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- エッジ(えっじ)
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(edge) エッジには多くの意味がある。端(はじ)。きわ。ふち。へり。図形の辺(線分)。先端的。表記は「エッヂ」もあるが、筆者は「エッジ」が多いと感じる。 1. 計測器では、デジタル信号が立ち上がる(または立ち下がる)、波形のスロープのこと。オシロスコープの基本機能であるトリガで、一番使用頻度が高いのはエッジトリガである。フルーク(フルーク・キャリブレーション)はマルチプロダクト校正器の「オシロスコープ校正用の出力信号」のことをエッジと呼称している。デジタル信号の電圧がlow(0、ゼロ)からhigh(1)レベルへ遷移することを立ち上がりエッジというが、オシロスコープの周波数帯域の確認(校正)のためには、校正用の信号の立ち上がり時間が短い(立ち上がりが速い)ことが重要であるため、同社は校正用の信号をエッジと呼んでいると思われる(以下の参考記事が詳しい)。 論理回路の設計用言語(プログラム)では、立ち上がりエッジをposedge(ポスエッジ)、立ち下がりエッジをnegedge(ネグエッジ)と呼んでいる。pos negは「正負」を意味する接頭辞として使われている。Rhの血液型が「陽性」、「+」だとpositiveを略記してPOS、「陰性」、「-」はnegativeでNEGとなる。 デジタル無線通信の計測器で使われる規格(方式)名称にEDGE(読み方:エッジ)がある。カタカナのエッジではなくEDGEだと、2G(携帯電話の第2世代移動通信システム)で使われるデータ通信規を指す(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)。GSMは世界で最も利用されているデジタル携帯電話の通信方式。欧米や、日本/韓国以外のアジアで100以上の国と地域で利用されているため、事実上の世界標準といえる。EDGEは「GSMの後継方式で、GSM384、UWC-136とも呼称される」ので、3Gである。日本ではNTTが2001年に世界初の3G(W-CDMA)を運用開始したが、EDGEはそれと同じ位置づけの欧米(や中国など)の規格である。欧米と日本では3Gまでの携帯電話の規格が異なり、3Gへの移行も同じではないので、素人が正確に理解することは難しい。 2. ITや通信業界では、クラウドとの対比でエッジが使われる。クラウドはネットワークの基幹部分(コアネットワーク)に相当し、ネットワークにつながる多くの端末に近い箇所をエッジ(ネットワークの端、ふち、という意味)と呼ぶ。IoT(モノのインターネット)は多くの端末(エッジデバイス)がネットワークにつながることである。計測器メーカもエッジデバイスをつくっている(以下の渡辺電機工業の記事が詳しい)。最近ではエッジAIやエッジコンピューティングということばもある。Microsoft Edge(マイクロソフト エッジ)といえば、インターネットで検索するときに使うウェブブラウザ(PCや携帯電話をWebサーバに接続するためのソフトウェア)で、Google Chrome(クローム)やInternet Explorer(IE)と共に有名である(「エッジ」をブラウザで検索すると上位にMicrosoft Edgeが表示される)。 DCSなどの工業計器のトップベンダである横河電機には多くの製品群があり、レコーダ(メモリレコーダなどの計測器のレコーダではなく、計装用の温度などのセンサの役目をするデータ集録機器)やプログラマブルコントローラ(PLC)、小規模計装機器(温調計、信号変換器、電力モニタなど)などの製品群をエッジソリューション統括部にまとめて、「エッジプロダクトニュース」と題したDMを2021年5月から配信している。初回配信では、“エッジ製品に特化したお役立ち情報を届けるため、従来の「ITプロダクトニュース」を「エッジプロダクトニュース」にリニューアルした”、と冒頭に述べている。前述の渡辺電機工業は横河電機と同じ計装の機器をつくっているが、信号変換器は(エッジデバイスではなく)センサーデバイスと表現している(以下の記事参照)。エッジが示す製品の範疇(エッジデバイス、エッジプロダクトなど)はメーカによって異なるので、あくまでエッジとは概念であり、具体的な製品は各メーカの解釈に任されている。とにかく、ネットワークの進歩に伴って、ITだけでなく計装の世界でもエッジが流行りである。 一般には、エッジは「先端的、尖っている」という意味で使われている。「エッジが効いている」とは「切り口が鋭い」、「際立っている」、「気が利いている」という、秀でていることの褒めことばである。ファッション業界で使われ、一般に広がったといわれる。TechEyesOnlineも、ここでしか知ることができないオンリーワンのコンテンツを満載した、「エッジの効いた、尖がった(とんがった)専門サイト」を目指している。
