計測関連用語集

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バイトオーダー(ばいとおーだー)

(byte order)2バイト以上のデータを転送するときの「バイト単位で見たときのデータの並び順」。orderは順番なので、「バイトの順番」という意味。別名:エンディアン。ICEのトップベンダーだったソフィアシステムズ(現Sohwa&Sophia Technologies)の用語集では次のように説明されている。エンディアン/バイトオーダー:多バイトの数値をメモリ中へ格納する方式を言う。CPUのアーキテクチャにより以下の2種類の方式がある。ビッグエンディアン(big endian)は0123hの値を格納するとき、01hを1byte目に、続いて23hを2byte目に格納する方式。フリースケール・セミコンダクタのCPUはこのアーキテクチャーを使っている。リトルエンディアン( little endian)は逆に23hを1byte目に、01hを2byte目に格納する方式。インテルのCPUに代表されるアーキテクチャである。

バス(ばす)

(bus) コンピュータ用語で、情報や信号の通り道、周辺機器とのインタフェースをさすことば。バスとは英語で乗合自動車のことで、いわゆる「路線バス」のバスだが、プリント基板内の複数本で構成される信号線路や、複数の機器が信号線を共有してデータを交換する構造を「バス」と呼んでいる。そのため、自動車のバスと語源は同じ。半導体内部や、外部のチップ間の伝送線路をバスということが多い。具体的には半導体チップ内部の回路間を結ぶ内部バス、マイクロプロセッサ(MPU)とRAMなどの周辺回路を結ぶ外部バス、拡張スロットに接続された拡張カードとコンピュータ本体を結ぶ拡張バスなどがある。「データバス」という呼び方もある。ネットワークトポロジーでバスを通じて複数の機器(ノード)が接続される配線構造はバス型と呼ばれる。

80系(はちまるけい)

1971年に世界初のマイクロコプロセッサ4004(4ビット)を出荷したインテルは、1974年には8ビットの8080を発売した。以降、8085、8086、8088など頭が80で始まるCPUをつくった。これらインテルのCPUと、8080の設計スタッフがザイログでつくった8ビットCPUの普及モデルZ80を、80系CPUと呼ぶ。8086(16ビット)を元にして、末尾が86で終わる80286(16ビット)、80386(32ビット)、80486(32ビット)が開発され、さらにPentium(ペンテイアム)と続く。8086~80486は末尾が86なので86系CPUと称される。80系と86系を合わせて「インテルの80系」、と呼称している場合もある(どちらも頭が80で始まるため)。どちらにせよインテル80系はモトローラの68系CPUと1980年代~1990年代にかけて競った。 80486の後がPentiumであることからわかる通り、インテルのCPUはパソコン用として広く普及した。ザイログのZ80も1980年頃のパーソナルコンピュータに広く採用されていた。計測器も1970年代からマイコン化が始まり、各計測器メーカはCPU内蔵、7セグメントLED表示のモデルを次々と発売した。採用するCPUは80系、68系が用途によって使い分けられていた。マイコン開発支援ツールであるICEも各社から発売され、当時の高額なフルICEは、各メーカの売上に貢献した。1980年代~1990年代のICEは計測器全体の販売額の中で大きなシェアのカテゴリーの1つだった。

86系(はちろくけい)

インテルのマイクロコプロセッサで末尾が86のCPUの総称。別名、86系プロセッサ、やx86系アーキティクチャなどと呼ばれる。80系の16ビットCPUである8086を元にインテルは1982年に80186、80286を、1985年に80386(32ビット)、1989年に80486と発売した。これらを総称して86系CPUといい、当時のパーソナルコンピュータに広く採用されたCPUである。86系はモトローラの68系CPUと1980年代~1990年代にかけて競った。86系vs68系という比較が当時は良くされていた。32ビットの80386や80486は高性能だが、計測器であるICE(CPUを使った組込みシステムのソフトウェア/ハードウェア開発を支援するツール)も高性能が要求された。ユーザのターゲットによってはICEが正常に動作しない、ということもあった。マイクロプロセッサと開発環境が高機能化していく黎明・普及期のことである。1990年代後半には、数多くいたICEメーカは整理されていき、2000年代のJTAGなどのオンチップエミュレータの時代となり、2020年代のICEメーカは2000年以前とは様変わりしている。

