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- PC研磨(ぴーしーけんま)
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(polishing of optical fiber end face) 2本の光ファイバケーブルをコネクタを使って接続する際は、光ファイバ同士が隙間なく接続(接触)するように、先端(フェルール端面)を研磨している。これは隙間による反射(空気という屈折率が違う媒体があることで、境界面で起こるフレネル反射)を防止する目的で、(融着ではなく)光コネクタで行われる。 研磨の種類は、端面形状が凸球面のPC(Physical Contact)、SPC(Super PC、スーパーPC)、UPC(Ultra PC)と、斜め凸球面のAPC(Angled PC)の4つがある。4つの違いは反射減衰量で、PC(25dB以上)、SPC(40dB以上)、UPC(50dB以上)、APC(60dB以上)と規定されている。求められる仕様(反射減衰量)によってPC~APCのどれかの記述がされる。 代表的な光コネクタのFCコネクタやSCコネクタなどは、「FC-PC」(PC研磨のFCコネクタ)や「SC-APC」(APC研磨のSCコネクタ)のような表記で、「コネクタの種類及び研磨の種類(による反射減衰量の仕様)」を表現する。ただしメーカによって記述が不統一で、FC(PC)やFC・PC、FC/PCのような表記も多い。PCがコネクタの名称ではなく研磨の種類であるという基礎知識がないと、前述の3種類の表現は「FCまたはPC」、もしくは「FCとPC」というコネクタであると誤解される。計測器を含む機器の仕様覧では「光コネクタ」の項目にFC-PCやSC-APCという記述がなされる。 光ファイバのフェルールの研磨のことを総称してPC研磨と呼称するので、本稿のタイトルをPC研磨としている(英語は「光ファイバ端面の研磨」を英訳している)。 光コネクタのPC研磨表記は1980年代にはほとんどなく、1990年代から現れた。アンリツ のプログラマブル光減衰器MN9610A/MN9611A(製造中止品)の1991年発行カタログでは、入出力コネクタ覧に「FC・スーパーPC形」と記載されている。これは「SPC研磨のFCコネクタ」を意味するが、1990年代には各社の例としてこのような表記があった。現在は前述のようにFC(SPC)やFC・SPC、FC/SPCなどの表記があるが、FC-SPCがベストな表記と筆者は思っている。
- PD(ぴーでぃー)
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フォトダイオード(photodiode)の略記。受けた光(入力)に比例した電流を出力する、光センサ。光ファイバ通信は送信装置にあるLD(レーザーダイオード)などで電気を光に変換し(Electrical signal / Optical signal conversion、E/O変換)、光信号を長距離伝送し、受信装置ではPDで光を電気に変換する。つまりPDはO/E変換器(O/Eコンバータ)である。 参考記事:「光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第1回)」・・光ファイバ通信システムの構成図がある。
- PDLメータ(ぴーでぃーえるめーた)
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PDL(Polarization Dependent Loss)は偏波依存性損失。光や電波などの電磁波は偏波といって、進行方向に垂直な面で電界と磁界が大きさを変えている。光の偏波状態によって光デバイスの損失も変わるのでPDLの測定が重要になる。つまりPDLメータは光デバイスの評価に使用される。 1990年代にはキーサイト・テクノロジーがラインアップしていたが2000年代の光海底ケーブルバブル以降の光製品の縮小で生産終了した。偏波関連測定器としては偏波消光比メータを(波長可変光源が世界トップの中部地区のメーカ)santec(サンテック)がつくっている。海外のOZ Optics社製品はオプトサイエンスが輸入販売している。 キーサイト・テクノロジーは光製品の内、光スペクトラムアナライザやOTDRなどは中止したが、光パワーメータと光源の2つの基本製品は継続した。従来、光コンポーネント評価に光測定器の力点を置いていたが、それを継続し816xシリーズ(OPM、可変波長光源、偏波コントローラなど)の後継機種としてN77xxシリーズを発売した。現在はN77xxCというCモデルが現役である(N7749C:OPMのメインフレーム、N7776C:波長可変レーザー光源など、2023年現在)。光コンポーネントテスト製品群として、N778xCシリーズのPolarization Test Productsがある。N7786C 偏波シンセサイザやN7788C 偏波コンポーネントアナライザなどがあり、従来のPDLメータや偏波コントローラを上回る、偏波関連の光製品をラインアップしている(2023年現在)。 PDLと文字が似ているが、PLD(Programmable Logic Device)だと、デジタル半導体のことである。
- 光アッテネータ(ひかりあってねーた)
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光信号を減衰させる機器。ダイヤル式の可変モデルの測定器と固定型(見た目は部品)がある。 (=光減衰器)
- 光海底ケーブル(ひかりかいていけーぶる)