- エネルギーマネージメントシステム(えねるぎーまねーじめんとしすてむ)
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(Energy Management System) 工場やビルなどの、施設のエネルギー使用状況を把握して、最適なエネルギー利用を実現する活動を支援するシステム。「電力監視」や「エネルギーの見える化」とも呼ばれる。略記:EMS。 日本は省エネが進んでいる。2010年代にはデマンド(電力使用量の可視化)が産業界に広まったが、カーボンニュートラルとも相まって、2020年代は各工場にエネルギーマネージメントシステム(EMS)の導入が進んでいる。以下の記事で業界動向を取材。 表記は「エネルギーマネジメントシステム」のほうがやや多い。管理職を示す「マネージャ」は、会社によっては名刺の表記が「マネジャ」の場合がたまにある。 manageの日本語(カタカナ表記)に「ー」を入れるか否かは難しい。マネージャは「ー」が入ることが多く、マネジメントは「ー」が入らないことが多いようである(この使い分けはどのような基準なのか。。)
- MPPT(えむぴーぴーてぃー)
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(Maximum Power Point Tracking) 日本語では「最大電力点(追従)制御」。太陽電池が発電する時に出力を最大化できる最適な電流と電圧の値(最大電力点、あるいは最適動作点)を自動で求める制御のこと。PV(太陽光発電システム)は気象条件などの変化で常に変動する最適動作点に追従しながら動作している。MPPTは効率良く電力を取り出す仕組みである。MPPT機能はパワーコンディショナ(太陽光発電のインバータ)に搭載されている。そのためパワコン評価用の試験機器(電源など)にはMPPT機能があるモデルがある。また、PV用のI-VチェッカにもMPPT機能のあるモデルがある。
- オーム(おーむ)
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(ohm) 抵抗の単位。記号:Ω。国際単位系(SI単位)。電気抵抗(resistance、レジスタンス)だけでなく、インピーダンス(impedance)やリアクタンス(reactance)の単位である。抵抗の反対に「電気の流れやすさ」を示す単位、ジーメンス(記号:S)は1/Ω(オームの逆数)である。アドミッタンス(admittance)やコンダクタンス(conductance)の単位はジーメンス。 抵抗器の値であるR(resistance)とコンデンサの値C(Capasitance、キャパシタンス、単位:ファラッド)、コイルの値L(inductance、インダクタンス、単位:ヘンリー)を測定するのがLCRメータやインピーダンスアナライザなどの回路素子測定器(電子部品の値を測定する測定器)である。レジスタンスやキャパシタンスの接尾語のタンスは「~している状態、~する数量(程度)」という意味で、「性質、状態、行為」を示す。電気の基本量はタンスだらけである。 オームはオームの法則を発見したドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オームに由来する。記号にギリシャ文字のΩ(オメガの大文字)が使われるのは、オームの頭文字O(オー)だと数字の0(ゼロ)と混同するためといわれている。ゲオルグ・オームはギリシャ文字ではκέοργκ Ωμ。 電気関連の業界ではオームは良く使われるワードである。1914年創業の出版社であるオーム社は、電気を含む自然科学の理工学専門書や資格試験書(電検3種など)、雑誌4誌を発行している。理工系の学生なら教科書としてオーム社の書籍を使ったことがない者は少ないはずである。大手の電気計測器メーカのOB会に「オーム会」があるが、1995年(平成7年)3月に起きた地下鉄サリン事件がオウム真理教によることが判明すると、宴会の予約を店に電話する際には訝しがられたという笑い話がある。電話では「オーム」と「オウム」は判別が難しい。
