計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ピーク値(ぴーくち)

(peak value) 大手計測器メーカ2社の解説を紹介する。 ピーク値:波形の最も振幅の大きい点の値で、別名、波高値(絶縁抵抗計などが有名な、共立電気計器 株式会社の用語集より)。 ピーク(略記:Vp):ゼロ基準点からの最大電圧レベル(テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」の用語解説より)。 電気信号は交流を扱うことが多く、直流のように一定の大きさではない信号の大きさを表現するのに、実効値、平均値、ピーク値などが、場合によって使い分けされる。 ピークの関連製品としては、RF分野の高周波パワーメータに「ピークパワーメータ」という品名のモデルがある。

ピークホールド(ぴーくほーるど)

電流の一定時間内のピーク値を記録する機能。ピークホールド機能の測定値はピーク電流波高値の1/√2で表示される。入力が正弦波の場合、実効値換算表示になる。(共立電気計器株式会社の用語集より)

PV絶縁(ぴーぶいぜつえん)

太陽光発電(PV )で、活線状態で絶縁抵抗を測定する事、またそれができる測定器のこと。「PV絶縁抵抗計」の略記。一般的な絶縁抵抗計ではPVの絶縁抵抗は測定できない。PVの普及に伴い、マルチ計測器は「PVメガー」シリーズMIS-PV1/PV2/PVSを発売した。日置電機もPV用絶縁抵抗計IR4053/4055がある。絶縁抵抗計、接地抵抗計のラインアップが豊富な共立電気計器のPV絶縁抵抗計KEW6024PVの品名は「太陽光発電システム総合試験器」で、通常の絶縁抵抗計(メガー)、接地抵抗計(アース)、電圧計にPV絶縁抵抗計の機能がある。製品カタログには、「日中の発電状態でも短絡なしで、正確な絶縁測定が可能」とある。

微少信号測定器(びしょうしんごうそくていき)

エヌエフ回路設計ブロックの、ロックインアンプやプリアンプ、低雑音電源などの製品群は同社HPでは「微少信号測定器」に分類されて掲載されている。微少信号を測定するアプリケーションがあり、それに使用される。

ひずみ率(ひずみりつ)

(distortion rate) 測定器のカテゴリーによって定義が異なる。たとえば「ひずみ率計」というと、オーディオアナライザなどと同じ、音声信号の測定器である(カテゴリーは「映像・TV・ビデオ関連」、つまりテレビ・オーディオ測定器)。ひずみ率計をdistortion analyzer(ディストーション・アナライザ)というメーカもある。 「電圧・電流・電力測定器」の分野で、現場用の可搬型測定器の老舗メーカである共立電気計器株式会社の用語集には次の解説がある。「ひずみ率:波形のひずみの程度を表すもので、一般には高調波の実効値と基本波の実効値との比のこと」。 「ひずみ率の測定器」と「ひずみ(strain)の測定器(カテゴリーは「物理量測定器」の「ひずみ」)」は違う分野の測定器である。動ひずみ測定器、静ひずみ測定器、ストレインアンプなどがある。計測器メーカとしては共和電業や東京測器研究所がラインアップが多い。 distortionは外見・形・音などのゆがみやねじれの意味。電気(計測器)では「音のゆがみ」のことで、日本語では「ひずみ」と訳した。strainは「緊張、負担、ストレス、引っ張る」など多くの意味があるが、物を引っ張る(応力を加える)と変形する、これを「ひずみ」と呼んだ。つまり物理的な変位のこと。このひずみには動ひずみと静ひずみがあり、ひずみセンサであるひずみゲージの微弱な電圧信号はストレインアンプで増幅されてレコーダなどで記録される。 電気信号(音)と物の変形という、まったく違う物理現象を同じ「ひずみ」という日本語にしたために、計測器の初心者にはわかりにくい。また「ひずみ」と「歪」、「歪み」も、各メーカによって使い分けられているが、これらの表記の違いは明確ではない。 一般社団法人日本計量機器工業連合会の「2022/2023計量計測機器総覧」では、質量測定機器の分類(機種名)として「天びん」がある。「天秤」とは表記されていないので、業界では天秤ではなく天びんが通常の表記と推測される。ひらがなか漢字か、素人には難しい。

