計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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SAR ADC(えすえーあーるえーでぃーしー)

(Successive Approximation Register Analog Digital Converter) 逐次比較型ADコンバータ。ADコンバータの方式は複数あり、一般的にデジタルマルチメータ(DMM)は積分型が多い。高ダイナミックレンジ、高精度に適した方式としてSARやデルタシグマ(ΔΣ)型がある。

SMU(えすえむゆー)

(source measure unit) ソース・メジャー・ユニット。電圧電流発生(ソース)機能と測定(メジャー)機能の両方がある計測器。電流と電圧を供給し、同時に高速・高確度で電流、電圧、抵抗を測定する。電子部品や半導体デバイスのI-V特性などの評価に使われる。 ISVM(電流を印加して電圧を測定)やVSIM(電圧印加電流測定)の機能がある。電源(電流源、電圧源)とデジタルマルチメータ(DMM)だけでなく、オプションでファンクションジェネレータ、オシロスコープ、電子負荷、パルスジェネレータなどが揃うモデルもある。キーサイト・テクノロジーやケースレーは半導体パラメータアナライザというSMUを装着して使える測定器があり、高精度の測定器群を同期して使える。SMUは電圧電流源&メータなので、カテゴリーはDMMと同じ「電圧・電流・電力測定器 」に区分されるが、アプリケーションは電子部品や半導体デバイス評価である。一般にSMUというと、外観は据え置き型のDMMで、筐体にSMUを装着して使うモデルと、分離できない一体型のモデルがある。一体型モデルは「直流電圧電流発生器(/モニタ)」の品名が多い(エーディーシーや横河計測)。ケースレーは「ソースメータ」や「ソース・メジャー・ユニット(SMU)」と表現している。キーサイト・テクノロジーは「ソース/メジャー・ユニット」や「ソース/メジャメント・ユニット」と品名を表記している。 参考記事:高精度な電子部品の評価に貢献するSMU〜エーディーシー6253直流電圧・電流源/モニタ

STamigo(えすたみーご)

