計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ファイバーレーザー(ふぁいばーれーざー)

光ファイバーを増幅器とした固体レーザ。加工用レーザの主流となりつつある。表記は「ファイバ」と「ファイバー」の2つがあり、各企業によってどちらかを使っている。

フィクスチャ(ふぃくすちゃ)

(fixture) 測定対象(DUT:Device Under Test)を計測器につなぐ器具(接続具、接続装置)。ネットワークアナライザや、光デバイス計測の偏波測定システムなどでは、調芯(アライメント)ステージを備えた複雑な機構のフィクスチャもある(以下の参考記事「Keysight World 2023」が詳しい)。パワー半導体の動特性を評価するキーサイト・テクノロジーのダブル・パルス・テスター PD1500Aでは、電圧・電流センサやDUTを装着するセンサの機構をDPT Fixtureと表記している(DPT:Double Pulse Tester、以下の「Keysight World 2024」に写真がある)。 fixtureは元々、部品を加工するときに機械に取り付ける装置(取付具)のこと。Fixtureの日本語訳は「治具(じぐ)」、「備え付け具」、「取り付け具」など。 LCRメータでは測定器の入力端子に勘合し、電子部品の端子を差し込んで接触する器具をテストフィクスチャ(test fixture)と呼ぶ。先端にクリップがあり、DUTの端子を挟むことができる測定ケーブルをDMMなどではテストリード(test lead)と呼称している。LCRメータも同様にアクセサリとしてテストリードがある。LCRメータやインピーダンスアナライザでは、テストリード(測定用のケーブル)に合わせて、DUTを接続する機構を「テストフィクスチャ」(測定用の治具)と命名したと思われる。 AI開発などで使われるプログラム言語のPython(パイソン)では、フィクスチャは「テストの実行前後で行う前処理/後処理を記述する関数」のこと。IT分野でフィクスチャというと、「コンテンツを含むファイルのコレクション」を指していて、フィクスチャはユニークな名前を持ち、アプリケーションやディレクトリに関連する。このようにフィクスチャは広範につかわれるが、計測器ではDUTとの接続具(接続装置)を指している。 半導体検査装置ではDUTとの接続機構をフィクスチャではなくプローバと呼んでいる。プローバというとオシロスコープなどのプローブ(探針)と似た呼称である。計測器は分野(カテゴリーや機種群、機器)によって呼称が異なっているので、初心者には大変わかりにくい。

フェルール(ふぇるーる)

(ferrule) 固定、接合する物のこと。通信用のケーブルでは、補強に使用される部材をさす。電線では金属、光ファイバではプラスチック、で作られた狭い円形のリング。特に光ファイバでは光コネクタの端面処理(フェルールの研磨)についてコネクタの仕様に記述するのが一般的である。 圧着端子(電線の終端処理をする部品の1種)をフェルールと呼んでいる場合がある。圧着端子は電線とほぼ同径の円筒状で、電線の被覆を剝いて、端を中に通し外部から圧力をかけて端子をつぶして電線の端を固定する、接続具(線材を接続するコネクタ)の1種である。圧着後は円筒状から角筒になる。ハンドヘルドのデータロガーは小さな面積に多くの線材を取り付けるため、入力コネクタは圧着端子をネジ止めしている場合が多い。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

フォトカプラ(ふぉとかぷら)

(photocoupler)電気-光変換によって、回路を電気的に絶縁したいときに使う電子部品。フォトカプラ内部では入力電気信号を発光素子で光信号に変え、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力する。FA、OA、家電など多くの電気機器では、動作上の安全を担保する目的でフォトカプラを使用している。optocoupler、opto-isolator、optical isolatorなどの表記もされる。「光で(photo/opto)、つなぐもの(coupler)」という意味。アイソレータは「アイソレーション(絶縁)する物」という意味。

フォトダイオード(ふぉとだいおーど)

(photodiode) 光検出器(光センサ)として使用される半導体。光を受けると電流を発生する受光素子。略記:PD。 光ファイバ通信は送信部にレーザー(LASER)やレーザーダイオード(LD)が、受信部にフォトダイオード(PD)が使われる。入力(照射された)光の強さと出力(電流)にリニアリティー(直線性)があるため、O/Eコンバータ(光-電気変換器)に使われる。 参考記事:「光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第1回)」 ・・光ファイバ通信システムの構成図がある。 計測器情報:品名に「フォトダイオード」が付く製品の例