皮相電力(ひそうでんりょく)

電圧と電流をかけた値のこと。皮相電力とは表向きの電力で、実際に仕事をする電力は有効電力と言う。単位はボルトアンペアで記号[VA]で表す。

皮膜抵抗(ひまくていこう)

電子部品の抵抗の種類の1つで、最もポピュラーなもの。炭素被膜や、金属皮膜がある。カラーコード(4本の色の線)によって抵抗値が決められている。

表示カウント数(ひょうじかうんとすう)

(display count number) ハンドヘルド 型のデジタルマルチメータ(DMM)の最大表示数のこと。メーカによっては「カウント数」、「カウント」。測定精度を示す指標。 主要計測器メーカ11社を調べると1999~50万カウントと、製品によって幅がある(以下の記事を参照)。50万カウントは高級器で通常は4000~6000カウントが一番多い。カウントと表示の例を述べる。3000カウントの製品で約4Vを測定すると、たとえば表示は「4.12V」。「4.120V」と表示されないのは3000カウント(3.000Vまでの表示)のため表示桁数が減っている。4000カウントでも表示は「4.12V」で、5000カウントになると(5.000Vまで表示できるので)表示は4桁の「4.123V」になる。 安価な可搬型DMMなら3桁表示で十分な時も多く、より精度を求めるならベンチトップという選択肢がある。つまり用途(必要な仕様)によって、性能と価格から適切な製品を選択することである。ベンチトップ型DMMは「表示桁数」という仕様で記載されるが、ハンドヘルド型は「表示カウント数」という別の表現で明記される。ベンチトップ型は「3.5桁(または3 1/2桁)」というと「1999」まで表示できる製品がほとんどだが、ハンドヘルド型は製品によって性能の幅が広く桁数では表現できないため、具体的な最大表示数を「カウント」という表現で仕様にしている。 「カウント」というとサンプリングスピードと間違いやすいので注意が必要。一般的なハンドヘルド型DMMのサンプリング(表示更新レート)は2~5回/秒程度(200~500ms)で、約0.5秒ごとに測定(表示)している(機種によっては0.5秒より遅い場合もある)。 参考記事:デジタルマルチメータの基礎と概要 Part2 (第2回)3ページ ・・各社のデジタルマルチメータの表示桁数や表示カウント数が掲載されている。

表示桁数(ひょうじけたすう)

(number of display digits) 測定値をデジタル表示する計測器は、表示桁数を精度の1つの仕様にしている機種群がある。たとえばデジタルマルチメータ(DMM)などの表示桁数は「4 1/2桁」や「4.5桁」と表記される。「1/2」、「.5」とは最大の表示値の制限を表す。たとえば「4桁」の最大数は「9999」だが、DMMの最大数は「1999」が多い(「4000」の機種もある)。この場合「4桁」と表記すると“9999まで表示可能”と誤解されるため「3 1/2桁」や「3.5桁」と表記している。「3桁より多いが完全な4桁とはいえない」という意味が「1/2桁」や「.5桁」である。この場合、表示を見ると4桁表示しているが、いくつまで4桁で表示するかは製品の説明書などを調べないとわからない(1999までか4000までかは決まりはない、悪く言えばメーカの自由である)。仕様が3.5桁だったら、見た目は4桁表示しているように見えても、ほぼ3桁表示だと思ったほうが無難である。 表示桁数で表現するのはベンチトップ(据え置き型)のDMMで、ハンドヘルド(可搬型)のDMMはまた別の「表示カウント数」という指標で仕様が記載される。表示カウント数は表示桁数よりも、もっとメーカによってバラバラである。計測器の仕様を理解するのは素人には難儀である。 ベンチトップのDMMのラインアップが多いキーサイト・テクノロジーは最近、ハンドヘルドモデルにも注力している。形名U12000シリーズは「表示カウント数」ではなく「表示桁数」を明記している。ハンドヘルドのモデルは"表示桁数ではなく表示カウント数だ”という説明はできなくなった。まったく計測器はメーカによって好き勝手な世界で、新しいモデルは従来品とは仕様の書き方が違うことが良くある。なのでメーカ別の比較表をつくるのは簡単ではない。別の言い方をすると、そのように新しい仕様の書き方をして、そのモデルが特別であること、新しい潮流であることをPRしているともいえる。 計測器情報:DMMで品名に「桁」がつく製品の例

