計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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電圧トランスデューサ(でんあつとらんすでゅーさ)

PT(変圧器)の電圧を計装用信号に変換する機器。

伝送器(でんそうき)

工業計器、計装、FA(ファクトリー・オートメーション)、IA(インダストリーオートメーション)、PA(プロセスオートメーション)の用語。工場などのプラントで、センサ や検出器の情報を遠距離にある計器室などに送るためには、伝送に適した信号に変換する必要があり、この変換器を伝送器と呼ぶ。工業計器の雄、横河電機株式会社にはフィールド機器のカテゴリーで「圧力伝送器」や「差圧伝送器」が多数ラインアップされている。大気圧を基準として、センサが検出した圧力の情報を、遠隔設置されている受信計・制御装置に伝送する。 ここでいう伝送は「NTTなどの基幹通信網(コアネットワークに設備されている伝送装置」のことではない。そのため通信計測器の伝送/交換装置用測定器は全く関係ない。プロセスキャリブレータなどの圧力や電圧、温度の計測器が活躍する。伝送器は(プラントに設置されている)圧力などの情報を伝える機器である。 基幹通信網の伝送装置は「伝送」という呼称をされることが多いが、ここでいう計装の伝送器は「伝送」と略されることは無い。そのため通信の伝送と間違われることはほとんど無い。つまり伝送(通信)と伝送器(計装)は同じ伝送という表現をしているがまったく違うものである。 「伝送器」は計装の分野のものだが、似た言葉に「電装品」(でんそうひん:自動車に装備される電気機器)がある。一般には電装品が一番知られていて、通信関係者には伝送、工場(工業計器)関係者には伝送器であろうか。「でんそうき」というと漢字は伝送機や電装機がまず出てくる。伝送器はこの分野(計装)の関係者でないと思い浮かばない。計装の伝送よりも通信の伝送や自動車の電装のほうがメジャーであることが伺える。 伝送器を英訳するとtransmitter(伝送する機器)だが、transmitterを和訳したら「送信機」(電波を送信するアンテナなどがある無線機器や伝送装置)である。なので計装の伝送器はtransmitterなのだが、この英語で英語圏で通じるのかは不明である。

電流トランスデューサ(でんりゅうとらんすでゅーさ)

CT(変流器)の電流を計装用信号に変換する機器。

電力トランスデューサ(でんりょくとらんすでゅーさ)

電流と電圧から電力(有効電力)を演算して計装信号に変換する機器。

トランスデューサ(とらんすでゅーさ)

(transducer) 広義には、ある入力エネルギー信号を、異なった出力エネルギー信号に変換する素子または装置。狭義には計装 で使われる機器の1つ。たとえば熱電対などの温度センサの出力は微小な電圧(0~10mV)なので、PLCには直接の入力はできない。トランスデューサを介してPLCに信号が伝わり、温度制御がなされる。

熱電対変換器(ねつでんついへんかんき)

熱電対の信号を電圧に変換する機器。別名:信号変換器。

HART(はーと)

(Highway Addressable Remote Transducer ) フィールド機器などのプロセス産業に採用されているデジタルデータ伝送の世界規格。4-20mAのアナログカレントループを利用するため、既存のアナログ設備を流用してデジタル化でき、普及した。HART協会(HCF:HART Communication Foundation)がプロトコルを規定。フィールドバスの1種。計装の世界で普及しているアナログ通信手法である4-20mAは直流のため、これに交流のデジタル信号を重畳することで、デジタル伝送を実現する。デジタル信号には温度などの検出器の測定値だけでなく、シリアル番号などの機器情報も伝送されている。このような「4-20mA信号にデジタル信号を重畳して、多数の信号を伝送する手法」が、各計装メーカで始まった(スマート通信と呼ばれた)。各社が独自の方式を導入したので、業界標準が提唱されHARTができた。たとえば横河電機は自社製品の専用通信プロトコルBRAIN (ブレイン)を1970年代から導入している(たとえばBRAINターミナルなど)。ただし最近はHARTやPROFIBUS(プロフィバス)などの標準フィールドバスにも対応している。

HARTコミュニケータ(はーとこみゅにけーた)

(HART Communicator) フィールド機器とHART通信をして、さまざまな情報のやりとりをする携帯型の通信ターミナルのこと。計装の世界で良く使われている。計装の代表的メーカである横河電機は、独自の伝送方式であるBRAINの設定用にBRAINターミナルがある。 参照用語:HART

パネルメータ(ぱねるめーた)

(panel meter) 電気信号の値を表示する装置(機器、部品)。7セグメントLEDを使い数桁のデジタル表示をする箱型の製品が多いが、アナログ表示も物もある(「デジタルパネルメータ」という製品名がある)。工業計器の範疇の製品といえる。機器に組込まれて使われることが多いため、サイズが規格化されている。アラーム機能があったり、コンピュータにデータ出力できたり、各社のモデルによって特徴がある。 最近は、工場などのセンサデバイスの1種として、ネットワーク機器を経由してクラウドにデータをアップし、ビッグデータ解析に使われる、など用途は広い。キュービクルやメタクラなどの受変電機器にはメータ(アナログ表示の指示計器)が多く採用されているが、最近はデジタル表示のパネルメータも見かける。 メーカはオムロン、鶴賀電機、渡辺電機工業、エムシステム技研などの、計測・制御のメーカがつくっている。