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(optical submarine cable) 海底に敷設された光ファイバケーブルで海外と通信するインフラのこと。海岸沿いの送受信装置や、海底ケーブルに一定間隔で挿入される中継器(アンプ)などで構成される。1988年に実用化されると、北米とEUや日本など、世界の主要先進地域が複数本のケーブル網でむすばれ、1990年代以降のインターネットの基幹インフラとなった。当時は国内の電話はNTT、海外との通話はKDD(国際電信電話、現在はauを運営するKDDI)が行っていた。KDDは光海底ケーブルを使い米国と電話をつないだ。 ケーブルの新設には莫大な費用がかかるため出資者を募り配当する。通信容量の増加をはるかに超える規模の敷設計画が投機として加熱し、2000年に光通信バブルが起こった。バブル崩壊によって光通信測定器の世界No1だったキーサイト・テクノロジーは3つあった工場が1つになり、光測定器のラインアップを大幅に減らした(多くの光測定器のモデルを生産終了)。No2だった安藤電気は会社自体が存続困難になり、横河電機に身売りした(同社の光スペクトラムアナライザは横河計測の1製品群として残り、世界No.1を堅持している)。2000年以降のデータセンタの通信量の増大(IoT、ビッグデータ)などにより、太平洋に新しいケーブル敷設の入札があったが、安全保障上の懸念から中国企業の入札無効が2021年3月に報じられた。 最盛期(1990年代)には日本の大手通信機器メーカ各社(NEC、富士通、三菱電機、日立製作所など)は陸揚げ局などの各種通信装置(光伝送装置)の受注にしのぎを削り、光ファイバを手掛ける大手電線メーカ(住友電工、古河電工、フジクラ)は海底用の増幅器(アンプ)の開発・増産に追われ、KDDは敷設船を保有して、ケーブル敷設事業が活況だった。限られた一定期間に大量の高額な専用測定器が必要なため、上記の計測器メーカと計測器レンタル各社は新しい敷設案件(海底ケーブルプロジェクト)の情報収集に奔走した。2000年のバブル崩壊で計測器メーカだけでなくレンタル会社も傷を負った(レンタル受注を見込んで購入してしまった大量の計測器は特殊用途向けなので、不良資産となった)。 現在では敷設事業は日本のNECと、サブコム(米国)、アルカテル・サブマリン・ネットワークス(フランス)の3社で寡占しているが、世界の通信網の覇権をめざして中国企業が台頭している。 光海底ケーブル新設用の通信計測器と、国内の携帯電話メーカ用の製造ライン向けの移動体通信用測定器は、1990年代から2000年代にかけて活況にレンタルされたので、計測器を取り扱うレンタル会社は8社あったが、2020年代には3社に減っている。光海底ケーブルバブルのように突然ではなかったが、国産の携帯電話メーカも2000年には10社以上あったが、2020年にはほぼゼロになった(iPhoneの普及によって国内の家電メーカはほとんど携帯電話端末の設計・製造から撤退した)。このように、光伝送や移動体通信用の計測器は、時代と共に需要が激変するビジネスである。
- 光計測 3A(ひかりけいそくすりーえー)
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1980年代中頃から2000年代頃まで、アンリツ(Anritsu)、安藤電気(ANDO)、アドバンテスト(ADVANTEST)の3社は国産の光測定器(※1)メーカの代表だった。3社の社名(企業ロゴ、ブランド)がAで始まるので、有線通信の計測器業界では「光計測器(または光測定器)メーカの3A(スリーエー)」や、略して「光の3A」と呼ばれ、「国産メーカの3Aが光計測器で競っている」ことを象徴するワードだった。2000年まではキーサイト・テクノロジーもラインアップが豊富で、光測定器の世界No.1メーカだった。JDSファイテルなど、ユニークな光測定器の海外メーカもあったが、国産の大手計測器メーカが通信計測器に注力していた1990年代は「光の3A」の輝かしい時代だった。移動体通信向けの無線測定器と有線通信の光測定器が、1980年代~2000年代の約30年間は、大きな売上で日本の計測器市場を牽引した。2000年代の初頭にキーサイト・テクノロジーは光計測器のラインアップを縮小、安藤電気は光海底ケーブルバブルの影響で経営悪化して横河電機が資本参加(2004年に安藤電気は解体)、アドバンテストは2010年代に計測器事業から撤退し(※2)、アンリツの光測定器ラインアップも(2000年頃と2024年を比較すると)減少した。 (※1) 当時の3Aがラインアップしたのは光ファイバ通信を筆頭に、光通信用の計測器である。そのため、その実態は光測定器ではなく光通信測定器である。だが、3Aやキーサイト・テクノロジーという大手計測器メーカは光通信ではなく光と呼称している。現在では通信以外の用途(たとえばブルーレイディスクなどの記録媒体)にも使われている(2000年以前に開発された光通信用途の光パワーメータや光スペクトラムアナライザなどは、現在では測定波長範囲を約400nmの短波長帯まで伸ばしている)。そのため、現在では光計測器という呼称は妥当性を得ている。 (※2) アドバンテストには計測器の事業部門はなくなったが、2010年代に新規事業として無線式ロガーを発売している。同社は通信計測器で蓄積した高周波の要素技術で、テラヘルツ計測を模索している。 1980年以降の通信計測器とアドバンテストについて概説する。光ファイバの整備率は、2020年に99.1%で、光ファイバ通信網は全国に配備されている。光ファイバ通信は1970年代に基礎研究から実用化まで進み、日本電信電話公社(現NTT)は1981年に商用を開始した。研究開発に必要な光測定器はアンリツと安藤電気(電電ファミリーの2社)が担った。OPMや光源、OSA、O/E変換器やE/O変換器、光ロステスタ(OLTS)、OTDR、分散の測定器など、ほぼすべての光通信用の計測器が開発され、1970年代からNTTに納品された。 アドバンテストは1954年にタケダ理研工業として創業したDC~低周波の計測器メーカである。1960年代にデジタル式のマルチメータ(DMM)を発売し、TR-6364などがデジボル(デジタルボルトメータの略)の愛称で普及した。横河電機も計測器の老舗だが、1963年以降はYHPが高周波を担ったので、横河電機のラインナップ(担当する領域)は低周波になり、タケダ理研工業と競合した。2社ともに独立系の計測器メーカで電電ファミリーではない(アンリツはNTT、安藤電気は日本電気の資本が入っている)。 タケダ理研工業は1985年に社名がアドバンテストになり、この頃に通信計測器に参入した。光部品の評価装置をはじめ、光通信の基本測定器から工事用モデルまで揃えた。1991年はガラケーの走りとなる小型の携帯電話mova(ムーバ)が発売された年である。