米国の大手計測器メーカTektronixの日本法人であるソニー・テクトロニクスが、1990年代に行ったイベント(販売施策)の名称。「STamigo™ エスタミーゴ」と表示(印刷)されたデジタルオシロスコープTDS300/Pシリーズのカタログ(1998年8月発行)が残っている。鳥のキャラクターデザインを使っている。1990年代初頭まで同社は直販が主で、営業マンを「フィールド・エンジニア」(顧客に製品の説明を行う技術者)と位置づけていたが、間接販売に大きく転換し、1993年頃から始めた「販売チャネルの開拓」がSTamigoと思われる(30年前のため実態は不明)。 呼称はSTamigo(スタミーゴ)ではなく、「S(エス)Tamigo(タミーゴ)」。amigoはスペイン語で「友達」だがTamigoの意味は不明。「ST(ソニー・テクトロニクス)amigo(友達)」の略記かもしれない(あくまで推測)。 ハンドヘルドのデジタルマルチメータ、WaveMeter STA55(STA55G型、STA55H型)の製品カタログ(1994年発行)のトップページには、メーカ名の「ソニー・テクトロニクス」とSTamigoの表記があり、最後のページの一番下に小さな字で、次の但し書きがある。「STamigo(エスタミーゴ)は、記載されているソニー・テクトロニクス(株)製品の販売店の総称です。」 中古販売サイトに出品されたWaveMeter STA55Gの写真には、型名(※)の近くにSTamigoと印刷されている。製品には当時のソニー・テクトロニクスの企業ロゴである「SONY tektronix」の表示があり、表示部の下には「計測器ランド」とある。計測器ランドは秋葉原にある大手計測器販売会社の「東洋計測器」の店頭販売(ショップ)の名称である。 (※) ソニー・テクトロニクスは製品のモデル番号を形名ではなく型名と表記している。「MSO4104型」というような表現がホームページや資料にされていることがある。つまり、モデル番号を「○○型」(○○は形名)と表現する。この表記方法がソニー由来かは不明。たとえば横河電機はモデル番号を形名というので、横河関連会社は自然とそれに倣っている。たとえば横河電機が計測器を分社化した横河計測は、モデル番号を形名と表記している。形名と型名は、どちらが正しいということはない(以下の参考記事「計測器の形名」が詳しい)。 1990年代にテクトロニクスが発売したハンディDMMのSTA55シリーズを中心に、販売会社の名前を印刷したモデルをつくり、販売店が売るという、ソニー・テクトロニクスの「新規販売店募集キャンペーン」がSTamigoだったと推測される。STA55シリーズは販売店専用のモデルだったかは不明(型名がSTamigoと類似している)。2019年10月に当サイトに「STA55GとSTA55Hのカタログを探している」という問い合わせがあった。つまり、STA55シリーズはそれなりに販売実績があったと思われる。STamigoの対象モデルや、計測器ランド以外の販売実績などは不明。 上記の中古販売サイトとは別のECサイトには「製造元:SONY Tektronix、商品名:STA55G STamigo WaveMeter」と表記された商品がある。製品に印刷された表記を忠実に(余すところなく)転記して、メーカ名と形名を表記している。この商品には販売店の会社名が印刷されていない(つまり販売店経由でなく販売された物もあることを意味する)。計測器を収納するソフトケースには「STamigo」と書かれて、まるでSTA55Gの通称のようである。 また「TDS380P STamigo TWO CHANNEL DIGITAL REAL-TIME OSCILLOSCOPE 400MHz 2ch 2GS/s」と表記された商品もある。これも現品の表記を忠実に再現して、「メーカ名・形名・品名・仕様」の順番に並べたことが写真からわかる。つまり、TDS380PにはSTamigoの表記があるが、販売店名が印刷されていないモデルが流通している。TDS340APやTDS360PもSTamigoと表記された商品が中古計測器販売サイトにあるので、TDS300/PシリーズのSTamigoはそれなりに売れたモデルと思われる。中古サイトの製品写真を見る限りは、TDS300/Pシリーズには販売店名の表示はない。 「希少 STamigo STA36 DMM」という商品の情報がネットにある(オークション開始日2021年12月、落札価格2100円)。製品の写真から推測すると、STA55の下位モデルと思われる。製品にはSTamigoとSTA36はあるが、販売店の表記はない。 オークションサイトに「工具セット(ツールセット 電工)ソニーテクトロニクス レア 珍品」なる商品の公開履歴がある。アタッシュケース状の黒いソフトケースを開くと工具セットになっていて、ドライバーなどに「STamigo by SONY/TEKTRONIX」と印刷されている。STamigoの粗品(キャンペーンの賞品?)であろうか。 断片的ではあるがSTamigo商品(施策? イベント? キャンペーン?)の実態が、当時の製品カタログやネット商品の製品写真(2024年1月現在)から推測される。

エッジ(えっじ)