標準器(ひょうじゅんき)

(calibration standard) 計測器で標準器というと、標準抵抗器と呼ばれる「基準抵抗となる測定器」や、セシウム周波数標準器などの周波数標準器、ブロックゲージなどの長さの標準器がある。 電圧・電流・電力の標準器としては、フルーク(フルーク・キャリブレーション)に6100A電力標準器や732B直流電圧標準器などの、品名に「標準器」と付く機種があったが、現在は電圧電流発生器(いわゆるSMU)が主流である。同社のマルチプロダクト校正器は、マルチメータやクランプの校正をする校正器である(オプションには「オシロスコープ校正」もある)。校正器と標準器はほぼ同義である。 エヌエフ回路設計ブロックのRX4763三相標準電圧発生器はメータやトランスデューサなどの校正・点検用途に使われる、特定用途向けの標準器といえる。同社は創業当初の1960年代から増幅器や交流電源を開発し、電力関連の機器向けの電圧電流発生器をラインアップしている。応用製品として1980年代に保護リレー試験器を発売し、国内トップシェアである。 計測器の校正に使う精度の高い計測器を「標準器」や「校正用標準器」と呼んでいるが、品名に「標準」が付かない場合も多い。たとえば「8.5桁 高精度/高確度デジタルマルチメータ」(高精度DMM)は校正用途では標準器として使用される。通常のデジタルマルチメータは4~6桁なので、8桁表示できる精度の良い計測器を標準器(校正用の標準器)として使用する。 標準器を設備している施設を標準器室や標準室と呼ぶ。校正をするための部屋なので、標準室は校正室とも呼ばれる。 標準器として一番もとの基準となるものを1次標準と呼び、その写しで基準となるものを2次標準という。1次標準は各国の政府が管理しているので国家計量基準とも呼ばれる。たとえば重さの1次標準であるキログラム原器(※)は産総研に保管されている。2次標準は校正の認定事業者などが使っている。計測器を実際に使用している各メーカの標準室の標準器は3次標準が多い。そのため3次標準は実用標準とも呼ばれる。おもりの校正事業者は、上位の認定事業者の2次標準器で校正された分銅を常用参照標準器と呼び、自社の標準器(最上位の分銅)にしている。 (※) 以下の記事にキログラム原器の写真がある。 【編集後記】130年ぶり質量単位キログラム定義改定!

標準コンデンサ(ひょうじゅんこんでんさ)

精度の良いコンデンサ。標準値を示すた、キャパシタンスを測定するものの校正に使用される。

標準抵抗器(ひょうじゅんていこうき)

(standard resistance) 計測器を校正する標準器の一つで、精度の良い抵抗器。横河計測の2792AシリーズHは金属箔抵抗を使い、特性にバラつきの少ない優れた抵抗温度係数を持ち、オイルバスなどの温度調節設備が不要なため重宝されたが、生産終了している。アルファ・エレクトロニクスはデジタル式の標準抵抗器のラインアップが多い。 当サイトのカテゴリーでは「電圧・電流・電力測定器」の中の「抵抗器」に分類している。 参考用語:可変抵抗器 計測器情報:標準抵抗器の製品例

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