アドバンテストは1990年代に移動体通信向けを主力とするスペクトラムアナライザ(R3200シリーズなど)を開発し、アンリツとほぼ同等のラインアップを揃える、無線と有線の両方をカバーする通信計測器メーカとなった。ただし、2000年代に子会社のエーディーシーに多くの計測器を移管し、自社に残したSA(スペアナ)やNA(ネットアナ)も2010年代に生産終了し、計測器事業部門はなくなった。多くのラインアップがあった光計測器は子会社移管の頃に生産中止になっている。光パワーメータと光波長計だけは中止せず、現在もエーディーシーの現役モデルとなっている(2024年5月現在)。同社は光部品などの設計・製造で使われる電圧電流発生器のシェアが高く、短波長帯のOPMは発光素子などの評価に使われている(つまり往年の光通信用の長波長帯のOPMではない)。 1990年代後半に横河電機も通信計測器(無線と有線の両方)に参入したが2000年代に撤退している(約10年間で終焉)。 「光測定器」か「光計測器」か、主要な計測器メーカや文献の表記を調べた。現役モデルがあるベンダはホームページの表記、過去メーカは残る資料を調べると、測定器や測定機器などの「測定」の方が、「計測」よりも多かった(2024年5月)。ただし、3Aの内の2社が「計測」のため、本稿の用語名を「光計測」とした(以下を参照)。 「光測定器」と表記しているメーカ:横河計測、キーサイト・テクノロジー(英語はPhotonic Test & Measurement)、NTTレンタル・エンジニアリング株式会社(NTT REC、光測定機器)、株式会社オプトサイエンス(光通信用ファイバコンポーネント測定器)、グレイテクノス株式会社(photom、光通信測定器)、Thorlabs(ソーラボ、試験・測定関連製品)、原田産業株式会社(EXFOの販社、光ファイバ用測定器・ツール)、マルチ計測器(光ファイバー測定器)、電子計測器&システム[ガイドブック]2005(電波新聞社発行。光の章は旧安藤電気が解説)。 「光計測器」と表記しているメーカ:アンリツ、アドバンテスト(2000年頃の総合カタログ)、エーディーシー。
- 光減衰器(ひかりげんすいき)
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光信号を減衰させる機器。ダイヤル式の可変モデルの測定器と固定型(見た目は部品)がある。 (=光アッテネータ)
- 光コネクタ(ひかりこねくた)
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光ファイバを使い通信するためのコネクタ。単心ではSC、FCなど、多心ではMT、MPOなどが代表例だが、大変種類が多い。光通信用のコネクタは電気と同様にケーブル(光ファイバ)側のコネクタの先端に突起があり(オス)、機器側の嵌合するコネクタに穴がある(メス)。ただし通常はオスやメスの表現はしていない。製品カタログでは、光ファイバ側を「コネクタ」、機器側でコネクタに嵌合する側を「アダプタ」と表現しているケースをみかける。オーディオ機器業界の「プラグ」と「ジャック」のように、光通信では「コネクタ」、「アダプタ」と使い分けている例だが、光ファイバ側を「プラグ」と記載しているメーカもある。 光コネクタはその性格上、光ファイバ端面の研磨状態や、angledなどの嵌合方向、キー幅(narrow key/wide key)などの条件によりモデルがたくさんある。コネクタメーカからも新しいコネクタが発売されるなど、まだ(電気コネクタに比べて)発展途上といえる。光通信は初めに導入された基幹通信網での長距離伝送だけでなく、映像機器や家電製品、家庭内通信などの短距離にも用途が広がり、それに伴ってより安価、簡便なコネクタがいくつも生まれ、これからも用途によって生まれる。 光通信の機能がある新製品のカタログの適応コネクタ欄には、新しい形名のコネクタが記載され続けている。その表現(記載の仕方)も1通りに統一されていないので素人にはわかりにくい。たとえば、APC-FC、FC-APC、FC(APC)、これらは同じものだが、まるで「APC-FC」という新しいコネクタが誕生したように誤解されるかもしれない。形名も「HMS-10/A」や「DIN47256」など様々である。反対にすたれて使われなくなったコネクタもある。古い製品カタログにコネクタ名の記載があっても、現在は事実上、対応していない、というケースもある。光コネクタの種類は日進月歩である。
- 光サンプリングオシロスコープ(ひかりさんぷりんぐおしろすこーぷ)
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(opto sampling oscilloscope) サンプリングオシロスコープ(サンプリングオシロ)はリアルタイムオシロスコープよりも周波数帯域が高いので、2000年代に広帯域オシロスコープ(高速オシロスコープ)が登場する以前は、アイパターン測定に重宝された。通常のオシロスコープ(オシロ)の周波数帯域が最高4GHzまでだった2000年頃には、高速なデジタル通信の品質評価はキーサイト・テクノロジーのDCA(83480Aや86100シリーズ)、テクトロニクスのDSA8000シリーズなどのサンプリングオシロでアイパターンの波形を確認していた。当時の高速デジタル信号は電気ではなく光が多く、サンプリングオシロは光コネクタを備えて、光信号で入力できた。キーサイトのDCAはオシロであり、かつ光信号解析装置(光測定器)でもあった(当時の同社ショートフォーム・カタログではオシロと光測定器の両方に掲載されていた)。 一般のオシロは電気入力が標準(当たり前)だが、光信号が入力できるのだから「光オシロスコープ」と呼称しても良いではないか、と筆者は1990年当時から思っていたが、サンプリングオシロを光サンプリングオシロと呼称する計測器メーカはほとんどいなかった。アンリツは2017年に、BERT(バート)の新製品でアイパターン解析機能があるBERTWave MP2110Aを発売した。サンプリングオシを内蔵しているが、その説明資料の中に「光サンプリングオシロスコープ」という表現がある。 光通信測定器メーカのアンリツや安藤電気は2000年頃に、すでに光サンプリングオシロスコープをつくっている。