計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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三相4線式(さんそうよんせんしき)

電力会社から電気を引込む方式の1つで、三相電力の配線方法には4線式と、三相3線式がある。三相4線はその名の通り4本の配線でつなぐ。電圧はAC240Vや460Vなどで、建物は大型ビル、工場店舗(一般家庭ではない)、用途は電灯や、モータ、ポンプのような工業用電気装置である。参考用語:単相2線式、単相3線式

サンプルレート(さんぷるれーと)

(sample rate) 測定値をA/D変換回路が1秒間に感知する回数。「サンプリングレート」とも呼ばれる。サンプリングとは、電気信号の波形を一定間隔でデジタルデータにすること。最近の測定器はほとんどデジタル化されていて、測定した連続値(アナログ)をサンプリング周波数ごとに読んでA/D変換器でデジタル値にし、表示したり、メモリに記録している。測定器のカテゴリーやモデルによってサンプルレートの値は大きく異なる。 デジタルオシロスコープ(オシロ)ではサンプルレートは周波数帯域と並ぶ2大仕様で、測定器前面の形名の横に「周波数帯域」と「サンプルレート」が並んで表記されている製品もある。オシロではサンプルレートを「S/s」(サンプル・パー・セック、つまり1秒あたりのサンプリング数)の表記をするので、単位は秒(時間)の逆数である周波数となる。そのためオシロでは「サンプルレート」のことを「サンプリング周波数」ともいう。サンプリングの値は速い・遅いと表現するので、「サンプリング・スピード」という記載例もある。オシロのサンプルレートは周波数帯域の1桁以上、上である(例えば周波数帯域:100MHz、サンプルレート:2GS/sなど)。 デジタルマルチメータ(DMM)のサンプルレートは数〜10回/秒程度。現場用の可搬型測定器を多くラインアップしている共立電気計器の用語集には「サンプルレートは一般的には2~3回/秒程度」と記載されている。つまり同社のDMMは2~3回/s(つまり0.3秒~0.5秒間隔)でサンプリングを行い、表示部に測定値を表示している。別の言い方をすれば、0.3~0.5秒間隔で測定している(測定値を更新している)といえる。 単位の表記は一般には「S/s」が多いが、「Sa/s」のときもある。抵抗の単位Ωの逆数(電気の流れやすさ)や導電率をコンダクタンスというが、その単位はsiemens(ジーメンス)で、「S」と表記する。Sだとジーメンスと同じなので「Sa」と書いて「サンプル」であることを示す、という配慮かもしれない。 参考記事:オシロスコープの基礎と概要(第2回)・・オシロの主要な仕様に中でサンプルレートの解説がある。

指示計器(しじけいき)

測定した量を指示する計器。計測器では電圧計、電力計、体重計など各種ある。指針が目盛盤上を動き、止まった位置を読み取るアナログ計器と、直接数字で表すデジタル計器がある。指針が指している値が測定値なので「指示値」と呼ばれる。通常は指示計器というと、目盛と指針で値を示すアナログ式を指していることが多い。たとえば10A(レンジ)の電流計は、電流の大きさに応じて指針が振れて、10Aのときに、最大目盛を指針が指すようになっている。

指示値(しじち)

アナログ表示の計測器の測定値のこと。測定値を指示した値。アナログ表示の測定器とはメータ式の表示のこと。文字盤の上を針が動いて、測定値の場所で針が止まる。「針が指示している値」という意味あいで、電気計器では良く使われる表現である。 計測器に限らず、アナログのメータ(アナログ式の表示器)では「指示値」という表現が使われる。たとえば「パネルメータ」などと呼称されているアナログ表示のメータは受変電装置などの電機機器や、設置型の圧力計器など、広範に使用されている。オーディオ機器や音響スタジオの設備ではアナログ式の表示(メータ)であるVUメータが今でも多く使われている。 デジタル全盛時代だが、表示は針が振れるアナログ式が、見た瞬間におおよその値を把握できるので、人間にはデジタル表示よりもアナログ表示が優れている場合がある。たとえば現場測定器の代表であるハンドヘルドの絶縁抵抗計は、いまだにデジタル表示よりもアナログ表示が多い。

シャント抵抗(しゃんとていこう)

