計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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TIA方式(てぃーあいえーほうしき)

電流を電圧に変換する方式の1つ。Trance Impedance Amplifier(変換・抵抗・アンプ)の略記。入力電流を抵抗(インピーダンス)倍の電圧に変換する増幅器。O/E変換器に使われるPD(フォトダイオード)は電流出力型の光センサである。その出力を取り出すのにTIA回路が最も良く使用される。電流-電圧変換方式としては、デジタルマルチメータなどに使われている抵抗方式が一般的である。 参考用語:シャント抵抗、バードン電圧

Tx(てぃーえっくす)

有線・無線通信で送信データのこと。Transmission dataの略記。送信機はtransmitter(トランスミッタ)と呼ばれ、小文字のxはデータの意味。送信機自体をTxと表記している例もある。Txと対になる受信データはRx(Received dataの略記)と記載される。Tx同様に受信機をRxと表記することもある。

DCA(でぃーしーえー)

(Digital Communication Analyzer) キーサイト・テクノロジー社のデジタル・コミュニケーション・アナライザの略記。広帯域オシロスコープメインフレーム。製品としては、86100D Infiniium DCA-X広帯域幅オシロスコープメインフレーム(形名は86100A/B/C/Dあり、最後のDタイプも製造中止)や83480A ディジタル・コミュニケーション・アナライザ(こちらも生産中止)があった。 実態はサンプリングオシロスコープ。2スロットあり、モジュールを挿入。当時の同社のオシロスコープは形名54xxxのように頭が5で始まる。形名8xxxや8xxxxはオシロスコープではなく、ネットワークアナライザ(NA)やスペクトラムアナライザのようなRF/高周波製品と、光製品。代表的な形名では81xx、86xxxは光製品。85xxx、87xxはNA。 DCAとは「高速のデジタル通信で使われる光ファイバ通信(または電気通信)の波形の解析器」というネーミング。まず高速通信のアイパターン測定に使われた。また、TDRモジュールを装着するとTDR測定器になった(NAとは違う原理で部品の特性測定ができる)。たくさんの特定通信規格に対応したモジュール(特定の通信規格の波形観測、つまり品質確認のための大変高額な製品)がラインアップされていた。別名:光オシロ。モジュールのコネクタは電気だけでなく、光コネクタも多い(高速通信は光になる)。同等品はたとえばテクトロニクスのDSA8300型など。 キーサイト・テクノロジーは2005年に6GHzの帯域をもつ(サンプリングタイプでない)広帯域オシロスコープ54855Aを発売した。それ以降、海外のオシロスコープメーカ間で帯域を伸ばす開発競争が続き、30GHz位まで開発された(2019年にキーサイト・テクノロジーは110GHzモデルを発表。約1億円/台)。このようにリアルタイムオシロスコープの帯域が向上したため、サンプリングオシロスコープでアイパターンを見る必要がなくなり、DCAの需要は減り、生産中止となった。 2000年頃のキーサイト・テクノロジーのショートフォーム・カタログでは、DCAはオシロスコープのページにサンプリングオシロスコープとして、また光測定器のページに光波形解析器として、2か所に掲載されていた。 2016年にN1092A DCA-Mサンプリングオシロスコープという製品が発売されたが、波形表示部がなく、外観はただの箱である。高速通信のアイパターン測定器としてNECなどの通信機器メーカに2000年代まで愛用されたサンプリングオシロスコープの名器86100 DCAは生産終了したが、キーサイト・テクノロジーはDCAという名称に愛着があるようだ。現在の同社のRF測定器群に使われる頭がNで始まる形名を持つDCA製品である。 計測器情報:品名にDCAと付くキーサイト・テクノロジー製品の例

DVD評価用測定器(でぃーぶいでぃーひょうかようそくていき)