アンリツは1999年9月の技術報(アンリツテクニカル No78)で「分解能1THz(テラヘルツ)でアイダイアグラム測定を実現した光サンプリングオシロスコープSJE9203A」を解説している。安藤電気は横河技報Vol.47(2003年)の新製品紹介で「AQ7750光サンプリングオシロスコープは測定帯域500GHz以上を実現し、伝送速度160Gbpsの光波形をクリアかつ正確に測定。アイ波形の開口度を評価するアイ波形解析が可能」と述べている。光信号を入力でき、アイパターン測定ができるオシロスコープを上記2社は「光サンプリングオシロスコープ」と呼んでいる。 光電子増倍管などの光デバイスや光機器で有名な浜松ホトニクスは、応用物理学科の会誌に「O/E変換器で光を電気に変えて広帯域なオシロで観測するのではなく、サンプリングストリーク管により光信号を直接測定できる自社製品(オシロ)」について寄稿している(「光学」第22巻14号、1993年4月)。そのタイトルは「光オシロスコープ」である。つまり、光信号を直接受けられるオシロは通常のオシロではなく、特別な光入力可能なオシロなので、「光オシロ」と呼称するのが適切(当たり前)という認識である。 通常のオシロスコープ(リアルタイムサンプリング、実時間サンプリング)ではない、等価時間サンプリング方式のモデルは「サンプリングオシロスコープ」と呼ばれ、光入力が可能なモジュールがある(サンプリングオシロはモジュール式が多い)。オシロスコープメーカ(テクトロニクスやキーサイト・テクノロジー)は、方式が違うのでサンプリングオシロと呼称している。広帯域なので高速な信号(光)が受けられるが、電気入力もあるため、特別に「光オシロ」などとは呼ばない。 ただし前述のように、2000年代からリアルタイムオシロが広帯域化し、サンプリングオシロだけが広帯域ではなくなった。現在のサンプリングオシロはほとんど光入力が主で、限定された特定の顧客に使われている。そのため、実態は「光サンプリングオシロスコープ」や「光オシロ」である。オシロスコープメーカと光通信測定器メーカで、認識の差異(測定器の名称についての温度差)が感じられる事例である。
- 光スペクトラムアナライザ(ひかりすぺくとらむあならいざ)
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(Optical Spectrum Analyzer) 光通信やDVDなどに使う光信号の、波長ごとのパワースペクトルを表示する測定器。光通信測定器の代表的な基本測定器。オシロスコープ(時間-電圧グラフを表示)、スペクトラムアナライザ(周波数-パワーのグラフを表示)と同じように、光通信では光スペクトラムアナライザが波長-パワーのグラフを表示する。無線通信では周波数特性(f特)が重要な指標なように、光通信では波長特性が重要になる。単に波長のパワーを測定するだけなら光波長計があるが、波長特性が評価できる光スペクトラムアナライザの方が大変良く使われる(RFなどの無線でも周波数の値を表示するカウンタよりもスペクトラムアナライザが使われることに似ている)。 英語表記(Optical Spectrum Analyzer)を略したOSAという記述も光測定器メーカ(横河計測やソーラボなど)で散見される(光パワーメータをOPMと表記するのと同じ)。 原理(構造)は回折格子(グレーティング)を使ったモデルが多いが、他の方式もある。アドバンテストは2000年頃に共振器を使ったフーリエ分光方式のモデルをつくっていた(※)。このタイプは海外のThorlabs(ソーラボ)がPC接続型のモデルをOSAの略称で販売している(以下の参考記事に各社の一覧がある)。 用途やアプリケーションによって複数の種類がある。通信で使う1300~1600nmの波長にフォーカスしたモデルや、Blu-ray Discなどの300~500nm向けなどがある。計測器メーカは横河計測(旧安藤電気)のAQ6300シリーズが有名(世界トップ)。海外ではEXFO(エクスフォ)などがラインアップしている。以下の入門記事が詳しい。 (※) アドバンテストは1980年代に通信計測器に参入し、移動体通信向けのスペクトラムアナライザ(R3200シリーズなど)や光通信用のQ8340シリーズ 光スペクトラム・アナライザなどを発売した(2010年頃にすべて撤退し、現在は生産中止)。Q8344は短波長(350nm)から通信の波長(1750nm)までカバーし、「マイケルソン干渉計を用いたフーリエ分光方式の採用により、回析格子を使用した分散分光方式(つまり安藤電気の採用している方式)では測定できないコヒーレンス(可干渉性)解析が可能で,DVD用レーザーダイオードなどの評価に威力を発揮する」とPRしていた。従来、日本の光計測器は2社の電電ファミリー(アンリツと安藤電気)が供給したが、アドバンテストが参入し、光の3A(スリーエー、3社の頭がAで始まるため)と呼称された。アンリツはいうまでもなく無線測定器の世界トップメーカで、光測定器はOTDRやOLTSなどの限定したモデルを続けている。安藤電気は横河電機に吸収されたが光スペクトラムアナライザのラインアップを増やし、OSAでは世界トップである(中古市場で人気があることがそれを裏付けている)。アドバンテストの計測器事業部門は解体されたが、2000年以降にAirLoggerなどの新規事業製品で計測分野に再参入している。特に無線や光通信、ネットワークアナライザなどの高周波の要素技術を生かして、テラヘルツ分野に注力している(2023年11月のMWEなどでPR)。 参考用語:光通信測定器に関する用語
- 光センサ(ひかりせんさ)
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光パワーメータと一緒に使用するセンサー。
- 光測定器(ひかりそくていき)