(shunt resistor) 電流検出を目的として電気回路で使う抵抗。電流を電圧に変換する精密抵抗。 shuntは「待避する」、「脇へそらす」の意味で、元は電流計に並列に入れた抵抗の事だった。(アナログ式の針が振れる)指示計器の電流計で、指示範囲を拡大する目的で使う。この場合のシャント抵抗は「分流器」である。 回路に直列に接続した精密抵抗(シャント抵抗)に電流を流し、抵抗両端の電圧降下から電圧を算出するのが「抵抗方式の電流-電圧変換」で、デジタルマルチメータ(DMM)はこの方式を採用している(バードン電圧)。電流を電圧に変換する方式には他にフォトダイオードの電圧検出に使われるTIA(トランスインピーダンスアンプ)方式もある。 (並列挿入による分流器としてではなく、)直列接続のシャント抵抗は、抵抗両端の電位差(電圧降下)を検出し、オームの法則から電流値を算出(測定)する、という電流検出を目的に使われることも多い。 参考記事:デジタルマルチメータの基礎と概要 (第3回) 「DMM測定機能と確度仕様」 ・・シャント抵抗による電流測定を概説。

摺動抵抗(しゅうどうていこう)

(sliding resistance) 最も一般的な可変抵抗器の1つ。銅やニッケルなどの抵抗線で温度による抵抗値変動の少ないものを絶縁物に巻いたものをつくり、その巻き線に接触したレバーが動く構造をしている。摺動(しゅうどう)とは滑らせて動かすことで、レバーが動くと電気が流れる抵抗線の長さが変わり、抵抗値が変わる仕組み。別名:すべり抵抗器ともいう。英語から「スライド抵抗」や「スライド抵抗器」という品名のメーカもある。ダイヤルを回して出力電圧を可変するスライダックも摺動式である。摺動抵抗の抵抗値はレバーの位置の微調整によってアナログ的に変化するが、ダイヤル式でデジタルな抵抗値になるものをダイヤル式可変抵抗器という。 周波数変換器やトランスなどのメーカ、山菱電機などがつくっている。単芯と双芯のモデルがある。理工系の学生が行う電気実験では、アナログの指針型の電圧計、電流計、電力計などと共に最も使われている。摺動抵抗に電流が流れると発熱して熱くなる。エネルギーは熱になって消費されてしまう。機械的な構造の抵抗ではなく半導体素子を使った電気的な抵抗が電子負荷抵抗器(通称:電子負荷)である。さらに、電子負荷でエネルギーを消費せず、電源側に電力を返している(電源への吸い込み、回生)のが最近はやりの回生型電源である。回生型電源は電子負荷の機能を持つ電源である。

真空管電圧計(しんくうかんでんあつけい)

(vacuum tube voltmeter)菊水電子工業のモデル164形の品名。真空管を使ったAC電圧計。前面パネルだけ見ると、上部が針の振れるメータ、下部は切替器のロータリーノブと入力コネクタで、まるで電気工作で使う小型の可搬型(ハンドヘルド)のテスタのようだが、奥行きがあるベンチトップ(据え置き型)の製品である。ほぼサイズが同じ後継品の164Dは真空管を半導体のトランジスタに変更している。 同社には164型の前身で107A形、111A形、117A形などの真空管電圧計のモデルがあった。1966年の同社のカタログ(ELECTRONIC TEST INSTRUMENTS & REGULATED DC POWER SUPPLY)にはそれぞれのモデルの価格として「正価:18,500円、24,000円、24,500円」と記載されている。菊水電子工業は現在ではベンチトップのDC電源などの計測用の安定化電源が主力製品の筆頭だが、当時は電圧計やオシロスコープのメーカだった。 以前は同社以外にも真空管電圧計をつくる計測器メーカはあり、1990年頃には理工系の学校の電気実験で使われていたが、現在はほとんど生産中止で、いまとなってはどんなメーカがあったか正確にはわからない。

すべり抵抗器(すべりていこうき)

陶器製絶縁枠上に絶縁性外皮を施した抵抗線を巻き、これに摺動するブラシを備え、連続的に抵抗を加減する抵抗器。別名:摺動抵抗ともよばれる。

成極指数(せいきょくしすう)

