計測関連用語集

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横河メータ&インスツルメンツ(よこがわめーたあんどいんすつるめんつ)

(Yokogwa Meter&Instruments) 2005年から2017年に存在した、横河電機の計測機器関連の子会社。横河電機はグループ会社を英字の3文字(大文字)で略記する慣習があり、グループ内ではその略記が流通している(あくまで社内用語)。横河メータ&インスツルメンツはYMIと呼称されていた。余談だが、北辰電機を吸収する以前の横河電機は横河電機製作所でYEW(Yokogawa Electric Works)と製品に印字していたが、横河電機になってからはYHQ(Yokogawa Head Quarters、横河ヘッドクオータ)と呼ばれた。現在でもYJP(横河ソリューションサービス株式会社)、YRL(横河レンタ・リース株式会社)などの略記がある。 横河電機は計測と制御の会社で、電気計測器以外に工業計器(計装の機器)を数多くつくっている(横河には工業計器の記録計としてのデータロガーと、電気計測器の記録計であるメモリレコーダの2種類があり、前者は横河電機が、後者は子会社の横河計測がつくっている)。それらの機器のおおまかな変遷を述べる。 電気工事、保守点検で使う絶縁抵抗計(メガー)などのハンドヘルドのモデルや、PA(プロセスオートメーション)、FA(ファクトリーオートメーション)などの計装用途のプロセスキャリブレータなどを、横河電機では現場測定器という。現場測定器と指示計器(アナログのメータ式の電圧計、電流計、電力計など)は1995年に子会社の横河インスツルメンツ株式会社(1988年設立)に移管された。1996年には、横河エレクトロニクス株式会社から信号変換器(JUXTA)が移管され、横河インスツルメンツは横河エムアンドシー株式会社(YMC)に会社名を変更。1997年には横河電機から温調計などの制御機器が移管される。1990年代は、横河ブランドの計測・制御関連機器の会社は横河電機のT&M事業部(オシロスコープやデジタルパワーメータなどの電気計測器)と横河エムアンドシー(現場測定器)、横河エレクトロニクスの3社だった。 2001年に指示計器をYMCから横河電機に移管、2004年に信号変換器や温調計などの制御機器も横河電機に移管(指示計器と制御機器を親会社に戻した)。ところが、2005年に横河電機からYMCに指示計器がまた移管され、会社名を横河メータ&インスツルメンツ(YMI)に変更(社名のメータとは指示計器のことである)。 2010年に横河電機は電気計測器の事業をYMIに移管。波形測定器(オシロスコープ)、電力測定器(パワーアナライザなど)、圧力測定器(マノメータ)、光測定器(旧安藤電気)などがYMIに統合され、横河ブランドの計測器は1社体制が確立した(ただし前述のように、計装のデータレコーダは、横河電機が温調計や信号変換器などといっしょにつくっているので、「横河のDAQ」は横河電機と子会社の2社がつくる全く異なる設計思想の2系統の製品群があり、両者はユーザ層が異なる)。 2017年にYMIは横河計測株式会社に社名変更し、親会社との間で移管し合ったメータ事業(携帯用指示計器)を2020年に生産中止している。つまりYMIの社名の元になった「メータ」事業をやめ、社名からメータを取り除き、「唯一の横河の計測器の会社である」と表明する会社名となった。 1980年代から2010年代にかけて複数の国内大手計測器メーカは、子会社化と親会社への吸収を行っている(岩通計測など)。他社への売却(他社からの買収)や2社の合併も行われた(安藤電気や目黒電波測器など)。国産計測器メーカのM&Aは海外に比べると少なく、同じような製品群をつくる中堅企業が多く残る。1970年代までの高度経済成長期に、産業のマザーツールとして最先端だった電気計測器は、今世紀には最先端ではなくなった感がある。計測器は必ず必要で無くなることは無いが、ハードウェアとしての計測器の国内の販売額は減っている。EVなど、電動化で活況な自動車市場向けでも、計測器メーカのハードウェア製品の売上は伸びていない。今後計測器メーカの淘汰がさらに進むかは不透明である。 2021年7月にアンリツは高砂製作所を子会社化すると発表した。高砂製作所はNECが大株主の計測用電源メーカで、1950年設立の老舗である。自動車会社などに電池の評価システムを納品している実績がある。アンリツは中期経営計画「GLP2023」で「EVおよび電池測定」を重点開拓分野の一つに掲げた。2022年1月には、NECが保有する高砂製作所の株の取得を完了している。アンリツと高砂製作所の製品カテゴリ―はほぼ重複しないので、この子会社化は横河電機が安藤電気を吸収したケースに似ている。

横浜画像通信テクノステーション(よこはまがぞうつうしんてくのすてーしょん)

正式な会社名は「株式会社横浜画像通信テクノステーション」(略記:YTSC)。住所は神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1-1-32 ニューステージ横浜1階。品質マネジメントシステムISO 9002の認証をJSA(日本規格協会)で取得していた(2001年現在)。「高度画像通信の研究開発を支援する」として1994年頃に設立した。 計測器レンタルとして通信計測器に特化した品ぞろえを行った(アンリツからの出向者など、人的な支援があった)。1990年頃に普及したISDNに対応したアドバンテストのD5111R、D5112AなどのISDNプロトコルアナライザなども揃えていた。1990年代から2000年代にかけては携帯電話のデジタル化や光海底ケーブルの新設など、通信インフラの拡充があり、高額な通信計測器のレンタルは大きな売上が見込めるビジネスだった。 会社は2006年9月30日に解散した様子で、いまとなっては概要不明である。毎年、総務省が発行する通信白書(「情報通信に関する現状報告」、略記:情報通信白書)の平成8年版には「通信・放送機構の出資により設立された(株)横浜画像通信テクノステーションは、NHKと共同で平成7年にMPEG-2確認実験を行い、MPEG国際標準化会合へ寄与文書を提出した」旨の記述がある(平成6年版の通信白書にも横浜画像通信テクノステーションのMPEGに関する記述がある)。また、NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)の決算書類には「平成17年度までは横浜画像通信テクノステーションを連結対象としていた」旨の記述がある。同社は単に「アンリツがつくった計測器レンタル会社」という訳ではないようである。 同社の設立背景がどうだったかはさておき、1995年頃の同社は「アンリツからの人的支援があり、アンリツを中心とした通信計測器をラインアップする」、「通信計測器に特化したレンタル会社」だったのは事実である。約10年間、通信計測器専用レンタル会社として存在し、消えた、(いまとなっては)幻の計測器レンタル会社である。

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