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(light measuring instrument、optical measuring instrument) 2つのカテゴリー(機種群)がある。1.照明などの可視光の測定器。照度計、輝度計、色彩計など(心理物理量の測定器)。2.レーザーの光などの測定器。光パワーメータ、光源、光スペクトラムアナライザ、OTDRなど(物理量の測定器)。 1つめのカテゴリーは画像を表示する機器(PCのモニタやTV)向けの測定器が活況。メーカとしてはコニカミノルタ、トプコンテクノハウスが有名。次々と開発される新しい方式のディスプレイに対応した、新しい輝度計が発売されている(たとえばカラーアナライザ)。色差計などの色の測定器も(「光・色の測定器」として)光測定器に包含している場合もある。堀場製作所のような科学分析機器メーカもつくっている。カテゴリーは当サイトでは物理量測定器ではなく科学分析機器に分類している。単位はlx(ルクス)やcd(カンデラ)。 2つめのカテゴリーは光通信やDVDなど(光ディスク)に使われる測定器。無線通信の周波数に相当するのは、光通信では波長になる。光通信測定器の主な仕様は波長とパワー(dB)。NTTが基幹通信網に光ファイバを導入するのに伴い各種の光通信測定器が開発された。通信用途の波長は850nm〜1.55μmで、その波長帯の測定器が多い。青色レーザー(400nm〜500nm)が開発され、Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)などのDVD機器のために、通信用途より短い波長の測定器も増えた(DVD評価用測定器)。 一般に「光測定器」というと上記の1が思い浮かぶが、計測器としては2もある。2の実体は「光通信測定器」なのに各メーカは「光測定器」と称して「光通信」とはいわない。「光測定器といえば光通信の測定器」という暗黙の了解が伺える。1の分野の測定器メーカは「測光する装置として照度計、輝度計、積分球などの光計測器がある」と主張している。サブミリ波より高い周波数の電磁波は光と呼ばれる。可視光は周波数405~790THz、波長830nm〜360nmで、周波数が下は赤外線、上は紫外線。通信用途の波長は近赤外線の領域といえる。1と2の違いは以下の参考記事、光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第1回)に詳しい記述がある。 通常「光測定器」というと「人が感じる可視光の測定器」、つまり「照明の明るさを測定する照度計」などを想像する。光通信の計測器メーカはあたりまえのように「光測定器」というが、この分野を知らないと技術者でも光通信とは思わないことも多い。ここが計測器の難しいところである。
- 光チャンネルセレクタ(ひかりちゃんねるせれくた)
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多数の光信号を1つに切り替える機器。略称:チャンセレ。
- 光通信測定器(ひかりつうしんそくていき)
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(optical communication measuring instrument) 別名:光測定器。光ファイバ通信のために開発された測定器だが、家電製品などに光通信が拡大したので、現在は光ファイバ以外の用途にも使用される。 現在、世界の先進国では基幹通信網の有線通信は、電線に電気を流すのではなく、光ファイバにレーザー光を通すことで行われている。日本ではNTT(旧日本電信電話公社:略称、電電公社)が1970年代に研究し、1981年に商用開始した。現在ではインターネットを光回線で契約しているユーザも多い。世界の状況では、1990年代にはEU、北米、日本などは海底に敷設した光ファイバでつながり(光海底ケーブル)、インターネットの普及を支え、また最近でも新しい海底ケーブルの敷設によって世界中の通信需要をカバーしようとしている(2000年頃の光海底ケーブルバブルで敷設が中止になったが、データセンタの増加や高速化による通信量の増大で2020年代に新設が再開した)。 携帯電話などのワイヤレス(無線)通信では周波数が基本だが、光通信は電磁波の波長が基本になる。光ファイバ通信は(ファイバの伝送損失が最も少ない波長を選び)1300nmと1500nm付近の2つの波長で実用化されている。もっと波長が短い400nm~600nm付近は、DVDなどの光記憶媒体に使われている。近年青色LEDという発光素子が開発され、Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)が普及した。そのため、従来の光通信用測定器も波長帯域を1200~1600nmではなく、より短波長の300nm付近からカバーするような機種も増えた。 光源、光パワーメータ、光スペクトラムアナライザ(俗称:光スペアナ)、波長計などは、当初、一番の需要は光ファイバとそれを使った通信のために開発されたので、「光通信測定器」であるが、主要な計測器メーカ(アンリツ、安藤電気、キーサイト・テクノロジーなど)は当初から「光測定器」(または光計測器)と呼称してきた。光測定器というと、輝度計、照度計、色彩計などの色・光の測定器(いわゆる照明機器や表示装置などの可視光の測定器)もあり、それらの計測器メーカも光測定器と呼称している。そのため、光測定器というとどちらを指すのか紛らわしいが、光通信用測定器のメーカは「光測定器」といって譲らないし、通信だけでなく短波長(DVDなどの家電製品)もカバーするので、いっそう光通信ではなく、光測定器という妥当性が増したといえる。TechEyesOnlineの機種群(カテゴリー)も光通信測定器ではなく「光測定器」である(メーカの表現に倣っている)。 本稿では誤解が無いように光通信測定器と表記する。まずそのおおまかな種類を述べる。 基本測定器は 1.光源:波長が固定の安定化光源はLD (レーザーダイオード)光源とLED 光源があり、波長可変光源 はチューナブルレーザー光源 とも呼ばれる。 2. 光パワーメータ(略記:OPM) :ユニット式で光源モジュールが装着可能な「光マルチメータ」と呼称するものもある。 3.波長測定器:光スペアナ(略記:OSA)、光波長計。 4.その他:変換器(O/E、E/O)、光減衰器、光チャンネルセレクタなど。 専用測定器は 1. 光ロステスタ(光源とOPMの組み合わせ): IDテスタや光ファイバ心線対象器など。 2. OTDR(光ファイバの障害位置試験器、別名:光パルス試験器)。 3.光デバイスの特性測定器:波長分散の測定器や、PDL、偏波コントローラなどの偏波測定器。光コンポーネントアナライザというモデルもある。光ファイバは遠距離(km単位)の損失が重要でNo.2のOTDRがあるが、それ以外の評価をするアナライザ。