(Polarization Index) 略記:PI。電気設備の絶縁診断で使われる指標。絶縁抵抗に関する用語の1つ。高圧用途の絶縁抵抗計では成極指数(PI)や誘電吸収比(DAR)などが測定できる。高圧ケーブルの保守・点検で重要な指標になっている。電力ケーブルの絶縁性能の判定基準には成極指数が使われている。 現場測定器(電気作業員が屋外で使用するハンドヘルドの計測機器)の代表は、クランプ(クランプ電流計、クランプテスタ、クランプメータ、クランププローブなど)、絶縁抵抗計(メガー)、接地抵抗計だが、絶縁抵抗計は大手計測器メーカが多くのモデルをラインアップしている。共立電気計器、日置電機や、三和電気計器、マルチ計測器、カスタムなどがつくっている。高圧用のケーブルの診断には(耐圧試験器を豊富に揃える)ムサシインテックの「高電圧絶縁抵抗計」などが使われる。 共立電気計器の用語集には次の解説がある。 成極指数とは、絶縁体の漏れ電流の時間的増加の有無を調べる試験。一般的に印加時間10分間での絶縁抵抗値と印加時間1分間の絶縁抵抗値の比。成極指数は絶縁体の形状や大きさに無関係な量で吸湿により変化するので、ケーブルの絶縁診断をおこなう上で重要な意味を持つ。成極指数=(3分から10分後の絶縁抵抗値)/(30秒〜1分後の絶縁抵抗値)。成極指数による判定は以下のとおり。1.0以上:良、1.0~0.5:要注意、0.5以下:危険な状態。

積分型A/D変換器(せきぶんがたえーでぃーへんかんき)

デジタルマルチメータ(DMM)に広く採用されているA/D変換器(表記はA/D、A-D、ADなどがある)。日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」には次の解説がある。「入力アナログ電圧に比較した周波数パルスを発生させ、これを一定時間だけカウントする。その結果をA/D出力値とする。商用電源を基とするノイズに強く、比較的低速なサンプリング用として広く使われる。」参考用語:逐次変換型A/D変換器

絶縁・接地抵抗計(ぜつえんせっちていこうけい)

ハンドヘルドの現場測定器である、クランプ、絶縁抵抗計(メガー)、接地抵抗計(アース)の3つが主力製品である共立電気計器には「メガーとアースが1つになったオールインワン測定器」というキャッチコピーで、絶縁抵抗と接地抵抗の両方が測定できるMODEL6000シリーズがある。アナログ表示のMODEL6017/6018とデジタル表示のKEW6022/6023、さらにPV絶縁 に対応したKEW6024PVの5機種がHPに掲載されている(2022年9月現在)。

接触電流(せっしょくでんりゅう)

人体が機器に接触したときに流れる電流(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)。漏洩電流試験器で測定する。

ダイオードテスト(だいおーどてすと)

ダイオードやトランジスタがONするのに必要な電圧を与えて一定電流を流し、その順方向の電圧降下を測定しダイオードの正、逆を判断する機能。(共立電気計器株式会社の用語集より)

待機電力(たいきでんりょく)

家電製品の電源が切れている状態でも、コンセントに接続さていると消費する電力のこと。電機製品が使用者の操作を待っている状態で消費する電力。省エネのために、待機電力を少なくすることが推奨されている。電気機器の待機電力の測定は、IECの規格で測定方法が規定されている。この試験をするためにはIEC規格が定める条件を満たした電力計が使われる。 参考記事:電力計の基礎と概要 (第3回)・・待機電力の測定方法を図解。 計測器情報:品名に待機電力が付く製品の例

ダイヤル式可変抵抗器(だいやるしきかへんていこうき)

可変抵抗器の1種で、ダイヤルで抵抗値を設定する測定器。桁ごとにダイヤルが並び、0~9の内から選択して抵抗値を設定する、デジタル値で抵抗を設定する方式。レバーの位置によって抵抗値を調整してアナログ的に可変できるものを摺動抵抗という。製品名は「ダイヤル形可変抵抗器」や「デジタル式精密可変抵抗器」。6桁設定できる6ダイヤル可変抵抗器が有名。 計測器情報:可変抵抗器の製品例

タケダ理研工業(たけだりけんこうぎょう)

