計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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スループット(するーぷうと)

(throughput) 機器が単位時間あたりに処理できるデータ量を指す(処理能力の指標)。コンピュータ、IT、ネットワーク、通信などの分野で使われる用語。たとえば通信回線のデータ転送能力や、コンピュータの処理能力など。計測器では有線の通信計測器(プロトコルアナライザ、ネットワーク関連測定器など)で使われる。 計測器情報:スループットが品名に付く製品の例 ・・通信計測器でスループットを品名にするものはほとんど見当たらない。振動解析や半導体試験で計測器の処理能力が高いモデルに「ハイスループット」、「高スループット」などの表記がある。

送信機(そうしんき)

(transmitter)信号を送信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは送信機と受信機の両方に使われる。別名:トランスミッタ

通信計測器(つうしんけいそくき)

有線(光通信など)と無線(ワイヤレス)がある。新しい通信方式が開発されるとそれを評価する測定器が現れる。その時代の通信方式に対応するため、計測器の寿命が短い専用器が多い(2年位で次モデルになる場合もある)。基本測定器は有線では光測定器の光パワーメータ(OPM)、光源、光スペクトラムアナライザなど、無線ではRFパワーメータ、信号発生器、スペクトラムアナライザである。 有線の通信測定器は 1. プロトコルアナライザ(略称:プロアナ):RS-232Cなどの低速のオンラインモニタ(ラインモニタなど)と、バスアナライザ、超高速のギガビットLAN(参考記事あり)などのモデルがある。無線LANのプロトコルアナライザもある。 2.ネットワーク測定器:ここでいうネットワークとは通信回線網のことで、交換、伝送、IPなどの伝送品質を評価したり、端末や通信装置の代わりになってエミュレーションしたりする測定器。SDH/SONETアナライザ、BERT(ビット誤り率試験器)や疑似呼(コールシミュレータ)、IP負荷試験装置など。 3.光測定器:光通信の測定器や光ディスクなどのDVD評価用測定器。電磁波としての光を扱う測定器で、照度計や輝度計のような人が感じる光(明るさ)の測定器ではない。光パワーメータ(OPM)、光源、光スペクトラムアナライザ、OTDRなど。 4.ケーブルテスタ:OSI参照モデルの物理層(レイヤ1)の測定器。LANのケーブルテスタやTDR(障害位置試験器)など。5.アナログの伝送線路の測定器:レベルメータ、選択レベル計など。以前はアンリツや安藤電気がつくっていたがほぼ撤退し、今は大井電気がラインアップしていて、ユーザは工事会社が多い。上記2の機種群は高速になると電気でなく光通信になるので、光測定器の機能を持つが、それらは光通信の基本測定器ではなく通信方式に対応した専用測定器なので、2に分類される。3の光測定器はOPMや光スペクトラムアナライザなどの光の基本測定器と、OTDRや光ロステスタなどの光ファイバ用の専用測定器がある。 デジタル伝送品質の評価の1つであるアイパターンの測定は、主にサンプリングオシロスコープで行われてきた。インタフェースは電気と光の両方がある。アプリケーションは通信であるが、製品はオシロスコープ(&光測定器)である。代表例がキーサイト・テクノロジーのDCA(デジタルコミュニケーションアナライザ)だったが、広帯域オシロスコープ(高速オシロスコープ)が普及した現在では、生産中止になっている。 無線の通信測定器は、別名RF測定器や高周波測定器と呼ばれる。 1.基本測定器:標準信号発生器(SG)、スペクトラムアナライザ(スペアナ)、高周波パワーメータ。 2.通信方式に対応した専用測定器:移動体通信用のワンボックステスタや無産機テスタ、送信機テスタなどの変調解析機能があるスペアナ、シグナリングテスタなど。「無線LANのアナライザ」というと、RF(無線)の項目を評価するモデルはこの項目に分類されるが、プロトコル解析のモデルは(扱っているのが無線であるが)有線の測定器であるプロトコルアナライザに分類される。 ネットワークアナライザ(ここでいうネットワークとは高周波部品の回路網のこと、略称:ネットアナ)は有線の測定器だが、高周波の測定器なので、RF(無線の測定器)と並べて説明されることが多い。高周波デバイスなどを評価する専用器である。インピーダンスアナライザやLCRメータなどの回路素子測定器や材料評価用の測定器と同じ分類にされることも多い。 無線を中心に通信計測器全般を手掛ける老舗のアンリツでは、有線通信のことを「ワイヤード(wired)」と呼称している。無線通信のワイヤレス(wireless)は「線でつながっていない(線が無い=無線)」という意味で、広く普及していることばである。それに倣えば有線は「ワイヤード(線でつながっている)」と呼称するのが自然である。この説明は正しいが、有線通信は一般には「有線(通信)」や「光通信」と呼称されることが圧倒的に多い。通信を熟知した代表的な通信計測器メーカが使う表現が、他の通信業者も使うことばとは限らない。計測の世界の表現は統一されていない用語(方言)も多い。 計測器情報: (有線)プロアナ、光測定器、ネットアナ (無線)信号発生器(通信)、スペアナ、 無線/移動体測定器

