品の誤った使用や漏電・落雷などにより人体に電流が流れ、傷害を受けること。

感度(かんど)

(sensitivity) 規定された条件での入力に対する出力(電圧、電流、表示値など)(株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」より)。計測器によって定義が違う特徴的な2例を以下に述べる。 絶縁抵抗計(メガー)、接地抵抗計などの現場用の小型測定器を世界120国に輸出している共立電気計器株式会社の用語集には次のようにある。「感度:測定器が測定量の変化に感ずる度合いで、指示値の変化とその変化を生じさせた測定量の変化との比で表す。感度=指示値の変化/測定量の変化。」これは針が振れて止まった場所の値(指示値)を読んだ、アナログ式の現場測定器の感度の定義である。測定値の変化にどれだけ正確に針が追従して測定値を示す(指示値)ことができるがが感度である、と定義している。 別の測定器では次のような解説がある。「感度:スペクトラム・アナライザ(スペアナ)の表示で、最も狭い測定可能な周波数バンド幅。RBW(分解能帯域幅)により、2つの隣接した信号成分を識別する能力が決まる。(テクトロニクス、2009年10月発行、「リアルタイム・スペクトル解析のすべて」より)」。つまりスペアナでは大変近い周波数(隣接チャネル)を識別して検出できる度合のことを感度といっている。 メガーとスペアナでは感度の解説がまったく違う。共立電気のいう「指示値の変化/測定量の変化」は比率で、(電圧や抵抗値などであるが)単位はない(無次元)。スペアナの感度は周波数である。計測器はおのおの測定原理があり、測定する物理量が異なる。測定のやり方、測定値の読み方、測定上の注意点もそれぞれ異なり、何を「感度」と定義するかも違う。デジタルマルチメータ(DMM)とオシロスコープでは「分解能」の定義がまったく違うのもそのためである。感度、分解能、などの大変一般的で、一見簡単そうな単語は、計測器によって固有の定義があり、計測用語としては簡単ではないという、絶好の例といえる。

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