- 回路計(かいろけい)
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(circuit meter)電子回路の基本的な物理量である電圧、電流、抵抗を測定する計測器のこと。電圧計や電流計のような単一の物理量だけの測定ではなく、複数に対応した計測器なので、別名、マルチメータ。マルチな(多種類に対応した)メータ(測定器)という意味。俗称ではテスタとも呼ばれる。 日本では別名、回路試験器(circuit tester)と呼ばれることもある。電気・電子回路を試験(テスト)する機器なのでテスター(tester)が通称。欧米ではmultimeter(マルチメータ)と呼ばれることが多いらしい(海外ではtesterは計測器全般を指すことばである)。 参考用語:デジタルマルチメータ 計測器情報:回路計の製品例
- 活線(かっせん)
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(live wire) 電流が流れている状態の電線のこと。場合(使い方)によっては、反対語(対比)は「停電」になる。点検作業や故障修理などのため、電気がとめられている電線に対して、稼動しているという意味で使われる。 「活線」は英語ではlive wireやlive lineで、「生きている線」である。計測器で電気設備などを測定する場合は、通常は活線ではなく停電にして行う。そのため活線でも測定できる場合は特別にその旨が明記される。たとえば活線メガーは、(普通、絶縁抵抗計は活線では測定しないのに)活線で抵抗測定ができるので、そのような品名(名称)である。PV(太陽光発電)用のメガーは活線メガーといえる(PV絶縁)。 電力系統などの送配電線で、電気を止めずに(大電流、高電圧の状態で)点検・補修作業を行うことを活線作業(live-line working、hot‐line work)という。活線は「生きている、電流が通っている、ホットなライン」である。活線作業で感電する死亡事故がゼロにならないため、各種の団体が作業時の注意を喚起している(全国労働安全衛生センター、 厚生労働省 労働局長登録 教習機関の安全教育センター、経済産業省 産業保安監督部、など)。ビル新築現場において、照明用器具への配線変更工事で、天井内でケーブルを扱って作業をしていた工事員が、活線から停電に切り替えタイミングを誤り、死亡している。つまり送電線などの高圧でなく宅内の低圧でも死亡事故が起きる。 電源を通電状態でメモリなどを抜き差しできるホットスワップは活線挿抜と呼ばれる。 電流が流れている線材をセンサ部分で挟んで電流測定をするクランプ電流計やクランプセンサ(メモリレコーダのアクセサリに多い)やカレントプローブ(オシロスコープのアクセサリ)は、活線でなければ測定できないので(活線であることが大前提というか、当然なので)あえて「活線」などということは一言も説明はされない。計測器はその製品の使い方、つまりなぜその製品があるのかを知っていないと、関連用語を理解するのが難しい。 「活線」は主に、電気工事や電気機器の保守・点検に使われる現場測定器で使われる用語で、オシロスコープやスペクトラムアナライザのようなカテゴリーの計測器では使わない。
- 可変アッテネータ(かへんあってねーた)
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(variable attenuator) 減衰量を可変できる抵抗器のこと。別名、可変抵抗減衰器やステップアッテネータとも呼ばれる。RFではアッテネータ、低周波では減衰器という品名が多い傾向があるが、明確な定義はない。
- 可変抵抗器(かへんていこうき)
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(variable resistor) 抵抗の値を変えられる測定器。アナログ的に可変する摺動抵抗と桁ごとの値をダイヤルで決めてデジタルな設定をするダイヤル式可変抵抗器がある。可変せず、正確な精度の抵抗値を保つのが標準抵抗器で、標準器として使用される。 当サイトのカテゴリーでは可変抵抗器や標準抵抗器は「電圧・電流・電力測定器」の中の「抵抗器」に分類している。 計測器情報:可変抵抗器の製品例
