計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ALD(えーえるでぃー)

(Atomic Layer Deposition) 真空を利用して、一層ずつ原子を堆積する成膜技術。

AC(えーしー)

(Alternating Current) 日本語では「交流」だが、「AC100V」や「100Vac」のような表記が各所でされていて、ACはもはや日本語といえる。大手計測器メーカ、テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「AC:電流と電圧が時間とともに変化する信号。オシロスコープの用語としては、信号カップリング(入力カップリング)の種類を表すときなどに使用する。」と説明されている。 発電所から送電される電気(商用電源)はACである(交流での送電は世界標準)。家庭のACコンセントからは(日本では)周波数50Hzか60Hzの交流電力が得られる。通常の電気・電子機器はDC(直流)で動作するので、ACからDCに変換するACアダプタ(AC-DCコンバータ)が使われる。近年、直流での送電(HVDC、高電圧直流送電/高圧直流送電、High Voltage Direct Current)が研究されている。交流送電より直流送電のほうが電力ロスが少ないため、データセンターなどに省エネ目的で導入されている。

ACアダプタ(えーしーあだぷた)

(AC adapter) 100Vの交流電圧を6Vや9Vなどの直流電圧に変換する機器。基本的に電子機器は直流(DC)で動作する(DC駆動)。携帯電話やノートパソコンを動作させるためのAC-DCコンバータ(コンセントからの交流を直流に変換する機器)をACアダプタと呼ぶ。ACアダプタは、変圧器(交流100V→交流の低電圧へ変える)と整流器(交流→直流に変える)で構成される。アダプタは2つの物をつなぐ機能の機器を指す。DC駆動する電子機器を「AC(コンセント)につなぐ物」という意味である。

AGV(えーじーぶい)

(Automatic Guided Vehicle)日本語では「 無人搬送車」。床面に磁気テープなどを敷設し、発生した磁気により誘導されて無人走行する搬送用台車のこと。搬送機器が有名な「株式会社ダイフク」は物流システムの世界トップメーカーである。

エージング(えーじんぐ)

(aging、ageing)「エイジング」とも表記され、「経時」(時を経る)という意味。 一般には動物が歳をとる(老化する)ことを指すが、計測の用語としては「電気製品(特に新品)は安定動作するまで一定時間、動作させること」の意味。計測器を電源投入して稼働させてから30分程度そのままにしておくことをエージングと称している(計測器に限らず電気製品全般にそう呼ばれている)。エンジンを稼働状態にしておいて、すぐに自動車などがベストな状態で走り出せるように「温めておく」ことも、エージングの1種かもしれない。 エージングの元の意味は年齢を重ねること(加齢)だが、人の場合は転じて「老化」を意味している。老化に抵抗・対抗するのがアンチエージングである。折り返しひずみであるエリアシング(aliasing、エリアジングとも呼称)を防止することをアンチエリアシングといい、高い周波数をカットするLPF(ローパスフィルタ)をアンチエリアシング・フィルタと呼んでいる。アンチエイジングとアンチエリアジングは発音が似ているので聞き間違いやすい。

ADAS(えーだす)

(Advanced drive-assistance system) 先進運転支援システム 。自動車の電動化に伴って検討されている自動運転の技術の1つ。

ADコンバータ(えーでぃーこんばーた)

(Analog-Digital converter) 連続的に変化するアナログ信号を有限の2値(あるいは多値)のデジタル信号に変換する電子回路(電子部品)のこと。表記は様々ある。A/Dコンバータ、A-Dコンバータ、ADC、A/D変換器、AD変換器など。 ADコンバータはデジタルオシロスコープ(オシロ)の心臓部である。デジタルオシロは1970年代に開発されたが、1980年代に高速ADコンバータが普及したことによって一気に広まった。1999年にテクトロニクスが発売したTDS3000シリーズはデジタルオシロの1つの完成形で、長らくデファクトとして使用された(余談だが、TDSは「テクトロ・デジタル・スコープ」の略という話がある)。 2000年代には、測定の機能を半導体デバイスが担うなど、オシロ機能のワンチップ化が進んだことにより、新興国メーカが汎用オシロ市場に参入し、価格破壊を起こした。オシロは、汎用オシロの低価格化と、高額な高帯域オシロ(高速オシロ)という2極化が進んだ。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「A/Dコンバータ:デジタル電子部品で、電気信号を離散2進値に変換するもの」とある。 参考記事:デジタルオシロスコープの基礎と概要 ・・オシロの歴史の中で、高速A/D変換器を搭載した初期のデジタルオシロの紹介がある。

ADC(えーでぃーし)