Tx(てぃーえっくす)

有線・無線通信で送信データのこと。Transmission dataの略記。送信機はtransmitter(トランスミッタ)と呼ばれ、小文字のxはデータの意味。送信機自体をTxと表記している例もある。Txと対になる受信データはRx(Received dataの略記)と記載される。Tx同様に受信機をRxと表記することもある。

データクオリティアナライザ(でーたくおりてぃあならいざ)

世界的な通信計測器 メーカであるアンリツ のネットワーク関連製品(IP負荷試験装置)MD1230シリーズの品名。現役モデルはMD1230B7(2023年1月現在)。

TestCenter(てすとせんたー)

Spirent Communications(スパイレント)社の負荷試験機の名称。IP負荷試験装置のSmartBits(スマートビット)を2000年頃からヒットさせたスパイレントはサイバー攻撃対策やSOCなどのネットワークのセキュリティの会社に変貌したが、負荷試験機も健在で、TestCenterは同社の現役のネットワークパフォーマンステスター/トラフィックジェネレータ(2022年11月現在。販売は東陽テクニカが取り扱っている)。車載Eherenet(車載イーサネット)のような高速(100Gbps)の負荷試験にも対応している。

電電ファミリー(でんでんふぁみりー)

NTTの前身である日本電信電話公社は製造部門を持っていなかった。研究開発を製品化するNTTの出入りメーカ(お抱え企業、下請けメーカ)をNTTのファミリー企業という意味でこう呼んだ。通信装置はNEC、富士通、沖電気、日立製作所がつくったのでNFOHと呼称された(一番はNとFで三番がOという、比率を表していると業界ではいわれた)。新しい規格に対応した通信装置(伝送交換)が導入されるときは、同じく電電ファミリーの大手通信計測器メーカ、アンリツと安藤電気が対応する計測器を開発した(たとえば1970年代から光ファイバによる光通信が導入されると、この2社が光通信測定器をつくり、R&Dから通信網の敷設・保守までほぼすべての測定器をラインアップした)。NTTは2社に仕様を示し製品を作らせる。性能が同じ2社の製品があることで、1社に依存しないというリスクヘッジになる。NTTが日本の基幹通信網を独占し、アメリカのベル研究所と肩を並べて研究開発をしていた時代のことである。 その後、通信の自由化によってNTTは分割され、ほかの通信事業者が参入して現在に至る。日本の通信料金は下がり安価になったが、研究開発や国際的な通信規格の策定の力は衰えたという指摘もある。NTTは2019年にIOWN (Innovative Optical and Wireless Network、アイオンと呼称)構想を公表した。光トランジスタの開発によって、従来の電子を使った半導体による通信網を完全なフォトニクスにすることで、世界的なゲームチェンジを狙う。NTTは2020年にNTTドコモの完全子会社化を終え、2021年にはNTTコミュニケーションズ(NTT com)とNTTコムウェアもグループ内へ編入する。過去の分社化から一転、強いNTTの復権がうかがえる。 JR東海は鉄道車両メーカの日本車輌製造(愛知県豊川市)を子会社にした。世界で競えるインフラを作り、輸出によって豊かな国になるためには、上流のR&Dから製造まで独占的な強い企業が必要という、冷徹な国際事情が存在する。たとえば原子力発電の世界有数メーカであるフランスのアレバ社はフランスの国有企業である。フランスは原子力発電を国策ととらえ、世界的なビジネスをしている。日本が世界に伍する技術分野に通信が復権するかはまだ不透明である。 参考用語:原子力発電所、重電メーカ、パワー半導体