- 可変抵抗減衰器(かへんていこうげんすいき)
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減衰量を可変できる抵抗器 。可変アッテネータやステップアッテネータとも呼ばれる。「減衰」を略して「可変抵抗器」と呼称されることも多い。
- ガルバノメータ(がるばのめーた)
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(galvanometer) 日本語では「検流計」だが、ガルバノメータ(またはガルバノメータ―)という表現も書籍などの各所に使われている。電流を検出する精密な電流計の1種(アナログ式の指示計器)。メータの指針が振れることによって、電流が流れたことを知る目的で使われる。そのため何アンペアが流れたかではなく、回路が平衡して電位差が無いことを、微弱な電流が流れない(針が振れない)ことで確認する。ブリッジで平衡を確認するのに使われる。回路図で、ブリッジの中央に検流計のことを英字の大文字で「G」と記載しているのは、galvanometerの略記である。 18世紀のイタリアの解剖学者/生理学者で、神経と筋肉の研究を行い、カエルの足に電気刺激を与えると足がけいれんすることを発見(動物電気の発見)したGalvani(ガルバーニ)に由来する。 技術者はガルバノメータを略して「ガルバノ」ということも多い。
- カレントプローブ(かれんとぷろーぶ)
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(current probe) オシロスコープやメモリレコーダなどと測定対象を接続するためのアクセサリ。電流測定用のプローブ。電流計のクランプ式のセンサ。別名、クランププローブや電流プローブ。 カレントプローブと電流プローブは同義で、電流測定用のクランプ式のセンサである。オシロスコープメーカは電流プローブ、メモリレコーダやデジタルパワーメータ、電力計のメーカはカレントプローブと呼称することが多いが、2000年代にオシロスコープに参入したローデ・シュワルツのRT-ZC31などの品名はカレントプローブである。日置電機には「CT6843A AC/DCカレントプローブ」などの多くのカレントプローブがあるが、BNC端子になっていてオシロスコープに直接入力できるモデルは「CT6700 電流プローブ」と、品名は電流プローブである。これらのモデルを掲載している同社HPの製品ページのタイトルは「プローブ(電流センサー/電流プローブ/非接触CANセンサー)」(2024年9月現在)なので、カテゴリー名では電流プローブが一般的である。
- カレントモニタ(かれんともにた)
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クランプセンサと組み合わせてレコーダやオシロスコープに接続し、電流波形を記録・観測する機器。
- 簡易電力計(かんいでんりょくけい)
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家庭や事務所の多くの電気機器の消費電力と積算電力を測定して、節電の目安にする目的で使われる安価な電力計のこと。商用電源のACコンセントに接続して、電力値をデジタル表示する小型の箱型の製品が、計測器から計量機器まで広くハンドヘルド製品をラインアップする株式会社カスタム(CUSTOM)から発売されている。簡易電力計は、一般の人を対象に作られた電力計であるため取扱いは簡単なものとなっている。たとえば校正対象でない製品もある。設置型の機器のため、可搬型の計測器としての圧力計(マノメータ)と、プラント内に設置してある圧力計(丸形で針が振れるアナログ式の指示計器が多い)の関係になぞらえると、簡易電力計は計測器とは言えないかもしれない。参考用語:電力変換器、電力モニタ 参考記事:電力計の基礎と概要 (第1回)・・電力測定器の種類を解説。 計測器情報:簡易電力計の製品例
- 貫通型電流センサ(かんつうがたでんりゅうせんさ)
