計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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TIA方式(てぃーあいえーほうしき)

電流を電圧に変換する方式の1つ。Trance Impedance Amplifier(変換・抵抗・アンプ)の略記。入力電流を抵抗(インピーダンス)倍の電圧に変換する増幅器。O/E変換器に使われるPD(フォトダイオード)は電流出力型の光センサである。その出力を取り出すのにTIA回路が最も良く使用される。電流-電圧変換方式としては、デジタルマルチメータなどに使われている抵抗方式が一般的である。 参考用語:シャント抵抗、バードン電圧

DMM(でぃーえむえむ)

(Digital Multi Meter) デジタルマルチメータの略記。DMMという表記は大変よくみかける。DMMやエレクトロメータ、SMUなどの電圧・電流・抵抗を測定する基本測定器の老舗、タケダ理研工業(現アドバンテスト。アドバンテストの計測器は2000年頃にエーディーシーに移管され、現在のメーカ名はエーディーシー)は、DMMをDVM(デジタル・ボルト・メータ)やデジボルと表現していた。デジタルマルチメータを「デジマル」と略記している例があった。ハンドヘルド(可搬型)のDMMは「テスター」と呼称されている場合もある。 参考用語:表示カウント数、表示桁数 参考記事:デジタルマルチメータの基礎と概要、デジタルマルチメータの基礎と概要Part2

d軸・q軸電流(でぃーじくきゅうじくでんりゅう)

モータや発電機などの回転体の電流成分。磁束の向きにd軸をとるとした時、d軸電流は流れている電流のうち、磁束を発生させるのに使われている成分のこと。q軸電流は負荷のトルクに対応した成分。同期モータでは、3相交流によって生じる回転磁界やロータ(回転子)と同期しながら回転する座標系で考察を行う。これがdq回転座標である。

DVM(でぃーぶいえむ)

Digital Volt Meterの略。デジタルマルチメータ(DMM)とほぼ同義。アドバンテスト(旧タケダ理研工業、現エーデイーシー)のモデル5245/6246の製品カタログにSMUの機能の図解があり、SMUは「VIG(Voltage Current Generator)とDVM(5 1/2桁)とエレクトロメータ」で構成されている。DVMやVIGはアドバンテスト特有の表現である。

抵抗器(ていこうき)

回路に電気抵抗を与えて、電流を制限したり電圧を降下させたりする機器。

抵抗減衰器(ていこうげんすいき)

歪みを発生させることなく、電圧信号を減衰させる機器。(=減衰器、アッテネータ)

抵抗測定器(ていこうそくていき)

抵抗を測定する機器の総称。デジタルマルチメータや絶縁抵抗計などがある。

抵抗方式(ていこうほうしき)

電流-電圧変換の方式の1つ。回路に直列に精密抵抗を接続し、オームの法則から電流と電圧を測定する。この抵抗をシャント抵抗と呼んでいる。抵抗の両端の電圧降下から回路に流れる電流を計算(測定)したり、電流から電圧降下(電圧)を測定したりするので、抵抗方式という。抵抗方式はデジタルマルチメータ(DMM)などに使われている。 参考用語: バードン電圧、TIA方式

抵抗率(ていこうりつ)

(resistivity) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電流の流れにくさを表す指標。電気を通しにくい材料を評価する(比べる)ときなどに使われている。別名、電気抵抗率(electrical resistivity)や比抵抗とも呼ばれる。記号はギリシャ文字のρ(ロー)。単位は[Ω・m](オームメートル)。 抵抗率は、通常の抵抗測定に使われるマルチメータなどでは測定できない。電気抵抗率はセンサ式水質計(科学分析機器)で測定できる(メーカは東亜ディーケーケーなど)。物性(材料)の測定器として抵抗率計がある。たとえばエヌピイエス株式会社の抵抗率測定器(シート抵抗測定器)は4探針プローブを用いて、太陽電池用の半導体ウェーハや金属薄膜などの抵抗率を測定できる。ナプソン株式会社も4探針法の抵抗率測定器をつくっている。接地抵抗計の代表的なメーカである共立電気計器に「接地抵抗・大地抵抗率計KEW 4106」があり、大地抵抗率ρ[Ω・m]を測定できた(現在は生産中止)。 抵抗率の逆数を導電率と呼び、記号はσ(シグマ)で、「電気の流れやすさ」を表す。抵抗率ρ=1/σ。導電率σ=1/ρで、単位は[S/m](ジーメンス/メートル)。

