計測関連用語集

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計測用電力計(けいそくようでんりょくけい)

電力計の内、計測器の主流であるデジタルパワーメータやパワーアナライザを「計測用電力計」や「平均電力測定のベンチトップ(据え置き型)電力計」、「瞬時電力測定のベンチトップ電力計」などのタイトルで解説している文献がある。「機械式電力計やクランプ電力計とは違う」ということを主張したい趣旨と思われる。具体的な計測器の名称や品名にはこのような「計測用電力計」なる表現は一切ないので、あくまで電力計を解説するとき(電力計の種類を説明したいとき)の文献上での用語である。デジタルパワーメータ国内トップで、海外にも輸出しているので、ワールドワイドを視野にマーケティングを行い新製品開発している横河計測は、PX8000という瞬時電力測定に適したデジタルパワーメータをラインアップしていて、計測用電力計の老舗である(ただし最近はプランプ電力計でトップの日置電機が横河計測と同等のモデルを数機種、発売し、猛追されている)。 比較的消費電力の変化が少ない白物家電製品や産業用パワーエレクトロニクス機器などの開発や生産の現場で、電力を高精度に測定するために使われるのがベンチトップ電力計である。ベンチトップ電力計は基本機能を重視した数字表示の電力計と、高機能でグラフィック表示を持つパワーアナライザがある。パワーアナライザは電圧、電流、電力の測定だけではなく、さまざまな解析機能を持っている。パワーアナライザは一般に高性能であるため、設計時の性能評価や規格試験に使われる。高機能が要求されるEMCノイズ試験や機器の効率などの測定に適している。 最近では入力モジュールを多く搭載して、複数の電力変換器を搭載したパワーエレクトロニクス装置の評価に適したパワーアナライザが登場している。太陽光発電用のインバータであるパワーコンディショナの変換効率評価に適したモデルが2010年頃から発売されている。 多くの電力計は平均的な電力を正確に測定できるように作られているため、放電現象やモータへの急負荷時の瞬時電力を測定するにはメモリレコーダやデジタルオシロスコープなどの波形測定器を用いた測定結果から電力演算を行って電力値を得ることはできるが、測定確度は保証されていない。そのため直流から交流まで電力確度が保障された専用の瞬時電力を測定できる波形測定器ベースの電力計が必要となり、横河計測はPX8000を開発した、といわれている。

ケースレーインスツルメンツ(けーすれーいんすつるめんつ)

(Keithley Instruments,KK) 1946~2010年に存在した計測器メーカ。1946年に米国オハイオ州クリーブランドで、Joseph F. Keithleyが計測器メーカKeithley Instrumentsを設立。1964年にオハイオ州ソロンに移転し、以降はこの地を拠点に活動。半導体パラメータアナライザやSMU、ピコアンメータなどの半導体測定器で有名。データ集録機器やDMMもラインアップ。2010年にダナハー(現フォーティブ)の傘下に入り、テクトロニクスと合併。日本法人がケースレーインスツルメンツ株式会社(設立年は不詳、2012年には日本のテクトロニクスと合弁)。 テクトロニクスの日本法人は、2012年頃から会社名を「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」に変更した(名刺がそうなった)。2021年には会社名を「株式会社テクトロニクス&フルーク」に変更(フルークもケースレー同様にダナハーの傘下)。旧ケースレーインスツルメンツの人員はテクトロニクスと組織が一体になっている(以下のイベントレポートを参照)。 すでにケースレーという会社は存続しないが、ブランドとしては健在(DruckやPanametricsと同じ)。製品はテクトロニクスのホームページでも1ページにまとめられ、ケースレーの従来の赤い企業ロゴもある(ただしA Textronix Campanyという注記がある)。URL:https://www.tek.com/ja/products/keithley(2023年11月現在) 2022年頃から定期イベントのKeithley Daysが開催されている。Keithley Days 2023(オンラインの無料Webセミナ)はタイトルが「革新を加速させる半導体デバイス最先端研究から、測定技術の入門基礎まで~Accelerating Innovations & Back to Basic~」で、2023/10/17(火)~18(水)に開催された。ケースレー製品の情報は、テクトロニクスのマーケティング・販売促進部署が「テクトロニクス/ケースレー」の名前でDM配信している(2023年10月現在)。 外資の計測器メーカの日本法人には他の計測器メーカからの転職者がいることが多い。特にケースレーインスツルメンツは半導体分野でキーサイト・テクノロジーと競合(同じような製品群をつくっていた)なので、2007年頃の社長は、キーサイト・テクノロジーの半導体テスタ部門の出身者だった。当時、元キーサイト・テクノロジーの営業マンが約10人いた。

ケルビン接続(けるびんせつぞく)

(Kelvin Connection) 低抵抗測定などで使われる、DUTと計測器の接続方法。電流測定端子と電圧測定端子を分けてセンシングする。端子が4つあるため、4端子接続や4端子法とも呼ばれる。ケルビン・ダブルブリッジを構成して、精密測定を行う接続方法。デジタルマルチメータ(DMM)やSMU(Sorce Measure Unit)で使われる測定(接続)方法。LCRメータの測定治具であるテストフィクスチャやテストリードは4端子接続である。電圧検出線をセンス(sence)、電流検出線をフォース(force)と呼ぶこともある。温度の単位のケルビン(K、絶対温度)で知られる英国の物理学者、ケルビンの考案。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・【ミニ解説】でケルビン接続を図解。

検電器(けんでんき)