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クランプのように開閉できない電流センサのこと。通常、電流測定はクランプで電線を挟み込むが、丸い輪が開閉せず、輪の中に電線を通して測定するものを貫通型と呼ぶ。開閉できるクランプよりも一般的には精度が高い。クランプを豊富にラインアップする日置電機が小型から大電流(2000A)まで揃えている(2023年2月現在)。CT68xx、CT69xxが最近の日置電機の貫通型の形名である(以前は貫通型電流センサは9709のように、形名は97xxだった)。名称に貫通型という表現ははなく、品名は「AC/DCカレントセンサ」。ただし「AC/DCカレントセンサ」という品名のクランプセンサもあり、名称ではなく外観を見ないと貫通型かは判別できない。 重電メーカではより大電流(2000A以上)を測定したい要望があるが、「クランプの日置電機」でも簡単ではないらしい。従来1000Aまでだったのを2000Aモデルを開発したのは最近(2019年)である。需要はあるがビジネスになるか(売上と開発コストの兼ね合い)が課題と推測する。
- 機械式電力計(きかいしきでんりょくけい)
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計測器としての低周波の電力計の1種で、指針型のアナログ表示の電力計のこと。一般に電力計(watt meter)というとこの機械式電力計のことを指すが、広義の電力計は高周波電力計やデジタルパワーメータや積算電力量計まで含む。 電力計測が始まった当初からある指示計器で、直流から交流まで測定でき、駆動するための電源は不要で、構造がシンプルであり、表示が直感的であるため、開発~生産まで幅広く使われた。理工系の電気の学生実験では現在でも必ず使用されている。 参考用語:YEW 参考記事:電力計の基礎と概要 (第1回)・・冒頭に各種の電力測定器を解説。
- クランプ(くらんぷ)
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(clamp) 計測器でクランプとは「電線を挟み込んで電流を測定する機器」のこと。活線状態で電流測定できることが最大の特長。一般にクランプというと電流センサ、電流プローブを指し、クランプセンサ、クランププローブ、クランプアダプタ、カレントプローブなどの各種の呼び名、品名がある。またクランプ電流計(クランプメータ、クランプテスタ)の略称の場合もある。クランプ電流計はハンドヘルドの計測器で、先端に電流を挟み込むクランプが付いている(代表的な現場測定器)。クランプは機械的に稼働する部位なので、使用頻度によって摩耗して破損することがある。 クランプの種類は、方式別ではCT方式、ロゴスキーコイル方式、ホール素子方式などがある。共立電気計器、日置電機、マルチ計測器、ユー・ディー・アールなどの計測器メーカは豊富なラインアップがある。 日置電機の品名の例を示す。電流センサの「AC/DCカレントプローブCT684xA」は電力計などの測定器につなぐ。波形観測用の「クランプオンプローブ327x」や「電流プローブCT67xx」はBNC端子なので、オシロスコープにつなげる電流プローブである。「AC/DCカレントセンサCT76xx」シリーズはメモリレコーダやデータロガー につなぐ。AC専用の「クランプオンセンサ9272-05」や漏れ電流用の「クランプオンリークセンサ9675」など、用途よって多くのモデルがある(「クランプオンプローブ9132-50」は負荷電流測定用)。クランプ電力計は「クランプオンパワーロガーPW3365」、クランプ電力チェッカーは「ACクランプパワーメータCM3286-50」。このように日置電機1社だけでもクランプ関連の多くの品名(名称)がある。 電流や電力の測定器メーカのクランプの中にはBNCコネクタでオシロスコープに直結して使えるモデルも多い。つまりオシロスコープの電流プローブとプランプ(電流センサ)の区別は難しい(以下の参考記事が詳しい)。 英語のclampは「留め金」や「かすがい」のことで、板や資材等を挟んで固定する器具である。足場を組み立てるときに鋼管を締め付ける金具も「クランプ」と呼ばれる。そのため、「留め金で固定する」や「留める」の意味がある。また、物を加工するときに動かないようにする器具も指している(※)。ワークや部品を挟み込んで固定する方式の治具(器具)の総称で、ネジで固定するコの字型の金属プレートなどがある。 ドイツ語の鉗子や留め具から派生して、医療では「遮断する」という意味で使われる(※※)。このようにクランプは広範な意味がある。電流測定のセンサであるクランプは、対象となる電線を「挟み込んで留める」ことからクランプの呼称になったと推測される。電子回路では、電圧を制限することを「クランプする」と表現する例もある。 (※) DIYなどの工作で使われる万力(まんりき)は英語でvise(バイス)なので、クランプとは違うが、「クランプは万力の1種」という解説もある。万力に似た器具にjack(ジャッキ)がある。 (※※) 筋肉の痙攣で起こる「こむらがえり」は「筋クランプ」とも呼ばれるが、スペリングはcranpでclampではない。