半二重(はんにじゅう)

(half duplex) 通信回線が1つで、送信用と受信用を切り替えて会話すること。たとえばトランシーバ は2人の間で会話する時、片方が送信者でもう片方が受信者になり、自分が話したいときはボタンを押して送信者となる。送信と受信の2回線があると全二重(full duplex)という。 半二重の例はRS-485。シリアル通信の規格RS-232C (全二重)よりも高速、長距離のデータ伝送ができるように改善したのがRS-485(2線式)で、半二重。ただし4線式のRS-485もあり、こちらは全二重。 通信規格によって半二重と全二重があり、用途によって使い分けられている。

PA(ぴーえー)

(Process Automation) 化学工業や石油精製などの化学工場(プラント)で、生産の過程(プロセス)の主要点で温度・圧力・流量などを自動制御して、生産工程を自動化すること。FA(Factory Automation、工場の自動化)やIA(Industrial Automation、産業自動化)と同様につかわれることば。PA、FA、IAに使われる計測機器や制御機器は工業計器と呼ばれる。計装用途の現場計測器であるキャリブレータはプロセスキャリブレータと呼ぶ。プロセス、計装、工業計器、これらのことばは同じ業種・市場の用語である。

PLC(ぴーえるしー)

(Programmable Logic Controller) FA(Factory Automation、工場の自動化)や計装分野の用語。プログラムに従って制御をしていく機器。工場の製造現場に導入されているコンピュータであるDCSと各装置の間にPLCは位置している。 メーカは三菱電機やオムロンが有名。富士電機やパナソニック、横河電機もつくっている。FAメーカだけでなく大手電機メーカもラインアップしているといえる。メーカによって「プログラマブルコントローラ」とも呼称される。三菱電機は「シーケンサ」と呼んでいる。各社の製品には通称もあり、横河電機はFA-M3、三菱電機はMELSEC。 横河電機の製品群は大きく「制御」と「計測」に分かれる。PLCは同社HPの製品/サービスページの「制御/制御デバイス/プログラマブルコントローラ(FA-M3V)」に掲載されている。同じく計装の機器として工場に導入されている伝送器(でんそうき)や流量計は「製品・サービス/計測/フィールド機器」のページに掲載されている。温調計はPLCと横並びで「制御」に分類されている。つまりPLC、DCS、温調計は制御の機器で、伝送器や流量計はDAQや横河計測の製品と横並びで「計測」のページに掲載されている。 横河電機と同業で「制御・計測・監視」を標榜する株式会社チノーのHPでは製品ページの下に、放射温度計(計測器)もPLCも温調計も同列に掲載されている。PLCメーカはPLC専業でない大手企業が多いので、メーカHPからPLCを探し出すには計装や制御機器の知識がないと難しい。 計測器情報:横河電機のPLCの製品例

BRAINターミナル(ぶれいんたーみなる)

(BRAIN Tarminal)横河電機のDCSやフィールド機器などの計装機器のデジタル伝送プロトコルであるBRAINのコミュニケータ(携帯型の通信ターミナル)。形名BT2000などがある。参照用語:HARTコミュニケータ

プログラマブルロジックコントローラ(ぷろぐらまぶるろじっくこんとろーら)

(Programmable Logic Controller) PLCと表記されることが多い、工場の生産現場に導入されている計装の機器。工場を管理しているコンピュータであるDCSと各装置の間に位置する。メーカによっては「プログラマブルコントローラ」や「シーケンサ」と表現されている。PLCメーカは三菱電機、オムロン、横河電機などのFA/IA/PA(Factry Automation/Industry Automation/Prosess Automation)の会社。 シーケンサといえば三菱電機のPLCの名称。FA-M3といえば横河電機のプログラマブルコントローラの通称。

PROFIBUS(ぷろふぃばす)

Process Field Busの略。 FA(ファクトリーオートメーション)分野で使われるフィールドバスの1つ。1989年にドイツで開発され、EUでは普及率が高く、世界的にも導入が進んでいる。NPO法人日本プロフィバス協会は1997年に設立され、現在は140社を超える会員からサポートされている(同協会HPより)。同協会HPのキャッチコピーは「世界で最も使用されているフィールドバスPROFIBUS、産業用Ethernetの標準PROFINET」である。

Modbus(もどばす)

米Modicon社が1979年に開発したPLC向けシリアル通信プロトコル。仕様が公開されていて、多くの産業用機器で採用されている。計装用のインタフェース規格といえる。Modbus Protocolでは通信プロトコルだけを定義し物理レイヤ(通信媒体)は規定していない。そのためレイヤ1はRS-232/485が使われていることが多い。EthernetなどのネットワークにModbus Protocolが乗っていることもある。PLC用ということは工場やプラントなどで使われるバスである。

4-20mA(よんにじゅうみりあんぺあ)