電気回路が通電しているかどうかを判別するための器具。電気工事で作業者の生命を守るために使われる簡易計測器(チェッカ)。ペンのような形状で、片手で持ち、ペン先を配線の被覆など(測定したい対象)に当てて使う(ペンの中央にボタンがあるモデルもあり、ペンや箸を持つやり方ではなく、棒を握る持ち方をする)。外観は立方形(や立方柱)の太いペンのような棒状。ハンドヘルドの計測器としては、用途(使い方)に特化した独特な形状である。日置電機や共立電気計器などの(現場測定器が得意な)計測器メーカもつくっているが、電力会社や工事会社に検相器、継電器(リレー)などを納める長谷川電機工業株式会社が検電器では有名。活線(電流が流れている状態のこと)に近づくと警報を鳴らして作業者に高圧電線に接近していることを知らせる「活線接近警報器」などの関連製品もラインアップしている。参考用語:フォークカレントテスタ 計測器情報:検電器の製品例

現場測定器(げんばそくていき)

(field measuring instrument) 主に屋外(フィールド)で使われるハンドヘルド(可搬型)の計測器を指す。代表的な製品は可搬型のデジタルマルチメータ。電気工事や、産業分野の設備の保守・点検で使用される測定器が、現場測定器と総称される。メンテナンス用測定器(保守・点検用測定器)とも呼ばれる。工場などの生産現場で、PA(プロセスオートメーション)、FA(ファクトリーオートメーション)の設備の故障・トラブルの防止対策、安全管理のための保守保全ツールも含まれる。毎年5月頃に開催されるJECAフェア(電設工業展)にはほとんどの現場測定器、メンテナンス用測定器が出展される。 現場測定器の計測器メーカといえば、まずフルーク(本社:米国)。同社ホームページの会社概要には「工業用電子機器の取り付け、保守、修理から、正確な測定、品質管理までFlukeのツールは世界中の会社を支援している」旨が述べられている(2023年11月)。同社の製品カテゴリーはDMM、電気のテスタ、クランプ、非接触温度計(サーモグラフィ、赤外線放射温度計)、オシロスコープ(ハンディタイプ)、プロセスツール(圧力校正器)などがある(2023年11月)。 国産では、1965年に国内初のクランプメータを製品化した共立電気計器が老舗で、絶縁抵抗計(メガー)などの電気工事市場向けの製品に注力している。現場測定器に特化して、ベンチトップの製品(レコーダやデジタルパワーメータ、オシロスコープなど)が少なく、国内より海外の売上が大きいため、日置電機や横河計測ほどのネームバリューはない。他には三和電気計器、マルチ計測器、カスタムなどが現場測定器のラインアップが多い。 横河電機はPA/FA/IA、工業計器(計装)の大手企業である。そのためプロセスツールを手掛けている。プラント内の計器の検査に使われる「電圧電流発生器&マルチメータ」で、横河計測のプロセスキャリブレータと呼ばれるモデルはトップブランドである。横河電機の計測器は横河計測に集約され、同社ホームページには次の順に製品群が掲載されている(2023年11月)。オシロスコープ(波形測定器)、パワーアナライザ(電力測定器)、データロガー(データ収集、DAQ)、光測定器(旧安藤電気の製品群)、校正器/標準発生器、現場測定器。現場測定器の内訳はプロセスキャリブレータCA300/CA500、圧力キャリブレータCA700、ハンディDMM、接地抵抗計などである。 電気工事関連で使われる通信計測器として、LANなどのケーブルテスタのフルーク・ネットワークスや、オンラインモニタ(プロトコルアナライザ)の株式会社ラインアイも、現場測定器メーカとしてJECAフェアの常連である。 空調向けの温湿度、風速などの現場測定器(環境計測器)に注力しているテストー(testo)はハンドヘルドのサーモグラフィも手掛けている。環境測定器とは湿度、温度、風速、騒音、日射などの測定器を指す。騒音計のトップメーカであるリオンには現場で使用するハンディ製品が多くあるが、現場測定器といういい方はあまりされない。一般社団法人日本能率協会が毎年開催するイベントのメンテナンス・レジリエンスにはプラント・メンテナンスショーがある。工場の保守用機器として、フルーク、testo、FLIR(フリアー)、日本アビオニクスなどの各社のサーモグラフィが出展される。 強電の電気設備である保護継電器の測定器(リレー試験器)や耐圧試験器をつくる双興電機製作所やムサシインテックもJECAフェアに出展する計測器メーカだが、現場測定器というより障害試験器に分類される。 上記以外にも現場測定器はあり、網羅した説明は難しい。 現場測定器は安価なモデルも多く、趣味の電子工作をする技術者も使う。秋葉原の電気街にある電子部品販売会社(ショップ)では現場測定器を販売している。東洋計測器は最も大手の計測器販売会社で、店頭販売以外にネット販売(ECサイト)も運営している。同社の本社にある計測器メーカ各社のショールームには国内10社、海外9社の計測器がメーカ別に陳列されている(2023年11月)。

検流計(けんりゅうけい)

(galvanometer) 高感度な電流計。主に電流が流れているか否かを確認する目的で使うために高精度になっている。アナログ表示の指示計器だが、針は中央にあり、左右に振れて、電流の流れる向きを判別できる。ブリッジで平衡を取るときなどに使用される。 別名:ガルバノメータとも呼ばれる。ブリッジの回路図で中央の検流計を「G」と表記するのはgalvanometerの略記である。カエルの足に電気刺激を与えて動物電気を発見したGalvani(ガルバーニ)が語源。「電流が流れているか検査する」という意味を「検流計」という熟語に翻訳した。 検流計と同様にメガー(絶縁抵抗計)も、針の振れ具合で絶縁状態(絶縁抵抗が十分に高い値か)を確認する。電気設備の保守点検の作業員は針の振れ方で瞬時に検査を完了する。具体的な抵抗値を測定するのが目的ではないため、デジタル表示ではなくアナログが適している。検流計もデジタル表示の精密(高精度)電流計にできなくはないが、いまだにアナログの物が使われている。

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