トラフィック(とらふぃっく)

(traffic) 直訳すると「交通」だが、ネットワーク・通信の用語としては「ネットワークを流れる情報、または情報量」を指す。「トラフックが増大し、スループット(処理能力)が悪化する」などの表現がされる。東陽テクニカが販売しているネットワーク負荷試験機、SPIRENT(スパイレント)社のTestCenter(テストセンター)は「トラフィックジェネレータ」と呼ばれている。負荷をかけることを「大きな情報量を発生させる」という意味で、トラフィックということばを使っている。

トランシーバ(とらんしーば)

1. 有線・無線通信で送信機や送信部品のこと。 2. 無線で通信する携帯機器のこと。以前は片側通信の機器が多く、自分が話すときはボタンを押し、相手が話すときはボタンを離す、という操作をして会話した。携帯電話が普及する以前は離れた2つの場所で会話できる無線通信機器として活躍した。たとえば、工事現場や、遠足の引率で先頭と最後尾など。1980年頃はまだ携帯電話は無く、2台に分乗して高速道路を走るとき、どこのサービスエリアで待ち合わせるかを相談するなど、トランシーバがあると便利だった。現在も工事現場などで使われるが、携帯電話の小型化、普及により、工事現場での使用例は減っている。

トランスミッタ(とらんすみった)

(transmitter)日本語では「送信機」。信号を送信する機器のこと。電波などの無線信号の送信機や、光通信の光信号を発信する光トランスミッタなどがある。対になる言葉として「レシーバ(受信機)」がある。回路図などではトランスミッタをTx、レシーバをRxと略記している。

ネットワーク・タップ(ねっとわーくたっぷ)

ネットワークの通信の状態のタッピング(通信を邪魔しないモニタ)をする機器。車載Eherenetで製品化されている。通信しているリンクからデータを引っ張ってきて、データロガーやPCで解析するなどの用途で使われる。車載Ethernet製品で先進のラインアップがあるTechnica Engineering社はCANやLINのラインからデータを取るモジュールも用意している。参考記事(会員専用):【展示会レポート】人とくるまのテクノロジー展 2022 横浜 ・・ガイロジック株式会社が取り扱っている車載Ethernet製品を取材。

ネットワーク負荷試験機(ねっとわーくふかしけんき)