(Analog Digital Converter)アナログをデジタルに変換する「ADコンバータ」の略記。交流ー直流変換器は「AC-DCコンバータ」と記載し、「ADC」や「ADコン」という記載はしない。電圧の昇降をするDC-DCコンバータは「DDコン」と略記されている。アナログ-デジタルと、交流-直流は略記が混同されやすい。株式会社アドバンテストの計測器の一部機種群を引き継いだ株式会社エーディーシー(ADC CORPORATION)は会社の略称を「ADCMT」としている。そのため、ADCはエーディーシー社のことをささない(略記ではない)。

ADCMT(えーでぃーしーえむてぃー)

計測器の老舗であったアドバンテストが古くからつくってきた機種群(RF製品以外の主に低周波の製品)を引き継いだ株式会社エーディーシー(ADC CORPORATION)の略称。同社HPの会社概要には、ADCMTが「正式な会社の略称である」ことが明記されている。同社の企業ロゴは「ADCMT」を青字でデザインしている。エーディーシー社を「ADC」と記載するのは正確ではない。ADCではなくADCMTにした理由は同社の以下の沿革にあると推定される。1971年、タケダ理研工業の全額出資の子会社「タケダシステム」として発足。1993年、社名を「株式会社アドバンテスト エーディー」(略称ADC)に変更。2003年、アドバンテストからMBO方式により独立し、社名を「株式会社エーディーシー」(略称ADCMT)に変更。2007年、自社ブランド「ADCMT」での販売を開始。余談だが、「ADC」はA/Dコンバータの略記として使われていることが散見される。

A/D変換器(えーでぃーへんかんき)

(Analog/Digital converter) アナログ/デジタル変換器の略記。AD変換器やA-D変換器、ADコンバータ、ADCなど複数の表現(表記)をされる。 コンピュータに代表される、現在の主要な電子機器はデジタルで処理を行っている。ところが自然界の物理現象などはアナログである。また電子回路でもアナログで処理をすることが適しているものも多い。アナログとデジタルは適材適所である。そのため、アナログをデジタルに変換する機器(電子部品)は大変重要で、多くの電気機器に使われている。計測器の主流はデジタル表示のモデルで、オシロスコープもマルチメータもほとんどデジタルである。アナログの物理現象をサンプリングしてデジタルデータにするのがA/D変換器のため、メーカや種類は豊富で、花形の電子部品の1つである。 オシロスコープの分解能(電圧の測定精度)はA/D変換器の性能で決まっている。

exclusive契約(えくすくるーしぶけいやく)

メーカAが販売店Bに、ある地域内(たとえば日本など)での製品販売権を独占的に与える契約を指す。この場合、B社は「A社(特定の製品の場合もある)の総代理店」と呼ばれ、日本国内ではB社経由で購入するしかない。B社以外にも販売会社(2次店)が存在する場合も多いが、それらの会社はすべてB社から購入して転売している。 exclusiveは「排他的な」、「独占的な」の意味。論理回路(論理演算)のXOR(eXclusive OR)は「排他的論理和」と呼ばれる。XORは2つの入力のうち片方のみが(2進数の)1であるときだけ出力が1となり、両方1や両方0の場合は0となる。このように理工系(学問)ではexclusiveは「排他的」だが、ビジネス(契約)では「独占的」という意味に使われる。 筆者はメーカの駆け出し営業時代に、国内営業部の先輩に同行して、計測器の輸入商社に訪問したことがある。先輩は販路拡大のために「自社製品を海外で販売できないか」と相談した。商社の営業マンは「エクスクルーシブか?」と聞いたが、先輩は良く意味が分からずに「そうだ」と答えてしまった。商社が輸出を想定している国には、すでに会社の海外営業部が販売を行っていたので、この商社に独占販売権を与えることなどできない。後でexclusiveの意味を知った先輩は商社に平謝りだった。 このように輸出入では独占販売権のことをexclusiveと呼ぶ。一般に国内販売の営業マンは知らない用語だが、(計測器に限らず)海外営業部では常識(基礎)のことば(表現)である。

SI単位(えすあいたんい)

(International System of Units) 国際単位系の別名。SI単位系やSI単位、SIなどと呼ばれる。SI単位系とは、1960年の国際度量衡総会(メートル条約加盟国の国際会議)で決議された単位系。フランス語の国際単位系「Système International d'unités」の頭2文字を略記している。 物理量の単位はなるべくSI単位を使うことが世界的に進み、2000年頃に計測器の単位表示が従来のものからSI単位表示に変わった計測器がある。たとえば気圧の単位はbar(バール)からPa(パスカル)になった。圧力計(マノメータ)の製品カタログには「SI単位対応」という記述があった。従来から使い慣れた単位であるbarが変更になるときには、このように計測器メーカはユーザに告知をした。「古いbar表示の製品は○○までに注文を受けた場合が最後の生産です」、などの説明をメーカの営業が当時していた。

SIer(えすあいやー)