パッチ(ぱっち)

Patch(着物のはぎれ、小さな布)。コンピュータのプログラムの一部を修正してバグを取り除くこと。根本的なプログラム変更ではなく、発見されたバグを直すためだけのつぎはぎの修正。「パッチを当てる」という言い方をする。不具合のある箇所(着物のほつれや穴など)を小さな布で隠して、とりあえず正常に機能するようにしたたとえ。

PCMCIA(ぴーしーえむしーあいえー)

(Personal Computer Memory Card International Association)1990年代のICE全盛期には、ICEとノートパソコンの接続に使われたインタフェース。PCMCIAカードにはフラッシュメモリカードやSCSIカードなどがあった。PCMCIA規格にはTypeI、TypeII、TypeIIIなどがあった。

PICマイコン(ぴっくまいこん)

米国のMicrochip Technology Inc.(マイクロチップテクノロジー社)の超小型マイクロコントローラ。PICはPeripheral Interface Controllerの略。PICはCPU、メモリ(RAM/ROM)、I/Oなどが1チップに収められたワンチップマイコンで、ROMに格納されたプログラムで動作する。通常、マイクロプロセッサの端子はバスだが、このICはI/Oポートになっている。そのため小型の電子機器への組込みや、メインCPUの補助などに便利である。安価で、回路構成が容易なため、個人の電子工作(企業が作る商品ではなく、アマチュアの趣味)では人気がある。

ファームウェア(ふぁーむうえあ)

(firmware) 一般にハードウェアとソフトウェアを比較すると、ハードウェアは(ソフトウェアに比べて)処理が速いが変更はしずらく、ソフトウェアはハードウェアほど速くないが変更が容易である。設計時に、ある機能をどう作りこむか(ハードウェアとソフトウェアのどちらで実現するか)ということは両者の長短を勘案して決定される。本来ハードウェアで実現するような機能をソフトウェアでつくりこんでいるものをファームウェアと呼ぶ。 電気機器の設計部門の技術者に「担当は何ですか?」と聞いて「ファームです」と答えたら、この技術者はソフトウェアの開発をしているのでICE(マイコン開発支援装置)を使う可能性があるが、ハードウェアにも関係しているのでオシロスコープやプロトコルアナライザのようなハードウェア設計者が使う測定器も使う可能性がある。技術者はファームウェアを略して、ファームと呼称している。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では次のように解説している。「ファームウェア:ハードウェアの基本的な制御を行うために機器に組み込まれたソフトウェア。機器に固定的に搭載されほとんど変更されないことから、ハードウェアとソフトウェアの中間的な存在としてファームウェアと呼ばれている。機器に内蔵されたROMやフラッシュに記憶されている。パソコンのBIOSもファームウェアの一種である。機能の追加や不具合の修正のため、後から変更できるようになっているものもある。」

フェッチ(ふぇっち)

(fetch)CPUがメモリにアクセスして、命令コードやデータを取り出してくる動作のこと。CPUの命令実行で最初に行われる動作で「命令の読出し」。fechは「取ってくる」、「連れてくる」という意味。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」フェッチから始まるCPUの基本動作についての解説がある。

フルICE(ふるあいす)