(network performance tester/IP network traffic generator) 通信回線(ネットワーク)の機器(交換機やルータ、サーバなど)に大量の情報を送る(大量のトラフィックを流す)ことを負荷試験という。一般に計測器で負荷試験というと、高い電圧を印加して耐久性を試験する耐電圧試験(耐圧試験、高電圧試験)もあるので、通信の負荷試験の場合はIP負荷試験装置やネットワーク負荷試験機など、頭に通信であることを追記する(通信の負荷試験でも、単に負荷試験機と呼称している場合もある)。 インターネットが普及した2000年頃にネットワーク負荷試験機の代名詞であるSmartBits(スマートビット、略称:スマビ)をつくった米国スパイレント(SPIRENT Communications Inc、販売は東陽テクニカ)は、現在はホワイトハッカーを率いるセキュリティ会社だが、計測器ではSpirent TestCenter(テストセンター)が現役である。名称は「ネットワーク・パフォーマンステスタ―」や「トラフックジェネレータ」などで、製品カタログのサブタイトルは「次世代IP負荷/擬似エミュレータ」である。つまり、トラフック(情報、情報量)の発生器(ジェネレータ)で、ネットワーク装置やネットワーク全体のスループット/遅延/ジッタなどを測定して性能・処理能力(パフォーマンス)を評価し、大量のネットワーク装置を擬似できて(エミュレータ)、次世代のIPなどの広い通信規格に対応している、といっている。東陽テクニカのホームページには「負荷試験」ということばは出てこないが、まさにネットワーク負荷試験機である。 負荷試験を英訳するとload testである。loadでは英語としては通じない。ここでいう負荷を掛ける、というのは日本語であって、英語では「traffic generator」や「performance tester」のように、トラフィックやパフォーマンスと表記しているので、東陽テクニカも負荷試験と表現していないと推測される。また、ネットワーク機器や回線の代わりをするエミュレータで、擬似ネットワーク機器(及びネットワーク)なので、「擬似エミュレータ」という表現もしているが、これは品名ではない。交換機に負荷を掛けて(多くの電話機からの発信・着信などの呼を与えて)性能を評価したり、回線にトラフィックを流す計測器をコールシミュレータ(呼をシミュレーションするもの)というが、電話機ではなくインターネット時代のシミュレータがネットワーク負荷試験機(ネットワーク・パフォーマンステスタ、トラフィック・ジェネレータ)といえる。 通信計測器の雄、アンリツのIPネットワークアナライザ MD1231A1は、「IPネットワーク負荷試験機能とモニタリング機能を一体化したポータブルIP測定器。小型・軽量で、ネットワーク敷設/保守での性能試験やモニタリングに最適」とうたっていた(すでに製造中止)。後継のデータ クオリティ アナライザ MD1230Bの特長は「・10Mbit/s~10Gbit/sまでのイーサネットインタフェースに対応、・1台あたり最大60ポートまでのポート拡張性(10/100/1000 M)、・フルワイヤレートのトラフィック発生と、ネットワークのリアルタイムモニタリング」である。これらの特長はSpirentのTestCenterの競合品であることが明白である。TestCenterと同様に品名には「負荷試験」はない(ネットワークアナライザ、データ・クオリティ・アナライザ、つまりネットワーク解析器、データ品質アナライザである)。 余談だが、計測器(測定器)は機ではなく器なので、負荷試験機ではなく負荷試験器が適切だが、ほとんどの計測器メーカの品名は負荷試験器でなく負荷試験機である(理由は不明)。試験器の場合もあるので、負荷試験装置と表現すると無難だが、多くのメーカに倣い「負荷試験機」という表記を採用した。

ネットワークマスタ プロ(ねっとわーくますたぷろ)