DVD(Digital Versatile Disc)を翻訳すると「デジタル多用途(多目的)ディスク」。デジタルデータの記録媒体である第2世代光ディスクの1つだが、2000年代以降に映像記録の主要メディアになり、2020年現在も使われている。VHS(家庭でTV録画に普及したテープ)や1980年代に流行ったレーザーディスク(LD)を置き換える形で普及した。 形状や記録・読取方式はCD(コンパクトディスク)とほぼ同じだが記録容量がCDの約6倍になるため、CDでは不可能だった長時間映像の記録が可能になった。CDと同じく細かい溝の彫られた樹脂製の円盤をドライブ装置内で高速回転し、溝に沿ってレーザー光を照射してデータの読み取り/書き込みを行う。規格策定は業界団体のDVDフォーラムが行なっている。コンピュータなどのIT機器(情報機器)でもデータ記録メディアとして利用されている。 DVDが普及する時期には、ジッタを評価するジッタメータやタイムインターバルアナライザなどのオーディオ・ビデオ測定器が活躍した。菊水電子工業や横河電機(現横河計測)がつくっていた。2004年秋に電波新聞社が刊行した電子計測器&システム[ガイドブック]2005の「オーディオ・映像機器用測定器&システム」の冒頭では「DVDなどの光ディスクに関する規格とその評価測定器」について菊水電子工業が解説している(もちろん計測器としては同社のタイムインターバルジッタアナライザKJM6775が写真付きで紹介されている)。静岡県浜松市にあるパルステック工業には光ディスク評価装置があり、現在も現役である。 青色LEDの発明によって、2003年頃からBlu-ray Disc(ブルーレイディスク)の生産が始まり、DVD評価用の測定器は活況になった。アドバンテストからエーディーシーに移管された計測器群の中には光パワーメータがあるが、光通信で使う波長ではなくBlu-rayのようなより短波長の領域をカバーしたセンサをラインアップしている。同社HPの光測定器ページには「光ディスクの開発や生産ラインに最適」や「ブルーレイ対応まで選べる9品種のセンサ」などのうたい文句が書いてある(2022年12月)。つまり同社のOPMはアンリツや横河計測(旧安藤電気)のような光通信(光ファイバ通信)向けではなく、DVDなどの家電製品をターゲットにしていることが明白である(同社の光計測器はOPMだけで光源や光スペクトラムアナライザ、OTDRなどの光通信測定器はない)。

デジタルコミュニケーションアナライザ(でじたるこみゅにけーしょんあならいざ)

(digital communication analyzer) 光の波形を解析する測定器。キーサイト・テクノロジーのモデル86100シリーズや83480Aの名称(品名)。同社は略記のDCAを大変良く使っていた。86100Aの最新形名は86100Dだが販売終了・サポート中である(2021/2月現在)。実体はサンプリングオシロスコープだが、通信インフラである基幹通信網の有線部分が光通信で拡張されていた時代(1980〜2000年頃)には、アイパターン評価の用途で使われ、「光オシロ」などと呼称された。 同社は2000年代初期までは世界No1の光測定器メーカだったので、オシロスコープでなく光測定器の分類にDCAを掲載していた。そこで(冒頭に説明した)「光の波形解析器」だった。ただし、同社は現在、光測定器はOPM(光パワーメータ)などの一部の機種群だけでラインアップは少ない。現在はオシロスコープの中のサンプリングオシロスコープとして掲載している。特長も「電気/光/TDR測定用」と記載されている。そのため、現在では「キーサイト・テクノロジーのサンプリングオシロの名称」という説明が妥当である。同社ホームページには「86100A Infiniium DCA 広帯域オシロスコープ」、「83480A ディジタル・コミュニケーション・アナライザ」という表記もみかける。 余談だが「デジタルコミュニケーションアナライザ」という品名からはオシロスコープは想像しにくい。命名の理由は定かではないが、オシロスコープではなく「通信用の解析器」と主張したかったと推定する。同様にプロトコルアナライザで国内No1メーカであった安藤電気はプロトコルアナライザ(プロアナ)ではなく「データコミュニケーションアナライザ」が品名だった。これも同じくプロアナだとはわかりにくい命名だが「データ通信の解析器」という意味を込めたと思われる。このように計測器の名前(各社の品名)は、素人には大変わかりにくい。品名からカテゴリー(機種群)を特定したり、何を測定するのか(仕様)を想定することはむずかしいことが多い。計測器はニッチな(わかる人達の村社会の)商品なので、初心者にはわかりにくい。一般のサラリーマンは(仕事で関係しないなら)誰も好んで関わりたくはない分野である(事業者として計測器に愛着を持っている人達を除けば)。

電電ファミリー(でんでんふぁみりー)

