計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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デイジーチェイン(でいじーちぇいん)

(daisy chain) ネットワークトポロジー(配線の構造)で、機器(ノード)を数珠繋ぎにする形態。他の種類にはバス型、スター型、リング型などがある。種類の中で最も低コストだが、冗長性が低く、耐障害性が最も低い。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では、ICE関連の例を次のように解説している。 複数の周辺デバイスやICを鎖のチェーンのように接続する様子を示す。SCSIやJTAGのデイジーチェーン接続が良く用語として出てくる。ここでは、JTAGのチェーンの事を説明する。複数のCPUのJTAGは、信号をチェーン接続する事ができる。よって、例えば、ARM CPUとSH4 CPU等をデイジーチェーン接続する事は、物理的には可能である。ただし、CPUのICE用のJTAG機能により、チェーン接続でデバッグできるのは、1つのCPUだけの場合もあるので、回路をチェーン接続できるように構成する前にそれぞれのICEメーカに確認した方がよい。参考記事:車載ネットワークの歴史と規格概要~CANからLIN、FlexRay、CAN FDまで・・ネットワークトポロジーの例が図解されている。

ディセーブル(でぃせーぶる)

(disable) 「機械を動かなくさせる」という意味で用いる。良く使う意味では、割り込みのディセーブル=割り込み禁止、信号入力のディセーブル=信号入力の禁止等がある(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)。 不用意に話しかけて、その人の指向が集中できなくさせることをdisturb(ディスターブ)と表現する(「乱す」、「妨げる」という意味)。dis-は「させない」という意味があるので、able(できる)の反対で、disableは「無効にする」という意味である。「割り込みディセーブル」は「割り込み無効→割り込み禁止」である。 ディセーブルは組込みシステムの開発・デバッグで活躍した開発支援装置で良く使われた用語である。

データバス(でーたばす)

(data bus)CPUが命令語をフェッチする際や、データをアクセスする際に使う一塊の信号線を示す。データバスのビット数は、一度に転送できるデータの量を表すものである。CPUのデータバスのビット数が多いほど性能が高いCPUだと言える。近年、マルチメディア系のデータ処理用CPUは128ビットか、それ以上のデータバス幅を持ち、高性能化を図っている。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)参考用語:バス

テキサス・インスツルメンツ(てきさすいんすつるめんつ)

(Texas Instruments Inc.) 1950年に世界初のシリコン型トランジスタを製品化した老舗半導体デバイスメーカ。インテル、フェアチャイルドなどと半導体黎明期に名を馳せた。本社は米国 テキサス州ダラス。業界ではTIの略称で呼ばれる。1958年にTIの研究者ジャック・キルビーが発明したICは基本特許になっている。1980年代に日本の半導体デバイスメーカはキルビー特許で訴訟になった(日米半導体摩擦の時代の話)。 同社ホームページには「TIの事業:アナログチップと組込みプロセッシングチップの設計、製造、テスト、販売」とある。つまり、いまは創業時のような業態ではない。アナログ半導体ではアナログ・デバイセズが競合で、組込みマイコンの関連製品としてICEをつくっていた(現在はICEではなく回路設計ツール)。DSPもラインアップしている。(以下の計測器情報には、TIのDPSのICEの製品例がある。) TSMCの創設者、モリス・チャン(Morris Chang、張忠謀)は1960年頃に当時急成長していたTIに就職し、エンジニアリング部門のマネージャをしている。2023年に米国で発行され話題となり、日本でも翻訳されたChip War(半導体戦争)にはTIの元会長パトリック・ハガティや、露光の工程を開発したTIの技術者ジェイ・ラスロップなどが登場する。 TIは2000年9月にバーブラウン社(米国)を買収、2011年9月にナショナル セミコンダクター社(米国、略称:ナショセミ)を合併(※)。両社ともにアナログ半導体メーカで、アナログ・デバイセズ同様にTIもM&Aでこの分野を強化した。現在のアナログ半導体は、アナログ・デバイセズとTIが大手2社である。 米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月に「2023年の世界半導体メーカ別売上ランキング」を発表した。TIは10位で、トップ10に入るデバイスメーカである(アナログ・デバイセズはトップ10外)。 (※)技術者のRobert Page Burr(ロバート・ページ・バー)とThomas R. Brown Jr.(トーマス・R・ブラウンJr.)は1956年にBurr-Brown社を設立。オーディオがアナログからデジタルになると性能の良いADコンバータを開発し、デジタルオーディオの先駆者といわれる。National Semiconductor社も技術者(8人)が1959年に創業。両社ともにアナログ半導体をラインアップし、1980~1990年代に筆者の回りにいた電子回路設計者は2社の半導体データブックを見て電子部品を選んでいた。余談だが、筆者の友人(電気工学専攻)はNational Semiconductorを「松下電器の半導体」と思っていた。確かに「ナショナルの半導体」は松下電器の半導体部門に思える。nationalは「国家の」、「国民の」という意味である。

デバッガ(でばっが)

(debugger)ICE(In Circuit Emulator、アイス)の別称。「デバッグをするもの」、という意味。ICEの機能やアプリケーションソフトウェアを指していることもある。マイコン(マイクロプロセッサ、CPU)を使った組込みシステムの開発・デバッグを行なう測定器。開発支援装置や、マイコン開発支援装置などいくつもの呼称がある。表記は「デバッガー」もある。

デバッグ(でばっぐ)

(debug)バグ(虫。間違いの意味)を修正して正常な動作をするように直すこと。主に組込みシステムのソフトウエア開発で使われる用語。そのため、ICEのことをデバッガ(デバッグすること、する機器)と呼ぶ。

デバッグステーション(でばっぐすてーしょん)

安藤電気のICE(開発支援装置)の品名。形名AE-4132B、AE-4133がある。マイクロプロセッサ(MPU/CPU)が普及しはじめた1980年初頭から、同社は早くからマイコンテスタなどのICE関連製品に注力していた。当時NECや日立製作所などの大手家電・情報通信メーカは半導体デバイスメーカでもあり、安藤電気はNECのグループ会社として、NECが発売する新しいCPUチップに対応したROMライタなどを製品化している。当時の日本の基幹通信網(NTT)は従来のアナログの電話網(銅線のケーブル)を流用し、一部基幹部分を光通信にしていたが、交換機は重要な装置であった(インターネット時代のルータはまだない)。交換機は膨大なソフトウェア、ファームウェアによっていて、新しいCPUが導入されると、そのデバッグのために(そのCPUに対応した)たくさんのICEが使用された。AE-4132B/4133はNECの交換機事業部門向けに大きな売上があった。後年フルICEと呼ばれるスタンドアロン型で、本体(外観はデスクトップPC)からフレキシブルケーブルでCPU専用のオプション(ポッドと呼ばれる箱)につなぎ、その先をターゲット(デバッグしたい装置のCPU基板)につないだ。ポッドとターゲットの距離は長さ制限があり、ポッドはなるべくターゲットの近距離にあることが必要だった。交換機は大型の装置のため、ポッドに紐を付けて、適当な箇所に括り付けて、ICE本体につなぎ、デバッグ作業が行われた。安藤電気と同じく、NECの資本が入っているアンリツもV40、V50、V60などのNECのマイクロプロセッサに対応したICEを発売していた。汎用CPUとしてはインテルの80系(8080,8085、80286,80386など)とモトローラの68系(68000シリーズ)などの海外製品が有名だが、NECはそれらのサードパーティーではなく独自のCPU製品群を開発し、販売していた。現在は大手家電・情報通信機器メーカはCPUからは撤退し、国産のCPUはない。安藤電気など計測器メーカもICEから撤退している。

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