(network master pro) アンリツのOTN/SDH/SONET関連測定器(OTN、SDH/SONET、PDH/DSnインタフェースを持つネットワーク装置やデバイスの評価測定器、古くは1990年代の SDH/SONETアナライザなど)の現役モデルMT1000A、MT1040Aの名称(品名)。 MT1000Aは通信速度1.5M~100Gbps(bit/s)に対応し、名称のサブタイトルに「イーサネット/CPRI/OTDRテスタ」とある。MT1040Aは10M~400Gbpsに対応し「400Gテスタ」と表記されている(2023年同社ホームページより)。本体はメインフレームで、測定モジュールを実装して各種の通信方式に対応するモジュール式計測器である。10GマルチレートモジュールMU100010Aを使うと、1.5M~10Gbpsの通信ネットワークの開通・保守に必要な機能・性能になる。つまりフィールドでの使用を想定していて、OTDRモジュールもある。ネットワークマスタ プロは、さまざまなネットワークの開通保守に対応するアンリツのプラットフォームの名称といえる。MT1040Aは400Gイーサネット(400GbE)の物理レイヤを測定する小型(B5サイズ)の測定器で、同社は「業界最小サイズ」とPRしている。400Gイーサネットはデータセンタ内の通信で導入が進んでいる。 NTT(旧電電公社)は日本の基幹通信網を整備してきたが、時代と共に新しい伝送交換の装置が開発・導入されてきた。NTTは研究・開発を行い、実際の機器の設計・製造は電電ファミリー各社が行って、NTTに納品した。伝送交換の通信機器は日本電気、富士通、沖電気、日立製作所(いわゆる「NFOH」と呼称される交換4社)がつくり、装置を試験する計測器はアンリツや安藤電気などが設計・製造した。たとえばITU-Tが規定した世界的な共通規格「SDH/SONET」に対応する伝送装置(1990年から導入開始された新同期網)を試験するのがSDH/SONETアナライザである。インターネットが普及しネットワークのキー装置としてルータが登場し、交換機が主要な通信装置でなくなるまで、アンリツと安藤電気は伝送/交換装置用測定器をつくり続けた(形名はアンリツがMPxxxxA、安藤電気はAP-xxxxが多い。x:数字4文字)。 アンリツの1990年代のSONET/SDH/PDH/ATMアナライザMP1570Aは、小型・可搬型、モジュール式で、当時の多くの通信規格に対応したヒット製品だった。後継品はネットワークパフォーマンステスタMP1590A/Bで、その後継がMT1000A、MT1040Aになる。1990年頃の「SDH/SONETアナライザ」が、IPの普及によって、規格名称を品名にすることがなくなり「ネットワークパフォーマンステスタ」、「ネットワークマスタ プロ」と変遷したことがわかる。また、従来この分野の測定器(伝送/交換装置用測定器)は形名の頭がMPだったが、アンリツの現役モデルはBERTしかなくなった(MP1900AとMP2110A。2033年11月現在)。 形名MTは同社のtester(テスタ)を意味し、ワンボックステスのような総合試験器である。その意味では通信計測器の主力(大きな売上を占めた)伝送/交換装置用測定器はほとんど縮小し、ギガビットAN(GbE)などの高速通信規格に対応する総合評価ツールが有線通信の主力測定器になったといえる。ただし、SDH/SONETは装置としては現役なので、同社のネットワークマスタ プロの機種群(カテゴリー)のタイトルは「OTN/SDH/SONET関連測定器」である。通信網や通信規格の変遷(歴史)を知らないと、通信計測器の品名から何の測定器(どのカテゴリー)か、正しく理解することはできない。通信計測器は知識のある人達だけのニッチな村社会である。

VoIP(ぶいおーあいぴー)

Voice over Internet Protocol の略。インターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークを使って音声データを送受信する技術のこと。

VQT(ぶいきゅーてぃー)

Voice Qolity Tester の略。 (=ボイスクオリティテスタ)

負荷試験機(ふかしけんき)

ネットワーク機器に負荷を与えて、パフォーマンスを評価する測定器。 2000年頃はIP負荷試験装置と呼称されたがインターネット(IP)の普及に伴いIPを略して呼ばれるようになった。ネットワークの機器が、ほかの多くの機器とつながるインターネットの世界で、機器に多くのアクセス(トラフィック)が集中したときに規定の性能が発揮できるかを試験する。そのことを「負荷をかける」と表現している。別名、トラフィックジェネレータ、ネットワークシミュレータ。 インターネットの普及とともに活躍した通信計測器で、現在では米国のSpirent(スパイレント)社の、次世代ネットワークパフォーマンステスター「TestCenter」などが(公共通信関連だけではなく)自動車業界などで使われている。車載Ethernet などが自動車に普及し始めたことが背景にある。 負荷試験機は負荷試験器というメーカもある。計測器なので負荷試験器が正しいように思われるが、負荷試験機と表現するメーカの方が多い。「過負荷試験」と表現している場合もある。通常、負荷試験というと「電圧をかけて耐性を調べる、過負荷試験や耐電圧試験」が思いうかぶが、そうではなく通信の分野の測定器を指していて、耐圧試験器とは異なる。また「発電機が所定の性能を発揮するか試験する模擬負荷」という説明もあるが、計測器で負荷試験機は、耐圧試験(耐電圧試験)器よりも通信計測器を指している場合が多い。