DCシグナルソース(でーしーすぐなるそーす)

日置電機の7011の品名。計装システムのメンテナンス向けの可搬型の直流信号発生器(現在は生産中止)。フィールドユースの電流電圧発生器の1種。似た機種としては横河計測のコンパクトキャルが現役モデルとしては有名。

Datron(でーとろん)

2000年頃に存在した、校正器9000シリーズを作っていた海外の計測器メーカ。現存していないため、どんな機種群のラインアップだったか詳細は不明。2000年当時、横河電機が販売店をしていた。その後、Wavetek(ウエーブテック)、Fluke(フルーク)に製品は引き継がれた。現在のフルークの校正器を作っているフルーク・キャリブレーション社にはもうモデル9000は無い。ただしDatronのユニバーサル校正器9100とフルーク・キャリブレーションの現役モデルであるオシロスコープ校正器9500Bは外観と、表示パネルや操作部のレイアウトがほぼ同じである。9100はフルーク製品として生産中止になったが、(2000年以降にWavetekに吸収される前の)Datron製品である。データロガーで有名なDEWETRON(デュートロン)と名前が似ているが全く違うメーカである。 参考用語:マルチキャリブレータ

テクトロニクス・イノベーション・フォーラム(てくとろにくすいのべーしょんふぉーらむ)

(Tektronix Innovation Forum) オシロスコープの世界的トップベンダー、テクトロニクスと、半導体パラメータアナライザや微少電流計、データロガー、DMM、SMUで有名なケースレーの製品群の展示、セミナーを開催する自社イベント(個展)の名称。2015年頃からプライベートショーとして毎年6月に開催するようになった。2017年には「テクトロニクス・イノベーション・フォーラム & Keithley Day 2017」の開催記録が残っている。英語を略したTIFを略記にしている。 テクトロニクスは2012年に米国のケースレー(Keithley Instruments)と合弁し(※)、日本の会社名は「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」になった。2022年以降は「株式会社テクトロニクス&フルーク」で、会社名からはケースレーはなくなり、日本の組織も2023年からはテクトロニクスとケースレーの区分はなくなっている(テクトロニクスとフルークの営業部門は従来通り、別組織のままである)。 (※)テクトロニクス、ケースレー、フルークは3社とも米国の投資会社フォーティブに買収され、その傘下にある(詳しくは用語、ソニー・テクトロニクス、フォーティブを参照)。 2018年と2019年のTIFは当サイトが取材してイベントレポートを公開した(以下の参考記事)。2020年からコロナウイルスの蔓延(コロナ禍)で中止になったが、2023年7月に4年ぶりの対面でのTIFが開催された(オンライン配信はなく、リアルなフォーラムのみ)。

TECHNO-FRONTIER(てくのふろんてぃあ)

一般社団法人日本能率協会が主催する、電源に特化した展示会。毎年、4~5月に開催されてきたが、2020年はコロナウイルス対策で中止になり、2021年は6月開催、2022年からは7月開催している。 約10の展示会で構成されている。2023年の構成は、第41回 モータ技術展、第38回 電源システム展、第36回 EMC・ノイズ対策技術展、第32回 モーション・エンジニアリング展、第25回 熱設計・対策技術展、第16回 メカトロニクス技術展、第2回 パワーエレクトロニクス技術展、第5回 部品設計技術展、第4回 電子部品の材料展、第1回 部品加工技術展。 当サイトは2017年8月に開設し、2018年と2021年を取材し、展示会レポートを公開した(以下、参考記事)。電源システム展には国内、海外のほとんどの計測用電源が出展する。近年は回生型のDC電源や、ワイドレンジ電源(スイッチング電源の最近の流行り)の新製品出展が続いている(回生型は毎年、新メーカが出展している)。モータ技術展にはデジタルパワーメータやパワーアナライザをラインアップする横河計測、日置電機、HBK(旧HBM)などが出展、EMC・ノイズ対策技術展には、ノイズ研究所、電研精機研究所、東洋メディック(Narda、ナルダ)などが出展している。 2023年の電源システム展(7/26~28開催)には、近年、光絶縁プローブやFRA機能など、電源解析のアプリケーションがあるテクトロニクスが出展した(テクトロニクスの裏側にはリゴルが出展)。キーサイト・テクノロジーも多チャンネルの小型(薄型)SMUなどの新製品を展示。リゴルと同じく中華系オシロスコープメーカのSiglent Technology(シグレント)が、国内展示会に初めて出展し、キーサイトやテクトロニクスと同等の大きさのブースに12ビット高分解能オシロスコープなどを展示した。テクシオ・テクノロジーやクロマは台湾コーナで出展。パワエレに注力している岩崎通信機やテレダイン・レクロイは2022年から新設されたパワーエレクトロニクス技術展に出展。つまり、2023年は計測用の安定化電源だけでなく、主要メーカのオシロスコープも展示され、計測器の展示は大変盛況だったといえる。 2023年のTECHNO-FRONTIERは東京ビッグサイト東1~3ホールで開催され、東4~6にはメンテナンスレジエンスTOKYO(プラントメンテナンスショーなど)が出展した。プラントメンテナンスショーには計測器として、アドバンテスト(無線データロガー)、東陽テクニカ(振動センサ、振動解析)、フリアーシステムズ(産業音響カメラ)、フルーク(音響イメージャー)、マキシメータ・フィールド・テクノロジーズ(Aditel社の圧力測定器)などが出展した。