光デバイスは近端での損失を評価するために近端用OTDRの機能があるアナライザが使われる。No.3は海外メーカが主で、アンリツや横河計測にはない(1990年代のアドバンテストは注力していた)。 4.融着接続器。計測器メーカではく、光ファイバをつくる大手電線メーカが光ファイバ融着器をつくっている。光ファイバの工事には必須の機材。 5. DCA(デジタルコミュニケーションアナライザ)。 1の光ロステスタ、2のOTDR、4の融着器は主にフィールド用途(敷設や保守)である。5のDCAはキーサイト・テクノロジーの通称で、構造はサンプリングオシロスコープなので、純粋な光通信測定器ではない。 上記のほとんどすべての測定器を日本ではNTTをスポンサーとしてアンリツと安藤電気(2000年頃に横河電機に吸収されて現在は横河計測)が開発した。現在はアンリツも横河計測も光源、OPM、OTDRに注力し、ラインアップを広げていない(横河計測の光スクトラムアナライザは世界No.1である)。低周波に注力してきた横河電機やアドバンテストも1980年代に光通信測定器に参入したが、すでに生産終了している(アドバンテストのRF以外のモデルを継承したエーデイーシーは、短波長帯のOPMをラインナップしているが、これはDVD評価用で、光通信用途ではない)。キーサイト・テクノロジーもアンリツや安藤電気を上回るほどラインアップがあったが、2000年の光海底ケーブルバブル以降に製品群を縮小し、現在は光部品測定用途に注力してOPM、光源、波長計、偏波アナライザをつくっている(2022年5月現在の同社ホームページの製品・サービスのページにはオシロスコープや信号発生器、ソフトウェアなどの項目が並ぶが、光測定器は「その他」にまとめられていてすぐには探せない)。 ベンチトップの高精度のOPMでなく、ハンドヘルドの現場・工事用OPMは、三和電気計器や日置電機をはじめとして数えきれないくらい多くのメーカがある。光通信測定器の輸入商社である(株)三喜(miki)は2024年に自社ブランドのハンドヘルドOPMを発売している(2024年のCOMNEXTに出展)。amazonなどのネット通販では、約1万円でハンドヘルドOPMが販売されている。 海外の光通信測定器メーカはM&AによってEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアビ)に収斂されたが、光通信測定器よりもビット誤り率試験器(BERT、伝送路や通信デバイスの品質評価測定器)やOTN/ギガビットイーサネットの規格試験器に注力していて、それ等も含めて光通信測定器と呼称している。TechEyesOnlineではBERTなどは光伝送の測定器に分類している(カテゴリー名「伝送/交換装置用測定器」)。
- 光伝送 400G/800G(ひかりでんそうよんひゃくじーはっぴゃくじー)
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光ファイバ通信は日本全国のコアネットワーク(基幹通信網)にすでに導入され2000年頃にはWDMによって高速通信を実現している。最近は各家庭にWi-Fiが普及し、アクセス網でも光ファイバが完備し、各家庭のそばまで光化された。GAFA(ガーファ)などの大型のデータセンタ間の通信も光ファイバが導入されコアネットワークに匹敵するような最先端の高速通信を導入している(IoTの普及、ビッグデータ解析などが影響している)。2020年代には通信速度は100Gbpsから400Gbpsに更新され、さらに高速の800Gも視野に入った。2024年のInterop(インターネットの展示会)やCOMNEXT(光通信などの次世代通信技術展)のテーマは「400G/800G」だった(共に6月に開催)。400Gや800Gは光伝送の最新規格を象徴することばである。具体的な規格は複数の種類がある。以下に2019年~2024年の動向の例を3つ示す。 ・2x400G FR4は400Gの光伝送規格である400GBASE-FR4を2組用いて、最大伝送距離が2kmの800Gの光伝送規格である。(株式会社マクニカ、2024年3月27日、光トランシーバーモジュールの伝送規格~800G編、より) ・400G光トランシーバの普及につれて、800Gネットワークの導入・移行が積極的に行われている。米国サンディエゴで開催されたOFC2020(光ファイバ通信国際会議)において、800Gネットワークの普及とその将来性が話題の中心となり、400Gの次代を担うという今後の活躍が期待されている。(Qiita、2022年01月19日) ・様々な400G規格がある中でFinisarが先行してリリースを開始するのは、2km以下を伝送する400GBASE-FR8と、10km以下を伝送する400GBASE-LR8となる。(OPTCOM、2019年10月19日、光トランシーバに見るデータセンタ市場の400Gトレンド、より) 400G/800Gの通信を担うのは光トランシーバや光トランスポンダと呼ばれるUSBメモリサイズの光半導体(部品)で、国産ではNECや三菱電機のデバイスを展示会の測定器メーカブースで見かける(2024年のCOMNEXTやKeysight Worldなど)。ただし世界の主流は海外メーカで、SiPhx(サイフィックス、本社は中国、2024年につくばに研究所を設立)とInnoLight Technology(イノライト、中国)が大手。InnoLightの方式はIM-DD(Intensity Modulation-Direct Detection、強度変調-直接検波)で、データセンタに導入されている。他方、コヒーレント方式を主につくっているのがNEC、三菱電機、ciena(シエナ)などの光伝送装置(ROADMなど)と光トランスポンダのメーカである(IM-DDとコヒーレントでは評価する計測器も異なることが、Keysigh World 2023の展示コーナに現れている)。 光トランスポンダの名称は、たとえば400G QSFP-DD SR8は、400Gが伝送速度、QSFP-DDがモジュール規格(フォームファクタ)、SR8が光伝送規格である。モジュール規格には400G/800Gに対応するQSFP-DDとOSFP、400GのQSFP112などがある。