計測関連用語集

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Typhoon HIL(たいふーんひる)

パワーエレクトロニクス関連の大手メーカであるMywayプラスが販売しているHILS。汎用HILSは多くのメーカがつくっているが、パワエレに特化した(パワエレ技術者向けの)HILS(たとえば自動車向けのHILSはエー・アンド・デイやdSPACEがつくっている)。 Typhoon HILは米国のHILS専業メーカの会社名だが、Mywayプラスは製品名にしている。2017年頃に日本の販売店を探していたTyphoon HIL社は、東京都立大学の清水先生の紹介でMywayプラスと契約した。同社がパワエレ用の回路シミュレータ PSIM(ピーシム)で大きな実績があったことが紹介の背景にあると推測される。同社が取り扱いを開始した2017年と、数年の販売実績を経た2つの展示会取材(以下)を比較すると面白い。 Mywayプラスの事業は大きく3つあり、開発ツール(PSIMや、モデルベース開発のツールであるTyphoon HILなど)、試験用電源・バッテリ充放電試験システム(電力回生型双方向電源のAPL2やpCUBEなど)、モータやインバータの評価システム(インバータエミュレータ pMOTION、リアクトル評価装置、モータエミュレータ)である。

TRON(とろん)

(The Real-time Operating system Nucleus) 東京大学の坂村健教授が提唱したリアルタイムOS仕様のコンピュータ・アーキテクチャ。1980年代からプロジェクトが始まり、いくつかの商品(CPUなど)が製造され、国内の機器に採用された。日本独自のOS、CPUだったが、PCのOSがMicrosoft(マイクロソフト)のWindowsに独占され、一太郎や花子がexcelやwordに凌駕されたように、市場に広まることはなかった。インテルやマイクロソフトに対抗できる国産品としてプロジェクトは注目されたが、なかなか普及しなかった。 ITRON(Industrial TRON、アイトロン)は、組込みOS、リアルタイムOSカーネルの仕様で、2000年代までの3G携帯電話(ガラケー)には良く使われた。その後はデジカメやプリンタなどの情報機器に採用が広がった。TRONはソースコードを公開するなどオープンで、Windowsの権利で巨万の富を築いたビル・ゲイツとは違う方針である。情報処理系OSでは普及しなかったが、組込みシステム用のOSとして採用が進み、世界シェア60%となった(トロンフォーラムの「2019年度組み込みシステムにおけるリアルタイムOSの利用動向に関するアンケート調査報告書」)。IoTなどの普及もオープンソースなTRONの普及に追い風となった。 電気・通信の分野で世界最大の標準規格策定団体であるIEEE(米国電気電子学会)はTRONがembedded市場で業界標準であると認識し、トロンフォーラム(会長:坂村氏)にTRONの著作権譲渡を求めた。坂村氏は2019年8月、TRONの最新版「マイクロTカーネル2.0」の著作権をIEEEに譲渡する(両者が著作権を共有する)契約書にサインした。組込み機器では「既定の時間内でタスクが完了するリアルタイムOS(RTOS)でなければならない(Windouwsなど多くのOSはそのような制約はない)」という坂村博士の先見的な考えが、世界標準の国産OSとなった。

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