デジタイズ(でじたいず)

最近のデジタルマルチメータ(DMM)の機能の1つ。従来DMMは積分型ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)を使い、一定時間積分して1つの値を出すことで測定値を算出しているが、別のより高速なADCでサンプリングしてオシロスコープのように測定する機能が最近のDMMにはある。メーカによって表記は違うが、たとえばケースレー製品は「デジタイズI(電流)」や「Digi I」などと呼んでいる。一般にデジタイズ(digitize、デジタル化)は連続的な値(アナログ)を離散的な値(デジタル)に変換することなので、ADCと同じこと。「デジタイザ」というと計測器の1つの機種群の名前なのでここでいうデジタイズとは違う。

デジタル電圧計(でじたるでんあつけい)

(digital volt meter) 現在ではデジタルマルチメータ(DMM)などほとんどの電圧計がデジタルだが、1960年頃まではアナログ式(指針型)がほとんどだった。そのため、アナログ式と区別してデジタル電圧計と呼んだ。 現在、デジタル電圧計というと、立方体の箱に7セグメントLEDなどの表示が並んだパネルメータを指していることが多い。オムロンや渡辺電機工業などの制御機器や電力機器、計装(工業計器)メーカが「デジタルパネルメータ」などの名称で販売している。電圧は通常はアナログの連続値なので、ADコンバータでデジタル値にして表示している。ADコンバータの分解能(ビット数)によって、電圧表示の精度が決まる。 デジタル式の電圧表示が増えてはいるが、アナログ式(指針型)の指示計器は、見た瞬間におおよその値(傾向)を把握できる利点がある。そのため、制御盤や受変電機器、中央制御室の計器などにいまだに多く採用されている。計測器としての電圧計はデジタルが主流だが、計器としての電圧計(メータ)はアナログが主流ともいえる。

デジタル電圧電流位相差計(でじたるでんあつでんりゅういそうさけい)

電力系統監視/記録の機器をつくる株式会社近計システムの3相のデジタルパワーメータPHAシリーズ(PHA-100/200)の品名。電力機器として使われる保護リレーの試験に使われる特殊なデジタルパワーメータ。同社は海外メーカのメガー社の保護リレー試験器を代理店として販売していた。PHAシリーズの同等品としては、保護リレー試験器の代表的なメーカであるエヌエフ回路設計ブロックの2721パワーマルチメータがある。保護リレー試験器は電力、位相、時間などを測定できるが高額なため、このような測定器が併用される。デンソクテクノのDPF-300位相・周波数計やMCS-5000時間計などの単機能のモデルも同様に保護リレーの関連測定器群である。PHAシリーズも2721も品名が「デジタルパワーメータ」ではないため、「ベースはデジタルパワーメータで、3相、位相測定の機能があるモデル」であることがわかりにくい。PHAシリーズと2721が同等品であることや保護リレー試験関連製品であることも素人にはわかりにくい。計測器情報:PHAシリーズ、2721

デジタル電力計(でじたるでんりょくけい)

電力を電気信号に変換し、さらに測定値をデジタル表示する機器。 デジタルパワーメータの別名。

デジタルパワーメータ(でじたるぱわーめーた)