アナログ出力の規格で、電流出力の範囲が4mA~20mAの範囲で出力される方式こと。計装用機器の標準アナログ出力として採用されている。計測器のアナログ出力は4-20mAになっているモデルが多い。計測器のアナログ出力を記録計(ペンレコーダなど)に入力して、紙に印字する場合、計測器のレンジのフルスケールに対応して4~20mAが流れる。そこで記録計の設定を4~20mAにしておくと、適切な大きさで描画することができる。 現在の計測器はデジタル全盛の時代であるが、計装など、プラントの現場では、アナログ値を紙に印刷して確認することが多い。たとえば新幹線の開通の為の試運転・試験では、振動や騒音などの計測データを記録計に入力して、試験中に紙に印刷し続け、検査員は気になる箇所に印をつけて試験が行われた。現在はだいぶ電子化され、デジタルデータをメモリに蓄積するメモリレコーダ が主流になったが、紙に印刷されていく波形を検査員が目視で確認する手法は、一番合理的で間違いのない確かな試験方法と考えられている。 印刷できることを最大の特徴とするエー・アンド・デイ(旧三栄測器、日本アビオニクス)の記録計、オムニエースは、現在でもメモリレコーダとしてシェアを確保している。工業計器メーカの雄、横河電機の記録計がペーパーレス(印刷機能が無い)で、通信機能によって記録計からデータを収集することを大きな特徴にしていることとは正反対である。計測器はアプリケーションによって同じカテゴリでも(たとえば同じ記録計といっても)、機能が大きく異なることがある例といえる。 参考用語:0-10mV 参考記事(会員専用):【展示会レポート】スマートエネルギーWeek春展(FC EXPO/二次電池展/スマートグリッドEXPO)の3ページ目・・従来はアナログ出力しかなかったのに出力方式を増やした例。

力率トランスデューサ(りきりつとらんすでゅーさ)

電流と電圧の位相差から力率(位相角)を演算して計装信号に変換する機器。

YEW(わいいーだぶりゅ)

(Yokogawa Electric Works) 横河電機製作所(現横河電機)の略号。1986年頃まではYEWがCI(コーポレート・アイデンティティ)だった。 横河電機は1915年に電気計器の研究所として設立し、1920年に「株式会社横河電機製作所」になった。1986年に横河電機株式会社に社名変更し現在に至る(同社ホームページより)。1983年頃までは「YEW」が企業ロゴとして表記されている製品が多かった。同社の指示計器(針が振れるアナログ式の電圧計、電流計、電力計)は黒い箱型で、弁当箱の愛称があった。最上部には接続端子、その下の約半分くらいが(針が振れる)表示窓で、下半分の何もない黒い箇所に大きく「YEW」と刻印してあった。大学・専門学校などの工学系の学生は黒いYEWを使い実験を行ったので、YEWは電気測定器の代表と広く認識された。 YEWは1963年(昭和38年)9月にhp(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)との合弁企業、YHP(横河ヒューレット・パッカード株式会社)を設立するなど、日本の計測器のトップブランドであった。ただし1975年に世界初のDCS(分散形制御システム/総合計装制御システム「CENTUM」)を発表するなど、横河電機はFA/IA/PAメーカ(工業計器の会社)である。1988年にはYHPから資本を引き上げ、高周波測定器(移動体通信など)に参入し、2002年には(NTTに測定器を納入する)大手通信計測器メーカの安藤電気を100%出資のグループ会社とし、有線通信計測器や半導体テスタをラインアップに加えるなど電気計測分野を拡充したが、現在はそれら全部から撤退している。2010年には測定器ビジネスを分社化し、横河メータ&インスツルメンツ(現横河計測)に統合するなど、今の横河電機のコアコンピタンスに従来の「電気計測」は感じられない。 余談だが、現在の計測器としての記録計の主流であるメモリレコーダではなく、計装の記録計としてのデータロガーは横河電機の主力機種の1つである。ただしこれは電気計測器というより工業計器の一部である(電気計測器の総覧などにはこのデータロガーも掲載されているが、メモリレーダとは用途や顧客が全く異なる計装の記録計である)。計測器の記録計か、計装の記録計かは素人には判別が難しいので、やっかいである。 計装の国内トップベンダーとなったYEWは、同業の北辰電機製作所を1983年に吸収して会社名を横河北辰電機とし、1986年には現在の横河電機株式会社(Yokogawa Electric Corporation)になり、YOKOGAWAを新しいCIとし、YEW時代は終わった。現在の横河電機は、工業計器・プロセス制御システム専業の国内大手電機メーカである。この分野では世界6大メーカ(グローバル・ビッグ6)の一つといわれ、売上の70%が海外事業、従業員の70%が外国籍のグローバル企業である。メーンバンクはみずほで、芙蓉クループの代表企業といえる。 一方で、横河の計測器を継承する子会社の横河計測は、電気計測器の日本市場シェアとしては10%以下(推定)。横河計測は大手計測器メーカの1社ではあるが、「横河」は現在では計測器のトップブランドではなくなった。「横河」と聞いて一目置くのは、YEWを知っている高齢の電気技術者だけである。 計測器情報:YEWの指示計器(電圧計、電流計)の製品例