- クランプオンアダプタ(くらんぷおんあだぷた)
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電線を挟み込んで電流を測定するセンサ(クランプセンサ)で、日置電機の品名。クランプオンアダプタ 9290-10は、クランプメータ(クランプ電流計)につけるとAC1000Aまで測定範囲を拡張できるクランプ。クランプメータ用のアダプタ。
- クランプオンリークハイテスタ(くらんぷおんりーくはいてすた)
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日置電機の漏れ電流計の品名。電流測定はクランププローブが使われる。クランプとは電流が流れる線材を挟んでホール素子などで囲み、磁力線から電流値を検出する機構のことを指す。日置電機はプランプ製品のラインアップが最も多い計測器メーカの1つである。特に現場用のハンドヘルド(可搬型)のテスタが強い。 「ハイテスタ」という名称は日置電機特有のネーミング。たとえばメモリレコーダを「メモリハイコーダ」。クランプ電流計を「クランプオンAC/DCハイテスタ」など、「ハイ」が好きである。そのため、クランプ式の漏れ電流計は「クランプオンリークハイテスタ」と呼んでいる。同社の2022年現在の漏れ電流関連製品は「リークハイテスタ」は生産中止で、「クランプオンリークセンサ」や「リーククランプメータ(CM4000シリーズ)」がある。 参考用語:漏れ電流測定器、漏れ電流試験器、I0r測定器、成極指数、誘電吸収比 計測器情報:日置電機のクランプオンリークセンサ 製品カタログ(会員専用):日置電機のクランプメータCM4000シリーズ
- クランプセンサ(くらんぷせんさ)
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電線を挟み込んで電流を測定するセンサ。別名、クランププローブ。レコーダ(記録計)の現在の主流であるメモリレコーダは、電流センサであるプランプセンサからの入力ができるようになっている。レコーダで電流測定するアクセサリはクランプと呼称され、まったく同じ構造をしているが、オシロスコープ(オシロ)で電流を測定するアクセサリは電流プローブやカレントプローブと呼ばれる。 記録計はクランプ、オシロはプローブという呼称が好きである。両者は計測器本体の構造が似ているのに使い方(アプリケーション)が違うだけでなく、アクセサリの名称も違う。クランプセンサと電流プローブはほぼ同じ構造だが使う計測器本体によって、名称(品名、呼び方)が異なる。 ところが、クランプセンサをオシロに接続して使うことは多々あり、クランププローブと呼称される製品はレコーダにだけにしか使えない訳ではない。計測の初心者にはまったくわかりにくい話である。両者(クランプセンサや電流プローブ)の名称を統一してくれたら、計測器村の住人ではない単なるユーザ(使用者)には大変有意義である。計測器は単にツールなので、使えれば良いことで、詳しく知って村人になることが目的ではなく、使いこなして結果を得て、その結果から考察することが重要である。ツールを覚えることで終わると、何のために計測器を使っているのか本末転倒となる。 参考までに、クランプを多数ラインアップしている日置電機には以下のような製品(品名・形名)がある(2023年2月現在の同社ホームページの製品ページより)。 AC/DCカレントプローブCT684xA AC/DCカレントセンサCT76xxA 電流プローブCT67xxA クランプオンプローブ327x クランプオンセンサ9272-05 クランプオンリークセンサ9675 クランプオンプローブ9132-50 クランプオンパワーロガーPW3365 ACクランプパワーメータCM3286-50
- クランプテスタ(くらんぷてすた)
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クランプ型センサを使用した電流計であるクランプ電流計の別称。クランプメータとも呼ばれる。