低周波の電力計の現在の主力機種の名称。別名:デジタル電力計、パワーアナライザ、パワーハイテスタ(日置電機)、パワーマルチメータ(エヌエフ回路設計ブロック)、または単に「パワーメータ」など。 計測器で電力を測定する機種群(カテゴリー)には3つある。一番代表的な機種がデジタルパワーメータである。1.デジタルパワーメータは商用周波数(50/60Hz)から100kHz程度の低周波の電力をデジタル表示する(たとえば横河計測のWT5000は0.1Hz~1MHzに対応)。センサ直結型とクランプ入力型の2種類があり、前者は横河計測、後者は日置電機が得意だったが、最近は両方が可能なモデルが増え、メーカによる堺がなくなりつつある。従来、デジタルパワーメータは横河電機(現横河計測)の主力機種群で、世界中に輸出している(横河計測のパワーメータは世界に販売することを主眼にマーケティングして製品開発している)。そのため、標準室向けの高精度のフラグシップモデルから可搬型の安価なモデルまでラインアップし、機種更新を続けている同社の看板製品である。日置電機はクランプが得意なため、クランプ電流計やクランプ電力計をラインアップし、現場測定用の低周波の電力計測(デジタルパワーメータ)でシェアが高い。両社は済み分けていたが、最近は競合するモデルが増えている。日置電機はスタンドアロンの高精度モデルに注力しているが横河計測もクランプを他社とジョイントいてクランプ入力式を増やしている。 2.高周波(RF)を測定する高周波電力計。スタンドアロン型でデジタル表示のモデルが主流。レーザーなどの光の電力を測定するものは、光パワーメータと呼び、電力計とはいわれない。3.指針型のアナログ表示のモデル(指示計器)を「電力計」と呼ぶ。ただし1のデジタルパワーメータを単に「電力計」と記載している資料もあるので注意。

デジタルマルチメータ(でじたるまるちめーた)

(Digital Multi Meter)電圧・電流・抵抗などを電気信号に変換し、測定値をデジタル表示する測定器。直流&交流の電圧&電流、それに抵抗という複数の物理量を1台で測定できるメータなので、マルチメータと呼ばれる。指示型(針が振れて測定値を指示する)のアナログの測定器は電圧計、電流計に分かれていて、1台で電圧と電流を測定はできない。略称:マルチメータ、デジマル、DMM。デジタルボルトメータの略称で、デジボルと呼んでいたメーカもあった。オシロスコープ同様に、最も基本的で台数が使われている測定器。ベンチトップとハンドヘルドの2種類がある。前者はキーサイト・テクノロジー(モデル34401Aなど)が、後者はフルーク(特徴的な黄色い筐体)が有名。テスターなどの現場測定器のメーカ(日置電機、三和電気計器など)もハンドヘルドのモデルを発売している。基本性能である表示桁数はハンドヘルドは4.5桁が主流(より小型で3.5桁もある)。スタンドアロンは5.5桁か6.5桁で、高性能モデル(高精度DMM)として8.5桁の機種が標準器としてある。DMMなどの表示桁数は「4.5桁」や「4 1/2桁」と表記される。「.5」、「1/2」とは最大の表示値の制限を表す。たとえば「4桁」の最大数は「9999」だが、DMMの最大数は「1999」が多い(「4000」の機種もある)。この場合「4桁」と表記すると“9999まで表示可能”と誤解されるため「3 1/2桁」と表記している。参考記事:デジタルマルチメータの基礎と概要、デジタルマルチメータの基礎と概要Part2 参考用語:表示カウント数、表示桁数

デジボル(でじぼる)

デジタルボルトメータ(digital voltmeter)の略。デジタル表示の電圧計のこと。デジタルマルチメータ(DMM)とほぼ同義。アナログ式(指針型の指示計器)の電圧計がADコンバータ内蔵でデジタル表示になったとき、従来のアナログではないのでデジタルボルトメータ(略してデジボル)と称した。アドバンテスト (現エーディーシー)の製品カタログなどで良く使われていた表現だが最近はあまり聞かない。アドバンテスト独特の表現(方言)といえる。タケダ理研工業(アドバンテストの旧社名)はDC~低周波の基本測定器の老舗計測器メーカで、デジボル以外にもVIGなどの、 この分野の独特の用語(いい方)をしていた(同社がこの分野のメインプレーヤであることことがうかがえる)。デジタル式の電圧計をデジマル(デジタルマルチメータの略)というメーカもあった。