光伝送規格は400GBASE-SR8、400G-ZR/ZR+、800G-DR8、800G-2x400G FR4などがある。 光トランスポンダにはLCコネクタやCSコネクタなどの光ファイバを2本接続できる構造になっている。光伝送の計測器の入出力コネクタには光トランスポンダを差し込むことができるようになっていて、その先に光ファイバが2本つながる。計測器に刺さった光トランスポンダの先は400G/800Gの光通信が行われる。このような光半導体(光トランスポンダ)の普及によって、計測器や伝送装置は、別筐体の光トランシーバではなく、機器の入出力端子に光トランスポンダを差し込むだけで400G/800G通信を実現できるようになった。 光伝送の業界内では400Gと表記しているが、正確には400GbE(400GbpsのEthernet)で、高速のギガビットLANのことである。インターネットなどイーサネットが普及してあたりまえになったので、400GbEといわず400Gと略記している。 2025年のInerropのキーサイト・テクノロジーブースでは800Gの倍の速さの1.6Tの測定器(1.6テラ光インターコネクトテスタ INPT-1600GE)が紹介された。Viaviも1.6Tに対応する光イーサネットテスタ ONE-1600がある。ただし、両社ともパネルのみで実機展示は無い。「400G/800Gや1.6Tというのは欧米や中国の話で、国内データセンタの400G導入はまだまだこれから。1.6Tのデモ機など日本の展示会に回っては来ない」(Viavi説明員の談)。Viaviやキーサイト・テクノロジーは世界の最先端を相手にしている。光伝送市場では、日本は欧米だけではなく中国にも及ばないことがわかる話である。
- 光導波路(ひかりどうはろ)
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(optical waveguide) 光ビーム(デバイスなどの媒体だけでなく空間を進むことも多いので、光信号を光ビームと呼称することが多い)をある限定された経路に通すための光デバイス。光は直進性が高いが、曲線の経路をつくって光信号を導くことが研究されている。電子回路における配線に相当し、プリント基板上に光導波路を安価に形成することも視野にある。構造がコアとクラッドであることは光ファイバと同じだが、主に平面状・板状をしている。 広義には光導波路は「屈折率の大きな媒質(コア)をそれより屈折率の小さな媒質(クラッド)で挟み込み、光が全反射によって伝搬する光の通り道」のこと。光を局所的に閉じ込めて任意の方向に導くもの(部材、部品、デバイス)だが、「光デバイスや回路を構成するための比較的短尺のもの(高々,数ミリメートル程度)と、長尺の光ファイバとがある。ここでは前者を光導波路と呼ぶ(電子情報通信学会知識ベース 第1章 光導波路より)」。つまり、一般には光ファイバとは別の光デバイスを指している。 具合的には光学的な特性をもつ物質を使って伝送路をつくる。光導波路の構造は主にシート状で、単に光を伝送するだけではなく、通信に必要な電気素子や光路の分岐・結合構造が組み込まれたものもある。光導波路の材料(媒質)はガラスだけでなく半導体もある。コアをシリコン(Si)、クラッドを二酸化シリコン(SiO2)にした半導体の光導波路(光集積回路や光半導体と呼称)は、シリコンフォトニクスと呼ばれ、2010年代から活発な研究成果(試作品)が発表されている。遠距離通信のコアネットワーク(基幹通信網)に導入されている光の波長である約1.55μm(1550nm)では、Siの屈折率は約3.5(高屈折率)、SiO2の屈折率は約1.4~1.5(低屈折率)で、コア径は0.2μm~0.3μm。標準的なシングルモードファイバのコア径9μmに比べて、シリコンフォトニクスのよる光導波路は小型(サイズが1桁小さい)。2017年のIEDM(※1)を報道する大手メディアの記事には「シリコン光導波路」ということばが使われいるので、シリコンフォトニクスによる光導波路はホットな話題である。 (※1) (IEEE International Electron Devices Meeting) IEEE(アイトリプルイー)が開催する、半導体デバイス技術に関する国際会議。 Keysight World 2023の「高速デジタル・光電融合 トラック(8/30開催)」では「光電融合技術と今後の展望」として、インテルや産総研(AIST)が講演を行った。キーサイト・テクノロジーは偏波シンセサイザなどを使った光導波路の評価機材を展示したが(以下の参考記事が詳しい)、シリコンフォトニクス技術を用いて世界最小の高速光トランシーバ「光I/Oコア」を開発したアイオーコア(株)と共同で「Siフォトニクス技術とインターコネクション」について講演している。また、「光電融合による高速通信を実現するための材料開発」と題して、味の素(株)とも共同で講演している。味の素はAGF(※2)の愛称でインスタントコーヒー(ブレンデイ、マキシム)が有名だが、「高速通信とエネルギーの効率化」をテーマに新素材の研究をしていることが語られた。 (※2) 1909年創業の味の素(株)は、米国のゼネラルフーヅ・コーポレーション(GFC社:現モンデリーズ・インターナショナル)と出資比率50対50の合弁会社、味の素ゼネラルフーヅ社(AGF社)を1973年8月に設立。2017年7月より会社名は「味の素AGF(株)」になり、味の素(株)の子会社である。 光導波路は従来からあり、日本の材料メーカもつくっているが(たとえば住友ベークライト株式会社のホームページには製品として「ポリマー光導波路」が掲載されている)、シリコンフォトニクスによる光導波路がNTTのIOWN(アイオン)などの実現に必須で、インテルやIBMが研究を進めている。シリコンフォトニクス関連の全世界の特許出願数はインテルが他社を圧倒して1位、2位はNTT、3位はIBMである(日経エレクトロニクス 2024年4月号)。
- 光トランスポンダ(ひかりとらんすぽんだ)