ボイスクオリティテスタ(ぼいすくおりてぃてすた)

VoIP上の音声の品質評価をする測定器。

PON(ぽん)

(Passive Optical Network) NTTが2000年頃に提唱したFTTH(Fiber To The Home、家まで光ファイバを届かせる)を実現する方式(通信規格)の1つ。NTTが考案した。光信号の分岐・合流によって、1本の光ファイバで複数の加入者に光回線サービスを提供する。次の3つで構成される。OLT(Optical Line Terminal):通信事業者の局側に設置された終端装置。光信号の送受信を行う。SPL(光スプリッタ):光信号を合分波するために設置された機器。ONU(Optical Nertwork Unit):加入者(家庭の個人などの利用者)側の光回線終端装置。光信号と電気信号の変換を行う。インターネットを利用した画像検索、対戦型ゲームなど大容量の高速通信の普及によってアクセス網は光ファイバの敷設が進んだ。NTTやソフトバンクの光通信サービス(フレッツ光など)のユーザが増えたので、ネット検索ではONUや光モデムということばが数多くでてくる。

ルータ(るーた)

(router) ネットワークにつながったコンピュータのデータを、2つ以上の異なるネットワーク間に中継する通信機器。データをどのルートで転送するかを判断するルート選択機能を持つことから、この呼び名がある(ルートをする物 → ルートを決める機器、ルーティングをする機器、という意味)。OSI参照モデルのレイヤ3(ネットワーク層)の機器なので「レイヤ3スイッチ」とも呼ばれる。インターネット(通信プロトコル:TCP/IP)の拡大と共に、ルータも普及した。 1970年代後半にコンピュータ同士の接続(ネットワーク相互接続)が試された時代はゲートウェーと呼ばれたが、1980年代にはルータといわれるようになった。Wi-Fiが普及した現在ではルータというとWi-Fiの接続機器( Wi-Fiルータ)を指すことが多くなり、ネットワーク上のルーティングをする機器はサーバと呼称されるようになった。たとえば「サイバー攻撃が複数のサーバを経由しているので、発信元を特定できない」など、ルータという表現は使われない(ルータの機能がサーバに備わったともいえる)。 ルータのメーカとしては米国のシスコシステムズ(Cisco)やジュニパーネットワークス(Juniper Networks)が有名。ベストエフォート型のインターネットが普及する以前は、基幹通信網は交換機によって2点間のデータ通信を行っていた(ギャランティ型)。1990年代にLANやインターネットが普及していくと、ハブやルータなどの機器が普及し、基幹系ルータが交換機の代わりをするようになっていった。大手交換機メーカである日本電気はシスコシステムズと提携して、国内の販売店をしている。 2004年に日本電気は日立製作所との合弁によりアラクサラネットワークス株式会社(ALAXALA Networks Corporation)を設立し、基幹系ルータ/スイッチ製品AXシリーズを発表した。これは電電ファミリーとしてNTTに交換機を納品してきた2社が一緒になりCiscoのようなルータのメーカをつくったことを意味する。日本電気の我孫子(あびこ)事業場(千葉県)で交換機をつくってきた技術者の多くが、日立製作所の交換機部門(横浜事業所)に異動した。インターネットの登場によって交換機はルータに取って代わられた。

ルータテスタ(るーたてすた)

(router tester) ネットワーク機器(ルータなど)のパフォーマンス(スループットなどの性能)評価をするIP負荷試験装置。2000年頃にアジレント・テクノロジー(現キーサイト・テクノロジー)がリリースした製品の品名。当時はインターネットの黎明期で、ルータの評価をする測定器として登場した。後にSPILENT(スパイレント)やIXIA(イクシア)がIP負荷試験機をリリースし、ルータテスタという名称はだんだん聞かなくなった(アジレント・テクノロジーはIP負荷試験機のメインプレーヤーではなくなった)。E7891Bルータテスタシステムコントローラなどのモデルがあった。