フォトニクス(ふぉとにくす)

(photonics) 日本語は「光工学(ひかりこうがく)」。エレクトロニクス(電子工学)がエレクトロン(電子)の学問であるように、フォトン(光子)を扱う工学のこと。両方を総称したオプトエレクトロニクス(光エレクトロニクス)ということばもある。 「フォトニクス」や「オプトエレクトロニクス」の名前で、光通信装置や、光学部品を扱う複数の展示会が催されている。たとえば2018年12月開催の第18回光・レーザー技術展(Photonix-フォトニクス)はレーザー加工専門展と、光計測・分析機器展、オプティクスEXPOの3つで構成されていた。似た展示会に光ファイバ・光学部品・光通信システムなどが出展する「光通信技術展(通称FOE:Fiber Optics Expo)」がある。FOEには光通信測定器メーカのほぼ全社が出展している(2023年からCOMNEXT [次世代]通信技術&ソリューション展を構成する1つにFOEはなり、単独の展示会ではなくなった)。具体的には、メーカ(商社):EXFO(原田産業、オプトサイエンス、サンインスツルメント)、VeEX(メインテクノロジー)、Viavi Solutions(Viaviソリューションズ)、アルネアラボラトリ、アンリツ、santec(サンテック)、横河計測(旧安藤電気)など。 毎年7月頃にパシフィコ横浜で開催されるOPIE(OPTICS & PHOTONICS International Exhibition)の「レーザーEXPO」には多くの光計測器が出品される。海外のソーラボは干渉計タイプのOSAや高速のO/E変換器などを2024年の展示会では出品している。また、キーサイト・テクノロジーは「光通信・要素技術&応用EXPO」に光デバイスの評価測定器を出品している(光電融合やシリコンフォトニクスが対象)。 光電子増倍管で有名な浜松ホトニクスも、社名はphotonicsからとっている。同社は、日本のテレビ技術研究の先駆者、高柳健次郎の門下生(浜松高等工業学校電気科の堀内平八郎)が1948年に静岡県浜松市に設立した。当時のテレビは普及前の研究段階で、最先端技術だった。1953年の同社の社名は「浜松テレビ(株)」。1983年に現在の「浜松ホトニクス(株)」になった。現在の同社は光に関する広範な製品(イメージ機器、光源、光半導体素子、画像処理・計測装置など)のトップベンダである。

分散(ぶんさん)

(dispersion、variance) 工業分野では、市場・分野によって異なった複数の意味がある。 1. 一番一般的なのは統計の分野で、分散(variance)はデータの散らばりの大きさを表す指標。平均値の回りにデータが散らばっている度合で、分散が小さいとデータは平均値の回りに集まっているが、大きいと平均値より離れてばらついている。 2. 化学分野では、液体の中に固体や液体の粒子を均等に混ぜ合わせることを分散という。液体の化学的性質を分散の状態が左右する(以下の参考記事「SURTECH(表面技術要素展)& nano tech(国際ナノテクノロジー総合展)2020」が詳しい)。たとえば塗料に含まれる顔料などの粒子が適度に分散していないと、光が当たった時に塗った場所によって屈折率が異なり、色ムラがでるので、見栄えが悪くなる。粒子分散は英語でparticle dispersion。分散の反対を凝集という。ゼータ電位の測定によって分散か凝集かを評価している。 3. 光ファイバに入力された信号(パルス)が、伝送路(光ファイバ内)を伝搬する間に、パルス波形の幅が広がる(時間的に波形がひずむ)現象。3つの種類、波長分散(CD:Chromatic Dispersion、波長に起因する分散)、偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion、偏波に起因する分散)、モード分散(マルチモードファイバで起こる分散)がある。これは光ファイバと光通信の仕組み上、避けられない性質(現象)である。これらの分散によって、高速・大容量になると信号波形が歪み、伝送遅延の原因となる。CDやPMDの測定器は高額で、主に海外メーカがつくっている。

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