1954~1985年に存在した老舗計測器メーカ。1954年に武田郁夫(当時30歳)が「タケダ理研工業株式会社」を創業。通信省電気試験所に勤務していた武田氏は、大手電機メーカが出がけない計測の分野に着目し、研究開発型ベンチャー企業を設立した。1960年代までに周波数カウンタやデジタルマルチメータ(DMM)など、現在では基本測定器と呼ばれる製品を開発した。同社の企業ロゴはタケダのTと理研のRをデザインした「TR」で、計測器の形名の頭もTRだった。TR5211、TR5151などのカウンタの中古品はいまだにネットに出展されている(つまり市場に多く出回った売れたモデルである)。同社のDC~低周波のラインアップはブリッジなどを早くから手掛けたYEW(現横河計測)と競合している。汎用計測器(基本測定器)ではタケダ理研と横河電機はコンペチタだった。 1970年代にはRF分野のスペクトラムアナライザ(スペアナ)や、半導体製造装置のメモリ・テスト・システム、光通信測定器を開発した。日本のデバイスメーカがメモリ(DRAM)で世界シェアを独占するのに伴い、同社のメモリテスタは世界一になっていった。1976年に富士通の資本参加があり、1985年に社名をアドバンテストに変更。創業からのタケダの名前は消えた。 1990年代の携帯電話の普及期にはローデ&シュワルツの代理店としてCMUシリーズ無線機テスタなどを販売した。アンリツや安藤電気のような電電ファミリー(NTTに光通信計測器を納めるメーカ)ではないが、光ファイバの評価測定器を開発してOPMなどの光通信計測器に参入し、「光の3A(スリーエー、アンリツ、安藤電気、アドバンテストの頭文字がいずれもAのため)」と呼ばれた。2003年にはRF(高周波)以外の機種群を株式会社エーディーシーに移管し、後に高周波のモデル(スペアナやネットワークアナライザ)もやめて計測器から撤退した。 1970年頃から埼玉県行田に主力工場があり、東京都大田区蒲田に本社があるNEC系列の半導体テスタメーカの安藤電気とは、1980年頃には競合だった。1982年に安藤電気に入社した営業マンで、タケダ理研に入社希望で訪問したが、「文系の学生は応募していない(つまり営業職も全員、理工系で採用する)」と断られ、競合を聞いて安藤電気に入社した人がいる。アドバンテストはタケダ理研創業の計測器から撤退したが、2015年に無線式の温度ロガー(AirLogger)を発売するなど、新規事業としてあらたに計測関連製品を模索している。 タケダ理研は、戦後の1950年代に創業したベンチャー計測器メーカが、計測器を別会社に移管して成長した例である。横河電機もコアビジネスではなくなった計測器を別会社(横河計測株式会社)に分離している。アドバンテストは半導体テスタの、横河電機は計装(プロセス)の世界的なメーカである。 タケダ理研で使われる用語の例:デジボル、DVM、VIG

WPT(だぶりゅぴーてー)

(Wireless Power Transmission) 直訳したら「無線電力伝送」。日本語では「無線給電」、または「ワイヤレス給電」。「非接触給電」とも呼ばれる。有線ではなく無線によって電力供給する方式のこと。光を使ったOWPTなる方式も大学で研究されている。

単相3線式(たんそうさんせんしき)

200Vの電気を流す配線方式。分電盤のサービスブレーカに3本の電線が接続されていれば、単相3線式。3本の電線のつなぎ方によって、100Vと200Vの両方の電気を使うことが出来る。

単相2線式(たんそうにせんしき)

家庭用の配線方式のひとつで、100Vの電気を流す配線方式。分電盤のサービスブレーカに2本の電線が接続されていれば、単相2線式。

逐次変換型A/D変換器(ちくじへんかんがたえーでぃーへんかんき)

SAR ADC(Successive Approximation Register Analog Digital Converter) とも表記される。デジタルマルチメータ(DMM)で桁数が多い高性能なモデルに採用されているA/D変換器。日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」には次の解説がある。「入力アナログ量を符号化する一方、この符号を順次D/A変換によってアナログ量に変換し、これと入力量との差がゼロとなるように比較制御する。このとき両方の符号が一致した状態でA/D出力値とする。比較的早いサンプリングが必要な場合に広く使用される。耐ノイズは低い。」参考用語:SAR ADC、積分型A/D変換器