(full ICE)オンチップエミュレータではないICE(In Circuit Emulator)のこと。別名:フルエミュレータ。ターゲットのプロセッサ(CPU)が実装される箇所からケーブルでICEに回路を引き込み(In Circuit)、ICEに実装したCPUと、メモリに格納したソフトウェアで、ターゲットのハードウェアを含めて動作が正常かを確認(Emulation)する。多くの機能があるのでフルの機能があるICE。その後JTAG(ジェイタグ)など、CPUの多くが内部にデバッグ機能を搭載するようになり、これを利用した簡易(フル機能ではない)ICE(JTAG ICEなど)をオンチップエミュレータと呼んだ。ターゲットにCPUを実装した状態(On Chip)でデバッグを行う。そして従来ICEはフルICEと呼ばれるようになった(オンチップエミュレータの出現まではICEはすべてフルICEなのでこの言葉は無かった)。初めてのCPUを採用時にはオンチップエミュレータでは機能不足で、フルICEが使われることも多いが、現在は主要なICEメーカはフルICEを作っていない(ICEの主流はオンチップエミュレータ)。ICEのトップベンダーだったソフィアシステムズ(現Sohwa&Sophia Technologies)の用語集には以下の説明がある。フルICEとは、一般的にエミュレーションメモリリアルタイムトレース機能がサポートされている高機能インサーキットエミュレータを言う。そもそもICEはフルICEを指す。ICEはCPUベンダーから供給されるICE専用エバチップを利用するものや実CPUの機能を使ったタイプがある。フルICEは、ユーザボード上のCPUを外してその代わりにプローブ(CPUが内蔵されたもの)を挿して実CPUが動作しているエミュレート環境を作り、それによりCPUのリアルタイムなエミュレートが可能となる。外部メモリ(ROM、RAM等)を代替するエミュレーションメモリ機能があり、プログラムのダウンロード変更等が容易にできる。特に外部バス情報をリアルタイムに検証するリアルタイムトレース機能は、プログラムデバッグに欠かせないもので、探すのが難しいバグを瞬時に発見することも可能で、フルICEの最も大きな長所と言える。開発初期段階の周辺デバイスとのインタフェースの整合性を調べたり、デバイスドライバー作成時の不具合発見などに有効。「フル・インサーキットエミュレータ(full In Circuit Emulator)」という呼び方もされる。

フルエミュレータ(ふるえみゅれーた)

ICEの1種で、フルの機能があるエミュレータというネーミング。簡易デバッグインターフェースであるJTAGなどのオンチップデバッグ機能が1990年代にマイクロプロセッサ(MPU/CPU)に標準化され、2000年代以降はその機能を使ったオンチップエミュレータがICEの主流になった。そのため、オンチップエミュレータではない、それ以前のICEを(機能が限定されず)フルの機能があるICEとして、フルエミュレータやフルICEと呼ぶようになった。つまり、元々ICEはフルエミュレータだったが、オンチップエミュレータの出現によって、2000年頃からフルエミュレータという言葉が誕生した。

PROICE(ぷろあいす)

1990年代にあったICEメーカ岩崎技研のICE製品の名称。

プロセッサ(ぷろせっさ)

(processor)マイクロプロセッサ(microprocessor)のことを略してプロセッサと呼ぶ。

BASIC(べーしっく)

プログラミング言語の1つ。Beginner's All-purpose Symbolic Instruction Codeの頭文字を取った造語。1964年に米国のダートマス大学で開発された。日本では1970年代後半のパーソナルコンピューターに良く使われた。たとえばシャープ「MZ-80K」(1978年発売)、NEC「PC-8001」(1979年発売)、富士通「FM-8」(1981年発売)などがBASICを採用していたので、理工系の学生を中心にBASICでプログラムを作成することが普及した。初級者には勉強しやすい言語で、後にC言語など他のプログラム言語を理解するための基礎学習となった。マイクロソフトはBASICの進化系であるVisual BASICを開発した。

マイクロコンピュータ(まいくろこんぴゅーた)

(microcomputer)マイクロプロセッサ(MPU/CPU)を使用した小型のコンピュータシステム。「大変小さい(micro)コンピュータ」、とでもいうネーミング。MPUとメモリなどで構成され、プリント基板上につくられる。最近の電気機器はほとんどマイクロコンピュータを内蔵している。また、1つのIC(Integrated Circuit)で基本動作を完結できるワンチップマイクプロセッサのことを指していることもある。たとえば自動車の主要装置であるECU(Electronic Control Unit、自動車内の各システムを制御する装置)に内蔵されているマイクロプロセッサを、マイクロコンピュータやマイクロコントローラ(micro controller)と呼称している。マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラはみな、「マイコン」と略称される。たとえばマイクロコンピュータで動作する電気機器を開発するのに使う計測器(評価ツール)であるICE(エミュレータ、デバッガー)は、「マイコン開発支援装置」という呼称がある。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」。マイクロコンピュータの構造と動作原理を解説。

マイクロプロセッサ(まいくろぷろせっさ)