NTTの前身である日本電信電話公社は製造部門を持っていなかった。研究開発を製品化するNTTの出入りメーカ(お抱え企業、下請けメーカ)をNTTのファミリー企業という意味でこう呼んだ。通信装置はNEC、富士通、沖電気、日立製作所がつくったのでNFOHと呼称された(一番はNとFで三番がOという、比率を表していると業界ではいわれた)。新しい規格に対応した通信装置(伝送交換)が導入されるときは、同じく電電ファミリーの大手通信計測器メーカ、アンリツと安藤電気が対応する計測器を開発した(たとえば1970年代から光ファイバによる光通信が導入されると、この2社が光通信測定器をつくり、R&Dから通信網の敷設・保守までほぼすべての測定器をラインアップした)。NTTは2社に仕様を示し製品を作らせる。性能が同じ2社の製品があることで、1社に依存しないというリスクヘッジになる。NTTが日本の基幹通信網を独占し、アメリカのベル研究所と肩を並べて研究開発をしていた時代のことである。 その後、通信の自由化によってNTTは分割され、ほかの通信事業者が参入して現在に至る。日本の通信料金は下がり安価になったが、研究開発や国際的な通信規格の策定の力は衰えたという指摘もある。NTTは2019年にIOWN (Innovative Optical and Wireless Network、アイオンと呼称)構想を公表した。光トランジスタの開発によって、従来の電子を使った半導体による通信網を完全なフォトニクスにすることで、世界的なゲームチェンジを狙う。NTTは2020年にNTTドコモの完全子会社化を終え、2021年にはNTTコミュニケーションズ(NTT com)とNTTコムウェアもグループ内へ編入する。過去の分社化から一転、強いNTTの復権がうかがえる。 JR東海は鉄道車両メーカの日本車輌製造(愛知県豊川市)を子会社にした。世界で競えるインフラを作り、輸出によって豊かな国になるためには、上流のR&Dから製造まで独占的な強い企業が必要という、冷徹な国際事情が存在する。たとえば原子力発電の世界有数メーカであるフランスのアレバ社はフランスの国有企業である。フランスは原子力発電を国策ととらえ、世界的なビジネスをしている。日本が世界に伍する技術分野に通信が復権するかはまだ不透明である。 参考用語:原子力発電所、重電メーカ、パワー半導体

電力計(でんりょくけい)

(watt meter) 広義には電力を測定する機器で、家庭の玄関に必ずあるスマートメータ(積算電力計)や電気使用量を監視しているデマンド機器などがある。計測器としては商用周波数(50Hz/60Hz)~低周波を対象にしたパワーメータ、デジタル電力計、デジタルパワーメータ、高周波を対象にした通信計測器の 高周波電力計 、RFパワーメータ、光パワーメータなどがある。指示計器である積算電力計(または積算電力量計、家の入口近くの屋外に設置され、使用電力を測定しているメータ、今でいうとスマートメータ)を指していることもある。 計測器としては狭義には、指針型(針が振れるアナログ式のメータ)の電力測定器を指す。外観は黒い箱型で、バインディングポストの入力端子がある、横河電機が作っていたモデルが有名。理工系の学校の電気実験では、同じように指針型の電圧計、電流計とともに現在も使用されている(用語のYEWを参照)。英語watt meterをカタカナにした「ワットメータ」というと、このアナログ式の指針型のメータで、単位[W](や[AV]アンペアボルト)を測定する計測器がイメージされる。「機械式電力計」という名称で説明している文献もある。 一般的に計測器で「パワーメータ」というと低周波の電力測定器を指し、高周波の場合は高周波電力計や光パワーメータ、というように品名で区別している。計測器としての低周波の電力計は「デジタルパワーメータ」という品名が多い(一部、パワーアナライザもある)。機種群の分類では「計測用電力計」という説明もされる(以下の記事を参照)。 低周波の電力計としては測定対象に非接触であるクランプ電力計も大変よく使われる。現在の(計測器としての)低周波の電力計はデジタルパワーメータとクランプ電力計である。前者は横河計測が国内でシェアが高く、海外にも輸出している。後者は、昔からクランプのラインナップが多い日置電機がシェアが高い。ただし日置電機は横河計測の牙城だった高確度のデジタルパワーメータを最近は多く発売し競合製品のシリーズ化に注力している。横河計測もクランプを他社から仕入れるなどしてクランプ入力のデジタルパワーメータも発売してきている。トルク計測で実績のあるHBK(旧HBM)のパワーアナライザは自動車市場に強く、3社は国内市場で競っている。

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