(edge) エッジには多くの意味がある。端(はじ)。きわ。ふち。へり。図形の辺(線分)。先端的。表記は「エッヂ」もあるが、筆者は「エッジ」が多いと感じる。 1. 計測器では、デジタル信号が立ち上がる(または立ち下がる)、波形のスロープのこと。オシロスコープの基本機能であるトリガで、一番使用頻度が高いのはエッジトリガである。フルーク(フルーク・キャリブレーション)はマルチプロダクト校正器の「オシロスコープ校正用の出力信号」のことをエッジと呼称している。デジタル信号の電圧がlow(0、ゼロ)からhigh(1)レベルへ遷移することを立ち上がりエッジというが、オシロスコープの周波数帯域の確認(校正)のためには、校正用の信号の立ち上がり時間が短い(立ち上がりが速い)ことが重要であるため、同社は校正用の信号をエッジと呼んでいると思われる(以下の参考記事が詳しい)。 論理回路の設計用言語(プログラム)では、立ち上がりエッジをposedge(ポスエッジ)、立ち下がりエッジをnegedge(ネグエッジ)と呼んでいる。pos negは「正負」を意味する接頭辞として使われている。Rhの血液型が「陽性」、「+」だとpositiveを略記してPOS、「陰性」、「-」はnegativeでNEGとなる。 デジタル無線通信の計測器で使われる規格(方式)名称にEDGE(読み方:エッジ)がある。カタカナのエッジではなくEDGEだと、2G(携帯電話の第2世代移動通信システム)で使われるデータ通信規を指す(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)。GSMは世界で最も利用されているデジタル携帯電話の通信方式。欧米や、日本/韓国以外のアジアで100以上の国と地域で利用されているため、事実上の世界標準といえる。EDGEは「GSMの後継方式で、GSM384、UWC-136とも呼称される」ので、3Gである。日本ではNTTが2001年に世界初の3G(W-CDMA)を運用開始したが、EDGEはそれと同じ位置づけの欧米(や中国など)の規格である。欧米と日本では3Gまでの携帯電話の規格が異なり、3Gへの移行も同じではないので、素人が正確に理解することは難しい。 2. ITや通信業界では、クラウドとの対比でエッジが使われる。クラウドはネットワークの基幹部分(コアネットワーク)に相当し、ネットワークにつながる多くの端末に近い箇所をエッジ(ネットワークの端、ふち、という意味)と呼ぶ。IoT(モノのインターネット)は多くの端末(エッジデバイス)がネットワークにつながることである。計測器メーカもエッジデバイスをつくっている(以下の渡辺電機工業の記事が詳しい)。最近ではエッジAIやエッジコンピューティングということばもある。Microsoft Edge(マイクロソフト エッジ)といえば、インターネットで検索するときに使うウェブブラウザ(PCや携帯電話をWebサーバに接続するためのソフトウェア)で、Google Chrome(クローム)やInternet Explorer(IE)と共に有名である(「エッジ」をブラウザで検索すると上位にMicrosoft Edgeが表示される)。 DCSなどの工業計器のトップベンダである横河電機には多くの製品群があり、レコーダ(メモリレコーダなどの計測器のレコーダではなく、計装用の温度などのセンサの役目をするデータ集録機器)やプログラマブルコントローラ(PLC)、小規模計装機器(温調計、信号変換器、電力モニタなど)などの製品群をエッジソリューション統括部にまとめて、「エッジプロダクトニュース」と題したDMを2021年5月から配信している。初回配信では、“エッジ製品に特化したお役立ち情報を届けるため、従来の「ITプロダクトニュース」を「エッジプロダクトニュース」にリニューアルした”、と冒頭に述べている。前述の渡辺電機工業は横河電機と同じ計装の機器をつくっているが、信号変換器は(エッジデバイスではなく)センサーデバイスと表現している(以下の記事参照)。エッジが示す製品の範疇(エッジデバイス、エッジプロダクトなど)はメーカによって異なるので、あくまでエッジとは概念であり、具体的な製品は各メーカの解釈に任されている。とにかく、ネットワークの進歩に伴って、ITだけでなく計装の世界でもエッジが流行りである。 一般には、エッジは「先端的、尖っている」という意味で使われている。「エッジが効いている」とは「切り口が鋭い」、「際立っている」、「気が利いている」という、秀でていることの褒めことばである。ファッション業界で使われ、一般に広がったといわれる。TechEyesOnlineも、ここでしか知ることができないオンリーワンのコンテンツを満載した、「エッジの効いた、尖がった(とんがった)専門サイト」を目指している。

エネルギーマネージメントシステム(えねるぎーまねーじめんとしすてむ)

(Energy Management System) 工場やビルなどの、施設のエネルギー使用状況を把握して、最適なエネルギー利用を実現する活動を支援するシステム。「電力監視」や「エネルギーの見える化」とも呼ばれる。略記:EMS。 日本は省エネが進んでいる。2010年代にはデマンド(電力使用量の可視化)が産業界に広まったが、カーボンニュートラルとも相まって、2020年代は各工場にエネルギーマネージメントシステム(EMS)の導入が進んでいる。以下の記事で業界動向を取材。 表記は「エネルギーマネジメントシステム」のほうがやや多い。管理職を示す「マネージャ」は、会社によっては名刺の表記が「マネジャ」の場合がたまにある。 manageの日本語(カタカナ表記)に「ー」を入れるか否かは難しい。マネージャは「ー」が入ることが多く、マネジメントは「ー」が入らないことが多いようである(この使い分けはどのような基準なのか。。)

MPPT(えむぴーぴーてぃー)

(Maximum Power Point Tracking) 日本語では「最大電力点(追従)制御」。太陽電池が発電する時に出力を最大化できる最適な電流と電圧の値(最大電力点、あるいは最適動作点)を自動で求める制御のこと。PV(太陽光発電システム)は気象条件などの変化で常に変動する最適動作点に追従しながら動作している。MPPTは効率良く電力を取り出す仕組みである。MPPT機能はパワーコンディショナ(太陽光発電のインバータ)に搭載されている。そのためパワコン評価用の試験機器(電源など)にはMPPT機能があるモデルがある。また、PV用のI-VチェッカにもMPPT機能のあるモデルがある。

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