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(optical transponder) トランスポンダは無線の増幅中継器として良く使われることばだが、有線通信の光ファイバ通信でも「光電波長コンバータ」や「光増幅中継器」などのことをトランスポンダと呼称している。業容を拡大しているデータセンタでは、WDM回線を使ったデータセンタ間の通信では、400ZRやOpenZR+という方式のコヒーレント通信をするトランスポンダがROADMなどの伝送装置に実装されるようになった。トランスポンダは小型化が進み、装置というよりは部品のサイズになった(※)。光トランスポンダは光トランシーバとも呼称される。 2024年のInterop(インターロップ)やCOMNEXT(コムネクスト、旧FOE)では400G/800Gが主なテーマになった。光・伝送の通信回線アナライザをつくる計測器メーカ(Viavi SolutionsやEXFO、アンリツなど)は、計測器の光コネクタにはSiPhx(サイフィックス)やInnoLight(イノライト、中国メーカ)の光トランシーバを装着していた。SiPhxやInnoLightの光トランスポンダはUSBメモリを一回り大きくした位のサイズで、LCコネクタなどの光ファイバを2本装着できる構造になっている。計測器メーカは送受信の光コネクタを光トランスポンダで装着できるようにしている。400G/800Gの光伝送は、各装置(計測器含む)の送受信の光コネクタには光トランスポンダが装着され、その先の光ファイバで400Gや800Gの伝送が行われる。 (※) 光トランシーバの小型化はNECの資料によると、2016年のサイズを100%とすると、2019年頃には24%まで小型化された。その後も小型化は進み2024年には4%になっている。つまりこの8年間で4%のサイズになった。(NEC技報 Vol.75(2023年) No.1(6月)、オープンネットワーク技術特集 ~ NEC Open Networksを支える光デバイス技術~800G超の光伝送技術~ 図2 伝送容量当たりの消費電力の推移 を参考に考察) SiPhxは2022年頃から400G/800Gの光デバイス(光トランスポンダ)をつくっている。Si(シリコン)ベースの変調方式を採用した安価で量産に向いた商品をつくっている。株式会社サイフィックスはつくばに技術開発センターを2024年につくった。InnoLightは2023年のComnextでは中国パビリオンの中の1社だったが、2024年には独立したブースになった。ブースは古河電工やフジクラと同じ大きさ(計測器メーカのブースは同等か、それ以下の大きさ)。EML(電界吸収変調レーザー)という変調器付きレーザーの方式でSiPhxとは方式が異なる。SiPhxはDML(直接変調レーザー)。Cohernt社(コヒーレント社、光デバイスとOSAなどの光計測器の両方をラインアップ)や三菱電機もEML方式。InnoLightは400Gでは世界シェアが高く、GAFA(ガーファ)のデータセンタ向けに何千個単位の光トランスポンダを販売しているといわれる。三菱電機製の光トランスポンダを使った波形測定のデモをキーサイト・テクノロジーのブースで展示していたが、量産では国産デバイス企業は中国や欧州企業には勝てない、といわれている。最先端の光デバイスの製造でも中国企業の躍進がすさまじい。
- 光波長計(ひかりはちょうけい)
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(optical wavelength meter)光の波長を測定する機器。光通信網がインフラとしてさかんに建設された時期に活躍した。光スペクトラムアナライザでも波長計測はできるが、もっと安価で、精度良く波長測定ができる。参考記事:光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第2回)3ページ目日本国内で販売されている光波長計の一覧が掲載されている。
- 光パルス試験器(ひかりぱるすしけんき)
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光通信測定器の1種であるOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)で、アンリツ製品の品名。OTDRの測定原理を表現しているのでOTDRの別名として大変適切な名称である。光ファイバの伝送損失や断線箇所の特定ができるため、光ファイバの敷設や保守で電気工事会社が使う必須の測定器の1つ。NTT系の計測機器レンタル会社であるエヌ・ティ・ティ・レンタル・エンジニアリング株式会社(略称:NTTREC、呼称:エヌティティレック)は光の電気工事会社向けに多くのOTDRを保有している。計測器メーカは横河計測(旧安藤電気)とアンリツが2強だが、ベンチャーや海外の製品もある(EXFOなど)。安藤電気のOTDRの品名は長らく「光ファイバアナライザ」だった。光パルス試験器と光ファイバアナライザとOTDRは名称がまったく違うのに、全て同じ計測器であることは、光通信の素人にはわかりにくい。光ファイバの敷設や保守では光パルス試験器以外には、「光ロステスタ(またはOLTS)」や「光ファイバ心線対照器(IDテスタ)」が使われる。
- 光パワーメータ(ひかりぱわーめーた)
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(Optical Power Meter) 光のパワーを測定する機器。OPMと略記されることもある。本体と光センサで構成される。チャンネル数を増やせるように本体が大きな筐体を用意している機種もある。ユニット式のものは光源ユニットも揃えて、光源&パワーメータの光通信計測システムとなっている。光通信の基本測定器である光パワーメータは電気のテスタに相当し、工事会社が必ず持っているが、光部品の価格などの諸般の事情により電気のテスタほど安価ではない。横河計測(旧安藤電気)、アンリツなどという大手通信計測器メーカだけでなく、電気のテスタメーカ(たとえば三和電気計器)や名の知れないメーカからたくさんのOPMが発売されている。光通信で使用される波長は0.85~1.5μmで、安藤電気(現横河計測)、アンリツのOPMはほとんどがこの波長帯域のセンサである。青色LEDの開発などでブルーレイディスクが登場した。このLEDの波長は0.4μmと、家電製品は通信より波長が短い。0.4~0.7μmの帯域にフォーカスしてOPMをラインアップしているのがエーディーシー(旧アドバンテスト)や日置電機、三和電気計器などである