システム開発を請け負う企業のこと。英語ではSystem Integrator(システムインテグレータ)だが、これを略したSIに-er(~する人、~すること)を付けた和製英語。 通信機器の普及や、IT技術の日進月歩によって、いまやIT機器は多くの企業の基幹業務を担っているが、社内には「ITに精通し、ノウハウを持つエンジニア」が存在せず、システムの設計や運営を自社では十分に行えない企業が多い。そのため、顧客(クライアント)の要望に応じて、ソフトウェアの設計から運用、コンサルティングに至る様々な仕事を請け負うSI(システムインテグレータ)という職種(企業)が現れた。 SIerの代表的な企業は、富士通、IBM、NTTデータなどだが、業界は大手、下請け、孫請け、派遣などがあり、大手~中堅~零細で構成される典型的なピラミッド構造をしている。2020年頃から導入され、2023年には不具合が続出しているマイナバーカードのSIerは富士通である(不具合の原因が同社か否かは、まったく不明、不透明である)。 上記のような大きなシステムの設計を請け負う企業から、組込みシステムのソフトウェアの設計をする会社まで、SIerは様々である。

SMA(えすえむえー)

(Sub Miniature Type A) 高周波で使われるコネクタ。和訳すると「超小型のタイプA」。RFなどの無線通信で使われるN型コネクタより上限周波数が高い(~22GHz)のでマイクロ波の機器に使われる。3.5mmコネクタと互換性があり安価なために有線通信の計測器でも良く使われる。SMAコネクタは同軸コネクタで、SMAケーブルはスペクトラムアナライザやネットワークアナライザなどでも接続用の同軸ケーブルとして使われている。 SMB(超小型のタイプB)もあり、こちらはプリント基板に実装されることが多い。SMAと同じく高周波の通信に使われる。

SVC(えすぶいしー)

(Static Var Compensator) 電気工学の電力分野の用語としては「無効電力補償装置」のこと。重電メーカが作っている受変電設備の1つ。変電所から需要家(工場や家庭などの電気のユーザ)までの配電線の電圧降下を補い、電圧を一定に保つ機能を担う。コンピュータのOSや、画像圧縮の分野でもSVCという用語がある。

xEV(えっくすいーぶい)

電動車(EV:electric vehicle)の総称。HEVやPHEV、FCEVなどを総称してxEVと略記する。

エッジAI(えっじえーあい)

(edge AI)携帯電話などのエッジデバイスでAI処理を行い、クラウドとの通信を減らし、有限な無線リソースを最適に使うという発想(取組み)。AIは主にネットワークにつながったコンピュータに導入されているが、エッジデバイスから全ての情報をコンピュータに送るのではなく、エッジに搭載されたAIで必要な解析を行い、最低限の必要なデータをアップロードしてネットワークのトラフィックを軽減する、という仕組み。 5Gの普及に伴いNTTやauなどのキャリア各社は、単一のネットワークインフラを仮想的に分割し(スライシング)、多様なニーズや用途に応じたサービスを提供できるように、ネットワークスライシングを進めている。ソフトバンクはエッジAIを、最適な無線環境構築の有効な一手として検討している。たとえばエッジAIカメラの携帯電話への実装などである。「ソフトバンクとコニカミノルタ、AIやIoTを活用した映像・画像解析領域で戦略的協業に合意~ニーズや用途に応じて最適なAIモデルやデバイスを利用可能に~」(2022年4月7日、ソフトバンクHPのプレスリリースより)。

HEV(えっちいーぶい)

(Hybrid Electric Vehicle)ハイブリッド電気自動車。HVという表記もある。xEVと呼称される、電動車の1種。参考記事:電動化システムの主要技術と規制動向~進展するxEVの現状と今後・・・記事の後半で各種のxEVについて解説。 参考記事:電動化の進展~カーボンニュートラルに向けた動向・・・テクノフロンティア2021で展示された中国の格安EV、「宏光EV mini」についてレポート。

HMD(えっちえむでぃー)

(Head Mounted Display)頭部装着ディスプレイ。両眼に覆いかぶせるように装着する、ゴーグルやヘルメットの形をしているものが多い。バーチャルリアリティ(仮想空間)やゲームなどで普及した。

HDD(えっちでぃーでぃー)

(Hard Disk Drive)パソコンやテレビの記憶媒体として普及した記憶装置。それまでのテープによる記録に対して、HDDはディスク(お皿)にヘッドを当てるので書込み・読出しが格段に速くなった。PCにつなぐ外部記憶装置として普及したが、現在はSSDに置き換わろうとしている。計測器にも内部メモリとして採用された。ただし衝撃による故障リスクがあり、データレコーダなどの一部の計測器には採用されなかった。屋外で使用することが多いデータレコーダは記憶媒体としてのテープが生産中止となったこともあり主要計測器2社(SONYの関連会社とTEAC)が生産中止した。ところが10年のブランクをおいてTEACはSSDなどの新しい記憶媒体の採用でデータレコーダの新製品を発売した。