(microprocessor)コンピュータで、演算・制御などの機能を1つの半導体チップに集積したもの。CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)などのコンピュータの心臓部にあたる半導体チップのこと。略記:MPU。別名:マイコン。現在ではCPUとほぼ同義に使われている。マイクロプロセッサ(MPU/CPU)を動作させるソフトウェアの開発に使われる計測器がマイコン開発支援装置、別名:ICE(In Circuit Emulator、アイス)である。今やマイクロプロセッサはほとんどの電子機器に組込まれているため、「組込みマイコン」や「組込みシステム 」という言い方もされる。

マイコン(まいこん)

2つの意味がある。 1.マイクロコンピュータ(microcomputer)の略で、マイクロプロセッサ(MPU)を使用したコンピュータのこと。現在のパソコンは、黎明期にはマイコンと呼ばれていた時代がある(8ビットのパーソナルコンピュータが世の中に出た頃はマイコンと呼ばれていた。マイクロプロセッサを利用した個人用小型コンピュータを指してマイクロコンピュータ、略してマイコン)。 2.マイクロプロセッサやマイクロコントローラ(Microcontroller、MCU:Micro Control Unit)の略で、組込みシステム向けのICチップのこと。 マイコンとマイクロプロセッサは異なる、という説明もあるが、どちらもCPUを搭載したコンピュータで、分類としてCPUと呼称されることも多いため、違いの定義は難しい。2つのことばは以下のように説明される。 ・マイコン(Micro Controller Unitの略、MCU):CPUを搭載し、メモリなどを一つのチップにまとめたもの(1チップマイコンとも呼ばれる)。 ・マイクロプロセッサ(Micro Processor Unitの略、MPU):CPUそのもの、またはCPUの機能をチップに集積したもの。グラフィックスプロセッサ(GPU)など、特定の処理に特化したものもある。 マイクロプロセッサを使った組込みシステムの開発に使う計測器であるICE(In Circuit Emulator、アイス)は「マイコン開発支援装置」と呼ばれる(マイクロプロセッサ開発支援装置とは呼ばれない)。ここでいうマイコンとは「マイクロプロセッサを使った機器」の意味だが、「マイクロプロセッサの略」という説明も可能である。 マイコンの正式名称は次の3つとも説明できる。 1.マイクロコンピュータ(Microcomputer)・・コンピュータ製品 2.マイクロコントローラ(Microcontroller)・・組込み製品の部品 3.マイ・コンピュータ(My computer)・・個人のコンピュータ(過去の呼称で、現在ではパソコン) マイコンを計算する物と捉えると、1のようにコンピュータ製品と解釈できる。ハードウェアを制御して製品機能を実現する物と捉えると、2のように組込み製品の一部分と解釈できる。組込み製品の部分という意味で、マイクロコントローラユニット(Micro Controller Unit、略記:MCU)という呼称になる。 総括すると、マイコンとマイクロプロセッサはほぼ同義で、使われる場面や文脈によって使い分けられているといえる。自動車に搭載されるマイクロプロセッサを車載マイコンと呼んでいる。文献によってはマイクロコントローラ、マイクロコンピュータなど様々な表現がされる(以下の参考記事を参照)。

マシン語(ましんご)

(machine language)マイクロコンピュータ(マイコン、CPU)を動かすソフトウェアに関連する用語。マイクロプロセッサが実行できる命令が書かれた言語。実態は0と1が並んだ2進数の文字列。別名:機械語。

MultiSTAC(まるちすたっく)

ICEのトップメーカだったソフィアシステムズ(現株式会社Sohwa&Sophia Technologies)のフルICE製品の名称(1982年発売)。1996年にはUniSTACというJTAG ICE製品も発売している。

マルチタスキング(まるちたすきんぐ)

(multi tasking)1つのCPUで複数のプログラム(タスク)をあたかも同時に実行している様に実行させること。あたかもと書いたのは、現実にはCPUは同時には一つのプログラムしか実行できない(平行実行できる命令がある時は平行実行するCPUもあるが)ので、OS等のプログラム処理にて一定時間毎にプログラム実行を切り替えて平行処理に近いように実行させている。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)